……鈴仙がハイツアライアンスに戻り自身の過去をクラスメイト達に語る少し前に時間は巻き戻る。
治崎廻や八斎衆の押送の為に装甲車で
そこには死柄木弔とマジシャンの風体をした男性、継ぎ接ぎの男、そして左右で正反対となる表情を模した仮面を装着した者がいた。
死柄木弔はゆっくりとトラックの車体に腰を下ろすと2人に問いかける。
「なぁ、コンプレス、荼毘……マスカレイド、将棋やチェスってさ、要するにキングを取ればいいんだよな?」
それに対して荼毘はしばし考え込んだ後に呆れた様な声音で語る。
「そう簡単なもんでも単純なもんでもねえぞ……」
コンプレスは極々短時間で押送情報を得て情報提供をしてくれたトガヒミコとトゥワイスに感謝の電話をしつつ死柄木弔に言葉を返す。
「ありがとねトガちゃん……助かった……意外と頭を使うんですよ? アレ」
「興味あるのかい? 将棋やチェスに……よければルールを教えるからやろう、暇なんだよ」
それを聞きつつ死柄木弔は眼前の車輌を見る。
装甲車8台、警護についているプロヒーローが情報によれば各車輌に4人ずつ。
しかし裏アイテム製作会社に依頼していたゴーグルを着けると全てが丸分かりである。
とある雄英体育祭優勝者の個性を機械的に擬似再現した物らしくホンモノの足元にも及ばないが透視とサーモグラフィーとターゲットの名前と個性と性別を事前に入力する事で網膜スキャンと静脈スキャンによる本人確認まで出来る優れ物だとか。
その分値段も2000万とかなり張ったが事前投資と思えば安い物だ。
それを装着した荼毘は語る。
「……5台目の車輌、厳重に拘束されている、他は全部ダミーだ……」
「りょーかい……さて、と……目標を達成するのに5分で事を済ませよう、それ以上やると増援がきちまう」
それを聞いて死柄木弔はゆっくりと立ち上がって……ふわりっと跳躍して先頭車輌のフロントガラスを自身の手で触れて崩壊させようとした。
しかし、装甲車の助手席から身体全体が砂化したヒーローが死柄木弔を拘束する。
「
死柄木弔は考える。
確かに砂には触れられないが別に本命は俺じゃない。
コロコロとコンプレスが投げ落としたビー球が装甲車の車体中央底部に入り込んだ瞬間に圧縮が解放されて装甲車により対戦車地雷のセンサーに引っかかった事で起爆する。
爆煙と爆音、それに爆炎が高速道路上に立ち上り後続の車輌は吹き飛ばされてきた先頭車輌により次々と後続の装甲車は衝突事故を引き起こしプロヒーロー達の半分はそれにより真っ先に人命救助を余儀なくされる。
「ヒーローってのは人命優先しちまう」
それを聞いた砂化の個性のヒーローは振り向きざまにその首と胴が泣き別れする事となった。
そして、乱戦となるが要救助者を抱えたままのヒーロー達には分が悪い戦闘であった。
あるヒーローは荼毘に焼かれて焼死し、あるヒーローは死柄木弔の崩壊によりチリ1つ残さずに死亡し、あるヒーローはコンプレスにより身体の一部分を圧縮され失血死していき、あるヒーローはマスカレイドがその手に持ったナイフで心臓を1突きされて即死していった。
生き残ったヒーローや警察官もいたがそれらは衝突事故や対戦車地雷で半死半生となって動けずにいるか数分も経てば事切れる者達であった為に無視して目的である『治崎廻』を拘束具ごと高速道路上に蹴り出して死柄木弔は語る。
「……哀れだな、何だっけ? 俺が『次の支配者』になる……だっけ?」
其れを聞きつつ治崎廻は絶望に染まった表情でゆっくりと口を開く。
「殺しに来たのか?」
それに対して死柄木弔は押収されていた証拠品、個性を壊す弾丸とその血清を死にかけている警察官の懐から奪うと治崎廻へと語る。
「いいや? 殺さないさ、だがお前は自分の計画に関して言うべき事があった筈だよな? あの時に……素材の子供が既にヒーローに確保されてしまっていたと……言わなかった理由は分かるよ、弱みは見せたくないし商談が潰れてもお前には後がない……だけど……俺らに対して情報を隠してたってのが気に食わない……これはその礼だ受け取ってくれ」
そう告げて、死柄木弔はその手でゆっくりと治崎廻の腕を掴む。
崩壊が始まり肩に達する前に切除される。
そうしてもう片方の腕も崩壊で奪われる。
両腕を崩壊された治崎廻は精神が崩壊しそうになり……もはや無感情かと見紛う程に光を失った眼で死柄木弔を見ていた。
死柄木弔は、それを見つつゆっくりと語る。
「ま……次があれば頑張れよ? 次があれば……な……あぁそれと、お前の商談なんだが、お前が逮捕されたろ? 別に俺らが助ける義理も人情もない、無かったコトにしてくれよ……Good luck」
そう告げて……増援が来る前にトラックへと戻り逃走していった。
トラックの運転がふらふらとしており揺られながら死柄木弔はコンプレスに問われる。
「で? こっからどうすんの? 遺産も大体集まったし……」
「一旦集合して……各自の装備を整えたら泥花市へと向かう……義爛からの個人的な依頼だそうだ、デトラネットのバカが裏社会のサポート屋や調整屋、ブローカー達を潰す勢いで大量のサポートアイテムやら色々ばら撒いて迷惑してるんだとさ……んで、義爛や情報屋が調べ上げた情報によるとデトラネットの社長が黒幕だとさ、ソイツを潰して欲しいって」
死柄木弔はゆっくりと寝転び……呟く。
「まぁ、義爛には世話になってるからな」
それを聞いて……マスカレイドは各地に散っていた
それを受けた面々は……黒霧のワープゲートで1箇所に集まった。
集まった面々を見て死柄木弔は告げる。
「さて……知ってると思うが今回はウチも世話になっているブローカー、義爛からの個人的な依頼だ……愛知県泥花市にあるデトラネット本社、その正体は10万人を超える異能解放戦線で