絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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まぁそこが好きなんですけども


叛旗!ベリアル銀河帝国
陛下って割と女々しくて陰湿だよね


かつてこの宇宙は、群星連邦──正式名称United Stars of Arc、通称USAと呼ばれる組織が統治していた。

 

各星の政府組織が連合を組み、秩序を維持する機構。完全無欠の清廉潔白かと聞かれれば首を横に振らざるを得ないが、それでも上手い事平和を維持していた……と思う。無論所詮は人間*1が造った組織、抜け漏れもあるし裏社会との抗争だって絶えなかった。

 

その中でも一際大きかったのがヤプール陣営。異次元から干渉してくる奴には宇宙の境なぞ関係ないのか、平気でこっちの世界に介入し一大テロ勢力を率いてやがったという話だ。まぁ元ウルトラファンの俺としては、初遭遇した折には少なからず興奮させてもらったが。

 

もちろんUSAとヤプール一派は相容れない。秩序を維持しようとする前者と侵略で混沌を呼ぶ後者、度々銀河各地で衝突したものだ。地の利で基本的にUSAが平定し、しかし首魁ヤプールをその特性ゆえに取り逃し根治叶わず、というのが定番ですらあった。

 

 

変わったのはあの時からだ。

 

ヤプール以外の、初めての多次元宇宙からの来訪者。

 

奴がヤプールを駆逐し、後釜に座したその瞬間から。

 

パワーバランスがひっくり返った。たった1人の手によって。

 

秩序が破壊し尽くされた。たった1人の暴虐によって。

 

俺は、それに屈した。

 

だから今、この惨状が目の前にある。

 

 

(相変わらず趣味の悪い要塞だ)

 

頂点に座す“奴”、その掌を模した造形。

その名も帝都要塞マレブランデス。釈迦の手の上、いや奴が地球の文化など知る由も無いから偶然か。そういえば初代ウルトラマンはそもそも仏像モチーフだったかな、と現実逃避の思案が過ぎった。

俺は今、その手のひらの中心にいる。真中に位置する玉座、そこへ向かう道を歩いていた。

 

『バレット、生体反応認証しました。お通り下さい』

 

ズラリと並んだ親衛隊、量産型ダークロプスが道を開く。気味が悪いったらありはしない、何を間違ったら()()()()()()()()()ような趣味に取り憑かれるんだ?

決めた。ナナの存在は奴からは絶対に隠し通す。接触したら教育に悪い。

………と。もう目前だったか。

 

 

『バレットです。招聘を受け馳せ参じました』

『あ゛?──ぁあ、そういやそうだったな』

 

跪き見上げれば、俺の存在にやっと気付いたのか椅子ごと体を向けてくる皇帝陛下様。呼びつけておいて忘れるとは良いご身分のようで……あ、本当にいい身分だった。

 

『クックックッ、あのバレットがなんとも惨めな扱いですねぇ。まぁ仕方がありません、呼ばれた瞬間に来ない貴方が悪いのですから』

『まぁ陛下を1秒でも待たせるのは罪だからな……それはそれとして、任務ご苦労であったぞ』

 

まずダークゴーネからの嫌味、続いてアイアロンの形だけの慰労。元ヤプール傘下の両名だが、奴が到来するやいなや早々に鞍替えして良い位置に就いていた。まぁ少なくとも見る目はある、実際奴はヤプールなどとは比べ物にもならないんだから。

 

『黙れお前ら。さっさと要件に移ってろ』

 

その証拠に。

巨大ヤプールと何回相対してもビビらなかった俺が、ただ一声かけられただけで震えそうになっている。

 

『……はっ。廃棄処分失敗と同時に消息を絶ったダークロプスゼロ追跡の件ですが、奴は座標87Mの宇宙──即ち、陛下の故郷の世界へと流れ着いておりました』

『……ほう?』

 

声色が変わる。興味の色が濃く出たそれは、先程よりかは威圧感が薄い。

 

『どうやらそこで機能停止していたところをサロメ星人に鹵獲され、ディメンジョンコアを元に次元共振実験へと利用されていたようです』

『ほほう。そのデータは掠め取るなりして来たんでしょうねぇ?』

『それが此方になります。ですが一読したところ、我々が既に通過した域を出ません』

『なんだ使えない。所詮はコソ泥に研究を盗まれる拾い食いの餓鬼、という事ですか』

 

