絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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親子かめはめ波を王子が援護するシーン、好きかい?


戦跡

走力マッハ2.7。それが、地球地表面と同等の環境下におけるゼロの身体能力。

ベリアルの体重、約6万t。これも同様の条件と仮定しての数字。

ゼロはベリアルの1.4倍速く、ベリアルはゼロの2倍近く重い。エネルギーは速度の2乗に、質量はそのままに比例する。

 

つまりどういう事か。

 

『ッうおぉぉオオオオルァぁあああッ!!』

 

両者の正面衝突により生じたのは、核爆発級の衝撃波だったのである。

ナナ及び墜落した戦闘機の乗員を抱いて転がっていくバレットを尻目に、2人はそのまま乱打戦を開始。目まぐるしい連打と鮮やかな回避を織り成すゼロ、鍛え上げた肉壁で受け切って重いカウンターを放つベリアル。お互いの技術と膂力を噛み合わせたそれは、もはや芸術と言って差し支えない戦模様を描き出していた。

 

《力場の歪みにより接近不能!》

《援護手段は無いのか……!?》

《誘導弾は途中で誘爆しますし、速過ぎてレーザーでは誤射する恐れが!!》

《ぐっ……ならば1班はバレット救出のタイミングを図りながら監視を続行、戦況を随時報告せよ!その間に我々は…!》

 

周りが幾ら歯痒く思おうと、立ち入る余地などある筈も無い。しかし繰り返す打、打、撃、穿、蹴、初っ端からゼロの真骨頂である。

ベリアルがインファイトに不得手な訳ではない、どころか彼にとっても()()大得意な間合いだった。にも関わらず、結果は。

 

『喰らいやがれ!!』

『グぎ……!』

 

ゼロの掌底が脇腹に直撃。100m近くベリアルをノックバックさせる事で、戦況は次の段階へと移り変わる。

追撃のエメリウムスラッシュ、ベリアルクローで迎撃される。返す刃で飛ばした斬撃を、苦も無く躱してゼロは距離を詰める。

再度組み合う両者。あまりの圧力に、空間が軋みを上げた。

 

『調子乗んなァ!!!』

『!!』

 

力任せに、漆黒の巨体が押し込む。流石に地のパワーの差があるのか、ゼロはどんどん壁際へと追いやられてしまう。

詰められてしまえば不利だ。背中の空間を確保できなければゼロの強みである機動力が半分死ぬ、そんな状態では至近距離からのベリアルの拳は避けられない。

そんな死地に至るまで後コンマ1秒──の瀬戸際で、彼は動いた。

壁に足が届く距離になった瞬間、後ろ向きに駆け上がったのだ。手は掴み合ったままなので、ベリアルを支点として宙返りする形となる。

このまま着地すれば立ち位置は逆転、ベリアルの方が壁際になる形だ。それを見越して、彼は逆に勢いをつけてゼロを投げ飛ばした。

錐揉み回転しながら赤青銀(トリコロール)の巨体が吹っ飛んでゆく、だがタダでは終わらない。いつの間に運動エネルギーを制御化に置いていたのか、回転そのままに建物を蹴りつけて三度(みたび)、怨敵へ迫る。

 

『ベリアルゥゥゥゥッ!!!』

 

右足での超音速の飛び蹴り。対し、見切ったとばかりにベリアルは首を傾け躱した。

 

 

かに思えた。

 

『──ハァ!?』

『そぅら!!』

 

急制動。空中で停止し、そのまま左足を振り上げて叩きつけるは(かかと)。フェイントにまんまと掛かったベリアルは、こめかみに痛打を貰う事となった。

闇の巨人の体が地に伏す。銀河を制した覇者が、宇宙を手中に収める筈の皇帝が!

