絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
【前回のあらすじ】
バレットという障害を排除したモネラ星人一派。その鳥籠の中で、ウォルナはとうとう全てを諦めた。
潜入していたUSA准将らも捕らえられ、希望が刻一刻と潰えていく中──
──影に紛れ、奔る者が一人。
地下深く、水脈へと内容物を垂れ流し続ける貯蔵タンクに一人、近付く影があった。
準備で忙しいモネラ星人が、それに気付く余裕は無かった。
「よーし揚げろー」
「コンテナ開放。“TUFIR”収容完了です」
「ヤプールのゲートは?」
「出航連絡を入れればすぐに開けるとの事です」
惑星リンクへの船舶航行数、平常時比で1900%増加。なおも上昇中。
黄金彗星とはそれほどの大イベントであり。経済要所の側面が強いリンクにおいてはそれに輪を掛けて
木を隠すなら森の中*1という事で、その群にTUFIRを積み込んだ我が船を紛れ込ませて亡命するという算段。本来ならUターンラッシュ、彗星祭りが終わった後に帰っていく船団に紛れ込ませるのが常套手段だが……それでは必死に足止めしているUSA査察団に間に合われてしまう。
ならばTUFIRにより良い道を聞く……という手段も取れないのが現状だった。
「しかし、TUFIR
「レベル5級の薬物投与、・大出力の電気ショック・切開、どれを施しても反応ありませんでした。早く腰を落ち着けて本星で対応しないと」
「こんな時に……っ」
TUFIRが壊れかけている。これは我々にとってあまりにも由々しき事態でしかない。
我々が隆盛できたのも、USAに食い込めるレベルの資金力を持てたのも、偏にコアユニットを手に入れ改造した事が大き過ぎる。これが無ければ我々は母星諸共に路頭へ迷う、と言っても過言ではないのだ。
「出立は50時間後だ。それまでは現状維持に務めろ」
「ヤプールとの話はどうなってます?」
「次元ゲートの件は既に双方把握済みです。座標x20・y51・z43地点に時刻6〇97〇で開くと」
「なるほど、それで足跡を完全に絶てる訳だ。ヤプールには感謝しなければな」
「そうだな。良い事を聞けたよ」
かと言って、光明が無い訳でもない。ヤプールは精神に深く関与できる生命体、彼らの手を借りればTUFIRの修理、または改良にも踏み込めるだろう。その未来へ行きつく為にも、この危難をまずは脱さねば……!
「ところでエスメラルダの捕虜は?」
「もう1階下にいる。有用な人質を置いていくのも勿体ないからな、かといってコンテナを増やすのも無理だからTUFIRと同じ箱に入れて持ってく予定だよ」
「雑過ぎるだろ」
階下。そこにはモネラ星人特有の檻、が並び、その中に数多くの人間が囚われていた。
先に捕まっていたのだろう、迷い込んだ民間人や他の星から差し向けられたスパイ達は水分を絞り尽くされミイラとなっている。その隣に並べられたエスメラルダ王太子ことエメリグと、彼の協力者であるUSAの若き准将も同じ道を辿りつつある。
そんな彼らに、歩み寄る影があった。
準備で忙しいモネラ星人が、それに気付く余裕は無かった。
《ワシは気付いとるが》
(なんだ起きてたのか)
しかし一転。影の頭脳に、エスメラルダ王家に大体伝わる術で以て直接語り掛けたのはワシじゃ。エメリグじゃ。
いつからワシが寝こけたままじゃと錯覚しておった?今は雌伏の時と見越して、虎視眈々と反撃の機会を伺って追ったのじゃよ!しかのこしかのこ、とな!
(その割には既に脱水症状のようだが。伺うだけ伺って、いざって時に動けなくなっていたら台無しだろう)
《やかましい!