そのコソ泥の成果を最初に期待したのはお前なんだがな、とは勿論言わない。ダークゴーネの嫌味は自分への嫌悪100%で放たれてくるので、一周回ってもう愛嬌として受け止められるレベルだった。

回収データを収納し、さて。アイアロンの反応は。

 

『陛下の宇宙に流れ着いたという事は、ウルトラマン共とやらにも勘付かれたのではないか?申してみよ』

『仰る通り1人のウルトラマンがサロメ星人と接敵しております。また地球という辺境の星の住民も巻き込まれる形で戦闘に参加してお『そんな事はどうでも良い!ウルトラマンがいただと!?バレたというのか!!』……その件に関しては、ご心配なく』

 

次に俺が展開したのはホログラム映像。地面に倒れ伏すダークロプスゼロ、そしてその胸に空いた風穴の光景だった。

 

『余計な事を口走りそうになった瞬間、狙撃により破壊・阻止しました。主たるディメンジョンコアも()()()()ため、残骸を回収されたとしても此方の宇宙の所在がバレる事はありません』

『……ディメンジョンコアを粉砕した、だと?』

 

さて。どう誤魔化したものか。

ここからが粘りどころの天王山だ。

 

『俺はコアの回収も命じてた筈だが?』

『あの状況下において、機密保持と回収は両立不可能でした。優先度としては機密の方が高いかと』

『それをなんとかするのがお前の仕事だ』

『ならばダークロプス小隊を私に預けて下されば、目撃者を殺し尽くすなり星ごと抹消するなりどうとでも出来ました。時系列的に私へ命令が下った時点でサロメはダークロプスゼロを実験に用い、またウルトラマンもそれを嗅ぎ付けていたと思われ……ちなみに、私の小隊派遣申請を却下したのはダークゴーネ参謀です』

『貴様ッ!恐れ多くも陛下に口答えするだけでなく、私の命令にも従えないのですかッ』

 

不味い。空気が重い。比喩ではなく、奴の殺意が俺の周辺の気圧を高めているんだ。

だがダークゴーネへの責任転嫁はある程度上手くいったと言える。ベリアルから命じられたのは試験機の所在追跡とコア確保の二つのみ、投入戦力に関しては言及されていなかった。ダークゴーネの反論も一方的な抑圧の域を出ず、戦力を絞った事を自白したようなものだ。

……問題は、奴にそれを分別するだけの理性があるか疑わしい事。

 

『ダークゴーネ、控えろ』

『ですが陛下ッ』

『こう言わねぇと分からねぇか?一回黙ってろ

 

ホラ来た。

もう動けない。俺も、ダークゴーネも、アイアロンも。

念力か?いや違う。ただそこにいるだけで、万物を制圧する“威”の化身だ。

そしてその威力を向けられているのは、俺だ。

 

静寂の暴風が吹き荒れる。奴の視線は俺から外れない。震えを隠せているか不安だ、そもそも隠しても隠さなくても結果は変わらないんじゃないのか。

 

一瞬が何時間にも感じられるような、悍ましい時間だった。それを終わらせたのも、奴自身だった。

唐突な、高笑い。

 

『──ハーッハッハッハ!そう畏るな、怒っちゃいねぇよビビり忍者め!!』

『……は?』

『テメェの言い分もまぁ尤もだしな、お望み通りダークロプスを2機くれてやる。満足か?』

『あ……有難き事です。恐縮にございます』

 

果たしてどこまで見抜かれていたのやら。そしてダークロプス2機に関しても分かりやすく裏があるというか、率直に言って監視の意味合いが強いだろう。それも含めて、俺自身の信頼性を高めるべく此方から提唱したのだけれど。

 

『ああそれとな、もう守らんくて良いぞ機密。3機のダークロプスを、近々光の国へ送り込むつもりだったからなぁ』

『!!』

『という事は陛下!』

『いよいよ開戦なのですね?!』

 

しかし次いで切り出された話に、安堵など容易く吹き飛んでしまう。いよいよ始めるつもりらしい。

 

『まずは小手調べって所だ。それでウルトラマンゼロを誘き出して封じた後、本隊100万ダークロプスを一挙に転送。キングの(ジジイ)が介入する暇も与えねぇ、一瞬で星ごと木っ端微塵にしてやる』

 