 

『ぐ、お──ぉおおおおおッ!!?』

 

ピシリ、という音。それはベリアルの右目の傷が広がった事を証明している。闇色の粒子が裂け目から噴出し、更なる屈辱と怒りがその瞳を赤く染める。

紅の視界が、健在のゼロを捉えた。ベリアルは、吠えた。

 

『殺゛し゛て゛や゛る゛ッ゛!!!』

 

闇の力を体に漲らせ、筋肉が更に膨張。破裂寸前の憤怒を表すが如く、邪悪が周囲の時空をゆがめていく。

それに対峙するゼロは──意外にも、()()()()()

 

(……これは)

 

本人でさえ意図しない冷静。構えを取りながら自己を省みるも、すぐさま思い当たる節も無い。怒りの余り一周回ったのかとも考えたが、そもそもこの落ち着きは感情が揺らいではなさそうだった。

そう、理性だ。本能を制する知性こそが彼を突き動かしていた。

“したい”とか、“せざるを得ない”とか、そんな欲望や必要に迫られての行いではない。この戦場に降り立った理由は。

 

(そうか。やる()()だから、だ)

 

それぞれが己の役割を全うしていた。

グレンファイヤーやミラーナイト、ジャンバードが敵幹部を相手取る。USA艦隊がレギオノイド達を殲滅する。

感情ではない。使命、義務、それに準ずる覚悟の光。それに後押しされたからなのか。

 

(怒りはある。感情は消えてねぇ。押さえつけるんじゃなくて、その方向性を示せば良い)

 

そうして胸の内に輝く理性、それで滾る野生を掌握する。

 

『──何故だ』

『ア゛!?』

『なんでお前は奪うばかりで……守る物を持たない?』

 

そうやって澄んだ心から、気付けば一つの疑問が浮かび上がっていた。ベリアルからすれば唐突な、しかし無視できない問いかけだった。

 

『守る?そんなのは臆病風に吹かれた敗北主義者の言い訳だろうが!!』

『なに?』

 

今手にある物だけでは満足できない。足るを知る、ただそれだけの事が出来ない。守る事とは己の領分から出ない事だと、彼はそう発露する。

故に“外”へ手を伸ばし続ける彼は……自身の内側に潜む矛盾を、省みない。

 

『“力”なんだよ、それが無きゃ始まらねぇだろ?!他者より先へ、他者より上へ──それが俺の選んだ生き方だ!こう答えりゃ満足か!!』

『………

 

叫んで、ベリアルは爪を研いだ。火花を散らしての突貫、隙を突いての真正面からの一撃。俯いたままゼロは動かない。

不可避だとほくそ笑むその斬撃の、行方は。

 

『っ!?』

 

正面から受け止められていた。バリアではない。ゼロスラッガーですらない素手で。()()()()()()()()で。

 

ゼロはここまで来た。ゼロは怒りに燃えていた。

理性によって、それを糧に──到達したのだ。ベリアルと同じ地平、さらにその先へと。

空間を歪め、バレットの透過さえも打ち破る、理屈を超えた力に!

 

『お前ッ───』

 

それだけに留まらない。

鎮まる林の木々のように、山の如く重みを伴う“静”の知性。

燃え盛る火の如き激しさを以て、疾風にように駆け抜ける“動”の衝動。

 

二つを使いこなし、重ね合わせたその波紋は───明鏡止水の一雫。

ベリアルの鳩尾に烈火の一打が捩じ込まれた。

 

『お前、だってッ!!』

 

巨躯が揺れる。叩き込まれた痛打に吐き気すら催し、だが矜持から耐え抜く。

だがそのワンアクションに要した時間を、ゼロが見逃す筈が無い。

懐に潜り込むやいなや、回転エネルギーを右手に集中。捻り、溜め、放て!

 

()()()()()()だろうがッッ!!!』

 

────ベリアルは自己矛盾に気付けなかった。

 

憧れられる事を望みながら、憧れるに足る行いをしない。そうである限り、彼は誰かの希望(ヒーロー)となる事は無い。

 

それ故に……この一撃は、効く。

 

『カッ………!』

 

音も光も置き去りにしたアッパーカット。顎のド真ん中を貫いた衝撃に、ベリアルは宙を舞い、そして落下。

呻く怨敵を見据え、光の戦士は新たに啖呵を切ったのだった。

 

『絶ッッッ対に許さねぇ、ベリアル!!』

 

M78星雲に生まれたからウルトラマンか?

