絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
コメントでも言及されてましたが、よもやカタカナを横倒しにするだけでこれほど印象が変わるとは……あ、ちなみに入れてる単語に深い意味は無いのでご了承ください
『来たぜ~』
『ゼロ、ご苦労様です』
バレットからの通信が途絶えて丸一日。その報を受けて、俺は光の国・地球政府の使節団の下へ駆けつけた。
出迎えてくれたのは警護に当たっていた宇宙警備隊員……だけじゃねぇ、地球人の艦も共同で哨戒任務に当たってやがる。正式な国交こそ結んでないものの、こりゃ本格的に俺達が同盟結ぶ日も近いか?
《お待ちしていました、ウルトラマンゼロ。ここからは地球使節団所属のウェイバードラゴンが引継ぎ、臨時拠点まで案内します》
『手厚いな、ありがとよ』
艦の後を追って緩やかに星へ降り立ち、人間大まで縮小化してから敷設されたテント群へ入っていく。
中では地球人と、地球人の姿に変身したM78星雲人達が、同じスペースで、肩を並べていた。
「なるほど、ネオマキシマ・システムはギャラクシークライシスの時に他宇宙からの流入した技術でしたか。道理でこの宇宙における技術史に前例が無い訳です」
「ええ、これによりワープ航法を獲得できたのは地球人類にとって大きな転換点だったと言えるでしょう。しかし改善点は山積みなのですが、貴方から見て今の所どのような点が気になりますか?」
「私見としては……やはりワープ距離の短さと転移先の不確実性がネックですね。しかしこのエネルギー効率は光の国でもなかなか為し得ない高さです、一度ヒカリ主任に見せて意見を仰ぎたいのですが良いでしょうか?」
「是非!で、次にこちらの“ゼロドライブ計画”についてですが……」
学識を請う地球人。それに触発されて頭脳を回すブルー族のM78星雲人が、彼と資料片手に論を交わしていたり。
「美味い!!目が!!美味すぎる!!!目がぁぁぁ!!!!」
「……大丈夫っすか?焼くのは自分がやるっすよ」
「いや、俺にも“サンマ”とやらを焼かせてくれ!!この煙を浴びるのもまた
「言わんこっちゃない!!」
……えーと。煙を出す何か*1と、それを囲って騒ぎ合うレッド族隊員と地球人もいたり。
「へぇ、これがゴメイサ。近くで見るとこんな景色だとは」
「恒点観測員の任務中に訪れた事があってね。プロミネンスが綺麗だったから撮ったの」
「同感だね……そうか、これが“こいぬ座の瞳”か」
「こいぬ座?」
「地球では、夜空の星を線で繋いで生き物や道具に見立てる風習があるんだ。ゴメイサはプロキオンと一緒に子犬に見立てられた。ちなみに“おおいぬ座”もあるよ」
「……良いじゃない。もっと教えてよ、そういうの」
望遠鏡と画像を見比べつつ、空を見上げて談笑に耽るシルバー族女性と地球人男性もいたりってちょっと待て俗に言う“良い雰囲気”って奴じゃないのかコレ。OKかどうか、レオか親父辺りに聞いとくか?*2。
これ、メビウス辺りが見たら感動で気絶しかねない光景だ。正体を明かした上で和気あいあいとし合えるなんてアイツの思い出にブッ刺さるだろ。
っとと、そうしてる内に指令室に到着。中ではマンと地球人側のリーダーが何らかの議論を終えた所だったようだ。
「よく来てくれた、ゼロ。こちらは地球政府大使の、」
「クゼセンベエだ。よろしく頼む」
『どーも、ウルトラマンゼロだぜ。今後とも末長く』
紹介と握手を終えた所で、早速本題だ。バレットとの連絡が途絶えてどうするか、だな?
