絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
歴史は勝者が作る。敗者はそこに介在出来ない、どう転んでも勝者に都合よくなるのが常だ。
悪し様に罵られるも、旧き強者として讃えられるも、勝ち残った側次第。
……とはいえ。勝った側が必ずしも気楽かと言うと、そんな事はなく。否むしろ、勝った側の方がむちゃくちゃ大変だったり。
「凄い量の復興支援申請が来てます」
「だろうな……」
そう、戦後処理である。敗者が勝者へ唯一押し付ける事を許された特大の“負債”である。
エスメラルダにて仮設された新USA本部指示室で、押し寄せるその書類に司令官である私は頭を抱えていた。
「ベリアル軍め、予想はしていたが本当にマトモに統治してなかったな!?」
「幹部によっては担当区域でそれぞれ統制を試みようとした痕跡はあるんですけど、
「もう組織を“再生”するより一から建て直した方が早いかも知れませんね。創設期の資料が必要かと」
「それでいこう、バックアップの修復を急がなければ」
USAは星々の国家達で構成された群星連邦。こういう事態に緩衝材となるのが勤めではあるものの、こうも無茶苦茶にされては一苦労にも程がある。
さらに悩ませる物がもう一つ、いや二つ、三つ四つ五つ……
「惑星デスラーにてクーデター発生との報!」
「テロ組織“クライムシンジゲート”が活動再開、ベリアルによって圧されていたのが息を吹き返した模様です」
「超獣残党が裏ルートで兵器として流通しているとのこと」
「………おぅふ」
キリがない。頭を抱えて良いか。
一度奪われた平和が元の形を取り戻すには、はてさて何十年を要するのだろうか……?
「バレットの件もありますしねぇ」
「言わないでくれ……」
状況終了直後、ベリアル軍幹部として出頭して来たバレット及びナナの身柄は現在勾留されている。我々としては逮捕するつもりも無かったのだが、本人曰く「罪の件もあるが、こっちの方が
「宇宙各地で、ベリアル軍への協力者に対する
「特に人的被害の大きかった銀河などは、“ベリアルに僅かでも与した者、分け隔てなく許すべからず”という機運が一定の支持を得てしまう程ですからねぇ……無実の人が巻き込まれるのはもちろん、例え真にベリアルへ協力していた者だとしても、裁くのは法であるべきです。優先して解消しなければ」
「しかし内にばかり注力していては外への守りが薄くなってしまいます!怪獣災害や、巨大戦力を用いたテロリズムの頻発を食い止められませんよ」
なるほど、彼の予想通りだ。こんな状況では、愛娘であるらしいナナ嬢を連れて外を歩くのも怖いだろう。誰だってそう思う、私だってそう思う。
しかしいざ捕まえたとなると、それなりの処分を下さなければいけない訳で。
「幸いにもベリアル軍への二重スパイとして活動してくれていた証拠はある。これを、近く開かれる連邦首長会議でどう使うか」
「とはいえ難しいですよ。彼が我々の勝利へ多大な貢献をしてくれたとはいえ、レギオノイド・ダークロプス開発の件があまりにも大き過ぎる」
「そもそもバレットの娘ヤバ過ぎるでしょ」
「「それは本当にそう」」
此度の一連の事件で、存在が初めて公式に発覚したナナ嬢。何故か一向に気密カプセルから出て来ない彼女に対し、責任能力の鑑定も兼ねて諸々テストを行ったのだが──
「どう考えても我々の手に余るんだが?!」
──出るわ出るわ、超高知能を示す数値やらどこから仕入れたか分からん施政者のスキャンダルやらまだ企画段階で開発に取り掛かってすらいないどこぞの機密兵器データやら。挙句、お試しに戦艦の装甲と接触させたら一瞬でハッキングし終えたので大事になる所だったんだぞ?しかも直後に「あっ、これでお父様を攫って逃げれば良かった」とか言い出すし!
野放しにして良い猛獣ではない。かと言って手に負える範疇でもない。どうしろと言うんだ!
「それ、助力出来るかもな」
「「「!!!」」」
来客の声が、我々の手を止める。
「ゼロか!」
「おう、お邪魔してるぜ」
此度の戦いの英雄がそこにいた。既に聴取は済ませてあるので自由の身、またこの本部が仮設である事もあって顔パスで入って貰えるようにしていたのだ。その方が色々支障無いからな。
して、助力とは?