なんだか知らんが、奴の光の国への執着はとてつもなく根深い。この宇宙を実質支配下に収めたのもこの作戦の為の一環に過ぎないんだから、現地民としては迷惑ここに極まれりだ。

そして同時に、いよいよ本目標へ向かうという事は。

 

『……USAは如何するおつもりで』

『案ずるな。テメェを呼んだのは、()()を全員で見る為でもあるのさ』

 

そうか。

もう、お終いか。

 

空中に投影されたスクリーン。そこに映る古巣の艦隊へ、俺は思いを馳せるしか無かった。

 

 

 


 

 

 

《重巡オタカ、所定位置についた》

《戦艦ワントヤマ!全火砲照準完了!》

《ズウィール、突入準備は完了している》

 

各艦からの入電のたび、艦橋のボルテージが高まる。

乾坤一擲の最後の作戦、いや特攻か。もはや勝ち目の無い戦いに、それでも正義の一花を咲かせようと。その為に、兵士達は士気を高めていた。

 

「艦長。《シャドウ》より入電が!」

「合言葉は?」

「“夜を蹴ちらせ”とのこと」

「読んでくれ」

「はっ」

 

シャドウ。それは帝国の内通者の呼び名で、彼の情報支援があってこそこれまでギリギリを耐え続けてきた。

USA本部が圧倒的物量により壊滅させられてより1年、彼の助けにより帝国の裏をかき続け、だがそれももはや限界だ。備蓄を踏まえると、今日動かなければもう全てが機能不全に陥る。ならば今この時を最後の日とすべきだろう。

そんな我々の窮状を、シャドウも把握していたらしく。

 

「“貴官らの大義は終わらず。光が来たるその日まで”、以上!」

 

ありがとう、シャドウとやら。

これまでの支援に心より感謝しよう。帝国という闇を祓う光を、顔も知れない其方に託した。

 

「全艦へ通達する!これより我々は、残る全ての力を以て帝国との一大決戦に臨む!」

 

では仕上げに取り掛かるとしよう。ここに集った、正義に酔う気持ちのいい大馬鹿者ども。泥舟に乗った愚かな、それでも守るべき者の為に沈む船へ残った勇者達へ。

最後の大義を。

 

「勝つぞ!!」

「「「おおおおおーーーッッ!!!」」」

 

これで全ては整った。席に座し見据えるは呆れるほど溢れかえる帝国軍勢。ひしめき合う戦列艦ブリガンデが、その航路を同じくして星へと向かう。先程まで我々が補給していた拠点、残っていれば全滅は免れなかっただろう。

これもまたシャドウからの密告による回避。この機は逃せない。

 

「全艦、小惑星群に隠れながら接近。効果射程内に捉え次第、敵旗艦へ火力を集中・撃滅せよ」

 

指揮官ダークゴーネが帝都マレブランデスにいる事は把握している。不在の間、帝国艦隊を制御するのは旗艦に搭載されたAIだ。ならばそれさえ叩いてしまえば、帝国最大の戦力たる艦隊を大混乱ひいては壊滅状態にまで追い込めるだろう。

引き換えに、反撃で我が艦隊も全滅する。だがそれなら安い取引だと言えた。

 

「まだだ……くれぐれも小惑星と衝突しないよう、慎重に接近」

「2時の方向よりデブリ接近!」

「敵艦隊の死角算出!取舵30°ー!!」

 

耐えろ。我々の最後の怒りを最大効果で叩きつける、その為に。

──捉える。10秒後に。

 

「主砲及び副砲撃ち方よーい……!」

 

5。

4。

3。

2…!

 

成功する。

成功しろ!

 

「い……ッ!?」

 

 

 

………しなかった。

何食わぬ顔で、一隻のブリガンデのハッチが開かれ。

その中から、()()()()()()()()()()()()()()()()レギオノイド達が姿を見せたのだから。

 

「は?」

 

何故だ。

何故バレた。

 

「かっ……艦長ぉ!!!」

 

部下の悲鳴で現実に引き戻される。受け入れられない現実が、地獄絵図となって我々の目の前に広がっていた。

 

次々に開かれるハッチ、出てくる全てのレギオノイドの砲口が此方を向いている。

被ロックオンの警告音。向けられたレーザーサイトの個数は───億を超えた。

 

「全艦、退避ー!!」

 

