絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
「────以上が、私が知る当時の顛末です」
「めちゃくちゃ深部まで知ってますね」
何が“お出しできる情報は一般と大差無い”ですか、と呆れてくるエメラナ姫に曖昧な笑みで返す他無かった。
それに関して言い分はある。あるものの、一先ず置いといて。
「改めて纏めると……
①モネラ星人がUSAを汚染していた
②ヤプールがモネラと共謀し、それによって惑星リンクが超獣製造工場になってしまった
③このままだとリンクを中心として銀河中に災厄がバラ撒かれてしまう……かに思われたのを、バレットと“天使”が阻止
④超獣達を封じ込めるべく、生存者のいなくなったリンクを、天使が我が身諸共に爆破。
……という帰結ですか」
「私視点での事の推移はそうなります。助かった後、バレットから提供された情報と擦り合わせて組み立てた“最も納得のいく推測”に過ぎませんが」
あの後は本当に大変だった。予測通りに銀河経済は上へ下への大混乱を催し、USA内では責任の押し付け合いが発生。その中を、身の丈を超えた
来る日も来る日も暗殺に怯え、襲いくる刺客に備えて撃退する日々……うん、今思い返しても全く良い思い出じゃないな。
「しかし、何故に当事件を“原因不明”としたのですか?ヤプールはともかくモネラには責任を問えた筈でしょう」
「何の事は無い政治取引ですよ、エメラナ姫。あのまま糾弾してもただモネラ星が袋叩きにされて破綻するだけ……だったら寧ろ、罪を隠して生かす代わりに、
「ぅゎ悪い大人」
「いずれ貴女も通る道ですよ。お覚悟を」
「分かっています。勉強させて頂きますね」
武力や技術供与に散々こき使わせて貰えたので、そこは割と余裕があった記憶。確かアレもバレットからの入れ知恵だったか……今思うと本当に傀儡にされてたな、私。
……で。
「なるほど分かりました。起きた悲劇、お爺様と貴方とバレットの縁の始まり、天使の存在。それがZ-P宙域で複雑に絡み合っていたんですね──
──それで、真相は?」
「
当然の疑問だ。先述の通り、私が今話したのは
だが確認の手段が無い。彼にとって都合の悪い証拠があったとしても、それは惑星リンクと共に粉々に消え去ってしまったのだ。
「これが“お出しできる情報は一般と大差無い”と前置きした理由なのです。バレットは暗躍で以てあの惨状を収拾してみせましたが、同じように暗躍によって得た物がある筈。もしかすると……悲劇の原因はモネラとヤプールであっても、黒幕がいて彼らにそうさせた──バレットが
「……!」
それが当時、私とエメリグが彼に抱いた疑念の正体だった。天使へ向ける情念は本物だと思うが、しかしそれ以外の点が一向に見えてこない、見せてくれない。
信用は出来ても信頼は出来ない男。それが政争に明け暮れた時代の、我らが抱いたバレット評。
「さぁ、貴女はどう思われますか?ここまで聞いてバレットを、Z-Pの英雄と見るか。悲劇の黒幕と見るか。信じるか疑うか、如何されますか」
その男は今、正義の光と共に在る。光或るところの影在り、と言わんばかりにその輝きに伏し支えている。結構な事だ、頼もしい限りだ……しかし、彼の抱く側面はそれだけではないのだから。
そんな私の懸念を帯びた問に、エメラナ姫は幾ばくかの間を逡巡に費やす。それを終えて、
「すみません。質問に質問で返しても?」
「御構い無く」
「では一つ」
彼女は恐る恐る口を開いた。
「まず、貴方が既にバレットを疑う気がありませんよね」
──っ。
「私が知る限りでも、エメリグお爺様はバレットと親しく接し心を許し、ベリアルが来るまで互いに陰ながらの支援を惜しみませんでした。なら同様の関係であった貴方もそうだったでしょうし……決戦の時だって、艦隊の総力を挙げてバレットの作戦を後押ししましたよね」
「それは……その作戦が最善だと思ったからです」
「つまり、光の側に在らんとする彼を
「!────ふっ」
そう言ってから、姫はニコリと笑う。その顔立ちに確かな
