絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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アヌーは開拓惑星に過ぎないし
あっそうだ、あけましておめでとうございます


結局ランとナオの故郷は何星なの?

USAが壊滅した事で我らがベリアル銀河帝国の勝利が確定した折、俺に二つの命令が下された。

 

一つは辺境の星系への侵略行為。宇宙は広く、その分情報伝達も遅い。それを司っていたUSA(中枢団体)が機能しなくなったのなら尚更。という訳で、指定された宙域の星々は未だにUSAが壊滅した事を知らない可能性がある訳だ。

そんな所へ此方が一方的に降伏勧告しても「?」となる事請け合い、なのでちゃんと事情を説明できる俺が直々に向かわされるという次第である。ご丁寧にもレギオノイド100機がお供、わーいベリアル陛下ばんざーい。

 

二つ目は、惑星エスメラルダの王女追跡任務。エスメラルダはつい最近攻め落としたのだが、実は住民は殺さず捕虜として確保されていたりする。

……正確には“殺()()”といったところだが。全ての住民が王都城塞に避難し、そこをとある宇宙人がクソ硬い防壁で囲った事で、驚く事に犠牲者ゼロという結末に至ったのだ。まぁ出ても来れない分、反撃の可能性も無いから易々と星自体は征服できたのだけれど。

しかし中にいる民に、何度探しても見つからない。統治の中心たる王はいる、妃もいる、第一王女も防壁の中に。だが───残る1人、第二王女の姿だけが、王都城塞のどこにも。

 

(鏡の星への亡命も確認されてないとなると……ふむ)

 

大本命USAを潰したとは言え、反乱の旗となり得る自由活動因子は少ないに限る。何らかの手段によりワープしたのはほぼ確実だ、がしかし肝心のどこへ向かったのかは帝国の技術力を以てしても探知不可能なのが現状だった。そんなアテの無い捜索へ、ダークゴーネに押し付けられる形で俺は駆り出されたという話である。

 

(ナナ、聞こえるか)

《はい》

 

だが俺には、奴らと違って()がある。念力と電波を掛け合わせ、既存の手段ではどうあがいても干渉できない特殊通信にて情報支援を行ってくれるナビゲーター“ナナ”の存在が──言っておくが、孤独を拗らせて作ったイマジナリーフレンドでも(ドーター)でもないぞ。これが現実の存在であるのは、自分の脳をカッ開いて検証済みだからな。

 

(エスメラルダ第二王女は今どこだ?)

《エメラナ姫は未だジャンバードと共にザピーラ宙域の4番デブリ帯に潜伏中です。監視開始から15日5時間32分が経過しましたが、確保されますか?》

(ああ、今から送る座標近辺にワープ(ジャンプ)するよう誘導し(追い立て)てくれ)

《はい──軍に引き渡す予定ではありませんよね?》

(そうだな。捕まえたら冷凍保存してそっちに送るから丁重に扱ってくれ)

《はい。お父様の忠実な奴隷(しもべ)となるよう教育しておきます》

(話聞いてたか?????)

 

この通りかなり有能なんだが、どうにも俺に対して盲信が過ぎる。何がどうしてこうなったのか、子持ちの奴に一家言ほど高説賜りたい所……だが、知ってる子持ちの奴は蒸発したんだろうなぁ。USA艦隊と一緒についこの前。

ともかくだ、俺もとっとと現着しなky《誘導成功。ハッキングしたレギオノイド部隊による砲撃で、ジャンバード転進。惑星アヌー方向にジャンプした模様です。》早いなオイ!!

 

(惑星アヌー……うん、良いぞ)

 

内情としては開拓惑星、でかい組織や軍が無いから容易く制圧出来る。星ごと押さえてしまえば、あとはどこから逃げ出そうがすぐに捕捉出来るぞ。

 

(ナイスだナナ。今度ヨシヨシしてやろう。連絡以上)

《ありがとうございます。ではまたお呼びください……やったっ

 

小さく聞こえた喜声を最後に途切れる通信。切り忘れたのかそれともわざとか、なんにせよそんな()()()()も含めて可愛い娘と言えるだろう。

さて、ウルトラマンがこの宇宙を嗅ぎつけるのも暫く時間を要するだろうし。ノンビリと社畜、ならぬ帝畜稼業をこなすとするか。

 

 

 

 

〜30分後〜

 

 

 

 

えぇ……なんでもう来てるの………?

