絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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ヤプールとかいう節操なし

《──間一髪だったな》

 

結論から言うと、俺達は助かった。

バルタン星人が母艦から発射した光線、それにより誘爆したダークロプス二機の炎熱。咄嗟に懐に兄弟を庇おうと見下ろした瞬間、突如開いた穴に彼らが落下するのを視認。慌てて光となって追いかけ、落ちながら瀕死の方……ラン、という名の青年と一体化する。

辛うじて見上げると、穴は爆風を通す前に遮断され──そして気が付くと、洗練された紋様の施された部屋に2人、座り込んでいたって訳だ。

 

「アンタが、助けてくれたのか?」

「……私ではありません。ジャンバードです」

《私は姫様のご命令に従ったまで。つまりお前達を救ったのは姫様だ、泣いて崇め奉って感謝せよ》

 

その部屋の中心、背を向けて座り込む女性へ問う。すると帰ってきたのは二つの声、どうやら男っぽい方はこの部屋そのものから響いて来てるようだった。

そして全面のスクリーンに映し出されてる外の景色、真っ黒な宇宙と漂う小惑星群を見るに……ここは宇宙船、ってとこか?

 

「あぁ、感謝するぜ。ナオ、怪我とか無いよな」

「う、うん……あれ?怪我治ってるじゃん兄貴!」

「っ、それは…えっと……」

「アニキさん、でよろしいでしょうか?」

 

お互いの無事を改めて確認し合ってると、お姫様とやらが立ち上がった。振り返り向き合ってみれば、その瞳の奥に強い意志の存在が見てとれる。

 

「惑星アヌーの地下に潜伏しながら、貴方の戦いぶりを見ていました。隠遁の身としては、貴方がたに記憶消去処置を施さねばならないところですが……バレットをも討ち破りかけたその力。恥を偲んで、お借りしたいのです」

「ちょ、ちょっと待て。隠遁?記憶消去?一体何の……」

《隠し事は無用だ。君達を招き入れる際、()()の精神体と青年の肉体が融合するのを確認している。君の今の人格がどちらの物なのかは分からないが、あの光の力を使える事には変わりないのだろう?》

 

不味い。

ナオを見た。弾かれたように俺を見上げる彼の視線には驚愕と困惑の色が浮かんでいる。

……すまねぇ。

 

「あ……兄貴?兄貴は兄貴、だよね?」

「俺の名はゼロ」

 

もっとゆっくり、落ち着いて明かすつもりだった。けどお相手さんも切羽詰まってるようで、下手に嘘吐いて場を荒立てたらお終いだ。最悪、ナオ諸共宇宙に放り出されるかもだしな。

それにコイツらは、今この場で誰よりもこの宇宙の状況を知ってそうだ。これからの方針を決める為にも、仲良くしておいた方が良い。

 

「お察しの通り、俺はあの宇宙人──ウルトラマンゼロだ。今は死にかけていたこの青年、ランの身体を借りている」

「……ねぇ、ねぇ!待ってよ、じゃあ兄貴はどこなの?どうなったの!?」

「ナオ、ランは死んでねぇ。必ず彼にこの身体を返す、それまでお前を守るのが俺と彼の約束だ、信じてくれ」

 

慌てふためくナオに目を合わせ、そう諭した。しかしそれでも受け入れ難いようで、ナオは苦い顔でそっぽを向いちまう……やっぱミスっちまったか、くそっ。

 

「申し訳ありません。私達の都合で……」

「そういうのは後でいい。で、俺の力を借りてどうするつもりだ?」

「戦い、取り戻すのです。国を、故郷を、この宇宙の平和を。ベリアル軍から……!」

「ッ!!!」

 

その名が姫様の口から出て来た瞬間、俺の中のスイッチが切り替わる。それに応えるように、外の景色を映していたスクリーンに映像が映し出された。

 

燃え盛る廃墟。崩れゆく瓦礫。華々しい都だったそれを踏み潰し、進撃する巨人の兵団。

その中心に──“奴”の姿が!

 

「ベリアルッ!!」

「!?ご存じなのですか?」

「あぁ…!」

 

ウルトラマンベリアル。俺と同じ種族(ウルトラマン)でありながら、光の国の有史以来唯一犯罪を冒した禁忌の男!

あの時確かに切り裂いて、倒した筈なのに……この世界に流れ着いてやがったってのか!?

