絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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まぁ……ウルトラマン色が薄過ぎな章である自覚は流石にある


Z-Pの逢瀬

運命の王子様は、ある日突然現れた。

 

精神生命体となった私。その姿と声を、普通の人は捉える事が出来ない。私からの発されたあらゆる情報を受け取るには、日常ではまず使う事の無い脳の極小部位を活発化させる必要があり、しかも基本的に一度使うとその部位は焼き切れてしまう。

障害は全く残らないけれど、私の存在を認知することも二度と無いだろう。巨大宇宙人でも人間型(ヒューマノイドタイプ)宇宙人でもそれは変わらない。

 

ある日、漂流する宇宙船を助ける為に、いつも通りその場にいる人達の脳に働きかけて活性化させた。人によってはそれでも見えてくれないので、誰か一人でも私の誘導を認知できるように全員へ。その中で、彼は真っ先に私を認識してくれた一人だった……ただそれだけの筈だった。

焼き切れるまでの制限時間は長くて30分。短ければ10秒間。その間に通信機器と駆動回路にも手を加え、動き出せるようになった彼らへ行くべき航路(みち)を指し示す。それが終われば、もう彼らにもう私は見えなくなっているだろう。

 

 

それで、終わる筈だった。

 

彼はずっと私を視ていた。

 

1時間を超えても私を追いかけ続けた。

 

期待しそうになる心を抑え込んで、意を決して離れて、孤独に泣いて。

 

 

それでも彼は、私を見つけてくれた。

 

理性的に考えれば、単純に()()()()体質なだけの話。けれどその出会いは私にとって余りにも特別過ぎたから。

だから私も、彼にとっての“特別”になりたいと願い。そして思い通りにできた事が、本当に嬉しかったんです。

 

《うぅっ……トータス親子が可哀想過ぎるでしょう…!》

「人間がここまで純粋悪な話も中々珍しいよな」

《全くです。スミス長官に天罰が降ってる事を祈りたいですね》

「まーあんな都心に被害出しといて、無罪放免は流石に有り得んから安心して良いと思う」

 

それは、バレットさんが独り隠し持っていた物語(おもいで)。彼が脳内に思い浮かべたそれを念話で読み取り、共有する事が出来るという事。

彼が誰にも話せない事を、私にだけは話せる。誰にも話せなかった私に、彼だけは話しかけてくれる。そんな、醜い独占欲すら満たしてくれる出来過ぎな“救い”に、私の心は有頂天さえ飛び越えていたんです。

 

《こんなヒーロー()()が見られる世界に生まれて、(あまつさ)えそのヒーローが実在する世界に生まれ直すだなんて!バレットさんは幸せ者ですよ、羨ましい〜》

「欲を言えば、その世界にずっと留まりたかったがな!」

《本当に悔しそうですね……》

 

そんな幸せな日が、168時間中24時間(7日に一度)。私の生きる希望となっている。

この宙域に“悪魔”を探しに来るついでに、立ち寄ってくれる彼だけが、私の絶望を癒してくれる。

 

………そう、

 

「で、だ。話は変わるけど、やっぱり悪魔に関して得た情報とかは無いんだよな?」

 

彼は悪魔を討ちに来た。

それが成された瞬間、この関係はありとあらゆる意味で終わりを告げる。

嫌だ。

 

《確証に繋がり得る物は何も。しかし、ムスタファーに妙な動きがあったので関係があるかもです》

「おいおいおい、星の北極から南極まで一面マグマまみれの星だぞ。幾ら隠密のためとはいえよくそんなとこで活動するな」

《それこそ悪魔の思う壺、という事では?》

「……かもな。惑星リンクが怪しいと思ってたが考え直しだ。情報収集助かるよ」

 

彼は私を信じてくれる。だから私も彼を信じる。

少しでも正しいヒントを与えてしまえば、すぐにでも真実に辿り着くであろう彼の頭脳を。

 

だから私は笑う。天使のフリして彼に微笑む。

 

《どういたしまして!》

 

 

悪魔はいつだって、天使の皮を被ってくる。その事をバレットさんは知っているのだろうか。

私は知っていた。差し伸べられた掌が、獄門に引き摺り込む魔の手だった事をこの身を以て憶えていた。

 

だから私も、()()()()()

 

 


 

 

「戦禍の花がこの星に咲いている」

「ほう?」

 

