「ふふふーん♪ ふふーん♪ 〜〜〜♪」
鼻歌混じりで上機嫌の涙と笑顔の表情で彩られた歪な仮面を装着しトレンチコートを着用したマスカレイドは路地裏での作業に勤しんでいた。
足元には四肢がもう2度と使えない様にまるでミキサーにでも掛けられたかの様に、酸性の薬品でも掛けられたかの様にドロドロの状態にされた半グレが4匹。
今時には古い、40〜50年ほど前のアニメソングを歌いながら楽しげにまるで虫でも潰すかの様に足元の4匹に頭部に脚を乗せて体重をかけて踏み潰すと靴にこびりついた血痕を個性を用いて無かった事にする。
「あーぁ、どーすんのよこれ……持ってる中でも特にお気に入りのナイフだったのに」
今し方人を殺した事よりもお気に入りのナイフが根本から折れており修復不能な程に損壊したナイフを見ながらその事を残念そうに語ると事切れている4匹の死体から財布を奪い中身を全て奪うとトレンチコートのポケットに入れていたスマホに着信が入る。
死柄木弔からであった。
『マスカレイド……今どこだ?』
呆れと疲労と怒りをごちゃ混ぜにした様な声音で問いかけてくる死柄木弔に対してマスカレイドは何とも軽い口調で答える。
『何処かの路地裏かな? それで『羽振りの良い4匹の虫』達からちょっとお金を貰ってた所……何? 集合の時間にはまだ余裕があると思うけど?』
今し方殺した4匹の事など記憶の片隅にも無いのか、心底どうでもいい口調で語るマスカレイド。
電話口の死柄木弔に対して問いかける。
死柄木弔は呆れた声音で語ってきた。
『外部顧問だからってあまりに好き勝手されても困るんだが……まぁそれは置いておこう……この前の銃取引や違法薬物の取引で当面の資金は得たがソレはあくまでも『先生』が元々持っていた資産と作られていたパイプの引き継ぎに過ぎない……俺らは俺らで新たにパイプや繋がりを作らないと駄目だ……トゥワイスが夜に廃工場に1人連れてくるんだが……死穢八斎會の若頭だ、此方としては別に時代遅れの天然記念物なんか要らないんだが……まぁ仲間の……トゥワイスの紹介とあっちゃ無碍にも出来ん、話しだけは聞いてやろうと思ってな』
『話しが長いよ、結論だけ言ってくれればいい』
マスカレイドはそれを聞いて心底興味なさそうに語る。
朝から食べていない空腹を満たす為にコンビニに入ってホットスナックを適当に買うとソレを食べつつ通話を続ける。
『ほんで?
フライドポテトやチキンナゲットを頬張りながら死柄木弔へと返答を行うマスカレイドに死柄木弔が呆れた声音で語る。
『せめて食べるのか喋るのかどっちかにしてくれ……そいつが、いや、そいつとその仲間達がもしも変な事を俺の仲間にしてきたら……アンタの判断に任せたい』
ソレを聞いて……マスカレイドはトレンチコートに忍ばせた己の武装を確認して電話口に向こうに言葉を告げる。
『りょーかい、じゃ……また夜に合流って事で、チャオ』
なんとも軽い口調で通話を切ると10数メートル先でヒーローと
「いやぁ……なんで逃げないのかなぁ周囲の一般市民達は……テレビの中の喜劇とでも思っているのかなぁ? 平和ボケもここまで来るとつまらないよなぁ、さてと、そんな彼らにスパイスをあげようかな……理不尽な現実っていう極上のスパイスを」
食べ終わったホットスナックのゴミをゴミ箱に投げ捨てると鼻歌交じりでナイフを取り出してヒーローと
まるで日常生活の一動作、食事や睡眠と同等の行いとでも言うように。
突然、自身の胸から生えた鋭利なナイフと噴き出る血を見ながら糸が切れた人形の様に崩れ落ちる3秒前までは生きていたヒトだった肉の塊。
ゴミを投げ捨てるかの様にポイっと投げると生々しい音が響く。
ソレを皮切りにして悲鳴と恐怖が響き渡るがマスカレイドは実に心地良さそうにソレを聞いていた。
「〜〜♪ 〜〜〜♪ 〜〜♪」
歌を口ずさみながら殺戮を繰り返す。
その後も目についた一般人を対象に個性を用いて心臓にナイフを突き立てるマスカレイド。
10人程殺した時点で飽きたのか迫ってくるヒーローを軽くあしらいつつ逃走する。
そうして……夜、廃工場へと集合した
トゥワイスが1人の男を連れてきた。
ペストマスクを装着しオーバーコートを羽織った男。
死柄木弔が皮肉を込め『大物』と揶揄するとその男、死穢八斎會若頭、治崎廻は頬を掻きながら呟く。