 

「俺は奴を追ってここに来た!今度こそ本当にぶっ倒す、その為に…!!」

《なら話は早い。奴は銀河帝国をこの宇宙に建設し、全宇宙で殺戮と略奪をばら続けている。姫様の星、惑星エスメラルダも奴の手に落ちた》

「エスメラルダの姫様……ってそういう事!?」

「……私はエメラナ。エスメラルダの第二王女で……逃げ延びたのも、私1人だけです」

 

ナオと姫様が後ろで話す声も遠く聞こえる。それだけ俺も興奮状態にあった、って事だろう。

宿敵が目の前にいる。記録映像で、今は遥か彼方で、だがその姿が目の前に。

おい、ジャンバードっつったか?

 

「ベリアルは今、エスメラルダにいるのか?」

《分からない。だがその宙域から遠く離れているとは考え難いな》

「なら……ッ!」

《待て、どこへ行く!?》

 

決まってんだろ、ベリアルを倒しに行くんだよ!

アイツは光の国の問題だ、だから同じ種族である俺がケリを付けなきゃいけねぇんだ!ってなんだよこの扉、開けやがれ!!

 

「待ってよ兄k、ううんゼロ!!1人で行くの!?」

「当たり前だ!」

「そんな事言うなよ!あの映像見たんだろ!?手下いっぱい引き連れてる奴と戦うのに、仲間置いてくなよ!!」

 

焦る俺と閉ざされたドアに間に立ち塞がったのは、ナオ。さっきまでの戸惑いに満ちた表情なんか、どこにもない顔で。

 

「仲間……?」

「そうだよ!」

 

差し出される手のひら。迷いも憂いも無い、勇気と共に。

 

「俺は兄貴が信じたゼロを信じる!だからゼロも、僕達を信じて!頼ってよ!!」

「……!」

 

なんてこった。こんな小さな子供に論破されちまうとは、俺もまだまだヒヨッコらしい。

ここまで気合い見せられたら、黙ってちゃいられねぇ。ナオの心に応えるべく、俺もその手を強く握り返した。

 

「一緒に戦おうぜ、ナオ…!!」

「うんっ!!」

 

固い握手。するとそこへ重なるさらなる手が一つ。

 

「姫さん?」

「私もこの宇宙の未来を想う者です。どうか貴方達の力にならせて下さい……!」

「……当然だよ!だってエメラナと僕ら、もう友達だもん!!」

「と、友?!」

 

ナオが更にその上から姫様の手を迎え入れ、一層強く結束した。やがて溢れ出る笑い声、三者三様に。

それに応えるように、ナオの胸元で赤い光が灯った。それが何なのか、俺達には分からない。

けどどこかで気付いていた。この暖かい光はきっと、俺達の絆を認めて輝いたんだと。

 

 

「……ナオ、それは?」

「これ?“バラージの盾”の欠片さ!」

「バラージだと?どっかで聞いたような……」

「宇宙を守ってくれる盾の伝説!きっとカイザーベリアルにだって負けやしない……僕と兄貴は、それを探しに行こうって約束してたんだ」

「なら……!」

 

ナオの話を聞いて、エメラナの顔がモニターへと向く。話す相手は既に察しがついていた。

 

「ジャンバード!少し前に学会で“バラージ伝説”の論文が発表されていた筈です、そこに何かヒントがあるのでは?」

《で、ですが姫様!著者はよりによって()()()()です!!今となっては信憑性が……反乱分子を誘き出す為の罠かも知れません!》

「彼が学説を唱えたのはベリアルへ寝返る前の事でしょう。ナオの持っている欠片が本物であれば、それを持っていけばイージスが“完成”するのかも!」

《しかし……!!》

「なぁ。おーい、ちょっと」

 

白熱する談義に置いていかれそうになり、思わず声をかける。分からん事を分からんままにしてたら後々不味いし。

 

「バレットって──いや察しは付くんだ、俺と戦ったバルタン星人の事だよな」

「……はい」

「ソイツって何者なんだ?話を聞くに、この宇宙でも相当有名っぽいが」

 

ダークロプスゼロとの一件以来、ずっと追って来たアイツ。それに関する質問に答えてくれたのは、ナオとジャンバードだった。

 

「……かつて、この宇宙の平和を守ってた戦士だよ」

《そして今は、最悪の()()()()だ》

 

 


 

 

時を遡る事1年前。

ナオ達の生きる宇宙、サイドスペース。“ヤプール戦役”と呼ばれる戦いの晩年である。

 

戦線となったその星の地表は今、超獣の(むくろ)で埋まりつつあった。

 

「ギョアヘッ」

 

その数にプラス1。眉間に風穴を開けられ、50mの巨体が血の海に沈む。暫くの地響きの後、再び世界は死の沈黙に彩られる。

だが、生存者が皆無なのかというと、そういう訳でもなかった。

 

「……ぷはっ」

「オイばか、顔出すな」

「超獣共が重いんですよ!仕方ないでしょう!!」

 