銀河の平和を志して早50年。USAにて准将まで成り上がった雄、それが私だ。

数々の犠牲を戦場で目にし心を痛めた無力な男、それも私だ。

そして独自に裏社会の調査を進め、この星に行き着いた漢。それも私だ。

 

「自分で雄だの漢だの痛々しい奴じゃな」

「……分かっている。だが自分に酔わんとやってられんのです」

「敬語。禁止」

「………のだ」

 

幾ら平定しても治る事を知らない戦乱の世。まるで花を植えたそばから吹き飛ばされてるような感覚に眩暈すらする。次から次へとキリがない、まるで意図的に混沌を引き起こす黒幕でも居るみたいだった。そんな陰謀論に取り憑かれそうになった日も……

 

否。陰謀論で済んで欲しかった。済むべき話だったのに。

 

「咲いた花が種を散らし、星々へ飛んでいる。そこに着地しては争いの引き金となり、平和な草木を腐らせ、死体の蕾を咲かせる連鎖だ」

「その中心がここ、って話じゃな」

 

頷いた。この事をUSA上層部に提言しても無駄だった、まるで取り合ってもらえなかったのだ。

ならば最早、私自ら職を辞す覚悟で動く他ない、そうだろう?

 

「なんかもうタカ派の暴走に思えてならんのじゃが……ちなみにこのZ-P宙域が禍根の中心だと判断した根拠は何じゃ?」

「いろんな事件が起きた中心位置にこの宙域があった」

「……え。そんだけ?」

 

そんだけとは何だ。距離的中心というのも立派な根拠の一つだぞ、どこからでも全ての場所に平等に手が届くということなのだから!

 

「ちなみにだけど、Z-P宙域の中でもこの惑星リンクが怪しいと踏んだ理由は?」

「この宙域の中心だからだ!」

「もしもしUSAさんコイツ脱走兵ですッ」

「させんっ!」

 

近場の公衆通信機に駆け込もうとした話し相手を寸での所で拘束に成功した。私の一世一代の大調査、こんな所で挫かれる訳にはいかんのだよ!!

 

「ええい離せ、離さんかこの無礼者!お主は絶対将来クーデターとかやらかす過激派になる男じゃ、野放しにするわけにはイカン!!」

「貴方こそお忍びの身!告発すれば諸共ですぞ、本気ですか!?!」

「ぐう!」

「ぐうの音が出ておられる」

 

ただでさえ衆目があるのに、これ以上は目立てん。そのまま喫茶店を出て、路地裏に引き摺り込む事で事無きを得る。

何を隠そう、この御方は私以上に、本来このような場にいてはいけない人なのだから。

 

「そう言う貴殿(あなた)こそ、何かを掴んだからこそ此処にいるのでしょう?エメリグ・ルルド・()()()()()()()()()殿……!」

「……我が怪しんであるのはモネラの方じゃ。ここは中継地点に過ぎん」

 

USAにおける最高額融資元にして、銀河最大の資源国家エスメラルダ。その時代を担う若者こそが、目の前の若者だと誰が気付けるだろうか?

……尊大な口調で割と気付かれそうだな。

 

「しかし此処もまた無関係ではないと思い始めてあるのも事実。お主と出(くわ)した事で些か確信も出来たしの」

「ちなみにモネラ星人の何が引っ掛かっておいでで?」

「おかしいじゃろ資金力!これまでUSAにうんともすんとも関わらず他国と殆ど国交を結んでなかった星が、急に加盟したと思ったら融資金額トップ2までねじ込んでくるとか勘繰るなという方が無理じゃ!どっからその金を得た!?」

「確かに……」

「明らかにどこかへ“根”を伸ばしとる。此処だけの話、我が国の諜報部の幾人かも、奴らの痕跡を追ってる最中に行方を晦ましとるからのぉ。痺れを切らして我直々に出向いたという次第じゃの」

 

王族が出張るなど、本来なら悪手も悪手。しかしエスメラルダ王族にとっては違う。

元よりエメラル鉱石と同種同等のエネルギーを身に秘めた種族である彼らだが、一部がその力を使いこなす特殊な術を受け継いでいるのである。現王から後継者のみに伝授されるその(わざ)、エメリグ殿も例に違わず会得しているなら心強い。

 

「それはそれとして、反対されたと思いますが」

「だって一度くらいリンクの花街に入りたかったし」

「もしもしエスメラルダ王コイツ不適格ですっ」

「お主礼儀正しいのか無礼なのか分からんな!?」

 

