「……外部顧問の仕事からだいぶズレてるけどまぁいいか」
マスカレイドは解放戦士達の死体の山に腰掛けておりその死体は全てが著しく損壊されていた。
ある死体は爆散しており、ある死体は半身がぐちゃぐちゃになっており、ある死体は弾痕の様な痕と焦げた様な痕が身体中に空いており……。
そして、血に塗れた手を拭いながらマスカレイドはさめざめと、しかしどこか芝居がかったような口調で語る。
「やれやれ……全く……私は悲しいよ、こんな無知蒙昧の者達が本気で僕を殺せると思ってる事が……ねぇ君もそう思わないかい? えっと……あぁ名乗る必要は無いよ? 君には欠片も興味がない、すぐに君は私の記憶から消えてなくなる、僕の記憶に敵として残るのは……きっとそうさ、彼女だけだ……鈴仙・優曇華院・イナバだけさ」
それを聞いた異能解放軍の幹部は激情に駆られその異能にてマスカレイドを殺さんと襲いかかってきたがその悉くを避けられる。
揺蕩う様に避けていると瀕死の解放戦士が死力を振り絞ってマスカレイドの脚を掴んで動きを止める。
死にかけ故にか、はたまた瀕死の解放戦士の異能故にか、マスカレイドの右脚を握りしめるソレは人外の膂力であり数秒、動きが止まる。
「……むず痒いな、全く……」
まるで蚊にでも刺されたかの様な反応を見せつつ左足で解放戦士の頭部を踏み潰す。
ゴキッ……ブチュッ、パァン……解放軍の幹部の眼の前でまるで虫でも潰すかの様に既に事切れた解放戦士達であろうとまだ虫の息であろうと、圧倒的な蹂躙劇を見て、もはや戦意を喪失したものであろうと、躊躇う事なく地面に捩じ伏せてからその脚で1人ずつ丹念に頭部を踏み潰していく。
その途中で激痛に苛まれつつも決してマスカレイドの脚からその手を離さない解放戦士……頭蓋骨が踏み砕かれ、コンクリートに脳膜が流出して、解放戦士の頭部がマスカレイドがかける圧に耐えきれずに限界まで膨らんだ風船が割れるかごとき音を立てて爆ぜる。
そしてようやく力尽きてその手が地面に落ちる。
「あれ? かかってこないのかい? わざわざ羽虫を潰しているのを待っててくれるなんて優しい性格してるなぁ」
そう呟くとマスカレイドはその場に居た最後の解放戦士……中学生になったばかりの少女の頭を踏みつけて死への恐怖で泣きじゃくり失禁している少女を何の躊躇いもなく頭蓋骨を万力の如き力を込めて踏み潰していく。
マスカレイドの足元では死への恐怖からか錯乱しかけておりずっと何かを呟いている。
よくよく耳を傾けて聞くと『まだやりたい事があった、こんな人生、私は選べなかった、母が憎い、父が憎い』ソレ以外にも自身の人生に対する嫉み辛みや普通の女の子として謳歌したかった……異能解放なんてっなどと呟いていたが、マスカレイドがソレを聞いて脚に込める力を緩める理由は全くない。
煽る様にマスカレイドは語る。
「そっか、今世では決して叶わなかった夢だな、来世で叶う事を願ってるよ? Good-by……この世からさよならだ、おやすみ」
頭蓋骨がミシミシと音を立てて、ヒビが入りソレに応じて脚で抑えている女子中学生の身体が一際激しくバタバタと動き痛みの原因であるマスカレイドをどうにかしようと悶えていく、しかし……夢や理想は叶わないからこそ夢や理想であり、奇跡はそうそう簡単には起きないからこそ奇跡と呼称される。
マスカレイドの脚が少女の頭部をブチュリッと踏み潰して脳とその他体液がコンクリート上に撒き散らされ最期の断末魔が短く響き渡りもう微動だにする事がなくなった女子中学生だったモノの残骸がこびりついたコンバットブーツを見てマスカレイドは語る、眼前の異能解放軍の幹部の顔を見ながら。
「さて、あとこの場に残ったのは君だけだ、残念ながら君はここで死ぬ……これは紛れもない確定事項であり、決して揺るがない事実であり、変えることが出来ない現実だ……まぁこの泥花市で他にもいた
ゆらりと、マスカレイドの身体がブレた瞬間に異能解放軍の幹部の片脚が千切れ霧散する。
しかし、異能解放軍の幹部は呻き声の1つもあげずに脚を再生させる。
ソレを見たマスカレイドは眉を顰めて相手の異能を推察する。
「ふむ……再生か? 随分と珍しい」
そう語るマスカレイド。
対して異能解放軍の幹部は憤怒に染まっていた。
「貴様……我らが同胞をよくも……絶対に許さん、あの世で我が同胞に詫びるがいい‼︎」
そう叫びデトラネット社謹製のサポートアイテムを展開してきたがマスカレイドはソレを見て呟く。
「ふむ、芝居がかった仰々しい物言いだ、素直に言ったらどうなのだ? 娘の仇だと」
それを聞いた異能解放軍の幹部の表情は更に憤怒に染まる。
そして苛烈な攻撃がマスカレイドに向けて放たれるがマスカレイドはどこ吹く風とでも言った感じで全部避けていく。
時折、その逆鱗に触れつつタップダンスでも踊るかの様な軽い足取りで今し方娘を眼の前で失った異能解放軍の幹部を嘲笑しつつ、その肉を削いでいく。
削がれた先から再生していくが最初に比べれば明らかに再生の速度が遅い。
無尽蔵に再生するのではなく何らかのエネルギー、例えば脂肪や何かを糧にして再生しているのだと理解したマスカレイドはやり方を変える。
「ふむ、埒があかんなぁ……鈴仙・優曇華院・イナバ程上手くは扱えないんだが……この位か?」
そう呟いてマスカレイドは鈴仙・優曇華院・イナバの波長操作を真似る。
何回も見ているためにやり方は理解している。
レーザー光線を放ち続けて眼前の異能解放軍の幹部の肉を削ぎ続ける。
そして、再生が間に合わない程の苛烈な熱線を浴びせ続けてようやく虫の息となった幹部を見下ろすマスカレイド。
「まぁ、君は不運だったね……じゃあね」
そう呟いてマスカレイドは立ち去ろうとした刹那、幹部の最後の抵抗というべきか、殴打で仮面が外れて素顔が露わになる。
マスカレイドの素顔を、その顔を見た異能解放軍の幹部は震えた声で呟いた。
「な……何故? 何故貴様が……グゴォッ⁉︎」
マスカレイドは地面に落ちた仮面を拾い装着すると人差し指を立ててノンノンッと呟きながら語る。
「ソレを君が知る必要は無い、ま……最初からといえばそれまでなんだが、これで君の運命は確定された……僕の正体を知った君を生かしておく訳にはいかない、じゃあね」
ブチュリッと頭蓋骨を握りつぶして……別の場所へと移動するマスカレイドであった。