長い沈黙の後で……八意永琳が口を開く。
「治崎廻と死穢八斎會の組員に関しては……違法薬物の製造販売、少女への監禁・傷害・暴行罪が適用されるわ……それと、壊理ちゃんには生活反応が無い傷痕も見られた為に恐らくは何度も何度も殺されているのでしょうけど現行法だと殺人罪や傷害致死罪に問えるかはかなり難しいわね」
現行法に照らし合わせれば治崎廻を殺人罪にまで問うのは難しい……傷害致死罪も適用が出来るか危うい所であろう。
壊理ちゃんは殺されているが何度も蘇生させられている……殺人の確たる証拠は死体がある事だ。
暗く澱んだ雰囲気になりかけた所でロックロックが語りだす。
「まぁその少女は保護できてるし……多少はマシなんじゃねえの? 何も出来てないよりは……」
そう語り、警察と連携しつつ手続き諸々を進めて行き会議が終了となる。
そうして会議後……相澤先生より集められた1年A組。
集まったA組の面々を見ながら語る。
「……今日は君達のインターンシップ中止を告げるつもりだったんだが……
そう告げてきたが鈴仙含め皆……インターンを中止する者は居らず死穢八斎會を潰すという熱い意思が感じられた。
そうして、決行日まで待機を命じられた。
インターン組全員が……死穢八斎會の壊滅作戦へと召集される。
それと時を同じくしてとある貸しビルの5階。
死柄木弔率いる
マスカレイドも一緒だが余程の事になるまでは口は出さずに静観するという。
死柄木弔が口を開く。
「で……この前の商談というのを聞かせろ……」
死柄木弔が開口一番そう告げると治崎廻の側近である入中常衣が叫ぶ。
「何だその物言いはァ‼︎ ヤクザ舐めんじゃねぇぇ‼︎ クソチンピラの集まりがァァァァァァ‼︎」
死柄木弔はそれを聞いて酷く冷静に言の葉を紡ぐ。
「おい治崎……そのバカを今すぐに黙らせろ……立場を理解していない様だから優しく教えてやるが、
そう告げられて治崎廻は入中常衣を目で黙らせる。
そして小さいケースから2つの銃弾を取り出して口を開く。
「まず……計画から話そう……この1発の銃弾、個性を壊す薬だ、これを
静かにそう語る治崎廻を見て死柄木弔は無言でそれを聞いていたがしばらくして語る。
「……そうか、今よくよく考えたんだが……俺らに何の旨みがある? 名前だけ貸せとでも? ……この話しは無かった事にしよう、マスカレイド……『お客様』のお帰りだ丁重にお見送りしてくれ」
そう告げて壊れた玩具に興味を失くした様な眼で治崎廻を見遣る死柄木弔。
しかし、治崎廻としてもここで商談を無かった事にされては堪らないのか言葉を続ける。
「話しを最後まで聞いてくれないか? 分け前の話しがまだ終わってないだろう? 3:7の取り分でどうだ?」
取り分の話しになるが死柄木弔の表情と声音は変わらない。
冷徹な声音で語る。
「何で成功する前提で話してるんだお前は? それに取り分って言ってもどの程度ばら撒けるか不明な代物に人員も名前も貸せない……メリットデメリットで考えてもデメリットの方が高くつく、お前らに名前と人員を貸して万が一ウチの人員が捕らえられでもしたら……俺は報復としてお前達を1人残らず全員殺さなきゃいけなくなる……それは俺にとっても手間だし、お前らにとっても手間だ……まぁ、どうしてもというなら仕方ない……黒霧はコッチの生命線だ絶対に渡さん……それ以外の人員を1人当たり4000万、荼毘とマスキュラー、ムーンフィッシュは5000万、マスカレイドは8000万だ期限は1週間で貸してやる、延長の場合は1.5倍の金額を払ってもらう……名義貸しは6000万だ……分割だとか後払いだとかいうなよ? 前払いで即金だ……おっと高すぎるなんて野暮な文句はなしだぜ? 若頭……俺は自分の仲間を安く貸すつもりは無いし名義だってそうさ安くしてやる縁もゆかりも俺とお前には無いだろう? 適正価格だ」
あまりの値段に対して治崎廻は青筋を立てていたが……しばらく考え込んでトガヒミコとトゥワイスを指名してきた。
名義貸しの件は考えるとの事で8000万を即金で払いトゥワイスとトガヒミコを連れて貸しビルを出て行った。
そうして終わった後にマスカレイドや
「随分と破格の値段を付けてくれたわね……」
そう語るマスカレイドは若干嬉しそうにしていたが死柄木弔はにべもなく語る。
「お前らが大事だからさ……あんな木っ端ヤクザが『次』の支配者になるとか妄言を吐くのは構わないがウチの人員をタダで引き抜こうというのが気に食わん……相応の代価を払わせる、これでしばらくは資金にも余裕が出来た」
そう告げる死柄木弔に荼毘は語る。
「トガヒミコとトゥワイス……1週間とはいえ変身と2倍を取られたのは結構痛えな……こっからどうすんだ?」
そう問われた死柄木弔はしばし考えてから告げる。
「とりあえず『先生の遺産』を回収しようか、まだ半分も回収できていない」
オール・フォー・ワンの残したモノは資金や人脈だけではない、有事の際に付き従う兵隊、権力者のスキャンダルなどあらゆる物をあらゆる場所に隠している。
それらを回収して更に
それを聞いてその場に居る物達は各々、好きな事をしつつ各地に散っていった。
そして、視点は鈴仙達雄英生徒へと戻る。
その後も学業と訓練を行なっていったA組生徒達。
鈴仙は相澤先生を通じて心操人使を今回のメンバーに組み込めるかを打診していた。
心操人使の個性はこういう捕物の際に必ず役に立ってくれる。
何せ応答さえさせれば一時的にでも行動不能に追い込めるのだ、使わない手は無い。
そして、そんな心操人使のヒーロー名だが『コントローラー』だとか洗脳で誰かを操る故に……だとか。
良いヒーロー名だ。
そうして、数日後、決行の日となった。