「バレットとナナの件……あと、超獣残党や怪獣災害の件とか」
「なんとか出来るのか!?」
「俺の目算が間違ってなければ、それとアンタらが乗ってくれれば」
どうする?と問う光の瞳に頷きで以て応じる。我々は、喜んで彼を討議のテーブルへ招き入れたのだった。
臥薪嘗胆の末に世界を救った者の末路が、処刑台であって良い筈が無いのだから。
「バレット、出ろ」
「ぁん?──ああ、了解」
なんだか懐かしい夢から醒めてみれば、目に入ったのは見慣れぬ天井。独房と呼ぶには普通に快適な部屋で暮らし始めて170時間ほど経った頃合いか。
「ところでいったい何用で?」
「私です、バレット」
「お嬢さんからの面会依頼だったかぁ」
ドアの鉄格子からヒョッコリ、顔を覗かせたのは麗しきエスメラルダ第二王女様。時間的に連邦首長会議が終わるか終わらないかのタイミングだが、こんなところに来てていいのだろうか?
なんにせよ、密会ならともかく公の目がある所で変な態度を取るわけにはいかん。まず寝こけている家族を挨拶させねば。
「起きろナナ、王女様だぞ」
《んーう……内に秘めるエメラルエネルギーを使いこなす事も出来ない劣等種が何の用ですかぁ》
「起き掛けにお前なんてこと言うんだマジで」
「ふふっ、構いませんよ。代わりにと言っては何ですが、ナナさんも一緒に連れて出てきては下さいませんか?」
しかし不意に飛び出してきたダイナミック不敬、それを逆手に取られたら拒める筈も無く。嫌がる娘をカプセルごと引きずりながら、久方ぶりの外へ。
更にお嬢さんから促され、看守の監視のもと連れ歩かされていく。
……道中。口を開いたのはやはりエメラナ姫からだった。
「こうして同じ目線で会うのは10年ぶりですね」
「覚えてたのか」
「初対面の人にあんな事されたら忘れられる筈ないでしょう?」
「その言い方はやめてくれ。悪かったから。具体的に言うと俺の背後連中の殺気が殺意に変わったから誤解を解いてくれ」
「お断りします。それで
一
……が、
……舌を回せるようになったなぁ、あの時の子供が。
「“答え”を出せたのか?」
「この戦いを経て、固まった気がします」
振り向いた彼女の顔は、凛として。あの日問うた命の選別の是非、それに対し一定の踏ん切りがついたらしい。
実は確たる答えを求めた物じゃなく、俺としてはそういう矛盾を飲み込んでいて欲しい程度の物だったんだが……さて、どうだ?
「この世界に、羽虫へ差し伸べられる手はありません」
「
「しかし同時に、
「……ふぉえ?」
予想外の答えに変な声が出た。いやだって……いただろ、
「どうにも、貴方は自分を輪から外して考えるようで」
「……口に出てたか」
ニコリと笑顔で返してくるエメラナ姫。そのまま彼女は、俺の疑問へ答えるべく言の葉を紡いだ。
「皆必死でした。生きる為、勝つ為、死なない為、負けない為……ベリアルだってそう。きっとノアの神すらも、彼を脅かす何か*1と戦っている」
「奴や神さえも自分達と同じ括りに含めるとは、なんとも懐の深いというか」
「むしろ彼こそその筆頭でしたよ?この星へ熱線を向けるにあたっての捨て身、そしてゼロの一撃から逃れるべく恥を捨てて隠れ潜んだその姿も──ただただ全力で生き足掻く、儚い命そのものでしたから」
「──そういうものかね」
「貴方だってそうです。自分に出来る事をひたすら、ひたむきに。違いますか?」
……そう言われても、個人的にはやはり認めがたい。奴は他者を踏み躙る“命の敵”だったし、俺だって「もっと上手くやれたんじゃないか」と悔やむ日々だ……が、ここで意地張って否定しても無意味なんだろうな。
「俺自身がどう思おうと、お前達には
「逆も同じ事が言えてしまいますけどね」
お互いに苦笑する以外ない。俺とエメラナ姫は視点を共有する事はできないのだから、同じ物を見たとしても違う感想が出て当たり前なのだ。真の意味で分かりあえる生物などおらず、それを俺も彼女も分かっていた。
