選手宣誓が終わった直後、ミッドナイト先生より第一種目が発表される。
『障害物競争』と発表されスタート位置に着く、スタートランプが点灯して開始が為される。
ただでさえ狭いスタートゲートでギッチギチに詰め込まれており、すし詰め状態である。
だがしかし、それはあくまでも普通に走る場合だ。
鈴仙は抜け出せなくなる前に空中へと跳躍すると波長操作を行って見えない壁を自身の足元へと展開する。
それは他者から見れば自身らの頭上に、鈴仙から見れば集団を見下ろす様にして展開される鈴仙にしか見る事が叶わない透明な壁。
跳躍と壁の展開、波長操作にて自身の脳と筋肉、神経系統のリミッターを解放していく。
元々『走る』速度は飯田天哉の個性『エンジン』に決して負けず劣らずの速度を持つ『ウサギ』の脚力を応用したパルクールもどきを繰り返していき瞬く間に鈴仙はトップを独走していく。
……独走していくのだが、毎日放課後にトレーニングを行っていたクラスメイト達は元より、宣戦布告の時と比較して段違いに基礎身体能力を向上させた心操人使もトップを追い越そうと必死に追いかけてくる。
「クラスメイト達は元より、心操さんも意外と食い下がりますね……だけれど、ッ!? 危なっ‼︎」
鈴仙は自身の足元に透明な壁を展開し続けてパルクールで駆けながら後ろから追いかけて来る者達の波長を感じ取り感嘆の言葉を漏らすも上空からマシンガンの駆動音が波長として見えた為に咄嗟に自身の周囲360°に透明な壁を展開した刹那、M134ミニガンを4門装備した数十機のドローンから間断なく7.62x51mmゴム弾が斉射される。
それと時を同じくして実況のプレゼントマイクが語る。
『空中を自在に飛んだり駆けたりする奴対策で撃墜用ドローンが配置されてるからな‼︎ それを踏まえて空中を走り抜けろ〜‼︎』
鈴仙は自身の頭上に展開している透明な壁の形を6角形の障壁に変化させつつ自身の周囲に展開し続けて斉射されている大量の弾丸を受け流していく。
そうして、鈴仙は波長を操作して全てのドローンに態と自身を狙わせて斉射されている弾丸を受け流しつつ追いかけてきているクラスメイト達の方へと全弾を跳弾させて対応を余儀無くさせて動きの精彩さを削ぎ落とす。
そうして、変わらずトップを独走する鈴仙。
そうして、第一関門へと辿り着く、ロボ・インフェルノ……入試試験の時に接敵した0P
だが、鈴仙から見れば一切の関門にはならない。
ロボ・インフェルノがどうやって外敵を認識しているのだというのだろう。
人間ならば脳による思考を介して外敵を認識する。
だが、ロボットには脳はない、無いと言うのは正確では無い。
もっと正確に言うならば電子頭脳が搭載されている。
しかしながら、その電子頭脳はどうやって動いているのだというのだ、答えは……。
「電気信号も波長なんです、波長操作で私を同類だと誤認識させればこんなの無いも同然の関門ですね、さてと……」
鈴仙はトップスピードを維持して空中を走り抜けつつ指をパチンッと鳴らしてロボ・インフェルノのセンサー系統や波長操作で弄れる箇所に強化と補正を施してロボ・インフェルノという最初から用意されていた妨害の質を更に向上させる。
しかし、轟焦凍や爆豪勝己などは各々の個性を活かして立ち回り鈴仙を追い抜こうとするが鈴仙が展開してから妨害として後方に展開しっぱなしの見えない壁を避けるか破壊しつつ走り抜けなければならないので相応に移動速度は落ちる。
透明で見えない壁なので手探りで感触を頼りにするか壁の硬度を上回る一撃を加えて破砕するしか方法はない。
その分、鈴仙はアドバンテージを得ておりひと足先に第二関門である『ザ・フォール』へと辿り着く。
下が見えない程の高さがある人工的な崖、崖……と言うのか? これは? そう思案しつつ変わらずに空中に展開し透明な道をパルクールもどきで駆けながら鈴仙のウサミミはぴょこぴょこと目まぐるしく動いている。
くるくると左右にだったり、ヘニョォォォォッという擬音が聞こえるんじゃないかって位ギュウッと萎びたり、そして難なく第2関門を突破した鈴仙のウサミミが鈴仙の口以上に、慌ただしく上下左右に動きつつヘニョォっと萎びたり緊張からかピンッと張り詰めたりしつつ鈴仙のウサミミは鈴仙の口や表情以上に雄弁に物語る。
後ろからの視線が怖いよォォォォ、と。
無意識で動く鈴仙のウサミミは時折り口よりもモノを言う。
特にもう殆ど差がない。
緑谷出久、轟焦凍、爆豪勝己、八百万百、心操人使、各々が各々の個性を活かしてようやく鈴仙のすぐ後ろまで迫っていた。
第3の関門は大量に埋設された地雷。
鈴仙は自身の眼を通して埋設された地雷の位置を的確に割り出していた。
そして、鈴仙は無意識のうちにウサミミを後ろの方へと極限まで絞りつつわざと埋設された地雷のすぐ近くの地面に着地して起爆させる。
起爆の刹那、自身の前方以外を囲む様にして透明な壁を形成して爆風を余す事なく利用して弾丸の如き勢いを得て加速する。
ジェットコースターの様に勢いづいた鈴仙は透明な壁を形成しつつ移動ルートの微調整を行い埋設された地雷を更に起爆させる様にルート調整を行って更なる起爆と爆風による更なる加速を得る。
そうして……爆風により圧倒的な、凄まじい程の加速力を得た鈴仙は無事に一位で障害物競争を通過して、それを皮切りに続々と障害物競争の順位が確定する。
1位、鈴仙。
2位、轟焦凍。
3位、爆豪勝己。
4位、緑谷出久。
5位、心操人使。
そこからズラァっと結果が発表されて42位までが予選通過と扱われるとミッドナイト先生より語られる。
そして、ミッドナイト先生がマイクを持って語る。
「そして、次からがいよいよ本戦‼︎ 取材陣も更に白熱していくから気張りなさい‼︎ さて、次なる種目の発表よ‼︎」
そうして第2種目が発表される。
次なる種目は騎馬戦であった。
次なる種目は騎馬戦かぁ、とほんわか考えている鈴仙。
騎馬戦って……頭に巻いたハチマキを奪われない様に立ち回りつつ相手のハチマキを奪う競技だよなぁ、と。
そう思案した瞬間、上位通過41名全員が一斉に鈴仙を見る。
鈴仙はドヤァっという表情を浮かべつつにっこりと笑顔を作って呟く。
これはもしかして……もしかしなくても……確実に勝ちの目が見えたって事? と。
サムズアップしながら、鈴仙はそう呟いた。