【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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鈴仙・優曇華院・イナバのなんて事のない休日

 襲撃から翌日。

 臨時休校となった雄英高校。

 

 鈴仙には休日の日課があった。

 朝からいつもの日課である近接格闘術や犯人を取り押さえる際の体術の訓練をお師匠である八意永琳に道場で教わっていた。

 両者共に道着に着替えており鈴仙のその眼は本気で相手を倒すという意思が読み取れる。

 大外刈りで体勢を崩されて立て直す間もなく喉元に拳が当てられる。

 呼吸が出来ずに悶えるが訓練は終わらない。

 

 師匠の掌底が鈴仙の顎を打ち抜き脳が揺らされる。

 揺れる視界を何とかして耐えつつ師匠に拳打や蹴撃を与えようとするもその全て悉くが紙一重で躱されて逆に背負い投げやエルボーと言った手痛い反撃を貰う。

 鈴仙は個性使用禁止という縛り故に純粋に身体能力と近接格闘術で挑むしかない訳であるが過去一度も勝てた試しがない。

 

 蹴りを繰り出すも蹴りの為に上げた片足をお師匠様に掴まれてそのまま片足がお師匠様の肩に乗せられて使えなくされ接近されて襟を掴まれて体勢を寝技に持ち込まれる鈴仙。

 そのまま裸締めで喉仏や気管を絞めずに綺麗に頚動脈洞だけを圧迫し数秒で絞め落とされる鈴仙。

 

 落とされて数秒で意識が回復して畳に仰向けになりながらお師匠様に投げ渡されたスポーツ飲料が入ったペットボトルをキャッチして起き上がって飲む。

 

「お師匠様……そんなに強いのになーんで現場に出ないんですかぁ……」

 

 鈴仙がお師匠様と慕う八意永琳は近接格闘術のみならず弓による中遠距離攻撃も兼ね備えている、近距離戦闘、中距離戦闘、遠距離戦闘、どの距離でもそつなくこなせるオールマイティである。

 八意永琳自身の個性は『あらゆる薬を作る個性』であり微塵も戦闘には寄与しない。

 ひとえに鍛錬の成果だ。

 

 八意永琳の個性はその名の通り、あらゆる薬剤を調合できる。個性というより、ここまで来るともはや個性なのか怪しい所ではある、もはや技能である。

 ただし、本人曰く調合元の薬品や元材料は必須であると、逆を言えば全くの無から作り出すことは絶対ムリだとか。

 また、それに付随して八意永琳の脳内にはあらゆる薬の知識が詰まっていると本人談である。

 その代わり八意永琳には「あらゆる薬毒は効かない」と発言している。つまり、毒も薬も効かないらしい。

 

「やっぱり現役復帰した方がいいんじゃ……」

 

 畳にぐでぇっと仰向けに寝そべりながらそう呟く鈴仙に八意永琳はため息混じりに語る。

 

「前から言ってるでしょ? 私はもう一線を退いたの……引退はしてないけど実質引退してるみたいなものよ、今私に出来るのは病院や薬局からの依頼で薬を作成したり医師免許を活用してヒーローには出来ない人命の救い方だけよ」

 

 八意永琳はため息混じりにそう呟くと立ち上がって鈴仙へと告げる。

 

「さてと……休憩は終わりよ? 乱打戦を5回、鈴仙だけ片腕を使えない状態を左右交互に入れ替えて近接格闘戦を10回、バーリトゥードで3回模擬戦を行ったら終了よ、そんなに嫌な顔をしない、ほらほら、準備する」

 

 その後……4時間ぶっ通しで組み手と模擬戦を行うとようやく訓練が終わり解放される。

 汗まみれになった道着が肌に纏わりついて若干の気持ち悪さを感じるもそれ以上に近接格闘でボコボコにされてあと5分間は動けそうにない。

 

 最後のバーリトゥードは文字通り『何でもあり』であり八意永琳も鈴仙も本気で戦う。

 当然互いに個性込みで戦闘を行うし八意永琳に至っては平然と弓を番えて撃ってくる。

 当然であるが鈴仙の方も一切手は抜かない、というか手を抜いて勝てる程八意永琳は甘くないし本気でやってもいまだに勝てるビジョンが見える事はない。

 波長操作を行い自身の位置を誤認させたり波長操作で相手にのみ分身体を見せたり、幻聴や幻覚、果ては幻の痛みすら見せたし、何ならレーザー光線すら放った。

 だが、八意永琳は……お師匠様はその悉くを上から叩き潰して捻じ伏せてきた。

 畳に仰向けに寝そべりながら道着にぽっかりと空いた、幾つも矢で空けられた穴を見ながら鈴仙はガクブルとウサミミをペショリと萎ませて、無駄に器用にウサミミのみをガクガクと震わせて呟く。

 

「これ……わざと身体に当たらない様に射ってきたって事だよねぇ……個性使ってまで挑んでたのに、どういう鍛錬したら波長操作してる相手を的確に射ち抜けるのか……というかここまで強くて……本当なんで現場引退してるのよ、お師匠さまは〜」

 

 泣き言とも愚痴とも取れない叫びが鈴仙しか居ない道場内に木霊し消えていく。

 

 10分後、汗まみれの身体を癒す為に風呂場に向かい身体と頭をしっかりと洗った後に湯船に浸かって鼻歌を歌う鈴仙。

 

「〜♪ 〜〜♪」

 

 八意永琳も鈴仙もお風呂には並々ならぬこだわりがある、そもそも家屋が純和風の為にお風呂も当然、檜風呂となっている。

 流石に風呂場周りの設備は現代の電化設備であるが。

 湯船に浸かり身体を伸ばすとじんわりと、適温に調整された湯が身体の芯まで浸透し日課の近接格闘戦で溜まった疲労が消えていくのを感じ気分が高揚する鈴仙。

 

 外の脱衣所に置きっぱなしのスマホから流れるアニソンや好みの曲を波長操作で自身にのみ聴こえる様に調整しつつお風呂を楽しむ事、おおよそ20分。

 これ以上の長風呂は身体に変調をきたす為にそろそろ湯船から上がる鈴仙。

 

 ウサミミとウサギ尻尾の水分をしっかりと取り専用のドライヤーと櫛でその毛並みをじっくり30分かけて整えた後に髪を普通のドライヤーを用いて乾かす。

 鏡に映る自身の胸部を見て、そういえば耳郎さんが更衣室で羨ましげに見てたことをふと、本当にふと思い出して、思い出し笑いをしつつ着替えを行う。

 

 着替えを終えて家を出ると現在時刻は13:45。

 

 前々から目を付けていた服屋へと向かいあーでもない、こーでもないと数時間悩んで何着か試着して4着買うと袋を手にルンルン気分で帰路に着く鈴仙。

 

 買ってきた衣類を丁寧に洋服タンスへと仕舞い込むと八意永琳が作っている夕食の手伝いを行う

 今晩のメニューは白米、チキン南蛮、味噌汁、サラダである。

 お師匠様の作る料理は身内贔屓を抜きにしてもめちゃくちゃ美味しい。

 ランチラッシュにも引けを取らないといえばその凄さがわかるだろうか。

 

 そうして、再度お風呂へと浸かり1日の疲れを癒す鈴仙であった。

 

 そうして23時ちょうどには寝床に着く。

 

 明日からまた雄英高校での学業が始まる。




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