間に合わない。分かっているが、それでも旗艦の長として務めずにはいられない。

次の瞬間消し飛ぶとしても、それが己の責務だから。

 

そして予想通り、一瞬後に我が艦は極光に包まれ、私の意識もそこで途絶える事となった。

 

 


 

 

「綺麗な花火だ」

 

アイアロンの呟き。大画面へ映された敵艦隊の爆砕風景に、帝国を統べる者達はひどく上機嫌である。

 

「でしょうでしょう!なんとも煩わしい蠅どもでしたが、私の策にかかればこんなものですとも」

「へぇ?どうやったか聞かせてもらおうか」

「簡単な事です!情報戦ですよ情報戦、奴らの拠点を探り当てた上で“その成果をわざと流布させた”んですよ!!」

「……内通者の逆利用か!」

「プフッ!これまでしぶとく生き残ってきたのを見るに奴ら、どう考えても帝国内部から情報を得ていますからねぇ。けれど残念、我らの艦隊を待ち伏せ出来ると思ってこの始末……アハハハ!名付けて“奇襲返し返し”!」

 

面白くて堪らないとばかりに、高笑いするダークゴーネ。それに追従するように、控えていたバレットも声を上げた。

 

「流石は参謀殿!素晴らしい作戦です、感服致しました!」

「とうとう貴方も認めましたか!ええ仕方ありません、“元”とは言え友軍を木っ端微塵にされてしまえば心変わりも必至。貴方の知能よりも私の頭脳が上回っている事が、ここに証明されたのですからねぇ!!」

「その通りです!だってこの作戦の真髄はUSA残党の殲滅だけでなく()()()()()()()()()も兼ねた一石二鳥の妙案なのですから!!!」

 

ダークゴーネが凍った。

それはもう、どこぞのドブカス呪術師に触れられたみたいにフリーズした。

 

「内通者の炙り出しにも成功したのでしょう?何故なら現に艦隊の撃滅に成功している、つまり情報が漏れたルートを明確に探れるのですから!」

「…

「お話くださいダークゴーネ参謀!このバレット、すぐさま血祭りにあげて見せまs」

「……ッッあァ〜〜〜嫌味か貴様ァ!!」

「ぐぇー」

 

次の瞬間、ダークゴーネの腕から触手が伸びてバレットを拘束。その首を縛り上げた。明らかに怒り心頭、高血圧が心配される。

 

「どうしたダークゴーネ。まさか見つかってないのか」

「ええそうですよ見つかってませんよぉ!いっその事コイツ(バレット)だったら良かったのに肝心な時に裏切らないクソクソクソ」

「すみませんが窒息しそうなんで離してもらえませんかね」

「気道塞がれてるのに普通に喋るな!本当に殺すぞ貴様ッ」

「フハハハハッ!この場はテメェの負けだぜダークゴーネ、離してやりな。俺の物であるソイツの命、勝手に奪う事は許さん」

「……チィッ!」

 

乱暴にバレットを投げ捨て、ダークゴーネは踵を返す。かに思えば退出直前に皇帝へ一礼、さり気なく忠誠心を示してからその姿を消した。

アイアロンは肩を竦め、皇帝はなおも笑い、そして………嘯いた。

 

「これで概ねの準備は整った」

 

───帝国はつい最近、ある惑星を攻め落とした。

名はエスメラルダ。かつてUSAの中核を為す巨大星国家であり、同時にエメラル鉱石という超エネルギー資源を有していた。USA残存艦隊が干上がったのも、この国の滅亡により補給が絶たれたからである。

それを落とした帝国はつまり、鉱石を占有したのと同義で。実際、ダークロプス増産もエメラル鉱石確保の延長線上にある訳で。

 

『復讐の始まりだよ……俺こそが宇宙の支配者、カイザーベリアルだと示すのだァ!!』

 

高らかに叫んだその名は、彼が手中に収めた銀河に轟いた。そしてそれでもなお足りぬと、侵略の野望を掲げる。

 

 

バレットは、ただそれを見上げていた。

 

慄くでも、畏れるでもなく。

ある種の諦観を、その瞳に仄めかせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《──流石はお父様。ディメンジョンコア確保は、この時の為にあったのですね》

*1
この宇宙には地球が存在しないので地球人なんか一人も在籍してないのだが、便宜的にそう呼称する他ない




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