絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
やはり続編としてウルトラマンZZをですね……欲しいですね……
駆ける。
駆ける。
駆ける。
彼方で待ち構える敵へ、駆ける。
M78ワールドのウルトラマンとして、ゼロは破格の速さを誇っていた。再生されたばかりとは言え100体弱の怪獣を瞬く間に殲滅した走力は伊達ではない。それを成し得た膂力、火力もまた。
その足で一たび走れば、如何なる間合いの戦況でも即座に超接近戦となる。今回もそうなる筈だった。
(捉えられねぇ…!)
接近はできる。が、振るわれたゼロの蹴りは空を裂いた。
バルタン星人——バレットはすぐ目の前にいる。しかしどういう理屈か、霞を押すが如く
『マトモに当たれば首をもがれるな』
冷静に分析するバレットへ向け、カッとなったゼロは拳を突きつける。しかし間合いを見切られたのか、今度は透過されるまでもなく紙一重で届かない。ただ一歩ほど仰け反られただけで。
『イヤミか!』
『事実だよ。今度はこっちの手番だ』
腕を振り抜いた隙に距離をとるや否や、バレットはまとっていた外套を翻し——
飛び出てきたのは砲身。その数も概算30に上って。
砲口まみれのハリネズミとなった敵の姿に、その全てが自身へと照準されている事実に、ゼロは心底怖気が立つ事となった。
『出し惜しみはしない。簡単に死ぬなよ』
『それ以前にどこに収納してんだその物量———!?』
発光、即斉射。黄、紫、緑の三色の光の雨が、それぞれ意志を持つように若きウルトラマンの描く軌跡へ食らいついた。
悉くが誘導弾。捻じれ迫るそれらの中を駆ける、駆ける、駆ける。攻撃する為ではなく、今度は躱す為に。
(いやらしい構成じゃねぇかッ)
黄色の光弾はひたすらに速い。だが追尾性能は程々、一度避ければ次に襲い来るまで旋回に時間を要する。
一方、紫の光線は低速だ。しかし異常なまでの捕捉力が洒落にならない、気が付くとすぐ傍まで接近されているし振りほどくのも難儀。
緑の閃光はその中間だった。黄色と紫の間を埋めてくるように、休憩を許してくれない。
そしてそれら全てが障害物回避機能を完備しているようだった。まるで獲物に絡み付く蛇のようで、全種類に掠られたゼロは着実にその脅威度を測り取った。
雨はやまない。光のカーテンに阻まれ、バレットの姿は捉えられない。
ゼロは策を打った。
「オルァッ!!」
走る勢いを乗せての
光弾達は即座に対応し、滞りなく進路を上空へ向けた。唯一防御の手薄な上方から目標を穿つべく。
それこそがゼロの狙い。
「まとめて消えやがれ!」
一方向に束ねられた光弾たちへ向け、放たれるはエメリウムスラッシュ。貫通力に優れたそれは次々に弾を打ち抜き、誘爆を引き起こして壊滅させたのだった。
だがゼロに油断はない。すぐさまバレットを見つけるべく、岩壁に囲まれた現況を脱しようとして——
——ここでバレットが読み勝つ。
ヌルリと壁を透過してきた超音速突進を受け、ゼロは抗う事もかなわず吹き飛ばされた。
『渾身の新技だったが、手応え無しは流石に自信を失いそうだ!』
『死ぬなっつったのはテメェだろうが!?』
『
勢いそのまま、二体縺れ合ってクレーターの中を
その最中で、ゼロはバレットの思惑を正確に図り取っていた。いや、自らの肩をガッチリと掴む鋏が、その熱量を高める感触から悟らざるを得なかった……という方が正しい。
(接射か!)
遠距離では確実性に欠けると判断したか、捨て身の策。原理不明とはいえ透過による爆風回避も加味すれば、賭けの勝率は相手の方が遥かに高いだろう。
実際、バレットとしてもそのつもりだった。
(この状況じゃ避けれまい…!)