否。

ウルトラマンの姿をしていれば、それはウルトラマンなのか?

断じて、否。

 

何度でも言おう。誰かの希望を守るからこそ、その姿はヒーローと讃えられるのだと。

 

 

 

『……ッ……』

『うひょーとんでもねぇ、本気出したゼロちゃんってあんな強かったのか。ってバレットじゃねぇか大丈夫か!?』

『?…グレンファイヤー、何してる。ゼロを援護しないのか』

『そうしてーのは山々なんだが、割って入っても足手纏いになっちまうぜコレ。悔しいけどよぉ』

『そうか……じゃあ、一つ頼まれてくれるか』

 

 

 


 

 

 

突然の襲撃。

降り注ぐ火砲、光に染まる視界。

(わたくし)が陛下を見失ったのは、それを皮切りにしての事だ。

 

『エメラルドビーム!』

『ミラーナイフっ!!』

『ぐぉっ……早くしろ!』

『分かってますッ!!』

 

攻撃を耐えるアイアロンの背で、私はその陰に潜り込んだ。一刻も早く此奴らを殺し、陛下をお助けしなければ!

鏡の星の騎士ミラーナイト、そして──

 

『ダークゴーネが消えました、ご注意を!』

『だが好機だっ!ナオ、合わせろ!!』

「準備万端さ──“ジャンナックル”!!」

『おっのれ……!』

 

聞こえてくる炸裂音、アイアロンの苦悶の声。忌々しきエスメラルダのガラクタ、ジャンバードの変形体め!!

 

『そこまでですよっ!』

「っ、後ろだよ()()()()()()!」

『助かる!!』

 

ちぃ!足元から完璧な奇襲を決めたというのに防がれるとは、中に人間(虫ケラ)を乗せた利点とでも言うつもりですか?!

えぇい振り出しです、アイアロン!

 

『アイアロンサァウンド!!』

『ディフェンスミラー!』

 

音波攻撃で生じた隙を見て、仲間をカバーするべくその背に再出現。2on2で再び睨み合いとなる。

奴らの攻撃はアイアロンの甲殻で防げるが、しかしそれだけだ。攻撃役の私が死角から攻めても、鏡による全方位警戒とジャンボットの探知によって迎撃されてしまいます。このまま手をこまねいていては、艦隊によってマレブランデスが破壊されてしまうではありませんか……!

 

『畜生………!!』

『策は無いのか?!』

『こんな予測不能な事態に備えられる策があると思いますか!?』

 

そもそもこうなったのは奴が裏切ったからだ。バレット、このタイミングで全てを台無しにした張本人!奴さえいなければ、こうなるぐらいならこの手で殺しておけば!!

 

『仕方がありません、何度でも影奇襲戦法を試しますよ!奴らの集中力を削ぐのです!』

『えぇい歯痒いっ』

「来るよ、2人とも」

『『了解ッッ!!』』

 

再度の激突。それに向かって踏み出した、その瞬間だった。

突如打ち上がった照明弾によって、私が潜れる影が悉く()()したのは。

 

『……は?』

《貴様の強みは“シャドウ”より伝達・把握済みだ》

《散々やってくれたお礼参りだぜ!》

 

気付けば我々を遠く取り巻くように旋回する戦闘機群。照明弾は此奴らが?

そんな。

 

『──キメるぞナオッ、ミラーナイトッ!!!』

「『(うん)っっ!!!!』」

 

こんな。

ウルトラマンどころか、バレットどころか、こんな虫ケラ如きに。

 

『おんどれぇぇぇ!!』

『クソカス共がぁぁぁあ!!!』

 

一気呵成に迫ってくる敵目掛け、鞭を振り回す!近寄るな、このっ、このぉ!!

私は強者の側に立つ者なのです!時にヤプール、そして今はベリアル陛下に仕え尽くす!力在る者、それに従う事こそがこの世の理!