(……)
このロクに姿も見えん目の前の奴が、ワシらをこの地下空間──モネラの巣窟へ導いた下手人である事は既に察しがついておる。それに良い様に利用された恨みを叩きつけつつ、真意を問うてやった。
此方としても助力には感謝しておるが、それはそれでこれはこれじゃ。そもそも真意を明かさぬまま急に現れ急に引きずり込むなど信用出来る訳も無し。
その点を突かれ良心が痛んだのか、影は一瞬動きを止め──あっ違う!これ全然痛んどらんわコイツ!!
《あっオイ待てい。お主
(なにって……栄養剤と睡眠剤とエトセトラを混ぜ込んだ代物だが?えーっと
《やめろー!そこは不浄の、アッー!!!》
(内心だけで器用に叫ぶな!別に掘る訳でもないんだから大人しくしてろ!!)
純潔がー!王族の純潔がー!!いやそんな物くれてやっても良いが、ワシはまだ眠る訳にはZzzzzzzz…………
「……お前の正体は、察しが付く」
(喋るな准将。体力は温存する物、そうだろう?)
「その前に一つ聞きたい……何を欲して、ここまでする?」
(強いて言うなら──
「アッー」
(しまった、今の流れだと俺がこいつらに発情してるみたいじゃないか)
(さて、どうなる事やら)
モネラ共に囚われて早数日。拷問にもすっかり慣れ、何の情報も吐かなくなった私──スライは今や放置されていました。
TUFIRの移転で忙しく、私に構う時間も人員も惜しいと言ったところ。
(……しかし。私を真に陥れた者は……)
それはモネラでもヤプールでもない。脳を欠けさせられた事で記憶もある程度失った私ですが、これだけ時間があれば察する事も容易です。
(バレット)
私が手繰る超獣どもをいとも容易く制圧し、そして基地内に逃げ込んだ私の脳を背後から撃ち抜いた者。その二者は同一人物だと、今なら理解できる。
だがモネラは言った。バレットは基地の外で死に、私を撃った侵入者は既に捕獲した、と。なら私の推測は誤っているのでしょうか?
(……詮無き事、ですね)
手に入る情報が限られる現状、どう頭を捻ろうと考察は進みません。栄養供給も無いから飢えますし、渇きますし、本来なら思考に費やすエネルギーすら節約しなければならない状況ですしね。
だから私は、せめて願望を抱くのです。
(このまま終わったら、怪獣墓場で祟ってやりますよ……!)
私の計画を、後出しで全崩壊させたあの蝉面。最早私の憎悪は彼にこそ向かっています、断じてモネラやヤプール如きではありません。
そんな奴が今更負けては困る。貴方は勝者でなくてはならない!
(良いでしょう。今回はTUFIRも何もかも持って行きなさい。次に私と相まみえるその日まで)
そうして、再び対峙したその時。
お前が勝ち得てきた総てを奪い、頂く。
来る日を楽しみとして、私は目の前の苦難を必死で耐えるのでした。
「サイヤ人を討て!」
「左翼の大猿を止めろ、合流させるな」
──戦争が始まって1年。
敵の首魁を前に、私達はとうとう決戦に挑んでいた。ここで負ければ、母星プラントは猿共の物となってしまうだろう。
そんな未来、認められない。だから私達は持てる技術の粋を集め、極め、存亡をかけて彼らに抗っている。
「4時の方角より攻撃を予測!デストロンガス発生装置が目標です!」
「マシンミュータント部隊γを向かわせよ!ウォルナ、次は!?」
「右翼突破の危険あり!別動隊の奇襲による牽制をッ」
その中で、私もまた戦っていた。身を張る形ではなく、頭脳を用いる形で。
私が戦況を分析し、お父様が指揮を執り、兵が勇猛果敢に侵略を食い止める。全ては愛する星を、愛する者を守る為。
(お母様、私達を見守って下さい……!)