「ああ。彼はすぐに連絡すると言っていたが、それが途切れたという事は……バルタンに捕えられた、と見るのが順当だろう」
先行し、消息を絶った仲介役。彼が辿った顛末を思ったのか、マンは渋い顔を浮かべた。
一方クゼは隣で別方向に顰めっ面を醸していて。
「……気を害するようで申し訳ないが、もしくは
「クゼ大使、それは」
「ウルトラマン、貴方がたの考えは理解している。我々としてもバレット氏は信用に足ると判断したからこそこの場に臨んだのだ……しかし、それが間違っていた可能性を否定する事など出来ない。この場合、疑っているのは正確にはバレット氏ではなく、過去の自分たちの判断だな」
未だ自分を信じられない我々を許してくれ、と告げるクゼにマンは口籠るしかない。俺?俺は、そうだなぁ……。
『まずその心配は要らねぇよ、安心しろって』
「……その心は?」
仲間を疑われた事に対する怒り、は意外にも全く無かった。だって
『バレットが裏切るならもっとエグいやり方するだろうし』
「……ん?」
『そうだな例えば……寧ろ連絡は続ける。交渉成立っつー
「「んん??」」
『他にはそうだな。俺達や光の国の目を本星に釘付けにしといて、その間に別働隊に地球を侵略させるとか?でも今のところ地球に異変報告が無いならそれは違うだろ』
「待ってくれゼロ。貴方はバレット氏の仲間ではないのか?」
『仲間だけど?』
仲間だけど、それはそれでこれはこれ。ベリアルを盛大に欺いた手腕を思い出せば当然の評価だろ、50万ダークロプスを送り込み終わって要塞がガラ空きになった瞬間に攻勢開始とか肝冷えるなんてレベルじゃねぇぞ?敵ながらベリアルには同情しちまうぜ。
『だからバレットは裏切ってない。奴が何かしでかすなら、俺達がちゃんと
「う。うむ。納得はいった、納得は」
「……しかしゼロ。そうなれば残る可能性は必然、バレットが捕らえられたという事になるが」
クゼからの理解を得られたところで、今度はマンからの疑問提起。
「即ちバレットは今、危機的状況にあるという事。なのにどうして君は、その報を受けた時に
ああ言ったな。この拠点でのちょっと緩い雰囲気は、俺のその応答を受けての物だったんだろう。
ま、そう訝しむなって。これにもちゃんと根拠があるから。
『バレットがタダで捕まるワケ無ぇし』
もし、緊迫した、個人じゃどうにもならないような苦境にアイツが見舞われたとしたら──見舞われたとしても、その情報は必ず俺達へ伝達される。その手筈を絶対にバレットは整えてる。
なのに今回それが無い。つまり、バレットにとって今この状況は
『なら俺達がすべきは“待機”一択だ。どーんと構えて果報を待とうぜ』
「……もし、バレットがそれすらできない状況だとしたら?」
「クゼ。さっきの質問に改めて答えるぞ」
仲間じゃないのか、って聞いたよな?
『俺は
光の
好き放題してる
その旨を伝えれば、マンもクゼも「これには参った」と笑ってくれたのだった。
……けど、アイツの行動と選択の全てに納得してるワケじゃねぇ。
『マン。ちょっとアンタだけに話しておきたい事が在る』
「何だ?」
「となると私は席を外そうか」
『悪ィな。多分すぐ終わるから待っててくれ』
その一つがこれだ。
『光の国に送った報告書……バレットの出自についてなんだが』
確保。
収容。
保護。
その3コンボを受けた俺は今……普通に寛いでいた。
(……普通に快適だなオイ)
母星がまだ存在した頃、エリート階級だった父さんが受けてたVIP待遇に近い。とは言っても地球と違って勿論バルタン式、比べてみりゃ無機質なモノだが……俺もやはりバルタン星人。こちらも相応に落ち着けていた。
(犯罪者にする扱いじゃない。しかし外からの情報を徹底的に遮断し、かつ人的接触も最小限……俺を警戒している?)
その間に、処遇を踏まえて考察を重ねた。どうやら“上”は俺という存在を尊重しつつも、それが自由に動かれると困る環境にあるらしい、と。
何故?やはりジョー関連か。“総統”なんて地位まで作ったアイツが何か禍根を残したのか?だから血族である俺も、似たような思想を抱いているのではという懸念が発生している?
