絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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3話目ですが、この章はそんなに長くはならない筈です
多分


※広義において母星はもう一つある物とする

地球政府は頭を抱えていた。

首脳陣192名、全員そろって会議室で頭を抱えていた。防災訓練かな?

 

「……で、どうするか」

 

無論違う。彼らが頭を抱える対象は降り注ぐ瓦礫ではなく、ディスプレイに表示された一つの星だ。

その名はR惑星。バルタンが流れ着き、新たな拠点として、行方不明になっていた所をつい最近になって再発見した……()()()()()()星である。

 

「観測状況はどうだ?」

「発見したアルトリアドラゴン*1のワープデータを基に、該当座標にステルス衛星を送った。この画像は当衛星が撮影した物だ」

「今の所は向こうに動き無し……衛星を逆利用されてなければ、の話だが」

 

バルタンは侵略性宇宙人である。少なくともかつてはそうだ。

地球に出現すること6回、その全てで人類への敵対行動を取ってきた“筋金入り”。そんな彼らの寝床を特定してしまった現状というのは、なんとも吞み込み難いものであり。

 

「……もし相手が、発見された事に気づいていないのならば……」

 

──地球人類は、いつだって選択肢を()()()()()だった。だが今回は違う。

 

今は人類の手元にこそ多くの札が配され。

そしてバルタン側のそれを制限できる。そういう逆転が起きている。

つまり?

 

「我々の出方で、すべて決まってしまう……!」

 

手を取り合うか。

それとも再び殺し合うか。

 

その択を今、人類は()()()握らされたのだ。

その重さ、その恐ろしさ。それを現在進行形で実感しているからこそ、首脳陣質の纏う空気が際限なく重いのだ。

 

「重要なのはファーストコンタクトだ。定石通り、まず非武装の使節団を送り……」

「いや、文化が違い過ぎる。“生命”の概念からして我々とは齟齬を持つ種族だぞ、何を失礼と見做され火種に発展するか分からん」

「それ以前に、現在こそほぼ関りが無いとはいえ、地球とバルタンは形式上交戦状態を維持しているのだ。尤もこれは地球人視点の話ではあるのだが……」

「かと言って武装をチラつかせればどうなるか。どうにかして相手に、こちらの戦闘意思が無い事を示す手段は無いのか」

「我らは彼らの何も知らん。知らん事には何一つ確証できん」

 

喧々諤々と交わされる議論だが、解決への糸口は見えない。と、頭を完全に煮詰まらせた一人が提案を放った。

 

「……光の国に仲介して貰えないだろうか?」

 

「それは……」

「……うぅむ……」

「いやしかし」

「……なぁ?」

 

──断言しよう。彼らは()()()()を辿った人類であると、何度でも。

 

バルタンが行って来た侵攻、帰らぬ被害。それが再び襲い掛かってきた場合への恐怖……それを知ってなお、報復を二の次として平和的な解決を模索している。

同時に、ウルトラマンに頼る事を忌避している。守護者への依存を良しとせず、一つの種族として自立を目指す矜持がある。この苦境にあって選択肢として考える事はあっても、すぐさま寄り掛かりはしない。

 

光に灼かれ、光に焦がれ、光を目指してきた幾星霜。その結実は、何もダークロプス戦役で駆け付けた殴り込み艦隊だけではない。彼らもまたそうなのだった。

 

「取り敢えず……箝口例は継続だ。市井に漏れたらどんな沸き方をするか分からん」

「殴り込み艦隊の大成功で、些か舞い上がり過ぎている民衆も居ますからな。それが安牌でしょう、知らせるには早い」

「どうせなら我々も知らぬままでいたがったがなぁ。知ってしまった以上は……」

 

兎にも角にも、先手を貰ったのは地球人側だ。手番ならば、選ばなければならない。

 

行動か、静観か。

 

静観するにしても、その間にどう備えるか。

 

交渉に向けた研究か、それとも……更に他を考え……考え尽くして……

 

……本当に他に何も無かった場合の、軍備か。

 

 

「ZAPより緊急報告!!」

 

 

いよいよ会議が進まなくなったその折、突如開かれたドア。

伝令が叫ぶ。

 

「スペースペンドラゴンがウルトラマンと接触した模様です!!!」

 

誰かが、「せーの」とさえ言った。

 

 

「「「「「 ま た 彼 ら か !!! 」」」」」

 

 

──その声音にちょっとした“羨望”が入り混じっていた事は、想像に難くないだろう。

 

 


 

 

オキです。

城南国際大学卒、専門は怪獣学で博士号取得済み。現在はZAP所属で、ペンドラゴン班に現地生態研究員として配属されてます。オキです。

そんな僕は今、或る超大型VIPに紅茶を淹れています。お茶請けのオキです。

 

「どうぞ、ウルトラマンさん」

「有難く頂こう」

 

そう!ウルトラマン!!あの御人がハヤタ・シンの姿で、僕らの船になんと二度目の来艦です!!!

