絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
気が付くと、最初に降り立った光の海にいた。体を起こせば倒れ伏すエメラナの姿も見える。
でも、兄貴が───ゼロがいない!
「ゼロぉ!兄貴ぃ!!」
《落ち着くんだ、ナオ》
振り向くと、今ちょうど着陸する所だったジャンバードがいた。そのまま周りを見ると鏡の星、ここが無事だって事は防衛戦には勝ったんだよね?
でも、でもじゃあなんであの時地響きが起こって、ゼロが!
『……すまない。防衛戦は失敗した』
「えっ、じゃあここって天国!?」
『違うみたいだぜナオ。俺達が情け無ぇ所為でゲートはぶっ壊されちまったが、どうやらそれだけでやられちまう程この星は
ミラーナイトと、そして海にうつ伏せで突っ伏すグレンが質問に答えてくれる。それでも何が何だか分からないまま見上げた僕に、今度声を掛けたのは異次元の民だった。
《ゼロはそれに巻き込まれたようだ》
「僕達の所為で……!」
崩れる神殿の中、落ちてくる瓦礫から庇ってくれたゼロ。でもその時にゼロアイを落としてしまって、それを追って奥底に……って、そもそもいつの間に僕達は地上に出てんの?
「じゃあゼロだって!」
『ナオ、すまない……先ほど言った空間の歪みに飲み込まれ、ゼロの身体は三次元世界へ弾き出されてしまったようなんだ』
「そんな……!」
三次元世界って、さっきまで鏡の星があった場所なんかベリアル軍がいっぱいで。じゃあゼロはもう!
《落ち着けナオ!──今出来る事をする。それしか無いだろう》
「ジャンバード……」
《お前は強い男だ。我々がバラージの盾まで辿り着けたのはナオ、君の信じる心があってこそなんだぞ》
「……僕、何の役にも立ってないよ」
《それは自分で気付いていないだけに過ぎない──ナオ、君が為すべき事は何だ?地下神殿で君は何を掴んだ?》
僕に出来る事。そんな物があるんだろうか、巨人達の戦場で。
バラージの盾は塵になっちゃったんだ。僕達の目の前で、希望は無くなっちゃったんだ。
その時聞こえた“声”だって意味が分からない。“僕達一人一人が盾の欠片”って、何だよそれ?父さんが、僕達が持ってきたのは欠片じゃなかったっていうのかよ?
僕がやってきた事なんて、皆に助けられてばかりだ。父さんに、兄貴に、エメラナにジャンバードに宇宙海賊に……皆の力があって、初めて……
……皆の、力?
くすくす、くすくすと笑う声がした。
『!!』
飛び起きれば真っ暗な空間、そこに俺のいる部分だけが仄かに照らされている。見たところ台座の上に展開された透明なドームへ閉じ込められてるようだった。
何だこれは。ナオは、エメラナは、鏡の星はどうなったんだ!?
「本当に、本っ当に無様ですねぇウルトラマン様」
「その声、ナナか!テメェの仕業だな?!」
真正面にぼんやりと浮かび上がるその姿。緑色の髪を後ろに結わえた少女が、口元に愉悦を浮かべて囚われた俺を眺めていた。何がそんなにおかしいってんだ、くそっ。
「こんな簡単に身柄を押さえられてしまうなんて、本当に
「当たり前だ!その為にこの宇宙に…!」
「負け惜しみですね。変身も叶わない身で喚く絵空事に何の価値があると?あなたは負けたんですよ、ざこ」
「言わせておけばっ……!」
ドームを力いっぱい叩くが、ビクともせずにナナの笑みを深めさせるだけだった。チクショウ、実際問題として俺の手元にゼロアイは無ぇ、アレさえありゃ全部ぶっ壊してやれるのに…!
そう歯噛みした、その時だった。
「ふふっ、あははっ!ざこゼロ、ざぁこ、ざ~k「こら」ャピィッ!!」
「!?」
ゴーン。効果音を付けるならそれ以外思いつかない、そんな出来事。
どこからともなく落ちてきた
ナナの更に背後から現れた男。
「煽るなよナナ。連邦戦時裁判だと捕虜虐待で不利になるぞ」
「うわーん!ただウルトラマン如きに対して誹謗中傷してただけなのにー!!」
「それが問題だって言ってるんだが」
「でもベリアル銀河帝国はUSAの全ての条約に批准してませんもん!」
「ポチッとな」
「プヤッ」
またもや落下。それでも文句を垂れるナナを他所に、ソイツは俺と向かい合う。
「……バレットだな」
俺の問いに対する返答は、頷きだった。
「そういう事になる。人間体同士で話すのもこれが初めてか」
言いながら、呑気にも奴は音を立てて手持ちの飲み物を啜る。バルタンの嘴とストローを咥える姿が重なったように思えたが、それよりもだ。
「俺をどうするつもりだ?」
「今は帝国軍本拠に連行中。頼むから大人しくしててくれよ、何か間違えて怪我でもしたら俺が怒鳴られるんだから」
「ゼロアイが今どこに在るかに依るぜ、それは」
「変身アイテムなら既に
「チッ」
近くに無いんじゃ念力でどうこうする事も出来ないってか。何か手掛かりでも聞き出して、他の脱出方法が無いか探らねぇと……。
お前も
「……ま、せっかく暇が出来たんだ。腰を据えて潰そうじゃないか、
