絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
「友好的なバルタン星人を地球圏に滞在させる?」
「無害性はウルトラマンが保証?」
「監視や行動制限は此方の自由に?」
「「「……
──特例って事で」」」
この世界では、俺にとって地球もまたある意味で
なにせ昭和ウルトラシリーズの舞台はもっぱらこの地球であり、なおかつ前々世では故郷だったんだから。まぁ故郷だったのはまた別世界の地球なんだけど。
《というか、衛星とはいえよく滞在許可が降りたな》
「バルタン側の事情を知りたいのは地球政府としても山々ですからねぇ。という訳で僕にも教えてくださいよ、バルタンの文化とか」
《その前に銀河の状況を理解する必要があるから長くなるぞ。俺が知ってるのは
「あなたが理解しなきゃいけない側ですか」
窓に見える青い星を見ながら、オキという青年と談笑を交わす。短い旅だったが、相手が怪獣オタクという事もあってなかなか親交を深められた。
しっかし地球人の艦船がワープ技術を使いこなして宇宙を開拓してるとはなぁ。ダークロプス軍団の折にも見たとはいえ、この目で見てこの身で体感するまでは信じ切れんかったぞ。
ちなみに初代様とゼロはいない。彼らは彼らで、光の国の方での準備に忙しくなっているのに、俺の世話なんかさせられない。
「世は大航宙時代!!──というのすら一昔前で、今は広げた人類の生息域を盤石にしている時代です。僕らはそれを担う宇宙の運び屋をやってるんですよ」
《途方も無い話だな。俺の知ってる地球人は、夕方に路上テレビに群がってプロレス観戦してたぞ》
「
三丁目に夕陽が差してた頃だなぁ、と呟きつつ再度見下ろす地平。俺が人間として生まれた時代は厳密にはそのもう少しだけ後なんだが、風景として少なからず共通していたのは間違いない。
その面影がかすかに見える青い星。どれだけの行動が許されるか分からないが、見れる物は全部見ていこう。今後の講和会議の為にも、俺自身の感傷の為にも……。
《ここから地球怪獣とか見えるかな……》
「あ、地球の怪獣は絶滅しちゃってます」
《……はい?》
「はい」
・
・
~一か月経過。回復完了~
・
・
「何聞いてるんです?」
『ボレロ』
「渋いチョイスだな」
『キュルル』
「……」
不味い。馴染んだ。
幾年ぶりかの人間としての生活を想った以上に体が覚えていた。地球側からのVIP待遇が性に合いまくって怠惰極まっている。
うおっメイプルゼリー美ッッッ味。病み上がりの身体に地球の樹液が染み渡り過ぎるぞ。
「この調子じゃ、地球とバルタンの文化齟齬もそこまで大きくなさそうだな」
『だから俺は例外だって。普通にだいぶ違うからちゃんと把握しといてくれ、その旨はもう前の会議で資料と併せて伝達しただろう』
「Y〇giboでダメになってる姿を見せながら言われましても……」
「お前本当にバルタンか?後ろにファスナーついてて中に地球人入ってないか??」
(“当たらずも遠からず”を言い当ててきたか)
そういう感じで完全にダメにされている俺だが、こう見えて仕事はちゃんとこなしている。地球側の事情を把握したうえで、それによって光の国・バルタンとの間に発生し得る軋轢、それへの対策、落とし所の予測を組み立てた。合間合間に挟まれる地球のお偉いさんとの会談でそれについて調整していっており、草案の完成も間近といった具合だったかな。
思った以上に地球政府の物分かりが良くて、此方としても助かっている。流石はウルトラマンに導かれて来ただけあるよ、前々世の地球人には爪の垢をガブ飲みして欲しいぐらいだ。今頃第三次大戦とか起こして滅びてないだろうな?
「全く……こうも目の前で寛ぐ姿を見ていると、先人の蟠りは何だったのかと考えてしまいそうだ。あの時、当時の地球が君の同胞達を迎え入れていたら、この風景はもっと身近になっていたんだろうか」
『ガブガブ』
『当時は互いにあれが最善策だった、それを嘆いたってしょうがないだろう。当時俺は
「角食べられて満足してる……」
ところで今更になるが、俺があの宇宙船に乗っていた事は、ウルトラマンにも地球人にも言っていない。ゼロが送った報告書には“母星爆発の影響で
いやだって……初代様の心労になる事が分かり切っているだろ。ただでさえ大変な状況なのに、俺の事で迷惑掛けられるか!俺は
なんて思ってたら、脳内通信。
『……光の国側の準備がほぼ整ったらしい。ヒュウガ、地球政府外務大臣に取り次いで貰えるか』
「了解した。少し待っててくれ」
ペンドラゴンクルーを引き連れて部屋を出ていくボスさんことヒュウガ。オキが会釈と共にその後を追い、更にその背に追従する一人──ベリアルと同じ血を引く青年、レイだけは一瞬立ち止まり、俺を見遣って──
『どうした?』
「お前は、本当に地球人の味方なのか」
『確約は出来んな。が、ウルトラマンの味方である事は
「……バルタンに生命の概念は無いと、オキから聞いたが」
『お前達にはある。それに俺も即して、賭ける』
その視線に含まれていたのは“警戒”。然もありなんって所かな、寧ろ他の地球人が無防備過ぎだろ。いや俺の目が厳しすぎてザル警備に見えるだけか?
