【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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僕らのヴィランアカデミア Mr.コンプレス編

「あらら……皆居なくなってるし」

 

 コンプレスはため息を吐きながら眼前の異能解放戦士達の生命維持に必要不可欠な臓器を肉体ごと圧縮していく。

 当然、突如として腹部や胸部に穴を空けられた解放戦士達の末路は1つ。

 

 消失した臓器の痛みに悶えて血を吐きながら、苦しみながら死んでいく。

 

「全く……俺は荼毘やマスキュラーや皆みたいに直接戦闘には向いてないんだよ、逃げ足と欺く事だけが取り柄だってのに……全く」

 

 そうぼやくMr.コンプレスの背後に迫るは自身の意識を逸らす異能やそれに類似した異能を鍛えに鍛え上げた解放戦士達。

 

 あと僅かでその切先がコンプレスの身体を貫こうとした刹那……その者達の両手が圧縮され持っていた武器は地面に落ちて金属特有の甲高い音を立てて転がる。

 

 手首から先が無くなった事により地面に止めどなく流れ出る血、轟く悲鳴、解放戦士達の思考を埋め尽くすは疑問のみ。

 

「ァァァァァァ‼︎ 何故⁉︎ 何でだ……気づいてすらなかっただろう⁉︎ おぼぇ‼︎」

 

 痛みによる叫びとコンプレスに対する怨嗟と血を吐く呻き声により開催されるは阿鼻叫喚の地獄絵図であった。

 

「……分かりやすいんだよお前ら……エンターテインメントの基本だぜ? ちゃんと相手に魅せないといけないだろ……マジックの基本だよ、相手がこうすれば意識の死角に入れるだとか、相手の意識を逸らすなんて個性無しでやってる俺からしたら……あんた達のは下の下だ……、個性に頼りきりの三流マジシャンにはまだ早かったかな? 何にせよ……Mr.コンプレスの消失マジック、楽しんでいただけたでしょうか? このお代は貴方達のお命で払っていただきます」

 

 トレンチコートを羽織り直して恭しく一礼するコンプレス。

 死にかけの解放戦士達達の心臓を圧縮して確実に殺す。

 少しするとMr.コンプレスの背後に迫るはライオンの個性を持った異能解放幹部・獅子丸雷火。

 

「死ねぇ‼︎」

 

「おやおや、お嬢ちゃん……人に話す時はまず挨拶からって……おおっと」

 

 ライオン特有の瞬発力と筋力、そしてライオンであるが故に極度に低かった放熱能力は人間寄りなので持久力はかなりのモノ。

 それにしても……コンプレスはため息を吐きながら迫り来る爪牙による連撃をゆらりゆらりと躱しつつ語りかける。

 

「お嬢ちゃん……見た所学生でしょ? おじさんは子供を相手にするの苦手なんだよ……」

 

 爪牙による連撃を時にひらりと躱して、時にその手に持った杖で受け流す様にして、時には跳躍しつつタネを披露して回避して……。

 ライオン特有の匂いによる感知でもしてるのかどこに逃げようともしつこく追ってくる。

 解放戦士達も恐らくはMr.コンプレスを仕留める為に厳選された者達。

 感知系統の個性持ちや意識を逸らす個性持ちで固められている。

 惜しむらくは超一流のマジシャンと個性頼りの三流マジシャンとでは鍛え上げた地力に天と地ほどの差がある事。

 異能解放戦士達の攻撃は悉くが避けられるのにコンプレスの手は的確に解放戦士達を捉えて致命傷の圧縮を与えていた。

 

「お嬢ちゃんお嬢ちゃん……話しをっ……ととと、あっぶな‼︎ 何⁉︎ ライオンの見た目でそんな事までできるの⁉︎」

 

 口から火焔を放射してきた為にコンプレスはポケット内に入れていたタネの1つであるコンクリートの防壁で火焔を防ぐ。

 しかし、視界を遮断した為に一瞬だが相手の姿を見失った。

 

 直後に自身の直感が囁いた。

 その直感のままにタネを披露し建築資材の一部を展開する。

 

「がっ⁉︎」

 

 短い呻き声と共に建築資材に激突する相手。

 それを見てMr.コンプレスはやれやれと呟く。

 

「電気刺激で筋肉を刺激したのか……本来発揮できないスピードとパワーを無理矢理に……だけどお嬢ちゃん……ソレ、本来の扱い方じゃあないだろう? 身体が悲鳴をあげてるよ?」

 

 先程の戦闘でのやり取りを思い出しつつそう指摘するMr.コンプレスであるが狂信者となっている少女には届かない。

 届くべくもない。

 

「黙れぇ‼︎ 私は生まれてからずっとずっとリ・デストロに全てを捧げてきたんだ‼︎ そして‼︎ これからもリ・デストロに私の全てを捧げ続ける‼︎ 全てはリ・デストロの為に‼︎ リ・デストロの為ならばこの身がどうなろうと知った事か‼︎」

 

 Mr.コンプレスはソレを聞いて力無くため息を吐く。

 そうして、攻撃を捌きつつ退避行動をとり……時に解放戦士達を殺して目的の場所まで向かう。

 そして、袋小路に追い詰められたMr.コンプレス。

 コンプレスはトレンチコートのポケット内をまさぐってタネの最後の1つを掴んで眼前の異能解放幹部に問いかける。

 

「お嬢ちゃん……おじさんには狂信のソレは分からないな、盲信して、狂信して、その果てに何があるんだい? ……問いかけても無駄か……お嬢ちゃん、マジックは好きかい? Mr.コンプレスのマジック、ご覧あれ‼︎」

 

 そう叫んだコンプレス……対する少女は何を馬鹿な事をと一蹴して眼前のふざけた装いの男をその爪牙の餌食にしてやろうと、煙を撒き散らしたコンプレス……その10mの距離を1秒で潰す。

 そしてその爪で抉るが……その爪は空を切った。Mr.コンプレスと名乗った男の姿はない。

 今まさに眼前に居た男がまさに煙の如く消えた。

 

「ど……どこに消えた⁉︎ ッ⁉︎ ッァィァァァ‼︎」

 

 背後から音もなく忍び寄ったコンプレスに両脚のアキレス腱を圧縮で削ぎ取られ動きが封じられる。

 

「お嬢ちゃん、おじさんはね、子供を殺すのはあんまり好きじゃあないんだ……ま、この辺で落とし所としよう……殺しはしないけど暴れない様に閉じ込めさせてもらう」

 

 そう告げて、お嬢ちゃんを圧縮するMr.コンプレス。

 

 今回の戦闘、Mr.コンプレスとしても得るものは色々あった。

 

 マジックを行う上で大事なのは場の作り方だ。

 ソレが何であれ……相手の無意識に入り込んだり相手の意識を自身に注目させたり、逆に意識を逸らしたりはマジシャンの基本中のきほんであり最重要項目となる。

 それを解放戦士達に対して行っていった。

 

 普段前線に出る性分ではない為にコンプレス自身は『慣れない事はするもんじゃないな』とぼやきつつだが……確実に強くなった。

 

 そうして……コンプレスはトレンチコートを羽織り直して……はぐれた仲間と合流する為に市街地の電柱を足場にして跳躍していった。

 

「さて……トガちゃんとトゥワイスと合流しないと」




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