絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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遅れて申し訳ありません。スタークはGWを満喫しました
具体的に言うとG×Kをメチャクチャ楽しみました。シーモちゃんかわE

【今更オリジナル設定紹介】
●テロフェイザー
モネラ星人の擁するロボット兵器。デスフェイサーに似てるが、似てるだけ。その名の通りテロリストによく供与されている。


Z-Pの懺悔

拮抗はほんの数秒。

あっけなく到達した奔流が、愛した人の総身を押し潰した。

 

《命中。バレットの体細胞、消失率37%》

 

消えていく。

圧倒的な力を前に揉まれ、焼かれ、散っていく。

 

《58%》

 

その有様を読み上げるしか出来ない私は。

淡々と読み上げられてしまう私は。

 

《75%》

 

どの口で、生きていると言えるのだろう?

 

『カァアァッ………!────』

 

《──100%》

 

最後の1%は、認識するより早く過ぎ去った。全てが、終わってしまった。

私が終わらせた。私の所為で彼の命(わたしのきぼう)は潰えた。

 

………そうか。

 

「やった!やったぞ、これで問題の粗方は解決する!」

「後はUSAの連中を煙に撒くだけですねぇ…!」

 

これが。

 

「さて。そうともなれば移転計画を実行段階に……?」

 

 

絶望。

 

 

「TUFIRの生体パーツ、バイタルが低下しています。特に神経パルスが著しく減衰」

「シナプス接続で強制的に覚醒すれば良いだろう。いつも通りの故障対応だ」

「いえ、既にやってますが効果ありません」

 

生きる気力が失せる。心臓が鼓動をする気を、脳が活動する気をそれぞれ喪っている。

酷い話。もっと早くこうなってれば、死んでいれば。

 

生きる事に希望なんか見出さなければ……彼を殺す案なんて、考え出さずに済んだのに。

 

総てが、今更。

 

 

 


 

 

 

マイナスジェネレーション。それはモネラ星人が魔導卿と共同で立ち上げた星間ビジネスである。

モネラ星人が所持する生体コンピュータ“TUFIR”。これは当ビジネスにおいて全宇宙の情報を収集・統括・解析し、指針を決める要である。

 

……有り体に言ってしまえば、人々の悲劇に漬け込む悪辣な戦争商売だった。

混乱を煽り、憎悪を育て、爆発させた所に(武器)を差し伸べる自作自演。未来を完璧に予測するTUFIRがあれば、それは不可能から可能へと変わる。そのシステムを魔導卿が提案し、モネラが受け入れた事で企業は発足した。

 

「それを貴様は独占しようとした」

「功労者である私を追い出そうとしたのは貴方がたの方だ。私には何の呵責もありませんね」

「減らず口を叩くな」

「っ……」

 

木の根に似た何かが磔の裏切り者を締め付ける。ここはモネラの地下基地、拷問部屋だ。

たった今そこで、魔導卿への尋問が執り行われていた。

 

「知っている事を全て吐け。全てだ」

「明かせる情報は根こそぎ渡したじゃないですかっ……私の既知は貴方がたの既知、目新しい事など何も……っ!」

「ならば基地内で貴様を撃った下手人は?」

「さ、ぁ……貴方がたの治療で、助かりました、がっ、脳を撃たれ、記憶、無いっ」

「脳波に特筆すべき部分無し。嘘は無いようだな」

「かはっ……!」

 

解放された瞬間にスライは昏倒。電撃を流そうとする部下を引き留め、仕置き人のモネラ星人は命令を下す。

 

「何者かは分からんが、スライを撃った侵入者が今も基地に潜伏している事は確かだ。人員の出入りを禁止し、何としても炙り出せ!」

「「「了解!!!」」」

 

 

各々動き出す兵隊たち。一方その頃、基地中枢でも慌ただしい動きが始まっていた。来るUSAの調査に備えた証拠隠滅、そしてTUFIRの移転準備に追われているのである。

間に合うか否かは本来五分五分。しかし()()()()が同時に押し寄せた事で、彼らもいよいよテンテコ舞いな状況に陥っていた。

そこへ一通。大口顧客より通信が。

 