 

 

 


 

 

 

空から鋼鉄の機械が降ってきた。

その名はレギオノイド、近頃銀河を揺るがしているという悪魔の殺戮者だ。

それが2体。中空に浮かんでるのが1、2、3……いっぱい。その更に背後に浮かぶ戦列艦の存在を見るに、出そうと思えばまだまだ出てくるだろう。

 

『あー、あー、アヌー開拓民諸君。此方ベリアル銀河帝国軍の木端(こっぱ)、バルタン星人バレットである』

 

聞こえてくる放送はその戦列艦から。どこかやる気の無さげな声音に脱力しそうになるも、依然として喉元にヤイバを突き付けられたと同然の状態なのは変わらない。

 

『見て分かるように、この場はレギオノイド投下により制圧させて頂いた。もう数ヶ所点在する他の開拓ポイントにも同様に投下し、この演説を放送している。降伏してくれたら楽だぞ、お互いに』

「好き放題言いやがって……!」

 

拒めば即、鋼鉄の砲塔が火を噴くだろう。それに俺達は全身を砕かれて終わり、だからこその降伏勧告。

だが、屈してどうなる?相手は悪名高きベリアル帝国だぞ。

 

「どっちにしろ殺すんだろ!?!」

『……そうならないようには努力するつもりだ。だからお前達も従え』

 

思いを同じくする誰かが叫び、何とも律儀に返事されたが……とても信頼出来る物じゃない。()()()()のバレットなら尚更。

多くの仲間がいたUSAを平気で捨てて滅ぼした奴なんか、何言ったって嘘に決まってる。

 

だから、示さなきゃいけないんだろうが!お前らが従わせられるほど、俺達は弱くないって事!

 

「アヌー警備隊出動だねっ!」

「ぉおっし、行くぞナオ!」

 

弟、ナオと共に“ハスキー”へ乗り込む。ホバー式の高速地表艇、武装だって最低限の機銃だけだ。

こんなモンでご自慢の機械兵、一機でもブッ壊されりゃ──多少ぐらいはビビってくれるよなぁ!?

 

《………ん?オイ待てそこ、何するつもりだ》

「待つもんかっ!」

 

ナオの気迫と共に発進!勢いそのままに飛び出せば、直近のレギオノイドが反応してこっちを向いた。一機だけ、上々!二機は流石に無理!!

ともかく機銃係の俺が牽制しながら……ってオイ近ぇよデケェよ!?50m級、想定はしてたけど轟音と捲れ上がる地盤が恐ろしく悍ましい!ナオもっと速度上げろ、追い付かれるぞ!?

 

「ヘヘッ、わざとだよ!」

「冗談じゃねぇよ?!」

 

引き金を引く手を休めるわけにはいかない。飛んでくるビームの雨を掻い潜りながら、だんだんと熱くなってくる風で目的地への接近を知った。

 

……おーいナオ。このスピードで大丈夫か?ちゃんと急ブレーキ出来るか?

 

「落っちろー!!」

「マジかよぉぉぉ!!」

 

と思った矢先にこの愚弟!追ってきたレギオノイド諸共ノーブレーキで火山の火口に突っ込みやがった、そこは旋回するなり何なりして相手だけ落とすっていう話だっただろ!?

迫る高熱、落下感。と思えば急速にかかるGで今度は潰れそうになる。ナオはどうか……と見遣れば、操縦桿を離さず全身で踏ん張っていた。どこか楽しげにすら見える辺り、やっぱパイロットとしての才能すげぇなぁと、現実逃避気味に考えて。

そうしてる内にハスキーの挙動が安定。逆噴射により落下を止めての前方再加速、一気に熱圏を離脱した。バランスを崩したままのレギオノイドはそのままマグマの海にドボン。

……死ぬかと思った。生きてるからこそ抱けるその感想を自覚したのは、安全地帯になんとか着陸してからの事で。

 

「やった!」

「……よっしゃ!」

「「イェーイ!!」」

 

人心地ついてのハイタッチは爽快だ。バルタンの野郎、これでちっとは面食らってくれりゃいいんだがと願う。開拓キャンプの連中も勇気付けられたなら何よりなんだが……ぁ?

 

「地響き……っ!?」

 

その瞬間には既に手遅れ。砕け散る足元、飛び出てくるドリル。先程灼熱の沼に突き落としたはずの鋼鉄の悪魔が、全くの無傷でその姿を現す。

紙切れみたいに宙を舞う俺たちの身体。ナオを抱き止めれたのは半ば奇跡みたいなもんだった。

 

「ナオぉ!」

「兄貴っ!」

 

急斜面に激突。弟を衝撃から、転がり落ちる岩肌から庇い、その代償に体の中から次々に響く音。硬い棒が悉く折れるような、砕け散るような、人としての形を失いかねないような。

やがて止まる頃には、俺は今にも落ちそうなナオをなんとか片腕で引っ張り上げる格好となっていて。

 

「兄貴、血が……!」

「心配すんな…今、引き上げて……」

 

五体がへし折れようが千切れ飛ぼうが、たとえ血だるまになろうが。それでも弟を守るのが兄の役目だ、親父からそう教わった。

まだここじゃ終われない、だってまだ……俺達は……

 

「“バラージの盾”、見つけんだろが……!」

「兄貴ぃ!」

「!!!」

 