「私も同じです。ウルトラの光と共に立ち上がった彼の勇姿、それが私の知る彼の
「……ああ。そうですエメラナ姫、その通りですとも」
二度、助けられた。一度目はZ-Pの悲劇で、二度目はベリアル銀河帝国との戦いで。後者など、一度私はバレットを見限ったというのに、その上で救われたのだ。
これで尚も疑っていては、とてもではないが男が廃る。今度こそ報いるのだ。
バレットと、天使という
彼らが我らに望んだ、我らの“進歩”を以て。彼らに追い付くべく、進み続ける事で。
「しかし……天使。天使ですか」
「心当たりが?私も彼女の出自や種族を調べたのですが全く分からなくてですね」
「……
「ええ」
「浮いてたんですよね」
「ええ」
「こんな姿ですか?」
「記憶より幼いですが、ええ。似顔絵が巧いですn……
……待ってください、なんで貴女が天使の顔立ちを知ってるんです!?」
「やっぱりです!“ナナ”じゃないですかヤダー!!」
「はぁ!?彼女ってAIじゃないのか?!??!」
夢を……夢を見ていました。なんだかとても長い夢を……
まぁ、お母様が遺した記録なんですけどね。
「欲しい物はあるか?」
《脊髄にセロトニンVGを注射してくれませんか?凝っちゃって》
「全く、高いんだぞコレ」
そんな私は現在、体調不良と称してお父様と久々の団欒を満喫しております。ナナです。
あ~~効くぅ~~~っ!お父様の挿入、私のナカに響いてますぅ~~~~!!
「
「ごめんなさい許してください何でもしますから」
「あのなぁ……いい加減
「本気ですもん!」
「よりタチ悪い!!」
瞬間、私に迸る
虐待?ナンセンスな事言わないで下さい、これは私とお父様が繋がり合っている確かな証拠に他なりません。
ま、
「良いかナナ。お前は娘で、俺は父親だ。血の繋がりが無くとも、それでこの関係性は完成してる。だから俺はお前の恋人にはなれないしならない」
《……お父様が一方的に決め付けてるだけじゃないですか。私は納得してませんよ》
私は“スペア”だから。
少なくとも、私を生み出した奴等は、そこに存在意義を見込んでいました。
生体コンピュータとして囚われていたお母様。しかし生物だろうと無生物だろうと、酷使されれば摩耗は当然──
所有者であるモネラ達は、
その過程で生まれたのが私。ツフル人唯一の生き残り、ウォルナの
オリジナルが不調をきたした時、患部を取り換える為のドナー。母の子宮ではなく試験管の中で生み落とされ、意識も自我も持たされず、出番が回ってくるその日まで培養液の中を無意味に揺蕩う予備品。
私以前にも数多のクローンが用意され、オリジナルが死にかける度に、その延命の為に犠牲となる。そしてオリジナルが不要な肉を奪われていく度、私達もまたリソース削減の為に生まれ持つ身体を削がれていく。私は、私達は、そういう消耗品だったんです。
ならば、オリジナルが死したあの日。最新のクローンであった私もまた、存在意義を失い死ぬ筈でした。
そうならなかったのは──お父様の
そして、お母様の
(……いっそ、“記録”じゃなくて“記憶”を継がせてくれればよかったのに)
「ナナ?」
《乙女の秘め事です。詮索なんてしたらモテませんよ、私以外に》
「それは怖いな、用心しよう」
お母様は、ウォルナは、確かにお父様を想っていました。それについては認めましょう。一人遺される彼の行末を慮ったのでしょう。
だから彼女は、USA
そして、私の生命維持を司っていた機器に干渉し、この脳へ植え付けた──自分とお父様の逢瀬の思い出を。惨めで哀れな女の末期に救いを齎したヒーローの、輝かしい活躍を。
私が目覚めた時、そのままシームレスにお父様に憧れ、そのまま味方となるように。
それでいて
(私が歩む道は、全て貴女の思い通りですか)
ええ。その目論見通り、私はお父様に憧れ惹かれましたよ。
私が本来、そのまま生まれる前に死ぬ筈の身だったという知識。それがあるお陰で、新たな生きる意味をくれて、外の世界を教え導いてくれる彼の事を、本当に慕うようになりましたよ?満足ですか??