なぁんて、思うより先に、まずは。
『ウルトラの光と共に在る限り、俺と
「……」
両の足で立ち、面と向かって言い放ってやった。決して目は逸らさない、それだけが俺達二者の礼儀だという暗黙の了解で。
「どうしたレイ~」
「置いて行っちゃいますよ~?」
「……俺は半人前だ。信じろと言われて信じられる程、真偽を見極める判断力には長けてない自覚がある」
『そうか?言われたまま全部呑み込むよりかは余程上等だろう」
「どうだかな──だからまずは、誰より大切な仲間達を信じる事にするよ。お前を信じたボス達と、ウルトラマン達を』
──それだけ告げて、彼もまた先陣の後を追っていった。
やれやれ、責任重大だ。初代様を引き合いに出されると俺は弱い、精々レイ経由で名に泥を塗られる事の無いよう全力を尽くさねば。
しかしどこまで行っても初代様は、いや初代様を筆頭とするウルトラ戦士は偉大だなぁ。もっと崇め讃えて、どうぞ。
・
・
・
・
「初にお目にかかります。私は地球政府使節団の大使、クゼ・センベイと言います」
「よろしく頼みます、クゼ大使。私がウルトラマンです」
時は変わって翌週。かねてより厳正な審査の下で選ばれた人員、それによって構成された使節団と共に、俺は太陽系のお隣にて光の国側の使節団と合流していた。話には聞いていたが、初代様をリーダーとする事で決定したらしい。中々大胆ですな、とこちらは見上げるばかりだ。
そして此処に来るまでに地球人側の大使を、その所作から内面をいくらか分析させてもらった。確かに人格面・思想面共に問題は見られない。地球人が初めて臨む星間外交に繰り出す人物としては申し分ないだろう。バルタンさえ霞むレベルで倫理観トチ狂った文明がいたら断言は出来んが。
だが今回の予定は飽くまで差し障りの無い“穏当な初接触”。何か重大な
「……早速で申し訳ないのですが、敬語はよしてくれませんか。散々守って貰った身で敬われるのは居心地が悪い物で」
「それはお互い様です、貴方達の存在に我々がどれほど助けられたか……それでも厳しいと仰るのなら、この場においては双方で敬語を取り止めるという事で如何でしょう?」
「成程、では──了解した。改めてよろしく頼む、ウルトラマン」
「こちらこそ、クゼ大使。この宇宙外交の場へ、君達を心より歓迎しよう」
その思惑通りに、まずは交わされる
俺も混ざりたいところだったが……生憎俺はアドバイザーであって、バルタン側の総意には何一つ関与出来てないんだ。ここから先の和解は他のバルタンと接触してからの話だな。
と、いう訳で。
『では初代様。顔合わせが済んだところで、打ち合わせ通り私は先にR惑星へと向かわせて頂ます、その間に地球政府使節団との折衝を』
「ああ。だが無理はしないでくれ」
『勿体なきお言葉に御座います』
「……そこまでしなくても」
(ナチュラルに跪いてる……)
(臣下というより信徒のムーブ……)
(えーと、そこの地球人さん。彼は
(俺ですか!?まぁ地球怪獣のデータに強く興味を示して興奮した事もあったらしいですが、こんな様子は流石に……)
今からは単独行動。最も角を立たせずに済むであろう俺が、最初にバルタンと接触し使節団の来訪を周知させる役を担う。
こう見えて難民を率いた船長の血筋、ジョーが今も政権を握ってるとするなら権力者の兄弟だ。警戒はされるだろうが、よほど事態が拗れてない限りは粗雑には扱われまい。
『ではクゼ大使。くれぐれも初代様へ失礼の無いように』
「元よりそのつもりだが……すまない、少なくとも形式上において“我々と光の国で対等という立場である”という策を考えたのは君では?その言動だと完全にウルトラ>
「クゼ大使と概ね同意見だ。厳しい事を言わせてもらうが、君からの過度の敬意は控えて貰えると助かる。好意その物は嬉しいのだが……」
『すみません無理です……これでもだいぶ抑えてます……他のバルタンの前では完全にやめますからお許しください……』
「「そっかぁ…………」」
(一周回って怖い)
(回らずとも怖いのでは?)