うわぁぁ、光栄だなぁ!ちゃんと美味しく淹れられたかなぁ、ねぇレイ?!!

 

「落ち着け」

「アタッ」

「相変わらず騒がしいなぁお前は」

 

レイからはチョップを、そして人間体のゼロから更にツッコミの追撃を喰らってしまう……けど、そうだよ、ゼロまで乗ってるんだよこの船に!ウルトラマン二人を迎えた船なんて僕らが初めてなんだよ、その意味分かってる!?!帰ったらクマさんとハルナさんに自慢しなきゃ~!!

 

「だから落ち着け」

『キャシャア』

「バワワワワワワ」

「……大丈夫なのかソレ」

 

リムゴモラに振動波を直当てされて敢え無くダウン。そうしてる間に、僕らのボスがハヤタさんの体面に座った。

 

「まず、貴方とまた逢えた事を嬉しく思う。しかし何の御用で──いえ、R惑星の件か」

「……話が早くて助かる。箝口令が敷かれていると思ったが、貴方は例外だったか」

「そうでもない。だが、私も人間基準における老兵……貴方に比べれば若輩も良い所だろうが、それなりのツテがあるので」

 

交渉開始。僕にはなんのこっちゃかよく分からないけれど、R惑星って事はバルタン……の事かな?

 

「地球の上層部は頭を必死で捻っている頃合いなんだろうが、きっと良い案は出てこない。情けない話だが、貴方がた宇宙警備隊に頼るのも時間の問題だと思っていた」

「卑下しないでくれ。こちらもまた、君達に頼りたいがために接触したのだ」

「……ウルトラマンが、俺達を、頼る?」

「謙遜すんなよレイ。ダークロプス軍団相手の大立ち回り、俺だって知ってるんだぜ」

 

えへへ、頑張りましたもんね僕ら。そこまで高く保評価してもらえるなんて鼻が高いですよえへへへ、アタタッ。噛まないでゴモラ、伸びた鼻が!もげちゃう!!

 

「そう言って貰えて光栄だが……我々に何が出来るとお考えで?」

「特段、注力して欲しいという事は無い。来たる会談の機会で、ただ同じ立ち位置で、対等に対峙して欲しいのだ。バルタンだけでなく()()()()

「──1対1でも、1対2でもなく、1()()1()()1()のスタンスであれと。なるほど、情勢安定にはそれが一番いい」

 

……どういう事?

 

「分からん。ゼロ、説明してくれ」

「オーケー。要は“今回は仲良しこよしせず、ウルトラマン側と地球人側の間でも利害をぶつけ合うタイマンで行こうぜ”っつー事だよ」

「それで、何がどうして安定に繋がるんでしょうか」

「この案によって()()()()()()()()()()という側面が保障されるからだ。下手に遠慮し合ってたら、それを目にしたバルタン側からすりゃ“徒党を組まれて囲まれてる”としか思えねぇだろ。だが俺達がバチバチに牽制し合ってりゃ……」

「あっ、なるほどぉ」

 

つまり三国志!天下三分の計、その局所的な適用なんですね!!

ウルトラマンとバルタンだけが向かい合ったら、バルタンは天敵である彼らの戦闘力への警戒一辺倒になってしまう。地球人とバルタンだけだったら、バルタンは僕らの侵略を考えるか、もしくは僕らのバックにウルトラ戦士が付いてる可能性を危惧してやっぱり暴発してしまうかも知れない。

 

でも目の前で、僕ら地球人とウルトラマンが部分的な対立を醸せば!

バルタンからすれば“自分達が標的になっていない”という余裕ができ、なおかつ“片方を攻め過ぎればもう片方に足元を救われる”という懸念を抱かせ、牽制できるんだ!!

 

「……全然分からん!」

「しっかりしろ、レイブラッドの血が泣いちまうぞ。いや盛大に泣かせるべきだな」

『キャア、キャアッ』

「なんかゴモラの方が理解できてるみたいなんだけど……良いのかなコレ」

 

「……貴方がたの考えは理解した。しかし、我々が貴方がたに噛みつく姿勢を見せた所で、バルタン側のが対立を信じてくれるだろうか」

「その件に関しては、上手く調節してくれる心強い()()()がいる。紹介しよう」

「助っ人?」

 

しっかし、ここで諸葛亮孔明の策を思い出すとは思わなかったなぁ。思い付いた人はそれこそ今孔明だよ、それとも光の国じゃこの知能がスタンダードなのかな?

 

「バレット君、良いかい」

《御心のままに》

 

僕がそんな疑問を浮かべた瞬間、ウルトラマンさんが呼びかけた方向にはゼロ。え?バレットって何?別名?

なんて思う間もなく、彼の懐から飛び出した掌大のガラスブロック。中を粘ついた液体を満たしたそれは、緩やかにテーブルへと着地し。

真の姿を現す。

 

《──サロメ星人との一件以来だな、地球人》

 

……バルタン。

 

えっ、噂をすればバルタン!?