無駄話はともかく、戦禍の花とモネラの根。こうも距離的に密接されると関係を疑わざるを得ないな。

花が先か根が先か?それを調べるのも目的に加わったな。

 

………ところで。

 

「お主、ヤプールに関してはどう思う?」

「彼奴らは謎が多過ぎます。その質問には現状、回答を控える他無いですね」

 

少し前、初めて確認された一味。それがヤプールだ。

ただのテロリストとは訳が違う。その本質は奴らが作り出す新種の生物兵器──“超獣”にこそある。

 

自然由来の怪獣ではあり得ない、破壊に特化した五体と武器。唐突に出現したそれは、驚異的な戦闘力で以て、接触したUSA艦隊の一つを見せしめとばかりに全滅まで追い込んだのだ。

しかもその個体はまるで知性でも持つかのように名乗りを上げ、故に“ヤプール”と呼称されている。何もかもが謎に満ちたその存在の、唯一の手掛かりとして。

 

「奴らが本件に関わっているのか不安なのですか」

「そらそうじゃろう。ま、活動開始時期が離れ過ぎとるから流石に無いじゃろうがの」

「私も同感です。花にしろ根にしろ、それが()()()その時には関わってないでしょうな──

 

──生えた枝葉が後から接触した可能性は、十分にございますが」

 

 


 

 

 

おのれウルトラマン。

おのれ地球人。

 

「ここまで、長かった……」

 

異次元に幽閉され、飢餓。

暗黒皇帝にこき使われ、疲弊。

糞みたいな地球人の中でも特に糞な奴を利用するも、予想以上の糞さにドン引き。

負けて消耗。

蘇ってまた負けてさらに消耗。

碌な再活動も出来ずもっと消耗。

またもや飢餓。

 

……控えめに言って絶滅の危機だった。あの宇宙(せかい)に、最早我々が再興する目などありはしなかった。

だから我々は目をつけたのだ。救いある新天地、ウルトラマンのいない別宇宙(アナザースペース)へ!

 

「異次元を自在に手繰る我々には、別宇宙へ渡るなどお茶の子さいさい!ウルトラマンとは違うのだよウルトラマンとは!」

「開拓団長。誇るのは良いですが我らはいわゆる出稼ぎの身、本拠に残った仲間達へエネルギーを送らねばならぬ事をお忘れ無きよう」

「わ、分かっている!!みなまで言うなっ」

 

………仕切り直し。

 

長かった。本当に長かったのだ、苦難の時が。

まず第一に、異世界にポンと全員渡る事がまず出来なかった。その余力すら残ってなかったのだから。

第二に、渡ったからと言って無双出来るわけでも無かった。だって武器となる超獣を作れる余力も勿論無かったから。

せっせこ、ちまちま、こつこつとマイナスエネルギーを地道に集める日々が始まった。宇宙中を開拓団全員で駆けずり回り、雀の涙ほど溜まった負の感情(しょくりょう)を分け合って、元の世界に残った本隊へ仕送りする。ひもじく悲しい時代、惨めさで言えばレイブラッドに滅ぼされかけた時にも匹敵するだろう。

 

何度でも言おう。おのれ超獣退治の専門家(ウルトラマン)、おのれ異次元幽閉の下手人(地球人)。この我ら自身の憎しみを糧に出来るなら、今すぐにでも奴らを滅ぼせるものを!

 

「だがしかし、運命は我々を見放してはいなかったのだ……!」

 

モネラ星人が展開していた“ビジネス”。その内容はあまりにも我々に都合が良く、渡りに船そのものだったのだから。

なんせ儲けの過程でマイナスエネルギーが大量に発生する。新参の顧客として参入した我々は、モネラ共の協力を勝ち取りその勢力を回復したのである。その甲斐あって先日、宇宙警備隊()()()であるUSAの一部隊を、新造した超獣で打倒できた程に!

 

「見ていろ光の住人共!この地で再興した暁には、貴様らの住まう世界を今度こそ破壊し尽くして見せよう…!!」

 

全ては未だ始まりに過ぎず、しかし間違いなく点火はされたのである。USAを撃ち倒し、この世界の全ての争いを手中に収め、制する野望の灯火を!

 

 

「酔うのは良いですから、早く仕送りの配分案を承認して下さい。本隊が“何勝手に超獣作ってんだ俺達を飢え殺す気か”とキレ散らかしてます」

「アッハイ」




ので、ヤプールに出てもらいました(ダイナミック梃入れ)
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