絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
──いや嘘じゃないんですけど、予定変更させていただき申す
※なお母星は爆発済みとする
──ウルティメイトフォースゼロ、か。
『今のところ、ゼロは上手い具合にやっていけているようですね』
『ああジャック。何よりな事だ』
ダークロプス戦役が終わって、それを発端にした宇宙の混乱を鎮めた頃合いで送られてきたゼロの報告書。それを読んだ感想は上記に尽きる。
現地の
……その最終ページを捲った所で、手が止まった。
『バルタン星人、バレット……か』
役職は、強調するように“暫定”と記された参謀。ベリアル軍にて獅子身中の虫として暗躍し、ゼロ達を勝利に導いた陰の立役者だという。本業は狙撃らしいが、近接戦闘でもゼロを攻めあぐねさせるほどの技巧を持っているようだ。
『別宇宙とはいえ、バルタン星人が味方になってくれる日が来るとは思いませんでしたね』
『そう、だな』
『……マン兄さん。何か引っかかる事でも』
しかし、私が抱くこの霞掛かった感情を、兄弟に隠し切ることは叶わなかったらしい。だが彼もまた
『ジャック。お前の地球駐留任務の折、初代バルタン星人の息子が攻めてきていたな』
「ええ。確か彼、ジュニアの攻撃目標は……』
『流石ウルトラマン、ここにいる事がよく分かったな!』
ビルガモを
MAT隊員を閉じ込め、人質とする事によりジャックの反撃を封殺。それにより手を拱かせている内に基地へ潜入する──それこそがバルタン星人ジュニアが描いた“ビルガモ作戦”の真の狙いだったのである。
『所詮ビルガモは有人兵器。無人操縦ではお前を満足に足止めする事は叶わなかったようだが……俺の目的は果たされた!』
『……!!』
ジャックは間に合わなかった。巨大化し対峙するジュニアの鋏には今、一つの倉庫区画──後世にて
『そう。これは敗北でも勝利でもない……勝負はまだ一回の表だ!!次は必ず、お前達の命を貰いに来るッ』
宣言と同時に飛び立つ肢体。一瞬だけ遅れ、ジャックからは必殺技の贈り物。
『さらば──ウルトラマン!!!』
結果はどうなったか。答えは
情報を奪われ、ビルガモは倒したものの、首魁に関しては討てたどころか最後の一矢が当たったかどうかも分からないまま。何とも煮え切らない悔しい結末を迎え、その事件は幕を下ろしたのだった。
『奪われたデータはコピーを取っていたので、失われる事態だけは避けられました……しかし原本を持っていかれたのは手痛い結果です』
『盗まれたのは主に初代バルタン周りの記録だったな』
『はい。そして何より不気味なのは、その戦果をバルタン側が
言い終えて、二人考え込む。それだけバルタンの、彼らの住むR惑星の動向は不可解な物であったが故に。
現在、R惑星は“鎖国状態”にある。他のどの星間文明とも全く交流せず、元来の軌道を外れ遊星として彷徨っているのが現状だった。
何があったのか、何が目的か、それを微塵も垣間見せず完全に殻に閉じこもったバルタン。エイティが戦った4代目・5代目の言動を見るに、その文明レベルはかなりの回復を終えたようではあるが……?