だから、言葉はある。その齟齬を埋める為に、対話がある。
「惜しむらくは、
「……」
「そして……私達もまた、それに“力”でしか応答できなかった事」
「オイ、それ以上はダメだ」
それは違う。確かに奴にとっては力こそが対話の手法だったかも知れない、だが他の手段を投げ捨てたのも奴自身だ。自ら堕ちていった奴に無制限に手を差し伸べ続ければ、いつかは諸共に引き摺り落とされ
そんな意を込めて止めれば「分かっています」と返されて。
「それでも信じたいのです。信じなければならないのです。何度裏切られようと、手を振り払われようと…」
「っ……!」
「砂の坩堝の中で蹴落とし合う、その因果から共に脱する夢を!」
瞬間、エメラナ姫の姿がどうしようもなく眩しく見えた。それは通路の出口から差す逆光、だが同時に彼女の心の光が俺の目を眩ませたのかも知れなかった。
……エースの言葉。それに自力で辿り着いたというのか、彼女は。
「………終わりは、遠いぞ」
「無い訳ではないのでしょう?」
思わず笑った。無いだなんてそれこそ言える訳が無い、ウルトラ戦士と共に戦う地球人の姿を見た後じゃ。
───そして青空が、俺達を迎え入れた。
「待ってたぜ」
「エメラナー!!」
連れられた草原、取り戻された平和な世界。
駆け寄ってくるゼロとナオが、それに応じるエメラナ姫の笑顔が、全ての答えを俺に示しているようだった。
で。
「似合うぜ」
「──ありがとう」
若人2人が仲睦まじくしてる様を、俺はしばらく眺める事となった。老婆心から口笛の一つでも鳴らしてやろうかと思ったがね、精々
「おっさん誰?」
「おっさん言うな。俺はバレットだ」
「嘘ォ!?」
って隣のガキンチョと話すぐらいしか出来なかったよ。
《……私、嫌いです。あの女》
「なんでだ?」
《だって、お母様と似てます。お父様に媚び売って、汚らわしい》
「あー……」
言われてみればそうかも知れない。だって同じ
「でも少なくともナナよりは良いんじゃない?礼儀正しいし綺麗だし!」
《フン、これだからお子様は。お父様をそこらの
「なんだとー!このカプセル引きこもり!!」
《なんですってー!?この青二才めー!!》
「仲良くしてくれよ、少なくとも肉体年齢は同年代なんだから友達になれるだろ」
「《ヤダ!!!!》」
「うへぁあ……」
いよいよ進行が止まらないナナの
……ここで、向こうの話に区切りがついたらしかった。
「ナオ。エメラナ。俺はもう行く」
「えっ!もうすぐ皆ここに来るんだよ、家族にゼロを紹介したいのに!」
「それだとランが起きれないじゃねぇか」
「一回会ってからで良いじゃーん!」
そうか。もう行っちまうんだな、ゼロ。
「ウルトラ戦士の戦いに終わりは無いという事か」
「真の平和が来るまでは、な」
ベリアルが消えたからって、この宇宙全体が平穏を取り戻した訳じゃない。銀河のあちこちに火種は蔓延り、そして燻って爆発の時を待っている。
それを鎮めに行くんだろ、お前は。
「デュワッ!』
「あーっ!!」
「ほらナオ、今生の別れという訳ではないんですから」
「でーもぉー!」
弟分の制止を振り切って、巨人がその姿を現す。解放されて地面に横たえられた
『ナオ、お前の繋いだ絆には本当に助けられた!エメラナ、お前の根気には見上げるモンがあったぜ!ありがとう、またな!!』
「……もう、分かったよ!でもまた会おうね、ゼロ!!」
「貴方とまた逢う日を、いつまでも待ってますから!!」
そうだ。俺たちの為に来てくれたヒーローを俺も心からの言葉で送り出すとしよう。一連の顛末を締め括るにはそれが一番、そうだろう?
「ありがとう。さようなら」
お陰で、良い夢を見れた。
「「『えっ???』」」
えっ、そうじゃなかった?