 

「お前は……!」

「ベリアルの手先の!?」

「まぁ待てって。アレは俺を呼び込んでベリアルを倒させる為の三文芝居だったんだ、コイツは紛れも無い味方だよ。なぁ?」

《ああ、そういう事だ。まぁ面食らったのも無理は無いが……》

「だが、彼の善性と倫理感は私が保障しよう。ウルトラ兄弟No.2、ウルトラマンの名に懸けて」

 

ボスとレイは見た事があるみたいだけど、そんな彼らを諫めるように動くウルトラマンさん達の姿に毒気を抜かれたようだった。

その間に、胸から上をホログラムとして投影していたバルタン星人は位置を変え、テーブルの隣にて全身を映し出す。そのまま、()()()()()()()()()()綺麗な礼をして魅せて。

 

《では改めて────私の名はバレット。バルタン星人バレット、アドバイザーとして光の国-バルタン-地球間の講和条約、その締結に向けて邁進させて頂く。以後お見知りおきを》

 

有史以来初めての、友好的なバルタンとして。

僕らに、その存在を突き付けてきた。

 

 




 

 

メーデー!メーデー、メーデー!!

パンパン、パン!!!緊急事態を発令します!

 

「こちらUSA南の銀河支部。そちらの所属は?」

《UFZリーダー、バレットの娘、ナナです!グモリー宙域へ至急援軍を送られたし!!》

「……こちらの資料を見る限り、バレット氏はUFZの参謀として登録されているが」

《どっちだって良いでしょう方針キメてるのは実質お父様なんですからぁ!?》

 

ええい、事態は急を要するというのに他人事みたいにノンビリして!お父様以外に支援を求めるだなんて死んでも嫌だったのに、苦渋を呑んでそれに踏み切った私の気持ちを考えて下さいよ!!

 

《ともかく、映像送ります!》

「しかしねぇ、此方としては迂闊に軍を派遣する訳には──ゑゑゑゑ!?」

《分かったなら援軍!!!早く!!》

「分かった!すぐ本部司令に打診する、持ち堪えてくれ!!」

《打診なんか後で良いですから早kぅぅうううう!!?》

 

言ってる間にも押し寄せる衝撃波、それに煽られ通信途絶。振り返れば地獄絵図がそこにありまして。

 

『もっと!!熱くなれよぉぉぉおおおッ!!!』

『風車ぁぁぁ!』

 

グレンファイヤーが燃えていました。

その熱を遠心力で拡散しようと、ジャンボットが高速回転してました。

スペースニトロメタンの海、そのド真ん中で。

 

……正気じゃない!

 

《落ち着いてください!!宙域諸共消す気ですか!?》

『ったりめェだ!こんな胸糞悪い所、存在した歴史丸ごと消し炭にしねぇと気が済むワケ無ぇだろォ!!』

《あのですねぇ!この宙域はですねぇ、たくさんの資源が眠っててですねえっ》

『それこそが悪徳に利用されたのだろう!?幸い付近に生命反応は無い、ならば全て吹き飛ばし後世の戒めとするまでッ!!』

《おーい!!!》

 

まぁ気持ちは分かりますよ?ここにあった研究施設、そこに在留していたベリアル軍残党の悪事を思えば。

捕まった子供達が、あわやお母さま(ウォルナみたいな仕打ち)される所でしたもんね。というか何人か()()()()()()()()もんね。

でも既に全員救出しましたし、犯人達も捕らえ終わったんですよ!?落ち着いてくださいよ!!

 

《ちょちょちょとちょっと!ミラーナイトさん早く!救護者の護送にどれだけ時間かかってるんですか!!》

『もうちょっと待ってて下さいナナさん!今一人の子が泣き出してしまいまして、話を聞いている処なんですっ』

《聞いてる場合ですかーっ!!!》

 

ダメだ、まるで間に合いません!優先順位間違えないでくださいよバカバカバカ!!

あーもう待って!!やめてください、宙域がー!宙域そのものがー!!!

 

《助けてお父様ぁ~!!!ゼロぉ~~!!!》

 

 




 

 

《……む》

「どうした、バレット」

《いや、こう見えて娘がいるんだが、彼女に呼ばれた気がしてな……だが強い子だ。きっと大丈夫だろう》

「バルタン星人にも家族の概念があるんですねぇ」

《俺はレアケースだから参考にしない方が良いぞ》

 

アイツは賢い。俺がいなくたってやっていける。なら俺が向かい合うべきは、このM78スペースの問題に他ならないだろう?

しかしどうして、気負ってみても行く先が不透明な事には依然変わり無い。はてさてこの先どうなります事やら。

 

 

 

「……なんか俺も聞こえた気がすんだけど」

《俺が言うのもなんだが、アイツがお前を呼ぶかなぁ……》

「だよな。多分気の所為だわ」

*1
ペンドラゴン・ゴースタードラゴンの同型艦

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