ウルトラマンとバルタンではそもそもとして肉体強度に差がある。接近戦自体が長引いてしまえばこちらが不利、こうやって組み合いながら跳ね回っている一連のダメージ量としてもバレットの方が大きいのだ。
だがそれも“終わり”の目途が立っているなら話は別だ。最大チャージの一撃を至近距離で叩き込めば、さしものウルトラマンといえどただでは済まない。
そう考えていたバレットの目の前で、ゼロの頭部から二つの輝きが飛んだ。アイスラッガーだと判断するのに一瞬も要らなかった*1。
(それも予測済みだっ)
ウルトラセブンの必殺武器と同種のそれはしかし、物理攻撃故に透過の餌食にしかならない。胴なり首なり透けさせてやり過ごせばいい。
そう思いながら、念力によって放たれる刃を眺める。その着弾地点を正確に見極めるべく、注視を続け。
次に読み勝ったのはゼロだった。
『——なに!?』
『へッ…!』
ゼロを掴んでいるため、唯一透過できない両手の鋏。その根元をピンポイントで断ち切られた事により、バレットは見立ての甘さを後悔させられる。鋏そのものなら硬度も高く切り裂かれる事もなかっただろうに、よりにもよって最も柔い部分を一撃で。
(実体範囲を見切ったというのか!?この高速環境下で!!)
平衡感覚すらあやふやになりかねない戦況で、しかも立て続けに岩壁からの衝撃に襲われながら
そう思慮した瞬間、二体へ更なる衝撃が襲い離れ離れになった。とうとう負荷に耐えられなくなった岩壁が崩壊したのも同時だった。
二つの巨体が宙を舞う。先に着地したのは———バレット。
『……スゥーッ』
両手の
猶予は無い。
選んだのは、“口”である。
『フゥッ———!!!』
赤色冷凍光線。本来は鋏からしか出ないそれを、バレットは自己改造により全身の穴と呼べる全ての穴から出せるようになっていた。それ故の奥の手、猫を殺す窮鼠の牙。
ノーモーションで放たれたそれはまっすぐにゼロへと突き進む。当たれば硬直により致命的な隙を晒し、躱しても完全な姿勢崩壊をもたらすであろうそれを、ゼロは。
『舐めん、なッ!!』
右手のスラッガーを以て、弾き飛ばした。ウルトラマンの中でもズバ抜けて優れた反射神経を前提として、初めて披露出来る神技であった。
しかし、回避と同様に姿勢は崩れる。無理に振り抜いた上半身、地に着いた足がそれに引っ張られてタタラを踏む。
弾かれた光線も、見当違いの方向へ飛んでバレットの視界から消えた。
『一手、遅れたな?』
右手の再生完了。バレットはすぐさまエネルギーチャージ、ようやく二本足を着いたゼロへと向けた。この局面で外しはしない、チェックメイトだと確信して。
1/1000秒。ほんの僅かな間を空けて、バルタンの総身は来たる決着の反動に身構え───
───その姿勢のまま、
(……?)
思考すら止まったかと錯覚するほどの全身の強張り。しかも弛緩できない事に気付くまで更に1/100秒、やっと正体を知る。
『
あり得ない。自分が放ちゼロに弾かれたそれは、あらぬ方向に消えていった筈だ。そう考えた所で、頭上に煌めく反射光の存在に気付いた。
スラッガー。ゼロの手にある物の、もう一対。キラキラと輝く面が自身へと向けられている事で、バレットは事の絡繰を完全に把握した。
(スラッガー2枚掛かりで、反射した凍結光線を迂回させたのか!反射衛星砲じゃあるまいし……!)
いずれにせよ、ここに来て形勢は完全に定まった。一方は地に両の足をつけ、一方は全身をピクリとも動かせない。やがてゼロの両腕に光が満ち始め、それによりバレットは己の未来を悟る。
(……嗚呼、そうか)
詰みだ、と。
かつて焦がれた必殺の光が、この身に浴びせられるのだと。
スペシウムだろうか。それともワイドショットか。立ちはだかる巨人の顔立ち、構えを見るに、おそらく後者か。
だが──不思議と、悪くない気分だった。
『……や、れ……』
終わらせてみせろ。
お前が真にヒーローならば。
そう願って、バレットはその視界を閉ざした。
……おかしい。
数拍を経て、バレットは疑念と共に視野を再び開く。いつまで経っても
何故まだ、俺は生きている?
