【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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僕らのヴィランアカデミア スピナー編

 死柄木弔と行動を共にしていたスピナー……。

 しかし……心求党の花畑による扇動により身体能力と個性を極限まで増幅された解放戦士達が襲いかかる、ここで死柄木弔を足止めさせて疲労させる作戦……ソレをさせない為にスピナーは先に行かせた、死柄木弔を。

 そして、所詮はヤモリという没個性……取るに足らない異形型、そう思っている解放戦士達。

 

 しかし、その予想は……解放戦士達にとっては最悪の形で裏切られる。

 

 ヤモリとはどこにでも引っ付ける特殊な構造を有した手を持っている。

 そして、一度でも引っ付いたら……簡単には剥がれない。

 解放戦士の1人の顔面を掴んで盾としつつコンクリート壁に勢いよく擦り付ける。

 それだけで掴まれた解放戦士の顔面は紅葉おろしとなり脳髄や皮膚などが地面に散らばる。

 そして、解放戦士を掴んだまま腰に差した刀剣を用いて喉を刺して貫くと解放戦士を掴んでいたその手を離して呟く。

 

「ヤモリヤモリって……没個性だ雑魚だなんだってのは言われ慣れてるしこの見た目だ、散々差別はされたよ……だがな、他の動物や昆虫、生物型の個性同様、その生物の特性が人体に乗っかる……ヤモリの特性を得てるって忘れてるだろ?」

 

 その手はモノに引っ付く事が可能。

 そして、その手は簡単には引き剥がす事が出来ない、口や鼻を覆う様に掴んでしまえば呼吸が妨げられ、首を、特に頸動脈洞か気道を掴んで握りしめるだけで相手は満足に動く事が出来なくなるが1人の息の根を止めたスピナーは理解する。

 

「バフでも掛けてんのか? 本来持つ力以上の力が出てやがるぞ? 成程……政治家、テメェの個性か……まだるっこしい真似しやがって……ただよぉバフ掛けのサポート野郎が最前線に出しゃばるなって教わんなかったのか⁉︎」

 

 しかし、花畑による異能は『扇動』彼の声に宿る特殊な電磁波は彼に心を許す者を高揚させて肉体と精神をブーストさせる、そして声・すなわち空気の振動が大きければ大きいほど効果が上がるがその分体力の消費も比例していく。

 

 花畑はデトラネット社謹製のサポートアイテム・音響増幅装置『セブンスラウド』を装着して叫ぶ。

 

「皆さん‼︎ 我々を脅かす敵に天誅を‼︎」

 

 スピナーは雪崩のように突っ込んでくる解放戦士達の急所をその両手に持ったナイフとカランビットナイフで刺し貫きながら、義爛から紹介された元軍属の人間から叩き込まれた実戦形式の訓練を思い出していた。

 雄英の襲撃後……3ヶ月間のブートキャンプに強制的に連れて行かれて何も強みがないとナイフ術と基礎戦闘訓練漬けの毎日。

 思い返すだけでも地獄の日々。

 何度か心が折れそうになったが……折れそうになるたびに触発されたステインの最後の慟哭の動画を拠り所にして耐え切った。

 ちなみに……訓練教官を担当した元軍人曰く、そもそも耐え切る事を想定していない訓練であったらしく耐え切れたのは凄いなと言われ……マジで殺してやろうかと思った。

 

 そして、スピナーは思い返す、先ほど花畑より告げられた言葉を。

 

『君が何かを為すことが出来る人間にはとても見えません』

 

 それを思い返してスピナーはせせら笑う。

 ブーツに仕込んだナイフを展開して倒れ込んだ解放戦士達の首を踏みつけ殺しながら叫ぶ。

 

「んなもん‼︎ 俺が1番よう知っとるわ‼︎ 漠然とした熱に当てられて‼︎ 浮かされただけのただただ乗っかったもんだ‼︎ そりゃあそうさ‼︎ ステインのあの慟哭が無けりゃ俺は一生引き篭もりのダメ人間だったろうよ‼︎ トガみたいに好きなモンもねぇやりたい事もねぇ‼︎ それでも‼︎ ステインのあの動画を見て確かに俺の心は燃えたんだ‼︎ そして……(ヴィラン)連合に入って‼︎ コイツらの見据える世界を見てみたいと思ったんだよ‼︎ あぁ悪いか? 人に乗っかってなきゃ何も出来ない小市民‼︎ それが俺だよ⁉︎ あ⁉︎ 悪くねぇよなぁ‼︎ 解放軍(テメェら)も同じだろ⁉︎ 俺は(ヴィラン)連合の‼︎ お前ら解放軍はリ・デストロの夢の為に乗っかってるだけだろ⁉︎ なぁ……政治家さんよ‼︎」

 

 スピナーが解放戦士達の頸動脈を切り裂きつつそう叫ぶと選挙カーに乗った花畑の声音が静かに響いた。

 

「……まさかとは思いますが……一介のチンピラ集団に過ぎない(ヴィラン)連合の君達と高尚な理想を実現しようとしている私達、異能解放軍を……まさかとは思いますが、信じられないのですが同列に語ってます?」

 

 顔はサポートアイテムで隠れており表情こそ読めないが明らかに怒りを含んだ声音。

 それを聞いてスピナーは更に煽り続ける。

 

「はっ⁉︎ 一緒だよ(ヴィラン)連合も異能解放軍も‼︎ 要は今の社会が気に入らないから‼︎ 今の構造がクソだからって壊そうってんだろ⁉︎ てかよぉ‼︎ さっきから思ってたんだが‼︎ バフ掛けのサポート役が最前線に立つなよな‼︎ RPGの基本だぜ⁉︎ ロールも知らん奴は直ぐにブロックされちまう‼︎」

 

 そう叫ぶと花畑はサポートアイテムを着けたまま呟く。

 

「一緒にしないでいただきたいモノです……これだから教養のない若者は……若者言葉でしょうか? 意味はともかく……あの数の同胞達を殆ど殺し尽くすとは……意見の相違が無ければ君も私達の元に引き入れようと思いましたが……ダメそうですね」

 

 それを聞いたスピナーは解放戦士達の首を靴底に仕込んだナイフを展開したブーツで踏みつけて呟く。

 

「異能の解放なんかに興味ねぇからな‼︎ 俺が見据えてる未来ってのは(ヴィラン)連合の未来だ‼︎」

 

 スピナーがそう叫んで再度選挙カーに乗った花畑へと接近しようとした刹那……集合場所と目していたランドマークであるデトラネット本社が跡形もなく崩れ落ちる。

 チリとなっていく……それをみながらスピナーは花畑へと叫ぶ。

 

「はっ、辿り着いた様だぜ? ウチのボスがよ……どんな気持ちだ? 11万人っつう数の暴力で俺らをボコボコにしてたのにも関わらず結局……リ・デストロとやらの下に行かせて、その挙句にランドマークだったデトラネットの本社ビルが粉々に壊された気分は⁉︎」

 

 煽りに煽るが……リ・デストロの居る本拠地がやられたとあってはスピナーに構ってなどいられないのか選挙カーを爆走させてリ・デストロの下へと走り去っていった。

 

 そして残されるはスピナーと解放戦士達。

 スピナーは解放戦士達を前にしてナイフの血を払い落としながら告げる。

 

「さて……残りはテメェらだけだな?」

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