ならばそれさえ払拭すれば……というのも叶わない。ジョーがどんな事をして、どんな警戒を貰ったか判別がつかないからだ。何なら今抱いているこの思想と方針こそがジョーのそれと近似している可能性がある、それでは改善のしようがない。
もう一つの可能性として、ジョーが今も権力を持ち、その保持の為に天下を二分しかねない俺を封じたがっている可能性。
何か知らんが、俺は今この
地球人時代で例えるなら、織田信長や坂本龍馬が2000年代の日本に現れて幕末時代の思想を喧伝するようなものか?なるほど、現秩序側としては目の上のタンコブだろうな。これに関しては俺の見立てが甘かった。
だが無下にも扱えないので、こうして形式上は手厚くもてなしつつ……秘密裏のまま追放するか、処すか、はたまた都合の良い傀儡として
はてさて、結果は如何に……む。
『ふるべゆらゆら、出ろ』
『……了解』
ゼロ達への連絡を視野に入れ始めた瞬間、軟禁室の扉が開かれる。待ち構えていた兵士達に連れられ、入れられたのは尋問部屋だ。
シールドを隔て、その向こうに座す一人の身なり正しいバルタン星人。彼が俺の相手をするってか。
『はじめまして。これから貴方の思想検閲を行います。とは言っても、限定的な共有知性接続下において一つ質問するだけですが」
「一つ?随分と簡略的な──そうか、拘留中に思念波を読んだか」
「ええ、記録に取らせていただきました。では周波数はブルーベリー号に登録されていたむりょうくーしょ番に合わせましたので、早速」
限定接続で俺の思考をどうこうされる事は無いので、促されるままに承諾。共有知性の中では嘘をつけない事を利用した、バルタン特有の尋問である。
何を聞かれるやら、と心配していた俺に、電気信号の狭間から彼は問い掛けた。
『BT条約 - 平和憲章第二項。これを貴方はどう思われますか?』
『二項を?』
出てきたのは何とも懐かしい単語。最後に聞いたのは父さんが死ぬ前夜、地球への侵攻を是とするか否かの大会議だったか。俺が率いた非戦派が、これを根拠に好戦派を槍玉に挙げようとしてたっけ。
その題目とは、“価値観の共有を怠るべからず”。
『どうも何も……
『ふむふむ』
俺の答えはあの日から変わりはしない。
バルタンだって最初から国家星として成立してた訳じゃない、最初は地球と同様に部族や居住域同士で牽制や紛争が起きていた。だが共有知性の発明によって価値観の相互理解と統一が為され、バルタンは国家星として成立の日の目を見たのだ。
その際に公布された代物こそ、BT条約。内輪での諍いをやめ、宇宙へとその手を伸ばす時代に向けたバルタンの総意。
『それがあってこそ、母星を失うまでバルタンは栄華を究める事が出来たんだ。捨てるなんてとんでもない』
『……しかし、それによって始まったエコーチェンバーを止められず、暴走した科学思想で母星は爆散しました』
『科学者コミュニティ間のみで意見を煮詰まらせてしまったからだ。実行に移す前に他コミュニティに意見を求めていればまた違っただろう』
それによって起きた過ちが無いとは言わないが、それは偏に“条文の解釈を誤った”からこそ起きた物だと、俺は考えている。改定するにしろ改善するにしろ、もっとシンプルな主旨さえ取り違えなければ良いだけの話。
それを蔑ろにすればどうなるか──どうなったかを、俺達は既に知っているから。
『第二項は“是”。これが俺の答えだ』
故に胸を張って答える。これが否定されるなら、もはや今のバルタンはバルタンではない。俺の知る俺の種族は、あの宇宙船爆発で滅びたと捉えるしか無いだろうな。
そんな覚悟を以て放った答案を受け、尋問官は数秒程の沈黙を呈した。終えて、彼は嘴を鳴らす。
『────
……この回答が気に入られたのを見るに。どうやらバルタンもまた、少なくとも俺にとって喜ばしい方向への進歩を経ていたようで。
この胸の内に浮かんだ温かい感情を、きっと安堵と呼ぶのだろう。
『じゃあ早速だが、外務に携わる役職とかあったら取り次いで貰って良いか?ちょっと光の国と地球が
『……え゛っ。待って下さい、バルタン歴でここいくせいそう年は我々は戦争行為はおろか外星との交流すらしていませんよ!?宇宙警備隊に目を付けられるようなことは何も!!』
『いや、攻めに来たとかじゃなくてだね』
『待って下さい、地球という事は……過去の侵略行為に対する報復じゃないですかヤダーッ!!』
『だからそういう物騒な話じゃないって言ってるだろ!!』
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