それに従順な私が、こんな所で終わっていい筈が無い……そうでしょうアイアロン!?

 

『そうだとも!我ら生涯、死ぬまで弱者を蹂躙するのみ──!!』

『──ならば、今この時こそ!』

 

アイアロンが弾幕をより濃くして私に応えたその瞬間、ミラーナイトが動く。

 

『お前達のその生涯!終える刻という事だッ!!!』

 

迎撃を躱しながら、両手から夥しい数の鏡を展開。それは瞬く間に私達を囲み、全ての光を反射し始めた。

それは照明弾の激烈な閃光も、例外ではなく………

 

『『ぐぅわぁァアアアッ!!?』』

 

光、光が!乱反射を収束して私達を炙ってくる!!

くそ、クソ、糞ォ!

 

(嫌だ!死にたくない、死にたくない、死にたくない!!)

 

思い出すは弱者共の姿。泣きながら這いずり周り、私達に踏み潰される様。

今、袋叩きにされる私達こそが、それだと?

 

『陛下ァーーーッ!!!』

 

強者の力に守られていた、筈なのに。

どうして、陛下。

 

『信じた(もの)が間違いだった。他に理由など無い』

「どうして気付けなかったんだよ。力を合わせる絆、それだけの事なのに」

 

のたうち回る私を、機影が見下ろしていた。緑刃を掲げる処刑人が。

 

「『必殺──』」

『待……』

 

「『“風車”ッッ!!』」

 

 


 

 

助かった。

助かってしまった。

 

……助けられた。

 

『ここで良い』

『お、おう。それよりどう見てもやべーだろ身体』

『内外骨格共に著しく損傷してこそいるが無問題だ。いずれ治る……お前だって、大丈夫なのか?俺はベリアル軍だぞ』

『あーそれは……後で話してやら』

『“後”があれば良いがな』

 

合流してきたグレンファイヤーに、抱えていたUSA軍人達を船へ届けてもらった後、高台まで連れて行って貰った。ここなら戦場が、戦況が良く見える。

全ての運命を(わか)つ決戦も、眼下に。

 

 

翡翠の剣閃が空を斬る。

紅蓮の爪撃が地を断つ。

ぶつかり合う両者が弾け合い、行き場を失った衝撃波が流れ弾のように周囲の形ある物全てを微塵に裂く。

 

スラッガーを構えたゼロと、鉤爪を展開したベリアルが、総力を上げて互いを刻み合っていた。

 

『……すっげ』

 

飄々を装いながらも戦慄を隠せない声に、内心で頷く。高火力の切り札による余波ならまだしも、通常技の応酬程度でこれほど地形が変わるだなんて。

そんなハイレベルな戦いは──ゼロの優勢へと、傾いている。

 

『ッセァ!!』

 

目まぐるしい剣戟を制され、ベリアルの表皮の至る所から火花が散る。堪らず距離を取ると、ゼロはスラッガーを投げつけた。

二対の刃は高速回転しながら、なんと空中で連結。確かな質量を伴って、受け止めようとした敵の肩口を容易く切り裂いてゆく。

それを待たずしてゼロは突撃。スラッガーが頭部に収納されたと同時に跳躍。

繰り出された追撃に、俺は。

 

『──ふフォっ』

『なんかおかしかったか?』

『何も。恐るべき一撃だ』

 

どうしようもないくらい些細な、そんな笑みを漏らしていた。

だって。スラッガー捌きから()()()()()のコンボって、お前。

 

(これじゃセブンの系統かレオの系譜か分からんな)

 

いや、レオはセブンの弟子だ。もしかすると、ややもすると、レオが更に弟子を持ったとすれば。それが奴だというのなら。

……どこまでも複雑な気分にしてくれる。

 

『直撃だァ!いっけぇゼロォ!!』

 

グレンファイヤーの声援通り、()()()()()により防御が間に合わなかった標的を、豪炎の蹴りが穿つ。幾つもの壁を貫いて、漆黒の巨体が吹き飛び転がる。

俺を、宇宙を恐怖のどん底に陥れた、絶望の巨人が。

 