(回ってなんとかしてください、援護します)
(それで何とか出来るのはウルトラ兄弟クラスじゃないと無理です!我々下っ端ではとてもとても)
(そういえば地球ではバルタン星人ってもっと無機質な生態だと教わったんですけど、光の国ではどうなんです?)
(こちらでも座学で似たような学識を教えられますね)
「一同、 静 粛 に 」
「念話で向こうの護衛と私語するのはやめたまえ」
((((すみませんでした)))))
お叱りを受けてメンタルに著しい
『行って参ります。条件が整えばまた連絡しますので、今しばらくお待ちください』
「気を付けてくれ。では、また」
「バレット、貴方は我々と光の国とバルタンを繋ぐいわば架け橋だ。身を大切に頼むぞ」
叱咤激励に頷きつつ、加速。重力を振り切り、飛び出すは宇宙の彼方へ。
さて指定された座標は……遠いな。ざっと50万光年か。
(そんなに地球の近くが嫌だったのか?)
幾ら何でも逃げすぎだろう、と記憶の中の弟へ問い掛ける。返答は無い。
だがすぐ聞けるだろう。アイツが今、何を思って何をしているのかは。
ワープを幾度か繰り返し、銀河を超えて、股に掛けるように宇宙を翔ぶこと1時間。
着いた。
「ここが……」
R惑星。バルタン星人が第二の、地球を諦め選んだ終の住処。
……なるほど。似ている。
「2代目バルタン星、か」
俺が生まれた故郷の星と、確かに。
いや、
しかし……成し遂げたんだな。
遠目に見ても分かる繫栄。地上に確認できる生命反応即ちバルタン人口は母星爆発前に程近い。行われている社会活動も十二分に衰退前の輝きを取り戻しているようだ。
(……見事だ、ジョー!)
その復興指揮したであろう弟へ想いを馳せる。もし会えたなら、アイツは俺を見てなんて言うだろうか。怒ってくれると嬉しいかもな。生きていたんなら連絡ぐらい寄こせ、って。
そう星を眺めてから、目を遣ったのは地球人が送り込んだステルス衛星。光学迷彩により宇宙空間に溶け込むそれは、並の宇宙人では易々と見逃してしまうだろうが……今回ばかりは相手が悪かったと言えるだろう。
既に数人のバルタン星人が取り付き、その調査を行っているのが見えた。
『どこ産だ?この型番は知らないぞ』
『分からんが、この様子だと2カ月前には既に此処に配置されてたと見て良いだろう。誰か集合知性に接続して上に報告しろ』
『私がやります。しかしこの造形、どこかで見覚えが……』
(ギリギリで好都合、と言ったタイミングだな)
もし俺が来るのが遅れて、ステルス衛星の件を報告されてバルタン側の警戒度が上がってたら厄介だった。最悪の場合、星ごとまた何処かに逃げられて条約締結の話がパァになっていたかも知れん。
だが今なら……
『聞こえるか、そこの三人衆』
『何者だ──!?』
『この宙域への侵入許可を得てるのは俺達だけの筈。お前は何処のグループのバルタンだ、所属と個体名を言え!』
『……何でしょう。あのバルタンの顔にも見覚えが……』
彼らとの邂逅をファ—ストコンタクトとして、バルタン側に通告するとしよう。ウルトラと、地球との懸け橋として。
『俺はバレット。バルタン星人バレットだ』
『『『……は?』』』
『個体識別記号はふるべゆらゆら。今も同じ形式が使われているかは分からんが、宇宙船ブルーベリー号の生き残りと言えば分かってくれるか?』
『……ブルーベリー号のバレットって、まさか!』
『知ってるのかライディン?』
『知ってるも何も!当時の艦長の息子にして
よし、一人だが史学を専攻していたらしい奴がいて助かった。話が早い。
というか待て。総統ってなんだ、どういう役職作ったんだジョー。途端に独裁臭が凄い事になったが大丈夫だよな?
『総統閣下の血族ゥ!!?』
『通報!』
『警備部隊出撃!!』
『現着!!!』
『対象を包囲!!!!』
『『『『『確保〜〜〜!!!!!』』』』』
大丈夫じゃなかった。
弟よ。お前、何やらかした。
クゼセンベイ君はクゼテッペイの子孫です