『ならば何故、リスクを冒してまで奪還した
そこが謎。それゆえの不気味。
ジュニアは明らかに我々ウルトラマン、及び地球人への復讐を続行するつもりの言動をしていたというのに。後続に思想的な繋がりは感じられず、それが終われば今度は引きこもり。ハッキリ言って何を考えているのか全く分からないのである。
それでも、鎮静状態であるならわざわざ刺激する事も無い。それが宇宙警備隊としての最終方針となっていた。
では、どうして今になって
『……当時。初代バルタンを撃破後、彼らの仲間が地球上で隠密行動を取っていた痕跡を
『それもまたジュニアに奪われた資料に含まれていたでしょうね』
『だろうな。その中に一つ、異質なものがあったのをよく覚えている』
『?』
その、理由は。
『
『──何です、って?』
ジャックが慄く。その視線は手元の資料とマンを行き来し、まさかという感情を露にした。
『彼が、その“バレット”と同一人物だと……!?』
『分からない。だがあの日誌の内容は当時の我々では唯一解読が叶わなかった物……ジュニアが奪取を目的とするなら、それ以外考えられない』
『となれば……!』
もし、彼が記述者その人であるなら。
かつてどうであったかは兎も角、今はゼロに快く協力してくれているというならば……聞き出せるかも知れない。そこに記した内容を、ジュニアがそれをどう利用するつもりだったのかを。
『…………うぅむ』
尤も、マンにとっては
『マン、ジャック、いるか』
『ゾフィー兄さん』
『何か事件でも?』
部屋に入ってきたのは宇宙警備隊の栄えある隊長、ウルトラ兄弟の長兄だ。ちなみに最近、何処とは言わないが耐火性能を高める特訓に成功したらしい。何処とは言わないが。
そんな彼が弟達を呼ぶほどの事態。マンとジャックは如何なる事態にも臆さぬよう、気を引き締めて次の言葉を待った。
『地球人がR惑星を発見してしまった』
内容はタイムリーかつ、ある意味で
『戦闘状態に?』
『いや、地球人達も慎重を期してくれたからその心配は一先ずない。その時の様子はこの動画を見てくれ』
──地球人は
もう我々の庇護は要らない。なら過度な干渉は逆に悪影響……ならば黙して見守り、同じ地平に来る時を楽しみに待とう。
では他の星の文明と地球人が接触したと言えど、戦争にさえならない限りはノータッチが基本。助けたい気持ちを必死で我慢し、彼らの選択を尊重すべし……というのがウルトラ兄弟の総意だったのだ、が。
《ワープ事故だ!位置は分かるか!?》
《座標20500-38955-431。本来の目標より距離4000のズレです》
《まだ戻れなくは無いな、良かった。取り敢えずあの星に降り、体勢を整えよう》
《……待って下さい艦長》
《どうした?》
《あの星、その……教科書で見覚えが》
《……R惑星では?》
《そうそうそれそれ、ってゑゑゑゑゑゑ!?》
《は?!バルタンの巣窟に迷い込んだのか俺達はッ》
《転進だ、我々の手には負えん!気付かれる前に再度ワープしろ!!》
《了解!!!》
バルタンは些か、話が違う。
今の地球人類でも太刀打ちできる相手ではなく、そして
……こうなってしまえば無視は出来ない。情報を得た地球人の政府は対策を講じるだろうが、もしそれがバルタン側の復讐心に火を点けてしまえば台無しだ。こればかりは宇宙警備隊としてある程度の介入が必要だろう。
がしかし、先述の通りウルトラマンもまた当事者。下手に地球人の肩を持ってしまえばバルタン側がどう爆発するか。
どうするか。どうすれば良いのか。例え後に本会議が開かれるとしても、その前に具体案の一つでも挙げておきたい気持ちに駆られて三人は熟考に耽り──
「──彼を呼ぼう」
マンが搾り出した鶴の一声。
それにより、或る一人がアドバイザーとして招聘される事と相成ったのである。
『ところで、この動画はどうやって入手したんですか?第三者視点ですし、音声は明らかに思念波を盗聴してますよね』
『あ~それな。新人警備隊員が
『は???』
『もしかしなくとも懲戒モノでは』
『いや、当日割り振られていたパトロール範囲をギリギリ超えてなかった。本人が“自分で自分がキモイ”と自白してきたし……取り敢えず謹慎させたよ』
『……ダークロプス戦役で脳を焼かれちゃったんですかねぇ、地球人に』
『気持ちは分かるが、そろそろ締め付けを厳しくした方が良いか……!』
『つー訳で、今度俺と一緒に光の国な』
初耳だが?
あまりにもあんまりな情報に、複眼を白黒させて問うしか無かった。一方ゼロはあっけらかんとしたままである。
『そりゃ今言ったからな。俺自身知ったのはついさっきだし』
『待て。いや待ってくれ、色々確認させろ』
『なになに、何があったんでぃ』
『ゼロが実家にお呼ばれしたそうで。ちなみにバレットも指名されてるとか』
『引き抜き……という言葉は古巣には当て嵌まらないか』
「ゼロはそうですがバレットは……彼がこの宇宙から居なくなってしまうのは寂しいです」
『姫様の仰る通りだ!私は断固抵抗するぞ、拳で!!』
『『「
『ショボーン』
隅で茶をしばきつつ騒いでる連中を放っときつつ、俺は脳内情報の整理に一旦専念した……が、いつまでたっても情報が完結しない。ええいどうなっている?