ナオの声で、俺達へ向けてドリルを振りかぶるレギオノイドをようやく認識。もう回避とか出来る状況じゃない。

殺される、と。そう思った。

 

『はいストップ』

 

そうならなかったのは、させなかったのは。

 

『……ふむ。溶岩に突き落としたのか、第一設計案の装甲だったらやられてたな』

 

いつの間にか、レギオノイドの背後に到来していたバルタンの声だった。

衝突する寸前で前進と回転を止めるドリル。何が何だか分からない俺達に、バルタンがその複眼を寄せて嘯く。

 

『分かったろう、お前達如きの足掻きじゃどうにもならない事が』

「何を……!」

『脆弱な肉体、貧相な武装。質が良くとも()()が矮小な精神……そんな生命に出来る事なんて、異世界から来るヒーローを待って全賭け(オールイン)する他無いんだよ』

 

俺達をどこまでも舐め腐ったセリフに憤慨するも、現実はどこまでも残酷だ。事実、俺達はコイツの気分次第で簡単に殺れる虫ケラに過ぎない。

それが嫌だから抗ったってのに、このザマ……!

 

「僕らだって…僕らだって!!」

『痛たッ』

「よせ、ナオ!」

 

ぶら下がった状態のまま、ナオが片手で発砲。覗き込んで来ていたバルタンの眼球に直撃するが、多少たじろがせた程度で効果は無い。

そして最悪な事に……バルタン本人ではなく、レギオノイドが反応しやかった。

 

《指揮官への攻撃を確認。脅威排除》

『おまっ』

「「わぁぁぁッ!!!!」」

 

バルタンを押し除け、今度こそ振るわれるドリル。俺達の掴まっていた岩盤を抉り飛ばし、マグマ煮え沸る火口へと真っ逆さまだ。

もっと言えば、俺の意識ももう……血を流し過ぎて、頭が回ってくれない。そんな状態でもせめて、ナオの無事を願い抱き締める。

俺はもうダメでも、せめて、コイツだけでも……

 

(誰か……!!!)

 

 

 

都合よく現れるヒーローなんていない。

いないから、命はクズみたいに軽く踏み躙られる。

 

しかし。

いや、だからこそなのかも知れない。

 

時代がヒーローを必要とした。

世界がヒーローを求めた。

そして、俺の胸の、バラージの盾の欠片が。

呼んでいたのかも、知れない。

 

 

光が来た。空から、遥かな宇宙から。

銀河連合を遥かに超えて、希望と共に。

その光に包まれて──そこで一旦、俺の記憶は途絶える事となる。

 

 

 

“ゼロ”と。光は己を、そう呼んでいた。

 

 

 


 

 

 

遠き呼び声の彼方に駆けつければ、目にしたのは崖から今にも落ちそうな兄弟。それを見下ろす二体の巨影の姿も。

俺のやるべき事はすぐ分かった。足にエネルギーを集中、烈火として纏う。そのまま大気圏へと突貫。

一筋の炎の矢となって、ドリルを振り抜いたロボットの頭部を蹴り砕いた。激突の瞬間、余剰衝撃波が破砕片と共に周囲に広がる。もう一体の巨影も、その余波で吹き飛ばす。

それを確認してから──この間わずかコンマ2秒──俺は兄弟へと手を差し伸べ、その肢体を受け止めた。間一髪で間に合った事に、内心で安堵した。

 

『───何故ここにいる』

 

さて。問題はコイツだ。

 

『光の国の技術を舐めんじゃねぇ。ダークロプスゼロの残骸から、この宇宙の所在を導き出したのさ』

『……バレるとしても、ダークロプス3体を送ってからの事だと思っていたよ』

 

導かれるままに降り立った先、コイツと即出会えたのは幸運だ。あの日、ダークロプスゼロにトドメを刺して消えたバルタン星人!

拾った2人を地面に置き次第素早く構える。油断出来ねぇ野郎だって事は、とっくの昔に分かってっからな……!

 

『って待て、ダークロプスを3体だと!?』

『ベリアル陛下が尖兵として送り込むらしくてな。行き違いになったか?』

『チィッ!』

 

俺の親父達は強い、だから心配する事は無ぇ……と言える程、俺の肝は据わっちゃいねぇんだ。故郷を攻撃されて平穏を保てるほど俺は穏和じゃない。

だからまずは、ダークロプスの開発者を自称するテメェをブチのめしてやる!そうすりゃ、もう二度と変なモンは作れねぇだろ!?

 

『ここで会ったが億年目だ!俺のビッグバン、受けてみやがれェ!!』

『やれやれ、ウルトラマンにもなると(ことわざ)の規模も100万倍か……!』

 

ゼロスラッガーを構え、跳躍。奴がその砲口(はさみ)を向けて来たのも同時。放たれた光弾と振るわれた刃が接触し、閃光を迸らせた。

 

 

 

 

これが俺と奴──バレットの、初めての対話(たたかい)の記憶だ。

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