……ザマァ見ろ、という気持ちは否定出来ない。俺の憧れたウルトラマン達はその感情を、きっと望まないだろうが、それでも。

 

だが何よりも、それ以上に、俺はゼロの輝きに目を奪われていた。

鮮烈な光が、絶望の闇を祓い希望を示す姿に、どうしようも無く魅せられてしまっていた。

ベリアルとの遭遇以来、あれほど忌避感を持っていた“平成ウルトラマン”という概念への偏見さえ破られて。

 

俺達を救ってくれたその姿に、全てを塗り潰された気分だ。

 

『うおおお!?それ、その技は俺とやり合った時の──!!』

 

そうしてる間にも更に。どうやらこの宇宙で紡いだ新たな絆を、彼は更なる力と技に変えていたらしい。

レオキック亜種(ウルトラゼロキック)を受けてなんとか立ち上がったベリアルを押し倒し、足首を逆さに掴んで跳び上がる。そのまま脳天から急速落下。

マレブランデスを揺るがすほどの激震が、与えられたダメージの甚大さを物語っているだろう。

 

……この優勢に、俺の()()()が貢献しているのなら嬉しいんだが。

 

(遅延性冷凍光線はどれほど効果を発揮したんだ……?)

 

ベリアルに洗脳爪を突き刺された時、全身から発した光線。アレは後から慢性的に動きを鈍くするよう調整した赤色冷凍光線だった。

あの状況じゃ俺は逆立ちしたって助からないから、せめて後続が有利に立ち回れるようベリアルにデバフを掛けたつもりだったんだが……果たして意味はあったのか無かったのか、途中観戦の視点では分からない。

そしてその効果時間ももう切れる。ある種、本当の勝負はここからなのかも知れない。

 

『ゼッッロォォオ!!!』

 

それを証明するように、ベリアルが乱暴に立ち上がった。効いていない筈が無い、だがそれでも未だ健在にしか見えない威圧感。知らず、鳥肌が立つような悪寒を覚えた。

だがゼロは怯まない。再びスラッガーを構え、胸に装着する。

 

『これで、終わりだ!』

『タイマーショット…それも大技か!!』

『タイマ?』

『カラータイマーからブチかます気という事だ!』

 

具体的にどれ程の威力なのかは知らないが、チャージ時間や姿勢、そしてこの局面で選んだ技である事から、ゼロとしても相当自信のある技な筈。下手すると、かつて()()()()()()()()()だったりするかも知れん。

 

だが……これはどう判断する!?

 

『こっちのセリフだァ……!』

 

ベリアルの腕が十字に組まれた、俺はその凄まじさを嫌というほど知っているんだ!奴の光線出力は紛れも無くこの宇宙でトップ、それと互角以上の威力をゼロは出せるのか?

いや、彼なら……彼が本当に、()()()()()()ならば……!!

 

そんな俺の思案を置き去りに、時間流が静まる。一瞬の淀み、やがて来る波乱の前触れとして。

光と闇の奔流が、

 

『ゼロツインシュートォッ!!!』

『デスシウム光線ンンッッッ!!』

 

衝突した。

刹那、巻き起こる嵐。吹き荒ぶ力場に地盤は捲れる、巨岩が舞い散り、俺達も危うく吹き飛ばされそうになる。

目視するだけで死んでしまうのではないかと思える程の力。その様相は──完全な拮抗を露呈していた。

 

(不味いっ)

 

だから動いた。ゼロの持つエネルギーには限りがある、互角では負けなんだ!

 

『ナナ!演算進捗は!』

《98%、しかし5次元-3次元間のバイパス調整に不確定要素多数!空間の著しい乱れにより変数を特定出来ませんっ!!》

『それで良い、後は現場(こっち)で合わせるっ!』

 

先ほどからずっと黙って計算に専念してくれた、ロケット内の愛娘と神経リンク。流れ込んできた情報を網膜に投影し、僅かに残っていた外套から砲を換装した。

それは鋏内部に取り付ける型の狙撃砲。前世におけるライフル銃に近いそれを、右手に装着して……だが問題発生。

腕が、上がらない……!?

