文化祭に向けて
寮内待機となった日、正午過ぎにエンデヴァーが雄英を訪れて来た。
そうして、会議室にて鈴仙との話しを行う。
「今から語るのは……記憶の読み取りで得た轟燈矢さんの、今に至る全てです」
轟燈矢は火災事故で瀕死になっていたところをオール・フォー・ワンに拾われ、死柄木弔に何かあった時の
オール・フォー・ワンからの誘いを受けるも、その誘いを跳ね除けて療養先である孤児院に放火して焼き払い逃走する。
轟家に帰った際、三年前と変わらず焦凍に執着する父親の光景を目の当たりにして以来、自身の“個性”を強くするために独学で特訓を続け、今に至る。
荼毘を治療したDr.からは「身体が動き始めた以上、身体は一月も持たない」と見ており、逃走した彼を追うことなく放置していた。
しかし荼毘は「父親に……エンデヴァーに自分を見てほしい」という愛憎と怨嗟が入り交じった執念でその死に征く身体を踏み留まらせており、約十年ぶりの再会で生きていたことに驚愕したDr.は、そんな荼毘のことを「只管に死へと向かう為の熱、魔王すら見放した偏執狂の死炎」と評した。
それが荼毘もとい轟燈矢だと語る鈴仙。
鈴仙がそれらを語り終わると……轟炎司は無言で肩を震わせており深い絶望と後悔の波長が確認できた。
「やはり……真実だったのだな……電話口で聞いた時はどれだけ嘘であって欲しいと願ったものか……情報提供感謝する、鈴仙……それとその眼と腕……すまない、燈矢が一因にある以上……俺にも責任がある」
鈴仙に深く頭を下げて……そう語ったエンデヴァー。
しかし、鈴仙は戸惑いつつもエンデヴァーに対して告げる。
「エンデヴァーさん……私の受けたこの傷は私が弱かったからに他なりません……貴方が気に病む必要はこれっぽっちもないのです……お気になさらないで下さい」
そう語るも波長は変わらない。
エンデヴァーは絶望と後悔の波長を濃く漂わせたまま……雄英を後にした。
そうして、全学年の寮内待機から一日後。
普段と変わらずに通常通りに授業が行われており粛々と執り行われる。
そして、ホームルームで相澤先生より告げられる。
「文化祭があります」
その言葉に沸き立つクラス。
しかしながら
しかしながら……当の鈴仙は全然気にした様子が無く、目を輝かせておりなくむしろ誰よりもノリノリであった。
そうして、他科が主役ではあるがクラスで1つは出し物があるらしくそれらを決める事になった。
お勉強会
ヒーロークイズ
手打ち蕎麦屋
僕のキラメキショー
カエルの歌合唱
クレープ屋
コント
郷土史研究会
触れ合い動物園
たこ焼き屋
アジアンカフェ
演武発表会
メイド喫茶
腕相撲大会
ビックリハウス
お餅屋さん
暗黒学徒の宴
おっパブ
色々な案が出るものの中には峰田実が発案のおっパブみたいな実現不可能な物やよく分からない物、不適切な物が多数含まれておりそれらは八百万百が消去していった。
そして……内容が纏まらずに終わる。
相澤先生からは明日までに決まらなかったら強制公開座学との事でクラス全員が、絶対に決めようと心に誓った瞬間であった。
寮へと帰ると各自入浴を済ませた後に話し合いとなる、本来ならば鈴仙はインターン組の為に放課後には補習があるものの鈴仙は成績優秀者の為に補習を免除されている。
爆豪勝己は早々に寝たらしい。
無地の浴衣を着込んでいる鈴仙もソファにちょこんと座り込みながら話し合いに参加していた。
話し合いとなるのだが……鈴仙の怪我の度合いを鑑みると一気に制約がかかる。
ご飯系統はそもそもランチラッシュを超えられるものを提供できないという事で却下。
動物も衛生上厳しそうなので却下。
コントや一発芸、お笑いなども素人がやる物ほどつまらない物はないという事で却下。
その後、紆余曲折の後でダンス……という発案が焦凍から出てそれを基盤にして色々と決めていく。
しかしながら鈴仙が隻眼隻腕である事を鑑みると……ダンス部隊にせよバンド部隊にせよ相当厳しい。
というよりも隻眼隻腕の時点で負傷前に比べて明らかにADL*1が低下してきている。
耳郎さんは上鳴や鈴仙、葉隠さんの後押しもあってヤル気……の波長が見えるもその直後に鈴仙を見て不安の波長が見えた。
それを踏まえて鈴仙は笑顔でサムズアップしながら耳郎響香へと語る。
「良いじゃないですか、耳郎さんがメインボーカルで歌って、ダンス担当の皆さんで踊るなんて……私はダンスは少し厳しそうですがバンドの音響補助や演出の補助ならできます、私の個性なら波長操作を用いれば凡ゆる音や映像の再現が可能です……私達が見てるのは光を感じ脳と神経がそれを映像として処理しているに過ぎませんから、こう……ちょいちょいっと波長を弄れば色々と観客に見せられますよ? 音も同様です、ギターの音響やドラムの音響も再現出来ますし凡ゆる楽器の演奏の補助も音の再現も可能です、歌声も音割れせずに響かせる事が可能ですし」
サムズアップしながら笑顔でそう語る鈴仙。
そうして、
そう語り……少しだけ風に当たってきますと告げて鈴仙は寮の外へと出て行った。
風に当たりつつ伸びをしていると普通科の人達が見えた。
鈴仙はヒーロー科、普通科、経営科、サポート科、男女問わずそのコミュ力で輪に入り込む為に雄英の1年生に鈴仙を知らない人間は居ない。
今見えた普通科の男女も気さくに話せる仲であり相手も鈴仙を見て笑顔で手を振り返してきた。
「お久しぶりですね……私のせいで窮屈な思いをさせてごめんなさい……良ければ文化祭の日、A組でライブをやるので是非見に来て下さい……と言っても振り回している張本人が何言ってるんだと思っているかもですが……」
そう語るも普通科の生徒達は笑顔で言葉を返す。
「窮屈なんてそんな事ないって、鈴仙が酷い目にあって俺らのクラスの皆も鈴仙を凄い心配してたんだぞ……それで……ついこの前、眼と腕を失ったって聞いて……あぁ当日、クラスの奴ら誘って観に行くよ、楽しみにしてる」
本作では原典にあった他科との不和は鈴仙がいる事で解消されています。
心操人使がヒーロー科に入る前に続けていた鍛錬経由で普通科に度々お邪魔していた鈴仙は持ち前のコミュ力ですぐに打ち解けた為に原典に見られたヒーロー科に対しての不満や不平、悪感情は他科には無いです。
むしろ鈴仙が腕と眼を喪失した際には
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