【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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文化祭

「壊理ちゃん、壊理ちゃん、どこいこうか〜」

 

 A組の出し物は大盛況で終わって自由時間の現在、鈴仙は和装に着替えて一佳と共に壊理ちゃんを連れて色々と見回っていた。

 相変わらず鈴仙の中での優先順位は壊理ちゃん(いもうと)が一位独走状態である。

 かぁいいねぇと頬擦りしながらウキウキとしている鈴仙、壊理ちゃんの方もウサギ尻尾やウサミミを堪能しており幸せそうだ。

 自分の事は全て後回しにして一佳と壊理ちゃんの行きたい場所を優先していた。

 

 色々と周る3人、そんな中で壊理ちゃんが次に選んだ場所は……お化け屋敷であった。

 

 刹那……鈴仙の表情がピシリッと音を立てて完全に凍る、凍り付く。

 それはもう氷像の様にカチンコチンに凍り付く。

 

 林間合宿の際にも似た様な事があったが……鈴仙は怖い物が大嫌いである、それはもう世界の何よりも嫌いである……子供向け、幼児向けのイベントですら泣き叫ぶ程……。

 そう言えば……A組B組で行われる映画鑑賞の際に柳レイ子が特撰したホラー映画が上映される時は毎回欠席しているんだっけ。

 そんな事を拳藤一佳は思い出していた。

 

 鈴仙は壊理ちゃんに見せる表情は一切変わらないがそのウサミミは苦悩しつつ苦渋の決断を降すかの様にプルプルと小刻みに震えていた。

 数秒後、鈴仙はサムズアップして見惚れる様な笑顔を浮かべながら一佳と共に壊理ちゃんの手を取り向かう。

 

 一佳は苦笑いしながら壊理ちゃんに聴こえないように配慮しつつ鈴仙に語りかけて来た。

 

「なぁ鈴仙……ウサミミと尻尾……これでもかっていうほどに毛が逆立っているぞ? お化け屋敷が怖いなら私は辞めるって素直に言えばいいのに……」

 

「壊理ちゃんに一緒に回るって宣言した手前……断るわけにはいかないでしょう? 妹の頼みを聞いてこその姉です……そ……それに文化祭のお化け屋敷なんですから、てててて、程度がしれてましゅ」

 

「……さらりと壊理ちゃんの事を妹って言い切って自分も姉になったよ……」

 

 鈴仙の発言に苦笑いしつつそう溢す一佳。

 恐怖に震えつつそう言葉を返す鈴仙だがウサミミもウサギ尻尾も恐怖からか毛が逆立っており一佳に返した言葉も震えていた、何より舌が回っていないのかいつもはスラスラと言葉が出てくるのに今はガッチガチに固まっていたし、噛みまくっていた。

 

 鈴仙のウサミミは『怖いの嫌だぁ』と嘆いている。

 そして……鈴仙、一佳、壊理ちゃんの3人はお化け屋敷の入り口にいた。

 

 10分後、出口から出て来た鈴仙達。

 一佳は呆れた顔をしながら恐怖で気絶しながら歩いている鈴仙を見る。

 

「……まさか最後の最後であんな仕掛けが……それにしても鈴仙、まじで気絶するなんて思ってなかったよ……気絶しながら歩いているって……波長操作は便利なもんだな、ほれっ起きろ」

 

 最後の最後に仕掛けがあり、それを見た鈴仙は気絶して動かない。

 鈴仙の頬を軽くペチペチと一佳が叩くと鈴仙は意識を取り戻して一佳と壊理ちゃんと共に練り歩く。

 

「……ハッ‼︎ ……まさか気絶してました? 私……」

 

 そう気まずそうに問いかける鈴仙、その言葉に一佳も壊理ちゃんも首を縦に振る。

 

「綺麗な程に……最後の仕掛け見た瞬間に気を失ってたよ、鈴仙」

 

 やや呆れた様な眼で親友を見る一佳。

 そんな親友は膝から崩れ落ちて悲しげに呟いていた。

 

「最後の最後にあんな……くっ……この私の眼を持ってしても見抜けなかった」

 

 がっくしと肩を落とす鈴仙だが一佳より突っ込まれる。

 

「この私の眼を以てしても……って、なんかの漫画のセリフにあったパロディネタか?」

 

 そうして……全ての出し物を巡り歩いて……一佳と壊理ちゃんからのサプライズで3人お揃いのブレスレットをプレゼントされた鈴仙。

 

 午後5時。

 ミスコンの結果発表も終えて文化祭も終わりとなった。

 

 最後、壊理ちゃんと別れる前に鈴仙が保冷箱からあるものを取り出して壊理ちゃんへと渡す。

 

「サプラーイズ、はい壊理ちゃん」

 

 鈴仙が箱から取り出して渡したのはリンゴ飴であった。

 出し物を全部チェックしてもリンゴ飴は見当たらなかった為に緑谷に頼んでロープを買う時に一緒に林檎やら諸々を買って来てもらった。

 食紅だけはなかったがA組にはお菓子作りのプロがいる為に恐らく食紅もあるだろうと当たりをつけてシュガーマンこと砂藤力道に頼み使わせて貰った。

 

 鈴仙お手製のリンゴ飴を壊理ちゃんに手渡して……お別れとなる。

 壊理ちゃんは教師寮へ戻り鈴仙はA組の寮へ、一佳はB組の寮へと戻って行った。

 

 そうして、文化祭の余韻に浸る鈴仙。

 お風呂に浸かりつついつもの様に髪を結えて髪が湯船に入る事がない様にするとゆったりと安楽な姿勢を取る。

 

「ふわぁぁぁ……あー、癒される」

 

 20分ほど浸かって……髪とウサミミ、ウサギ尻尾を丁寧にタオルで拭いて水気を取ると櫛を通して毛並みを整える。

 そして、浴衣を着用する鈴仙

 隻眼隻腕になってからというもの和服を着る事が多くなった……そう思い返す鈴仙。

 

 洋服よりも着用しやすいし何よりも腕の欠損を洋服よりかは幾分隠せる。

 

 浴衣を着用して帯を締める……片腕なので難しいが波長操作を応用したサイコキネシスを使えば比較的簡単だ。

 流石に元々あった腕の様にとは行かないまでも今ではもう慣れたものである程度は器用に動かせるがやはり元々あった腕には遠く及ばない。

 

「義手……と言うよりもこの腕の代わりとなると義腕というべきか? どちらにせよ代わりの腕が欲しい所です、メリッサさんや発目さんに依頼して作ってもらうか……眼は義眼でどうにかなるとしてと……」

 

 自室に戻りスマホで撮った写真を一佳に共有する鈴仙。

 写真を見返しながら口角を上げて笑みを浮かべる。

 

 にへらっと笑みを浮かべているとコンコンッとドアがノックされる。

 鈴仙はゆっくりと立ち上がるとA組のメンバーが。

 

 なんでも……打ち上げとしてささやかなお祝い、それに集合写真を取ろうとの事で中庭に集まって写真を撮る事になった。

 

 端っこの方に行こうとすると芦戸三奈や耳郎響香から鈴仙は此処‼︎ と指定されており中央に位置する。

 そうして……鈴仙を中央にA組メンバーが全員でピースをしながら写真を撮影した。

 

 

 撮影された写真をスマホに共有してもらい大切に保存しつつ鈴仙は綺麗な夜空……満天の星を見上げ呟いていた。

 

「どうか……この時間がいつまでも続きますように」




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