「大物とは……皮肉が効いてるな、
トガヒミコが極道って何ですか? という質問に対してMr.コンプレスが教える。
それが済むと治崎廻が語り始めた。
マグネが治崎廻に問いかける。
「それで? 細々ライフの極道さんが何故私達の所に? 貴方もオールマイトが引退してハイになっちゃったタイプ?」
マグネの言葉に対して治崎廻はゆっくりと語る。
「いや、オールマイトよりも……オール・フォー・ワンの消失が大きい、裏社会の全てを支配していたという闇の帝王……俺らの世代じゃ都市伝説だった、だが老人どもは確信を持って畏れていた、死亡説が噂されても尚……それが今回、実体を現してタルタロスへとぶち込まれた、つまり……今は日陰も日向も支配者が居ない、じゃあ次は、誰が支配者になるか」
治崎廻の語りに死柄木弔が不機嫌さを隠そうともせずに語る。
「ウチの『先生』が誰か知ってて言ってるなら……挑発でもしてるのか? 『次』は俺だ……今も勢力を拡大して資金も蓄えもある、力もな……そしてその力で必ずこのヒーロー社会をぐちゃぐちゃに壊す」
怨嗟が混じった声音でそう語る死柄木弔に対して死、柄木弔の言葉を治崎廻は鼻で笑いながら語る。
大仰な身振り手振りを交えて小馬鹿にでもするように。
「計画はあるのか?」
「あぁ? お前さっきからウダウダと……再三トゥワイスから確認されてると思うが仲間になりに来たんだよな?」
死柄木弔のその言葉を無視して治崎廻は語る。
「計画のない目標は『妄想』という『妄想』をプレゼンされてもこっちが困る、勢力を増やしてどうする? そもそもどう操っていく? どういう組織図を目指している? 目標を達成するには計画が必要だ、そして俺には計画がある……今日は別に仲間に入れて欲しくてきたんじゃない」
ソレを聞いて死柄木弔は一気に興味を無くしたかのように手で追い払う仕草をしつつ語る、その言葉に若干の苛立ちを含ませながら。
「何だよ……じゃあ消えろ、トゥワイスから再三意思確認されたろ? ここで反故にするのは論外だ……目障りだ、殺される前に失せろ」
「そう邪険にしてくれるなよ……今回は仲間になる気はないが商談に来たんだよ、計画の遂行には莫大な資金が必要だ……時代遅れの天然記念物に投資しようなんていう物好きは裏の世界にも中々居ない、だが……名前が売れている
「黙れ殺される前に失せろ天然記念物」
苛立ちながらそう呟く死柄木弔。
何かを言おうと口を開いた治崎廻の言葉を遮るかのようにマスカレイドが言葉を紡ぐ。
工場の天井付近を見ながら。
「なぁお前さん……確認なんだけど1人でここに来たんだよな?」
唐突な、脈絡のない質問に対して治崎廻は意図を汲み取れずに告げる。
「あぁ、俺1人だ……何なんだ? 一体」
「本当に1人か? これが最後の確認で、今ならまだ間違いでしたすいませんと言い直すチャンスを与えているんだが……本当に1人で来たのか? お前?」
マスカレイドの言葉に対して治崎廻は苛立ったように叫ぶ。
ソレを聞いてマスカレイドは仮面を装着し直して荼毘の手を取り天井の梁へと向ける焔を放つように告げる。
荼毘は何となくだがソレが意味する所を理解して『蒼炎』を放つと天井からはペストマスクを装着し白のコートだったモノを着ている焼け焦げた人間……正確にはつい今し方まで生きていた人間だったモノが落ちてきた。
ソレを見てマスカレイドはズレた仮面を装着し直して治崎廻に語る。
「本当に1人で来たのかって聞いたし3回は聞き直したろう?
ソレを告げるが治崎廻はソレどころでは無いようで怒りに顔を歪めていた。
その直後、工場の出入り口の扉が破砕されて死穢八斎會の者どもが現れる。
しかし……マスカレイドの威圧で誰1人動けずにいた。
マスカレイドはゆっくりと仮面を外して素顔を晒すと静かな声音で語る。
「約束を反故にしたのはそちらだし、1人で来たのかとの問いかけに虚偽をしたのもそちらだ……如何に側近を失おうともソレはお前の責任だ治崎廻、上に立つ者の責任だ……私達
そう告げるマスカレイドに対して治崎廻は苛立った様子でありながらここで戦力を削り合うのは不毛と考えて……指示を出す。
撤収と。
ソレを見てマスカレイドは煽るように告げる。
「ソレは私の電話番号だ、頭が冷えて冷静になったら連絡してくれ……数日以内が望ましい」