《ごきげんよう、モネラ諸君》

「これはこれはヤプール様!何の御用件でしょうか」

《忙しいところ申し訳ないが、超獣暴走の件とTUFIR移転の件で詳細を伺いたくてな。なんでも魔導卿が真犯人だったとか?》

「ええ、そうです!貴方がたに非は無く、全てはかの裏切り者の離間工作だったようでして。大変ご迷惑をおかけしました」

《なぁに、今後の付き合いで()()便宜を諮ってもらえるというんだ、許さなければ此方が悪者だ……で、移転の方は?》

「黄金彗星に助けられております」

 

幸福をもたらす金の鳥。それが近々このZ-P宙域、特に惑星リンク付近を通過するという予報が銀河を奔っていた。

それは宙域に多くの旅行者を呼び寄せ、超獣被害に見舞われたリンクですら例外ではない。寧ろ復興のチャンスと、在住者や商人は張り切って観光客を招致している。

その混雑はモネラにとって非常に好都合だった。木を隠すなら森の中、宇宙船の往来が増えれば増える程にTUFIRを運び出すチャンスも増すだろう。

 

「船の手配も着々と。しかし万全を期したいので、出航から少し経ったタイミングで其方の時空ゲートを通過させていただきたい」

《その程度の事、幾らでも貸し出そうではないか──では次の議題だ。()()()はどうなっている?》

「それはもう……」

 

代表者のモネラは嗤う。それを受けてヤプールもニヤリ、喜色をその顔に浮かべた。

両者が思い浮かべるは一つの切り札。

 

「超獣因子の流入は滞りなく進んでおります故。既にこの星の住民は……」

《そうか……そうか、そうか!ハッハッハッ!!》

 

劇物を超えた劇物の水道水混入。それが示すのは……リンク住民の超獣化である。

これが彼らの奥の手。経営過程において発生した大量のマイナス思念、それをヤプールの手で超獣因子とし、()()()()()()()()超獣製造工場とする。住民の中で因子を多く摂取した者、その中で適合した者……全体の4割ほどが、異次元の獣として目覚め得る目算だ。

 

《リンクの民が他の星系へ散れば、それは即ち我が超獣達が野に放たれる事を意味する!USAは絶対に事態を収拾できん、この宇宙を恐怖と絶望に包む日も近いな……!》

「そうなれば猶更、私達も稼ぎ時になるというもの!とはいえ今はリンク住民が然程星を出ておりませんので、もう少し時を待つのが得策でしょうな」

《良きに計らえ》

 

両陣営、気を良くして哄笑。一頻りそれが続いたのち、一転して溜息が吐かれる。

モネラ側の代表者による物だった。

 

「……しかし、懸念点が一つ御座いまして」

《む。何だ》

「TUFIRに些か重大な機能不全が発生しております。内臓の問題ならこれまで通り対処できたのですが、どうにも」

《脳の問題か?》

「その通りです」

 

計画の要であるコンピュータの不具合。しかも直す目途が立たないとなると、移転の予定へ直接的な影響が及ぶ。

延ばしてでも修理を優先するか、不調の連鎖を覚悟してでも移送を強行するか……と、マイナスジェネレーション内では議論が紛糾していた。

 

《下手に自我を残すからそうなるのだ。しかし、今までの内臓故障と()()()()()は出来んのか?》

()()()()となると既存データの引継ぎが難しい。前例もありませんし、これまで蓄積してきた物を不意にしたくはないのです」

《迷っている内にUSAが来て差し押さえでもされたら大事だぞ。覚悟を決めておけ》

「それは……」

 

ここでもまた苦慮。その折、彼らの会話を中断させるに足る出来事が起きた。伝令が飛び込んできたのだ。

 

「代表!侵入者が見つかりました!」

「なに!?」

 

 


 

 

ヘマをしでかした。私の所為ではなく、だがエメルグの所為でもない。ある種必然の、スパイならざる者による潜伏の限界に達しただけの事。

 

「おのれ~~~……」

「どうにもなりませんな、これは」

 

奴らが“プリンセスモネラ*1”と呼ぶ(植物)塊の内に囚われ、菌糸にも似た網目状の檻の中から外を睨みつける。それを無視して、モネラ共は困惑したように互いに口を交わしていた。