……そこまでするんだったら、どうしていっそ
(知ってるんです、学んだんです。貴女とお父様が睦まじく過ごした日々を、その光景が頭に焼き付いてるんです……っ)
例えるならお父様の前々世、“学校”とやらで読んだ“教科書”だ。そこに記された歴史の記録は確かに頭に入ってくるけれど、それは実体験ではない。記憶には、思い出にはなり得ないんです。
つまり私が見たのは、私そっくりの女が、私の憧れている男性に近付き恋を成就させる様という訳になります。ふざけるな!
(私を
もし記録ではなく記憶として覚えていたら。私はナナではなくウォルナとして再誕していたでしょう。そしてそのまま、死したオリジナルになり替わる形で彼と愛し合おうとした……それが受け入れられなかったから彼女は、私を
なんて卑怯な、なんて傲慢な、なんて身勝手なッ。
(自我も引き継がれると嘯いて、何食わぬ顔で全部継承させてれば!お父様が気に病む事だって無かったでしょうに!!)
でももう
臆病なまま死んだあの女は、彼の傷痕として永遠に残り続けるんです。それが私は、あまりにも悔しくて、だから────
「落ち着け」
《……お父様》
「宣言通り詮索はしない。だが抱え込んで鬱屈に堕ちていくのを看過するつもりも無い」
──ああ、お父様。
私の、雄々しく逞しく愛しい殿方様。
「だから、話せる時になったらちゃんと言ってくれよ。俺はずっとお前と一緒だから」
《!》
「俺はお前の父親だからな」
だからこそ、私は。
こんな私を、ただのお母様のコピーではなく、別の唯一な存在意義で以て接してくれる貴方を、私は。
「私も……ずっと貴方の娘ですよ」
ウォルナではなく一個の
復讐?そんな後ろ暗い動機なんかじゃありません、私は至って前向きですよ。だってそうでもしないと、お父様が過去に囚われたまま幸せになれないじゃないですか。
元よりお母様が私を生かしたのは、お父様を助けて幸せにする為です。それを遂行するにあたって
(お父様の心を私の物にして、お母様なんか忘れるぐらいグチャグチャのドロドロに幸せにしてやります!!)
「ん?おーいウォルナ、今度はどうした」
『バレット、お望み通り薬剤を調達してきましt……何が起きてるんです?』
「悪いなミラーナイト。ナナのカプセルを修理しようとしたんだが、中のナナがどうにも妄想で暴走して爆走中だ」
『年頃のお嬢さんですからね。そういう時もあるでしょう』
(その為にはまずお父様の仕事を助けまくって、過程で何とか
今の私の本体を構成するのは、脳と心臓と、後ちょっとの内臓だけ。つまり晩年のお母様より
此処から私は這い上がってみせます!応援してくれたダークロプスZeroの為にも、頑張りますよナナ!!えいえい、おーっ!!!
……お母様と言えば。
《お父様、申し遅れましたがモネラ星人が何か企んでいるようです。
「ほう?」
『そういえば、たった今ゼロ達からも連絡がありましたね。なんでもUSA司令から、Z-P宙域を飛ぶ黄金彗星の護衛を依頼されたそうで』
《多分その件です。モネラが“鳥”を撃ち落とそうとしてるんですよ》
「……モネラが、Z-P宙域で、黄金彗星を……だと?」
因果は収束する。
私を生み出した軌跡が。今一度、あの場所へ。
エメリグ「蚊帳の外なんじゃよね怖くない?」
現王「逆襲のヤプール編まで待っといてくれ父さん。ゼロキラーザウルスに食われる見せ場があるから」
エメリグ「それ死んでない??ねぇそれワシ死んでない???」