「オイ待て、何が“え”だ。お前達と同じ事言っただけだろう」
『……エメラナ、もしかして言ってないのか』
「すみません、すっかり忘れてました…!」
「へー、エメラナもそんなうっかりするんだ〜」
《待ちなさい貴方達!お父様に隠し事だなんて、そんな不埒な真似は許しませんよっ!!》
『ンなつもりは……あぁもう、仕方無ぇなぁ!』
《「ちょっっ!?!?」》
あーだこーだ言ってる内に迫り来る巨腕。抵抗する間も無く俺達は掴まれて、そして───
『セァッ!!!』
《「フォアアアァア!!!???」》
遥か天空、宇宙の向こうまで。
「……行っちゃった」
「また会えますよ。彼らが訪れる宇宙は、私達の心の中にあるのですから」
「分かってるよ、エメラナ」
「うぐぐ……巨大ロボに乗る夢見た、スペシウム砲はどこだ……」
「わっ、兄貴起きたぁ! 」
「おはようございます。そしてはじめまして、ラン」
「えっ!?誰この美人!ここどこナオ!!えっ何なのぉ!?」
『ええい離せセブン亜種!!』
『うおっと、やっと変身してくれたか』
巨大化により解放されたのは、エスメラルダ全体を睥睨できる高度になってからの事。息も絶え絶えにバレットは
『見損なったぞゼロ!ウルトラマンの身で人攫いするなんて!!』
『悪い悪い、けど力場を張ってたから負担無かったろ?』
《キュウ》
『ナナがショックで気絶したが?』
『それはマジでごめん』
声を荒げて行われる糾弾にゼロは頭を下げる。それでも怒り冷めやらぬと昂るバレットへ、冷水を掛けるように闖入者が現れた。
それも一人ではない。
『おー、遅かったじゃんお前ら』
『暫しの別れですからね。仕方も無いというものです』
『というより、バレットを連れて来るのに手間取ったようだが?』
グレンファイヤー、ミラーナイト、ジャンボット。訳知り顔で寄ってくる彼らに、バレットは悟る。
ここに自分が連れてこられるのは、彼らにとっても予定通りらしいという事に。
『……話を聞こう』
『おっ、許してくれんのか?』
『思惑を聞くだけだ、それ次第だな』
『助かります。まず、宇宙の情勢が不安定である事は貴方もご存知ですよね?』
ミラーナイトの問い掛けに返すは首肯。情報を新たに集めるまでもなく、これまでの要素から十分予測可能な事。
それに続いたのはジャンボットだった。
『そこで我々は、市民を脅かす巨大戦力に対抗するべく、各地に赴き戦乱を収める事をこれからの使命とした』
『船長達に背中押されてよ、俺もそれに参加したってワケ』
『……なるほど』
グレンファイヤーが〆て、それでバレットも要件を把握する。なるほどなるほど、そういう事かと。
『俺はこの世界に、新しい宇宙警備隊を作る』
『なるほど。なるほど』
『これから向かう場所はその初仕事ってワケだ。お前も一緒にな』
『なるほどなるほど』
つまりこういう事か。俺もその宇宙警備隊隊員と。
バレットは完全に理解した。あーそういう事ね完全に理解した。
『……ゃ……』
『????』
……だ。
『ヤダーーッッッ!!!!』
『『『『ゑゑゑゑ?!』』』』
『場違いだーッッッッ!!!』
ゼロもグレンもミラーナイトもジャンボットも、誰一人として予想出来なかった。出来る訳が無かった。
あろう事かバレットが、その場で
『ん!?待、ちょ、え、なに、ちょわ!??!落ち着けバレット、な、落ち着け?!?』
『解釈違いなんだ!俺はヒーローじゃないー!!』
『ンな訳あるかオメー程気骨ある奴なんか中々いねーぞ!?なぁミラーちゃん!!』
『ええ!耐え難きを耐え忍び難きを忍ぶ、貴方こそ由緒正しき正義の忍者そのものです!』
『違う〜〜!!!』
『……こんなバレットの姿、これまでの公式記録にはないぞ……』
4人がかりの押さえつけなどものともせず、振り切ってバレットは叫ぶ。心からの絶叫を。
『九を拾う為に一を切り捨てる俺と!十を丸ごと救うお前ら!そこには違いしか無いだろうがっ!!』
『違わねぇじゃねぇかっ!!!』
ゼロも叫んだ。彼の心からの言葉を。
『俺は知っている!何よりもまず自分を犠牲にしようとしたお前を!』
『それはそれが最適解だったからだ!他者だって普通に見捨てる、エスメラルダにそうしようとしただろ?!』
『
『ダークロプスとレギオノイドを放ちまくってるだろうが!』