《仕方がありませんね。此処はこのナナが、不躾にもゼロが端折った詳細含めて懇切丁寧・単純明快に説明して差し上げましょう!》
『うわ出た』
『いや、頼む』
《頼まれました!》
ちょっとナナフィルター入れないと現実を受け入れられる気がしなかった。例え硫酸を幾ら薄めようが、人体に毒である事など変わり無いというのに。
さて、結果や如何に?
《バルタン星人に土下座して地球人共々許しを請いたいのですが、どのツラ下げて行けば良いか皆目分かりません!!つきましてはどうか、どうか!私共が降伏するにあたり、どうか貴方によるお取次ぎをして頂きたい!何でもします!総てを捧げます!!全国民の命を賭し、バレット様へ忠誠を捧げましょう!!!故に我らに許しを!!過去の過ちを償い、贖い、貴方に報いる機会を!!!!その赦しをバレット様、どうか我らに!!!!!──
──という事です!!!》
『それ見た事か、改竄まみれだ!!』
《一般ウルトラマンは黙っててください!》
『良いんだゼロ。大体わかった』
『本気で言ってんの???』
1900%増しの誇張が加えられたであろう文言に癒されながら解析し、信憑性のある部分を読み解く。うん、これで事態を飲み込めたぞ。
要するに、光の国・R惑星《新バルタン星》・地球で接触機会が出来たから、穏便に事を運ぶ為にも仲介役を頼みたいと。ウルトラマン側からの依頼で。
うん、うん。なるほどな……
……り、だ。
『無理に決まってんだろォ~~~!!!』
《えっ》
『「バレットさん?!」』
『畏れ多過ぎる!畏れ多すぎるんだよ光の国の方々にお目通りとか!心臓が保つかァ!!!』
『あーもう!親子で逆方向に爆発しやがって!』
耐えられる訳無ぇだろうが、と頭をゴッゴッと打ち付けるも、ゼロとグレンに阻まれてしまう。ええい離せ、俺は一先ず気絶して夢の世界に避難するんだ!
『お前ともあろう奴が現実逃避かよ!!?』
『グレン、ちょっと羽交い絞めしとけ。ビンタで目を覚まさせる』
《お父様に暴力は奮わせません!!ここは私が穏便に脳神経遮断を……》
「バレットも狂乱する事があるんですね」
『姫様、見てはいけません。アレは我らには救えぬ者です』
好き勝手言ってくれるな、こちとら千どころか下手すると万年単位で昭和ウルトラファンなんだぞ?狂うに決まってるだろこんなの!
前々世の知り合いに末期のアイドルオタクがいたけど、今になって気持ちが分かるだなんて思わなかったよチクショウ。推しからの個人呼び出しとか灰になって余りあるわなそりゃ!!
『あのなぁ!どこでどうやってお前が親父達を知ったのかは知らないけど、お前は彼らの事を尊敬してくれてんだろ!?
『 行 き˝ た い っ !!!!! 』
『お~心からの叫び』
『言えたじゃないですか』
だがしかし抵抗もここまで、あっさりと本心を引きずり出されて脱力してしまった。あの日憧れたウルトラマン達、その本物に会いたい。光の国を一目見たい……その気持ちは抑えきれなかったから。
……俺がいなくなった後の種族としてのバルタンや、ジョーがどんな道を辿ったのか。ここまで来たら、知っておくべきかも知れないしな。
《はぁ……しょうがありませんね全く。こっちの宇宙の衆愚はちゃんと監視しておきますから、お父様は憂いなく羽を伸ばしてきてください》
『ナナ──良いのか?』
《お父様は頑張りましたもの。そのご褒美ってヤツです》
『……ありがとうな』
『んじゃ、俺とバレットは暫く空けるから。グレン、ジャンボット、ミラーナイト、ナナと一緒にこの宇宙を頼んだぜ』
『任せろっての!』
『了解したっ』
『久々の里帰りなんです。土産に期待させてもらいますよ』
そのままトントン拍子で話が進み、早速荷支度を開始。土産とか持って行っていいだろうか。何か喜んでもらえる物を……ええい分からん、取り敢えず詰め込める物を全部乗せだ。あっそうだ
《お父様!重量オーバーです!!》
『その不思議
orz。
「今回、エスメラルダ王女としても個人としても、私が介在できる余地はありません……が、平和の志を共にする者として、今回の交渉が万事滞りなく進む事を心より祈っています。頑張ってください!」
最後はエメラナの見送りに手を振って、ゼロが開いた時空間ゲートへ。はてさて、
『なぁに、悪い事にはならねぇさ』
『だと良いがなぁ』