 

『ぐっ!』

《お父様、無理しないで!もうお身体がボロボロなんですよ……?!》

 

散々痛めつけられた弊害か、それとも急場凌ぎの抗体では注入された闇を中和し切れなかったか?いずれにせよ神経伝達が阻害されているようで、これでは狙いを定める以前の問題だ……っ、どうする?どうすれば良い、どうすればウルトラマンを助けられる!?

考えろ、考えろ、考えろ──!!

 

『───ミラーちゃんがよ、言ってたんだ』

 

その答えが出たのは俺の脳内からじゃない、隣。

俺に肩を貸して、その腕を持ち上げてくれたグレンファイヤーだった。

 

『鏡の星で目が合った時さ。むちゃくちゃ辛そうだったって』

『…幻覚だろう』

『けど事実として裏切ってくれたんだろ?ベリアル相手に時間稼ぎしてくれてた事なんて、俺でも察しがつくぜ』

 

何もかもお見通しとばかりに説かれ、苦笑が溢れた。海賊から説法受けるなんて世も末だな、と。

照れ隠しである事だなんて、自覚しない方が無理だったが。

 

『その判断、後悔するなよ』

『しねェよ、宇宙海賊はその場の気任せ波任せだかんな……!』

 

支えられてようやく定まった照準。狙うはベリアル、だが生半可な狙撃弾じゃ力の奔流に巻かれて掻き消されてしまう。奴だってそれを理解しているからこそ、光線放射中は前面以外無防備なんだ。

だが。故にこそ。

 

『──貫け───ッ』

 

この一射は、取り返しのつかない痛打となるだろう。

発射と同時に銃口正面に発生したワームホール、その中へ吸い込まれるように突き進む鋼。異次元空間にて、力場の影響を受けずに直進していく。

そして該当座標──ベリアルの足首に該当する空間にぶつかった瞬間、現次元空間に再度発現した。

 

『ぬァっ?!?』

 

要するに……銃口から奴の(くるぶし)へ、弾丸が転移(ワープ)したのだ。実質的に接射と変わらない、完全必中の狙撃だった。

ダメージはほぼ入らないだろうが、衝撃をそのまま通す材質と構造で作られた弾丸である。そのエネルギーを受け、ベリアルの姿勢が崩れる。

デスシウム光線の照準がズレ、威力が弱まる。

 

さぁ、お膳立てはしたぞ。後はお前だ。後はそっちだ。

頼む───!

 

『勝て!ウルトラマンゼロォッ!!!』

 

狙撃後に叫ぶなんて、暗殺者としちゃ御法度極まる行為だ。ここまで自分のキャラもポリシーもねじ曲げたのは初めてなんだから、責任の一つぐらい取ってくれよな、

なぁ、ウルトラマン。

 

『!!───……ぅうぅおおおぉぁぁああああッッ!!!』

 

そんな俺の望みに、彼は強く応えてくれた。今この瞬間、全てに恐れる事無く。勇気を光として、闇を貫き押し流す。

圧倒。貫通。直撃。

ベリアルの断末魔が、微かに聞こえ、轟音の中に消えた。

 

大爆発が起きた。対空施設を破壊し尽くしたUSA艦隊が、それを目撃していた。

幹部を倒し終えて駆け付けたのだろうミラーナイト達が、立ち昇る爆炎を見上げていた。

一部始終を見届けていたのは、俺と、ナナと、グレンファイヤー。

 

その視線の中心に、彼は立っていた。

宇宙を救った、輝く彼がそこにいた。迷いのない眼差しで、宿敵が消えた彼方を見つめていた。

 

嗚呼……なんて、格好良い。

 

『これは、歴史だ』

 

光の存在が、この宇宙に永遠に謳われる日。それが今目の前にあった。

 

 

俺達のヒーロー。光の巨人、ゼロ。

 

 

究極(ウルトラ)”の戦跡を、ここに刻む……!!




うん、皆大好きSA!(決めつけ)
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