【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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インターンシップ②

 壊理ちゃんを雄英寮へと保護して数日、当初はぎこちなく笑みも浮かべる事が無かった壊理ちゃんではあるが鈴仙や芦戸三奈、八百万百や麗日お茶子達女子陣により少しずつではあるが笑みを見せる様にはなってきた。

 現状、鈴仙や1-Aの皆が授業などで見れない時は教師寮で壊理ちゃんを預かっている。

 最初こそ鈴仙と壊理ちゃんは別々の布団で寝ていたが1人で寝ていると『死穢八斎會の監禁部屋』を思い起こしてしまう為に鈴仙と一緒の布団に寝ている。

 

 

 鈴仙は壊理ちゃんと一緒にお風呂に入って傷んだ髪のケアを行ったりしており、当の壊理ちゃんもようやくクラスの皆と笑って話せる様になって来た。

 鈴仙はと言えば、もはや壊理ちゃんを完全に妹として認識しており休みの日は基本的に壊理ちゃんと過ごす事が多くインターンシップや一部例外を除いて可能な限り壊理ちゃんを優先している鈴仙であった……。

 ウサミミやウサギ尻尾を堪能している壊理ちゃんを羨ましそうに見ている女子陣からの視線が少々痛いが……。

 時折、八意永琳に警護を頼み壊理ちゃんと外出しては自費で壊理ちゃん用の服を買い揃えており壊理ちゃん専用の洋服タンスが3つ部屋に置かれるほどであった。

 妹が出来た様で嬉しそうにはしゃぐ鈴仙であったが……2週間程して相澤先生より告げられる。

 

「鈴仙……壊理ちゃんの事なんだが今後は教師寮で見る事となった」

 

 夜、自由時間で壊理ちゃんとジェンガを楽しんでいる鈴仙と一部のクラスメイト達。

 中々に白熱しておりどこを触っても崩れそうという中で回って来た鈴仙の順番でありバランスを調整し崩さぬ様に引き抜こうとした刹那、そう告げられて集中が途切れてそれと共にジェンガが音を立てて崩壊していく。

 負けた人は軽い罰ゲームと最初に決められていた為に時間が決められた『くじ』が入った『箱』と罰ゲームの内容が書かれた『くじ』が大量に入った『箱』から順番にくじを取り出してそこに書かれている内容に従う……鈴仙は寮内にいる間3日間メイド服で過ごす事になるがそんなのはどうでもいい。

 ウサミミがクシャァァァァァァッと萎んで泣き叫んでおり、その眼はうるうると涙を浮かべているのを実感する鈴仙。

 相澤先生に震える声音で再確認する鈴仙。

 しかし、現実は変わらなかった……相澤先生は涙を浮かべて再度問いかけて来た鈴仙に若干の恐怖を覚えつつ再度告げる。

 

「鈴仙……お前の部屋で預かっている壊理ちゃんなんだが……今日、現時刻を以て教師寮で預かる事となった」

 

 その言葉を聞いた鈴仙は涙を流し壊理ちゃんを抱きしめながら叫ぶ。

 

「えぇ⁉︎ 何故⁉︎ ヤダッ‼︎ 愛しい妹と離れ離れになるの寂しい‼︎」

 

 それを聞いた相澤先生は鈴仙の頭部を軽く叩いて言の葉を紡ぐ。

 

「妹じゃないだろ……勝手に血縁関係にするな馬鹿、鈴仙、あのときに言ったろ……落ち着くまでの間だけお前と過ごすのを許可すると、もう精神的には落ち着いてきたし訓練の甲斐あって『巻き戻し』の暴発の可能性もなくなった……それに教師寮の空き部屋に移動するだけだ、もう一生会えなくなるって訳じゃない……」

 

 操縛布で締め付けられる鈴仙……。

 その口からは嗚咽混じりの言葉が流れている。

 まぁ……少しすると落ち着いたのか……教師寮へと歩いて行く壊理ちゃんを見送った鈴仙。

 よよよ……と半泣きになっていたが。

 

 

 そうして……数日後。

 

 

 インターンシップ先のギャングオルカさんから集まる様に電話で告げられる。

 そして、その日……鈴仙は緑谷、切島、麗日、蛙吹と共に全く同じ目的地を目指していた。

 

 そして辿り着いたのは緑谷と通形ミリオのインターン先……ナイトアイ事務所、その2階にある大会議室。

 

 そこにはビッグ3の3人もいた。

 蛙吹梅雨と麗日お茶子のインターンシップ先であるドラグーンヒーローリューキュウ。

 切島鋭児郎と天喰環のインターンシップ先であるBMIヒーローファットガム。

 そして、緑谷出久と通形ミリオのインターンシップ先であるサー・ナイトアイ。

 

 その他にもクレア・ボヤンスや八意永琳、ギャングオルカ、そして様々な個性を持ったプロヒーロー達が勢揃いしていた。

 

 そうして、会議が開始されナイトアイが話し始めた。

 

「貴方がたに提供していた情報のお陰で……調査が大幅に進みました、死穢八斎會という組織が何を企んでいたか、知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます、まずは順を追って話します」

 

 鈴仙は相澤先生へと尋ねる。

 

「……イレイザーヘッド……どうしてこちらに?」

 

 鈴仙が問いかけると相澤先生はぶっきらぼうに告げる、いつもの相澤先生だ。

 

「あぁ……急に声かけられてな、ざっくりだが話しも聞いてる……お前らに言わなきゃならん事もあるしな」

 

 そう告げる相澤先生。

 切島がファットガムに質問を行っていた。

 

「俺……置いてけぼりなんすけど……」

 

 そう語る切島に対してファットガムは分かりやすく噛み砕いて告げる。

 

