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10分ほど間を空けて合否の発表となる。
鈴仙もコスチュームから制服へと着替えており八百万百の共に緊張で不安げにしている耳郎響香や麗日お茶子を励ましていた。
「人事は尽くしたのでしょう? ならば結果は自ずと着いてきます……それに、救命や救護活動を学んできたではありませんか、積み重ねたトレーニングは決して裏切りません」
そう告げる鈴仙の頭部には包帯が巻かれておりその現場を見ていなかったクラスメイト達から口々に問われる。
「鈴仙‼︎ その包帯どうしたの‼︎」
「えぇ⁉︎ 何その怪我‼︎ 傷痕残らないよね⁉︎」
芦戸三奈と葉隠透は特に心配していた、普段から鈴仙と何かと交流がある2人はまるで自分の事の様に鈴仙を心配していたが鈴仙は語る。
「医務室の先生が大袈裟なだけですよ、少し裂傷を負っただけです……側頭部や頭部に負った傷からは見た目以上の血が流れます、流血の酷さだけで重軽傷の判断せずにしましょう」
そう告げていると、目良さんが壇上に立ちマイクを取り語る。
『皆さん長い事お疲れ様でした、これより発表を行います……採点方式についてです、我々ヒーロー公安委員会と
そう告げられて電光掲示板にバァァァっと名前が表示される。
鈴仙。
その文字が表示されているのを確認して鈴仙はガッツポーズして喜びを露わにする。
そのウサミミもブンブンと回転しており狂喜に打ち震えている。
クラスメイト達も全員受かっていた。
クラスメイト全員にハイタッチを行い『へにゃぁっ』と破顔する鈴仙。
爆豪勝己には避けられてしまうが無言で哀しそうな眼を向けて涙目を作ると渋々ハイタッチを受け入れる。
『えー全員ご確認していただけたでしょうか? 続きましてプリントをお配りします、採点内容が詳しく記載されておりますのでしっかり眼を通して下さい、ボーダーラインは50点、減点方式での採点ですのでどの行動が何点引かれたのかを下記にズラーっと記載しています……』
そう告げられて鈴仙は自身のプリントを確認する。
97点。
引かれたのは
トリアージや救命処置などは減点されていなかった。
よしよし、学んだ事を生かせた……。
その事にウサミミも無意識下で『ヤッタァ‼︎ お師匠様‼︎ 私やったよぉ‼︎』とブンブングルングルンと激しく動き回っていた。
クラスメイト達が点数を聞いてきた、やはり他人の点数は気になるモノだ。
爆豪の点数を見ると51点、ボーダーラインギリギリの点数であり救助者に対しての暴言や口の悪さでかなりの大幅減点をされている。
それを見て上鳴や切島は『ギリギリじゃん言葉って大事よ?』と嗜めるが爆豪勝己はそれに対して『黙ってろ殺すぞ』と怒りを露わにしていた。
そんなこんなでワイワイと話していると目良さんがマイクを取って語り出す。
『えー……それぞれ確認していただいたと思います、合格した皆さんはこれから緊急時に限りプロヒーローと同等の権利を行使出来る立場となります、すなわち
そうして、一度呼吸を整えて目良さんが語る。
『そして……えー、点数がボーダーラインを下回り不合格となってしまった方々、点数が満たなかったからとしょげている暇はありません、君達にもチャンスは残っています……4ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば君達にも仮免許を発行する予定です今私が述べた『これから』に対応するにはより『質の高い』ヒーローがなるべく『多く』欲しい、一次はいわゆる『落とす試験』でしたが通過した100名はなるべく育てていきたいのです、そう言うわけで全員を最後まで見ました……』
そうして……仮免試験は終了した。
鈴仙は自身の手に持った仮免許証をスマホのカメラで写真に収める。
ヒーロー活動許可仮免許証。
本名・鈴仙・優曇華院・イナバ。
ヒーローネーム・ムーンラビット。
それをお師匠様に送信すると短い文章で褒められる。
しかし、お師匠様なりの褒め言葉だと長い付き合いの中で理解している鈴仙はその顔を『へにゃあっ』とデレデレと破顔させてウサミミもそれに伴い無意識のうちにウニョウニョと動き歓喜の舞いを行っていた。
そうしていると士傑の毛原長昌と監督責任者である教師が鈴仙の前に立っていた。
歓喜でデレデレとした表情から一転、無表情となりウサミミを絞って無言を貫く鈴仙。
それを見て毛原長昌と教師は夜嵐イナサが何をしでかしたかを察したのだろう。
申し訳ない、そう2人に頭を下げられるが鈴仙としては正直言って『夜嵐イナサ』という人間へ対しての感情は無関心であった。
何を言われようとも正直な話しどうでもいいとすら思えてしまう……普段あまり他人に対して不快感を抱かない鈴仙であったが、夜嵐イナサはそれ程に不愉快だった。
ため息を一つ吐き……告げる。
「まぁ……正直、毛原さんと士傑の先生が謝罪にきたのです……私は水に流しますが……本人がどう思うかは全くの別問題ですね、先程の合格発表の際も……まぁ突っかかってきたので……」
それを聞いて毛原長昌と教師は怒りに肩を震わせていた。
バスに乗り込めと相澤先生より告げられた為に会釈と軽い会話を行い背を向ける鈴仙。
毛原長昌と士傑高校の教師は夜嵐イナサの処遇に関して協議していた。