『そうかもな、けど俺はお前の頭脳を信じてる!それが一番最低犠牲で済むんだと、そう苦渋を噛み締めて決断したお前の勇気を称えたい!』
『じゃあ罪人である事に変わりは無いだろ!?』
『償っていけば良いじゃねぇか、救っていく事で!“
並行線、ではない。ゼロの論は確かにバレットを揺るがし、その心に届いている。壁を突き崩すように、蟠りを解いていっている。徐々に動揺を隠せなくなっているバレットの声音がその証明だ。
……しかし。
『俺はヒーローなんてガラじゃないんだぁ!お前らの仲間になる事を俺自身が許せないんだぁ〜〜!!!』
『ひぇー頑固』
『どうしますゼロ、埒があきませんよ』
『うそ〜ん……』
ここに来て未だバレットは難攻不落だ。いよいよ幼児退行極まり、ゼロ達のドン引きも頂点に達しつつある。彼らは、ナナが眠ってて良かったと人知れず安堵するばかり。
そこに一石を投じたのはジャンボットだった。
『しかしバレット。お前が我々に加入するのはベリアルの戦乱における戦争犯罪への
ピタリ。それを聞いた瞬間、バレットのバタつきが止まる。ふわりゆらりと数秒宇宙を漂い、そして。
『……それは卑怯だろぉ』
とうとう観念。
『仲間になるって事だな!』
『取り敢えず暫定的には』
『『よろしくなーー!!』』
『暫定的っつってんだろうがァ!!!』
胴上げするゼロとグレン、宙を舞わされるバレット、やれやれと肩を竦めてそれを見つめるジャンボットにミラーナイト。ここに今、新たなヒーローの絆が流星の誓いの下で生まれた。
『くそったれ、こうなればヤケだ!おいゼロ、
『ああ!行くぜ、お前ら───』
そうして彼らは彼方へ飛んだ。未知なる彼方、無限の銀河へどこまでも。
曇り無き鏡の心で、炎の闘志を燃え上がらせ。
影より世界を見据えながら、揺らぎない鋼の勇気にて光の道を行く。その名は……!!
『俺達は───
『御労しや、陛下』
吹き飛ばされたマレブランデスの微かな破片。小惑星となって漂うそこへ降り立った存在は、そう宣う。
彼が見据える先には、今にも消えそうな闇色の炎が、それでも消えるものかと足掻いていた。それを拾い上げて、彼は歩き出す。
『馳せ参じるのが遅れて申し訳ありませんでした。どうか傷が癒えるまで、この私が貴方をお守りしましょう』
《───……────》
『……深く絶望しておられるようですね。同時に、私に対して疑念を抱いていらっしゃる。ええ、当然でしょうとも』
チリチリと、炎が彼の胸部を焼いた。とはいえ鎧に阻まれ、彼に痛みを与える事は無いのだが。
それを知ってか知らずか、彼は続いて言い続ける。
『正直に申し上げますが、私は貴方ではなく貴方の“力”を信奉させて頂いております。え?なら貴方より強い光の側に就けば良い?ご冗談を、闇たる“貴方の力”でなければダメなのです』
語気を強めて告げる彼に、炎はその勢いを弱めた。その中にある信条へ、感化されたように。
『陛下、我々の関係性はギブアンドテイク。貴方はゼロに復讐する為に、私は
彼らは一歩ずつ歩んでいく、宇宙の帷の向こうへと。
『え?私?そうですね──
───魔導のスライ、と。そう呼んでくださいませ』
光には光の。闇には闇の、それぞれの道がある。
分かたれたそれは、しかし、いつの日かまた巡り合い絡み合うのだろう。何度でもぶつかり、火花を散らすのだろう。
だが今ではない。それを知るのは、全ては限りない世界の果て───多次元宇宙の、可能性に揺らぐ未来のみである。
スペビ「クシャミ可愛くて草」
はい。ベリアル銀河帝国編、これにて完です!ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
今描いてるもう一つの作品が行き詰まったのでリハビリに始めた今作ですが、正直ここまで筆が乗るとは思ってませんでした。やっぱ俺ってウルトラマン好きなんだなと思う次第です。
で、これからの今作の更新についてなんですが、流石にもう一つの作品を進めたいので
まぁ更新するにしても、一先ずはバレットの過去編とかで話はあんまり進まないと思いますので、ご留意頂ければと。さて言い訳はここまでにして、改めて挨拶にて〆させていただきましょう。
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!バレットの冒険と活躍を、これからも楽しみにしていただければ幸いです!
それでは、また!!