『……!!』
その答えは目の前に。
力尽き、膝を突いたゼロの有様で、示されていた。
未だ3分には程遠いと言うのに。
「何だ……?」
重傷を負った俺は、度重なる地揺れに耐えながら歩を進めた。ナオに肩を貸してもらいながら、それでも巨人達の激闘の行末を見届ける為に。
やがて揺れが収まり、辿り着いた崖の上で目にしたのは……何とも奇妙な光景だった。
膝を屈し、疲れ果てた様子の光の巨人──ゼロ。
一方、左手を失った状態で微動だにしない──本当に静止画みたいに動きを止めたバルタン星人──バレット。
時間が止まったような空間で、それでも両者の間に張り詰めた空気だけがある。俺もナオも、それに気圧されて動けない。
それを打ち破ったのはバルタンの方で。しかもその手法は、余りにも突拍子の無い物だった。
『……───フンッ!!』
「っ、ナオ見るな!」
「えっちょっ兄貴!?」
『テメェ……!?』
ブチブチブチィッ、と音を立ててバルタンの首がちぎれたんだ。血は吹き出しもしなければ流れもしない、それでも余りにグロテスクな景色に思わずナオの目を塞いだ。
首はフワフワと浮かんでいたかに思えば、放置されたままの胴体から外套だけ口吻に引っ掛けて回収し、そして。
『キエラ・ソル・カレカレータ』
『!』
何か未知の言語を発した後、飛び去っていく。光の巨人には意味が通じたようだが、俺達にはさっぱり分からない。
……そこで限界が来る。ナオの力を借りてですら立てず、俺はその場に崩れ落ちた。
「兄貴、しっかり!ねぇってば!!」
まだだ。まだ死ねない。
弟に希望の一つも残さないまま、死んでられるか。
その一念で掴んだ胸元の石ころ。仄温かいそれを、俺は最後の力でナオに押し付けた。
「……何の真似だよ!?」
「これは…最後の、希望……!」
この宇宙のどこかに眠るという“バラージの盾”、その欠片。ベリアルという脅威に晒されたこの世界で、弱者を救う光になり得る伝説。
俺はもうダメかも知れない。だが、引き継ぐ者がいる限り、俺の希望は死にやしないから…!
「お前が見つけるんだ……!!」
「何言ってんだよ、2人で見つけるんだろ!」
ナオの叱咤に反論する力すら湧かない。流れた血が、体温が、意識を曖昧にして視界をボヤけさせていく。
それでも俺の目は確かに捉えていた。俺達を見下ろす双眸、光の眼差しを。ダークロプスなんかとは違う、正義の希望。
彼になら。
「俺の身体、くれてやる」
『……!?』
鳴り響くタイマー音、疲れ果てた様子。その巨体、長くは維持出来ないんだろ?
俺はもう死ぬ。だからこの身体を、空いた器を、次に戦う時までの隠れ蓑にしてくれないか。それで家族と、そして宇宙を蝕む者の野望を、お前が食い止めてくれるのなら。
後悔する事は無い。
「ナオを、頼む……!」
震える声音で告げると、巨人が返してきたのは首肯。大きく、ゆっくりと、まるで俺を労るみたいに。
そうか、それなら───
その時の事だった。
「兄貴!空に!!」
ナオの悲鳴で一転、目が冴える。そして認めた光景に背筋が強張った。
ダークロプスが2体、ゼロの真上に浮かんでいた。さらにその奥には、ベリアル軍の戦列艦も。
艦底の砲塔が不気味な光を宿す。砲撃!
「ナオっ!」
「兄貴……!」
せめて守るように弟を抱き寄せた。同時に、俺達を影が覆う。
ゼロが、庇ってくれた。
(やっぱり、お前なら)
託せる。
こんな危機的な状況で、なのに安堵する自分が不思議だった。それはきっと、ゼロの光が優しい色をしていたから。
砲火がダークロプス達の背中に直撃する。動力炉に点火したのだろう、巻き起こる大火炎。
押し寄せるそれを前に、俺は大いなる光に抱かれて───長い眠りに就いたのだった。
───爆破範囲はどうだ?
《半径3kmの圧縮爆破を確認。範囲内の物質は消滅しました。ダークロプス2機のエメラル炉心は完全に機能したと見られます》
───そうか。なら良い。
《帰還されますか?》
───いや、医療ポッドに入る。首から下がこの有様なんだ、流石の皇帝陛下も許して下さるだろう……とはいえ、ダークロプス誘爆の言い訳も含めて報告を済ませた後になるがな。
《分かりました。こちらでテンプレートを作成しておきます》
───助かるよ。ああ、本当に疲れた。
それと。
さらば、ウルトラマンゼロ。
バレット氏の前世は初代リアタイ世代なので、当然ヤマトもリアタイ世代です