 

「オイどうする。コイツやっぱりエスメラルダの王族だぞ」

「こっちは先の戦乱で大戦果を挙げた准将だ。扱いに困るなんてモノじゃない」

「そうじゃ!余は大国エスメラルダを統べる英雄王じゃぞ、貴賓らしい待遇をせぬか!」

「「「捕虜のくせに態度がデカすぎるし」」」

「もっといえば英雄王とかじゃなくて王太子どまりだし」

「モネラ共はともかくお主までツッコまんでもええじゃないかァ……」

 

ともかく、相手も我々の扱いに困っているのは確かなようだ。もしかすると交渉が出来るか?……と思ったのも束の間、その機は新たな闖入者によって無駄とされてしまう。

人ごみを割って出てきた、地位の高そうなモネラによって。

 

「これは驚きですね。しかし好都合」

「代表、それはつまり?」

「よく考えてみなさい。エスメラルダはUSAへの出資金額1位の国家ですよ。もし跡継ぎが我々の手の内にあると言えば……U()S()A()()()()()()()()()()、違いますか?」

「「「なるほど…!」」」

「「ッッ」」

 

それは不味い。我々が捜査を担うどころか、悪による浸食の一助を買ってしまうなど!!

かくなる上は自害するほか……しかし、私一人が死んだところでどうにも……。

 

「残念じゃったの。出奔の際、有事の際には余を見捨てるよう父王に頼んである。我が命一つでエスメラルダを動かそうなどと、外道が甘く騙るでないわ」

「それはやってみなければ分かりませんねぇ。貴方は父親が厳格である事を望むように、私は現王が身内を見捨てられない甘ちゃんである事を所望しておきましょう…ところでですが貴方達、彼らから所持品を没収するなりしたのでしょうね」

「はい、ここに」

「ふむふむ……ぅゎ超獣因子タンクの件までバレてるじゃないですか、コレはもう解放できませんわ。大人しく我々の人形になっててください」

「「あばばばびびばばばば!!??!!」」

「……やれやれ。魔導卿を殺すような奴が潜んでいると思うと夜も眠れませんでしたが、これで一安心か」

 

瞬間、高圧電流*2により意識がシャットダウン。無力なまま何も出来ず──しかしその寸前で、ある一つの疑問が浮かんだ。同時に、()()も。

 

(何故、我々が……)

 

この基地まで来れたのか。こんな奥深くまで潜入出来たのか。

何故、本業のスパイではなく、素人の我々を……あの謎の青年はここまで誘い、支援した?

その結果、案の定、隠れ切れずにこうやって見つかり──否。

 

(そう、か!)

 

本業ではダメなのだ。ずっと隠れ()()()しまうから。

中途半端に潜り込み、中途半端に探り、中途半端に尻尾を出して見つかる。それは支援だけを受けた素人ならではの帰結だから。

 

モネラ達は懸念した。隠れ潜む我々の存在を。

モネラ達は安堵した。我々を捕らえ、一段落だと()()した。

 

要は──“囮”。

 

(勝ち、か……っ)

 

私ではない何者かの、モネラに対する。

それを確信しながらとうとう、意識が落ちた。

 

 

 


 

 

 

「だーっ!忙しい!!」

 

時と場所は変わって宇宙港。惑星リンクの物流起点であるそこで、1人の男が叫ぶ。

原因は観光客の急増。近日、この星を訪れるであろう黄金彗星を一目見ようとごった返し、本来そこまで客入りのなかった彼の旅客船(しょくば)を圧迫していたのだ。

 

「しかしねぇ船長。これは掻き入れ時でもあるのだから……」

「そう言うんなら!手前が教育係を務めてた新人を引っ張ってこいってんだ!!」

「俺だってそうしたいですよぉ!でも連絡つかないんですよあのスカポンターン!!」

 

甚大な人手不足を前に取っ組み合う2人。彼らは新人がどこに行ったのか、今どこに居るのかも分からない。

 

天使に救われた時。彼が宇宙人に憑依されていた事など、知る由も無い。

*1
要はミニマムなクイーンモネラ

*2
QMバスター

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