「悪い事考えとるかも知れん奴らがあるから皆で対策煮詰めましょのお時間や、切島君に、環も充分関係してくるで……」

 

 そうして、会議が開始された。

 

 ナイトアイ事務所のサイドキック……バブルガールが語り手を務めているが緊張しているようだ。

 

「我々ナイトアイ事務所は約2週間前から死穢八斎會という指定(ヴィラン)団体について、独自調査を進めています、キッカケは……レザボアドッグスと名乗る強盗団の事故からであり……警察は事故として片付けましたが不審な点が多くナイトアイ事務所は独自に追跡を始めました、私とナイトアイ……そしてセンチピーダーが調査を進めていくと、ここ2年以内の間に全国の組内外の人間や違法薬物の売人チームや裏稼業団体の斡旋者、その他犯罪組織の者達との接触が急増しており、死穢八斎會自身の拡大・資金集めを目的に動いていたと見ています」

 

 そこで一度言葉を切りバブルガールはプロジェクターにある映像を投影する。

 そこに映し出されたのは鈴仙とギャングオルカが遭遇した死穢八斎會の治崎廻と名乗る男と謎の誰か。

 その謎の誰かの正体をバブルガールが告げると雄英一年生達の肩がピクリと震える。

 

(ヴィラン)連合の1人……トゥワイスとの接触を確認、その直前に起こった別の通りでの18人が殺される事件に対応をしていた為にその後の追跡は叶いませんでしたが警察との協力で組織間の抗争があった事を確認、現場には焔で焼け焦げたコートと焼けて炭化した死体の一部が残っておりまして……少なくとも1名が死亡していた状態でした」

 

 そして、緑谷の職場体験先だったというグラントリノさんが口を開く。

 

(ヴィラン)連合の関わる話しとあってな……俺や塚内にも声がかかったんだ、肝心の塚内は他で有力な目撃情報があったと報告があってそっちに向かっている」

 

 そうして、再度バブルガールが語り手を務めていき話しを進めていく。

 

「えー、この様な過程があり……『HN(ヒーローネットワーク)』で皆さんに協力を求めた訳で……」

 

 またもや知らない単語が出て来た所でセンチピーダーがバブルガールへと端的に告げる。

 

「そこ、飛ばしていいよ」

 

 それを聞いたバブルガールは元気よく『うん‼︎』と答えていた。

 ヒーローネットワークと聞いた麗日お茶子と蛙吹梅雨の頭にクエスチョンマークが浮かび波動ねじれがそれにほわほわとした口調で答える。

 

「プロ免許を持った人だけが使えるネットサービスの事で全世界のヒーローの活動状況や活動報告が見れたり便利な個性のヒーローに協力の申請ができるシステムの、事だよ」

 

 そうして話しをしていくとナイトアイに語り手が移り配られた資料を見る様に告げられる。

 

「死穢八斎會は以前、認可されていない薬物の捌きをシノギにしていました……そこでその道に詳しいヒーローであるファットガムと八意永琳さんに協力を要請した次第です、詳しい事はファットガム、八意永琳さんよりお願いします」

 

 そう告げるナイトアイ。

 語り手を引き継いだファットガムは分かりましたと言い説明を行う。

 

「ファットガムです、前置きは置いといて本題に入ります……昔は違法薬物が出回るんは尋常じゃない量やったんでそういうのを専門にゴリッゴリに叩き潰してました、ほんで先日のレッドライオットのデビュー戦、今までに見た事ない種類の薬物が天喰環に撃ち込まれよった……八意永琳さんの調べで判明した、個性を壊す薬やそうや……薬効やそこら辺の説明は素人からよりも八意永琳さんの方がええ、お願いします」

 

 そうファットガムより語り手を引き継いだ八意永琳は一礼をしてから語りだす。

 

「八意永琳です……昔はファットガムさんとの合同捜査でよく違法薬物の出所を叩いたり撲滅を行っていました、それで……今回のクスリなんですけれど、弾丸状の中身を確認した結果……3週間前にギャングオルカさんと鈴仙が保護した少女の物と確定した血や細胞が混入されていました……そして検査の結果その少女の個性は『巻き戻し』と判明しております……個性を壊すというよりは『巻き戻し』の効果を失わさせずに弾丸に固着させて一時的に個性を封じているというのが正しいでしょう……ただ、これは未完成品である為に試供品やサンプルとしてばら撒いていたと見るのが正しいでしょう、これを踏まえて私見を述べさせて頂くならば……現時点で今まで試供品の如くばら撒いていた『数時間、若しくは1日2日で効果の消える未完成品』ではなく治崎廻の手元には『着弾すれば永遠に個性を失う完成品』が数発、既に出来ていると考えます。数時間や1日や2日で効果が切れるのでは不完全と考えて……壊理ちゃんの個性である『巻き戻し』の因子を固着させて一度着弾すれば永遠に『個性』を失わせる事が可能な銃弾を目指すでしょう……保護した少女、壊理ちゃんの肉体が銃弾の9割を占める原材料である以上……量産に成功すれば市場を独占し好き放題に言い値を付けられるのです……そして壊理ちゃんの虐待は少なくとも2年半は経過していると私、八意永琳が診断しています……ファットガムさんの調査により効果のあやふやな未完成品が出回り始めたのが2年4ヶ月前と判明しており……時期的にも合致しています、何より2年半もあれば整っていない研究設備でも完成品まで漕ぎ着ける事は可能です、時間と(・・・)コストと(・・・・)……壊理ちゃんという1人の人間の血肉という原材料の(・・・・)消費(・・)を度外視すれば」

 

 人を、少女1人の身体をバラバラに分解して銃弾にして売り捌いていた。

 そのあまりにも……非現実的な話しに、しばらく誰1人として……口を開く事が出来なかった。




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