使役していた獣の巨体に、その陰に潜むは2人。アイアロンとダークゴーネである。

当時ヤプールに仕えていた彼らは、主人から超獣軍団を任され侵略の軍靴を鳴らしていた。のだが、その道中に補給点として立ち寄った星で、ものの見事に配下を失ったのである。

原因は奇襲。現状、襲い来る殺意を死骸に隠れて凌ぐ有様。ヤプール軍幹部とは思えない無様であった。

 

「おのれぇ……一体どこから狙撃が飛んでくるのだ」

「決まってるでしょう、アイツ(バレット)です!多方面瞬時展開偏差狙撃など、彼以外に出来ると思いますか!?」

「だからそのバレットがどこにいるか分からんという話だろうがッ!」

「ですから!さっきから残存超獣を立ち上がらせて攻撃を誘発させてるんでしょうが!狙撃ポイント特定の為に!!」

 

喧嘩出来たのはそこまで。2人同時に迸る悪寒、きっとそれは歴戦の勘というものだったのだろう。

 

「ぐあっ……!!」

「ヒィーッ!!!」

 

天から降りた二筋の光が、超獣の盾を貫通して彼らへと降りかかった。アイアロンは直撃、ダークゴーネは奇跡的に回避。

しかしそこで攻撃は止まない。飛び出てきたダークゴーネにも、動けないままのアイアロンにも、容赦なく追撃の光の雨が降り注ぐ。

 

「うおおおお!!ふざけるな、この私が戦術において完全に読み負けるなどぉぉぉ!!!」

「ガワァァアアア!!?」

「何をしてるのですアイアロンんん!!とっとと回避しなさい!」

「スマン最初に喰らったの麻痺弾だったらsッガガガガ」

「ええいこの鈍足亀め!!」

 

全力疾走しながら鞭を飛ばし、今なお背中の甲羅で耐え続けるアイアロンを引き寄せる。しかしただ助けた訳ではなく、ダークゴーネは彼を躊躇なく肉盾として自身の上に掲げたのだった。人の心とか無いんか?

 

「ちょっ!ダークゴーネ!!おまっ!!!」

「傘におなりなさい!私が逆転の秘策を思いつくまで死ぬんじゃありませんよっ」

「痛だだだだ!?もう撤退する他無いだrギギャギャギャギャ!!」

「おっ、重い……衝撃が響くぅ…!!」

 

ダークゴーネはそれでも退けない。暗黒参謀を名乗る身として、彼はバレットにだけは負けられないのだ。戦術面で劣ったなどという醜聞を自身の半生に残すわけにはいかないから。

 

 

そんな糞つまらない意地を一蹴するように、膠着は粉砕された。

 

ダークゴーネの足元が破裂した。上から降り注ぐものと近似の光弾が、地盤を押し除け、波となって彼等を飲み込んだ。

地中潜行型のビーム砲。それを読みきれなかったダークゴーネは、アイアロンと共に宙に投げ出され、そして地面へと叩きつけられた。

 

「……くそっ」

 

満身創痍で見上げる空に、アイアロンは再び迫り来る光を認める。トドメの二撃、自分と気絶したダークゴーネで1発ずつ。それで充分という事か。

 

しかしここで、彼にも運が向く。突如自分達の足元に開いた異次元ゲート、ヤプールからの救いの手。

同時に、通信も。

 

《アイアロン!ダークゴーネ!すぐに帰還せよ、本拠がUSAの強襲を受けた!!》

「……了解!」

 

どうやら戦術だけでなく戦略面でも負けたらしい。幸か不幸かと、そう思いながらアイアロンはダークゴーネと共にゲートへと飛び込んだ。

 

彼等の脳髄のあった場所を光弾達が撃ち抜いたのは、ゲートが閉じたその瞬間の事だった。

 

 

 

《作戦成功だ。当該二次元座標よりヤプール勢力の駆逐を確認した》

「了解。こちらもアイアロン及びダークゴーネの撤退を視認、しかし殺害は叶わず」

《把握した──感謝するバレット。君のお陰で、我ら(USA)は奴らと戦えているのだから》

「そういうのは良いから」

 

一方的に通信を途絶。それと同時に、彼は骸の山へと降り立つ。

どこからともなく現れた彼は、溜息一つ吐いて周囲を見た。

……どの獣にも、彼は()()()()()()

 

「やっぱりいないか。ベロクロンとか」

 

落胆を隠さずに彼は飛び立つ。やがてその姿も虚空に薄れ、静寂だけが地平に残される。

 

 

この宇宙において、彼は殺し屋だった。

 

この宇宙において、彼は超獣退治の専門家だった。

 

たった1人の、宇宙忍者であった。




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