そんな俺の意向を言外に汲むように、バレットはその場にどっかと腰を下ろした。俺もそれに続き、再び視線がかち合った。
「オリジナルってのは、つまりコピーはダークロプスの事だな?」
「ああ。アレは陛下の要望でレギオノイドと同時にデザイン・開発した。無茶振りもいいとこだったよ」
「なんでベリアルは……俺に似たデザインで発注したんだ」
「さぁ?かつて屈辱を貰った奴の姿を従えて自尊心を満たそうとしたんじゃないか。あっ、今の陛下に言うなよ殺されるから」
………。
なぁ、バレット。
「お前、なんでベリアルなんかに従ってんだ……?」
不満まみれなのがこの短時間の会話でも分かる程だった。だからつい、溜まっていた疑問点が顔を出す。
バレットの返答は単純明快で。
「殺されるって言ったろう?怖いんだよ!」
肩を竦めてあっけらかんと言い放つ。極まった諦観が開き直りになったと、そう告げている。
「陛下の持つ暴力は宇宙最強だ。自分で言うのもなんだが、彼が来る前にこの宇宙で最強格だった俺が言うんだから間違い無い」
「私は今でもお父様が最強だと信じてます」
「ナナ、今は夢見て迷い言をほざいて良いフェーズじゃないんだ。現実を直視しなきゃいけないんだ、分かるだろ」
「………すみません」
ふーっ、とため息。その事実を飲み込むまでにどれほどの苦渋を耐えたのか、俺には計り知れない。
俺が奴にトドメを刺せていれば。
それ以前に、宇宙牢獄の封印を解かせなければ。
もっと以前に、そもそも光の国唯一の犯罪者として輩出するような事が無ければ。この宇宙に億の血は流れずに済んだのかも知れねぇんだ。
───ウルトラマンを恨むのも、当たり前だよな。
「すまねぇ」
「えっ」
「
頭を下げる事に何の躊躇も無い。俺達の問題に他の宇宙の民を巻き込んじまった事、それに対する責任から逃げちゃいけねぇだろ。
するとどういう訳か、困惑し始めたのは向こうの方で。
「えーっと……お前が謝るような事は何も無いが?」
「は?ウルトラマンが嫌いなんだろ?」
「いや全然。誰から聞いた」
「初代ウルトラマンは大量殺戮者だってナナから」
「……ナナ」
「はい」
「ポチっとな」
ゴーン。
「痛ぁい!三度も落とされました!!お母様にも折檻された事ありませんのに!!!」
「会った事無いんだからそれは当たり前だろ!都合のいい時だけ母親を持ち出すんじゃないよ全く……ともかく、娘が悪かった」
「えっ、その、えぇ………」
「安心してくれ、見て分かるように立体映像だからタライによるダメージは無い。それでいて不快感は入るようプログラムしてあるから」
「いやそういう事ではなくて」
何だろう、さっきの重苦しい雰囲気が一瞬で消し飛んじまった気がする。なんかもうバレットの溜息だって、ベリアルに悩まされてた時より深くね?
なんて思っていれば、釈明するように彼の方から会話が再開された。
「バルタンの宇宙船が攻撃された事に関して、俺は何の遺恨も持ってはいない。アレは
「親父?」
「あの時地球に降りて侵略行為を行ったのは俺の実父だ。船長でもあった」
衝撃の事実にまたも口を閉ざしてしまう。
だが一層謎だ。肉親を殺されて、なんでお前は俺達を恨まずに居られるんだ。
「聞くがゼロ。アレからもう何年経った?」
「千は、軽く」
「だろう?過ぎた事と呼ぶのも矮小表現になる程の過去だ」
疲れるんだよ、と言ってからバレットは飲み物を煽る。何に疲れたのか、何を厭うたのか、俺にそれは分からない。
ただ理解出来たのは、そういう怨讐からバレットは一抜けしたがってるという事。
「俺がお前を恨むとしたら──もっと早く来てくれなかった事だろうな」
「……」
「そうだったら俺は……いや、これは自己憐憫か」
そしてその願いが、ベリアルの来訪によって頓挫したという事だ。
「お父様、着きました」
「……分かった」
話は終わりだと言わんばかりに立ち上がるバレット。すると彼は何を思ったか、台から闇の中へ飛び降りてしまう。
幾度かの、
『これから目にする光景を前に、絶望してくれるなよ』
下から迫り上がってきた黄色の複眼に見下ろされ、そして台座ごと持ち上げられた。連れて行かれた先には外を映す大窓だ。
そしてその眼下に広がる、遠大な要塞都市。
翡翠の星に爪を突き立てる掌の意匠が、あまりにも禍々しかった。
「これは……!」
「マレブランデス。この銀河帝国の中枢、世界を平定し混乱させる暴力の具現」
宙を浮かぶ千を超える戦艦群も、列を成す万に届くレギオノイドも、そして。
これが、全て…!!
『ベリアルの意思によって築き上げられた、ベリアルの力そのものだ』
どうするつもりだ、どう打ち破るつもりだと。
バレットは俺に問う。
『来たか』
玉座にて
闇を纏い。闇を携え。闇を従える皇帝。
『待ちくたびれたぜゼロ、なァバレットォ……!!』
カイザーベリアルが、訪れた宇宙船を見据え、嗤った。
迫り上がってくる所は初代バルタンの巨大化シーンをイメージしてます。
ちな、バレットにとってバルタン星人Jrは弟ですね。生き別れの。