を少し改稿しました。
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「……脳無と戦うのは2度目ですが……あの時とは何もかもが違いますね」
仮免があり個性の技術も扱いも段違いに向上した。
しかし、隻腕隻眼となっている。
だが……仮に鈴仙が隻腕隻眼であろうと無かろうと眼前の脳無だけは絶対に、何があっても確実に仕留めなければならない。
以前、お師匠様より言われた事がある。
脳無の処遇についてだ。
医師として、また研究者として、薬学者としても、多大なる功績を積み上げてきた八意永琳。
医術の神とも、月の賢者とも称される八意永琳が脳無に行った検査の結果……脳無はもはや人としての定義に当て嵌まる事がなく死体の集合体、死体を繋ぎ合わせた意思なき操り人形という結論に至った。
故に、鈴仙は思う。
ここで眼前の脳無に逃走を許せば何十万人に被害が及ぶか分からない、倫理観や善悪の軸が無い者が、悪意に満ちたモノが鈴仙の個性を扱うとはそういう事だ。
たった1人でどこに居ようとも相手の全てをすっぱ抜いたり、完全犯罪すら可能であろう。
鈴仙の個性は……悪意ある者がその悪意のままに使用すれば……対象の居場所が例え地球の裏側だろうと殺害出来る。
全神経を注ぎ込んで脳無を討滅する。
鈴仙は手に持ったルナティックガンを構えて
鈴仙はアンプの役割を果たしているルナティックガンを介して展開される自身の弾幕を張りつつ脳無を釘付けにする。
脳無も鈴仙の個性を用いて直線的なレーザーによる射撃、着弾地点を吹き飛ばす炸裂弾のようなレーザーの弾種、周辺に被害を拡大させる様に波打つようなリップルレーザーによる複数射撃、極大放射レーザーによる大型弾など様々な波長による弾幕を用いて応射してくるがその全てを打ち消すと鈴仙は思案する。
「トップヒーローが手負いになるまで気を伺ってたと……煩わしいですね」
さらに鈴仙はルナティックガンの
ルナティックガンは本来ならば戦闘においても弾幕展開の媒体や波長操作の増幅器になるなど活躍する場面は非常に多い。
だが……今の脳無にはそれらはあまり機能しない。
しかもエンデヴァーが僅かの物的損害と人的被害0に留めた都合上……ここで鈴仙が人的被害を出す事は許されない。
エンデヴァーとホークスの頑張りが全て水泡に帰す。
脳無の殴打を波長操作で作った壁で防ぎながら鈴仙は覚悟を決めた。
やるしかない……動ける者は現状鈴仙以外には居ない。
正確に言うならば……自分以外にはあの脳無と渡り合える者は誰1人としていないのだ。
鈴仙は掲げたルナティックガンを勢い良く振り抜いて銃身を展開してハンドガンサイズからベネリM4ショットガンのサイズに展開するとルナティックガンを構えて呟く。
「ルナティックガン-ショットガンモード-」
そう呟いて、鈴仙は聖書の一節を口にして集中を高める。
「私が殺す、私が生かす、私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が目の届かぬ者は一人もいない。打ち砕かれよ。敗れたもの、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる。装うことなかれ。許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を。休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。永遠の命は、死の中でこそ、与えられる。────許しはここに。受肉した私が誓う『────“
唱え終わった瞬間、深く……深く息を吸い込んだ鈴仙は脳無との距離およそ18mを一歩で潰して脳無の懐へと潜り込むと無い腕を脳無にピタリと押し付けるように構えて呟く。
「
脳無の鳩尾に初撃、2撃、3撃と立て続けに打ち込んで腕や脚を破裂させるが即座に再生が入る。
……だが瞬き程度の一瞬、脳無は動きを止める。
ショック無効化の個性があるとしても関係ない。
脳無の体内の水分や血液を波長操作により沸騰させて内部から破裂させているこの技はショック無効化では防ぐ事は能わない。
このままでは危ういと察してか脳無は肉体を変容させ数多の手や脚を用いて100m範囲内に衝撃波を放ち徐々に被害が出るよう攻撃の目的を変えていた。
鈴仙の波長操作には劣ると判断しての行動だろう……確実に被害が出るような攻撃に切り替えていたが衝撃波も波長操作の範囲内故に打ち消され地面を叩く攻撃は鈴仙の作った壁に防がれる。
「『
そう呟きルナティックガンをショットガンモードからスナイパーライフルモードへと切り替える鈴仙。
そして……脳無は……鈴仙を視認した刹那、自身の首に死神の鎌が添えられるのを感じ取り恐怖という無くなった筈の感情を色濃く思い出した。
そして……衝動的に、反射的に、恐怖の感情の大元である鈴仙より距離を取る為に肉体を変容させて翼膜を形造りそれを羽ばたかせて一瞬で3万3,000フィートの遥か上空へと飛ぶ。
それを視認した鈴仙はゆっくりと左腕に持ったルナティックガン・スナイパーモードを構えつつ高度3万3000フィートへと飛翔した脳無を狙い撃つ様に構えて呟く。
「
ルナティックガンから放たれたソレは……脳無と鈴仙にしか見えない不可視の弾丸は……脳無に直撃するも目立った傷は無い。
ルナティックガンより放たれた弾丸を喰らうも無傷に済んだ脳無は……恐怖という感情を振り払いながら鈴仙を殺そうと……高度3万3000フィートから地上に戻ろうとその翼膜を動かした瞬間……全ての機能が強制停止するのを感じ抗おうとしたが……それを行う思考すらも永久に停止するという事態に追い込まれて地上に墜落していった。
そして、地上に落下してクレーターを生み出す瞬間に……衝撃諸共鈴仙が波長操作で打ち消して被害を0にする。
その脳無は2度と動く事は無かった。
それを波長を通して確認した鈴仙は頭上を廻るTV局の報道ヘリを感じ取ると八意永琳が過去にやっていたスタンディングをそのまま行い勝利を刻みつけた。