銃後で待つ母へ誓う。けれど、その気負いが命取りになったのだろうか。
「ベジータ三世、突撃を仕掛けてきました!抑えきれません!?」
「中央戦線崩壊しました、向かってきます!!」
「しまっ……」
刹那だけ見落とした、敵方の首魁にして最大戦力の動向。このタイミングで奴が動くのは下策と、高を括ってしまっていた──奴らの野蛮さは、そんな物を余裕で踏み倒してくるというのに。
大仰な鎧をまとった大猿が、私達の乗る旗艦目掛けて一直線。僚艦達からの一斉砲撃をものともせず。
「総員退艦!ウォルナ、お前もだ!!」
「間に合いません!」
高速思考が
『ギャアッ……!?』
────けれど。その悲鳴は、私達の断末魔の叫びではなく。
網膜が捕らえたのは、
全天モニター越しに空を仰げば、すぐそこに答えはあった。
「あれは……バルタン軍?!」
「入電!我ら友軍なり、ツフルを救援せん!!」
「来てくれたのか……!」
空を埋め尽くさんばかりに押し寄せるその大軍は、かつて宇宙を彷徨っていた難民種族の物。それを我が国は支援し、
「バレットさん!!!」
その群れの中に、一番交流を交わした彼の姿を見つけて叫ぶ。聞きつけたように
状況は逆転。私達は勝利を修め、猿共の絶滅に成功しました。
地球を新たな母星として国家を樹立したバルタンと我々は、それを機に正式に国交を樹立。同盟国として技術と文化を交わし、互いに繁栄を築き上げました。ツフルの春、バルタンの栄華が極まる時代です。
次代にて私はツフルの女王として。彼はバルタンのリーダーとして。
星を跨いで手を取り合い、いつしか友誼以上の情さえ交わして、そして。
二人で、皆の未来を────
微睡が薄れ、意識が僅かに現実へ戻ってしまう。
認識したのは現在地が揺れる閉所である事。運ばれている事を自覚しました。
私の隣に生命反応二つ。モネラではない……けど、どうでもいい。
私にとってはそれが一番大事な事です。それ以外の全部を差し置いても。
生きる希望を捨てられなかった、私のそんな体たらくによって引き起こされた数多くの悲劇。それもこれも、私がただ
極まった絶望が、私に残された全ての臓器に生命活動をやめさせていく。もっと早く希望を捨ててれば、不幸にならずに済んだ命はもっと増えていただろうに。
ああ、でも。
それだけは後悔出来ないな。
もう会えないのに。私が死なせたのに、そう思ってしまうのは、バイタルが低下して脳が壊れ始めているから?
ならもうそれで良い。どうせ私は地獄に堕ちるんだ、最期くらい幸せな妄想に浸って終わろう。死に損なった肉塊らしく、この薄暗い物陰の中で今度こそちゃんと息絶えよう。
そう思った、刹那、ひときわ大きく揺れた。でも関係ない。私はそのまま意識を閉ざした。
閉ざそうと、した。
「何だ!?時空間異常か!」
「ヤプールに裏切られたのか?!」
……でも。
なんで?
「返信来ました。約束通りにゲートを開き、我々の通過も確認したとの事ですっ」
「ふざけるな!ではなぜ我々は──」
「何故も何も。お前達を逃がす訳が無いだろう」
嘘だ。死にかけてるから神経が狂っただけだ。あり得ない。
だって。だって。
「何者だ!?」
「……さてと」
「無視するな!答えろ!!」
消えた気配が外にいる。
消した命が其処にある。
もう戻って来ない、自ら捨てた、愛しくて仕方ないその声が!
──なんて愚かしく、甘い病なんでしょう。“希望”というこの二文字は。
死ななければならないのに。
生きていけやしないのに。
それでも貴方と共に生きたいと、今になっても願えてしまうのだから。
エメラナの祖父ことエメリグの容姿は、長髪ポニテ碧眼白肌の八重歯な合法ショタで想像しています
もしベリ銀withバレットが放映されていた世界線であれば、若りし頃のUSA准将と絡む
明日朝、また更新予定