絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
読み飛ばしても問題ないので明日には更新します
バ レ ッ ト
この世界は、ボク達が積み重ねてしまった物だから。
「ストラドにお爺様が?」
惑星国家エスメラルダの縁は広い。USAの中核を為すだけあって様々な星と交流があり、王家はその仲を取り持つ役割を代々背負ってきました。まさしく銀河の中心という訳です。
ストラドもその一つ。しかし例外的なのは、かの星は未だUSAに加盟していないという点。
「ああ。物資支援を滞りなく行う為にも、向こうのステラル王と旧知である父上が加盟を促しにな」
この銀河情勢において、USA非加盟という要素はかなりのアドバンテージ喪失に繋がります。星間交易における物資保護、国家同士の折衝、侵略に対する安全保障……また先述の通り、災害などに対する支援など。USAが構築してきたネットワークを、それらに使えなくなるという事なのですから。
もちろん加入を無理強いしている訳ではありません。USAとて、非営利組織ではないのですから無償で手を差し伸べられる訳ではないのですが……ストラドは国内に数多くの問題を抱えているにも関わらず、USA側からの勧誘を悉く拒絶してきました。
「しかし、ブラキオンとの関係を改善しなければお爺様でもどうにもならないのでは……」
「……同感ではある」
その理由が、USA加盟国である隣星、獣人国家ブラキオンとの軋轢です。ストラドは、この星がUSAに加盟している限りは加入しないつもりだというのです。
経緯をとしては長くなりますが、その昔、ブラキオンは侵略性国家でした。USAが発足する前の話です。
抑止力の無い宇宙乱世時代。その中でもいち早く外宇宙へ進出していたブラキオンは、手始めにストラドに侵攻・併合してしまいました。そこから更に宙域へと勢力を伸ばし、数々の星を支配下として……我が国エスメラルダとも、何度も事を構えたと記されています。
やがて、終わる目途の見えない乱世を厭うた銀河中の民意が、列強を後押しする形で侵略に対する抑止力を連合軍として結成。ブラキオンはこれを認められず、連合軍と交戦──これに敗北し、ブラキオンは侵略国家としての生を終えます。
その後、連合の監視下で政治系統を解体・再編されたブラキオンは、解放された元傀儡星の国家群と和解。講和条約を結び加盟したのを境に、連合はいよいよ“USA”と名を変えるのですが……。
「ストラドは未だ、ブラキオンと和解するつもりが無い」
最も早く侵略され。
最も長く支配され。
最も強く抑圧され。
最も……激しく、盾とされた。
その怨恨を、世代を経て尚ストラド国民は忘れてはいないのです。
「だからUSAに入るつもりが無い……入ったが最後、ブラキオンに
「加盟国同士での戦争は全面禁止されているからな」
「しかし、ストラドが支配されていたのはもう1000年も前の事です。どうしてそこまで憎悪にこだわ「エメラナ、
父上からの制止は、私の無思慮と儘ならない現実への憂いに満ちています。それを突きつけられ、ようやく思い出せました。
“もう”1000年ではない。“まだ”1000年なのです、ストラド人にとっては。
彼らの種族が持つ特性、それ故に。
「ようこそエメリグ上皇。心より歓迎する」
「儂らの仲じゃ、ステラル。堅苦しい挨拶はよせ」
迎えられた王宮にて、旧知との面会。しかし儂の内心は晴れ晴れとは程遠い。
それでも務めて快活を装った。目の前の人物に好感を抱いとるのは嘘ではないからの。
「……ふっ。お前は変わらんな。ずっと若い姿なのはエスメラルダ王家の秘法というヤツか」
「不老はええぞ~。寿命が延びる訳ではないが、もうモテまくり勝ちまくりじゃ。お主にも伝えようか?」
「その代わりに何らかの代償はあるのだろう。遠慮しておく」
「釣れん奴じゃ。同じ奈落へ引きずり込んでやろうと思うとったのに」
「怪異か何かか?」
ストラドは半鎖国状態、だが決して排他ではない。今儂らが友好的に話せているように、むしろ話の分かる種族なのじゃ。少なくともブラキオン以外には、の。
だからこそUSAに加盟して欲しい。そして……この
「怪異でも何でもよい。お主らの環境を変えれるのならな」
「……見て来たか。町を」
「首都ですらスラム街じゃぞ。何をやっとるんじゃ」
星への降下。首都までの道程。入城時。その全ての過程で見てきた人々の暮らしは、それはもう酷い物じゃった。
ボロボロの建物に舗装なき道路、痩せた人々は服とも言えない布切れを纏うのみ……国民にこんな生活をさせるとは、それでも施政者か。
「そうだ、な。お前から見れば、我々は私欲により悪政を敷く搾取者なのだろう」
「卑下しろとも言うとらんわ。確かに悪政も搾取もしとるが、
他ならないストラド王でさえ痩せこけ、皮から骨が透けて見えそうじゃ。城だって装飾はほぼ取り払われ、贅沢なんて欠片もしておらんかった。
ならば、国民から取り立てた分は、王や貴族が自身の骨身を削った分は何処へ?
……その答えも既に見とる。
「軍備だけじゃ。この城の防衛設備、兵の練度、装備、配置された兵器……それだけが、USA加盟国の水準に匹敵しておった」
「……あぁ。全てを注ぎ込んだ。私の祖父のそのまた祖父、更にその前からずっと」
「目標はブラキオンか」
「当たり前だ」
その瞬間じゃ。ステラルの窪んだ眼が、急激にその輝きを燃やしたのは。
「あのケダモノ共を絶滅させる。そうしなければ我々は
「穏やかじゃないの。ただの戦争ですらない、殲滅戦をお望みか」
「ああ。皆がそれを望んだ」
「皆、とは?」
「文字通りの“皆”」
分かる。それは本当に、彼が擁する殆ど全ての民の望みじゃ、と。
ストラドに、過去に生きて死んでいった父祖の民、そして今を生きている子孫の民、その全てがブラキオン人を憎んでおる。その血を絶やせと叫んでおるのじゃ。
だからこその貧困。それは産める富の全てを、国民全てが国へ捧げたから。
故にこその強兵。それは国が、国民が望むままに全てを軍へ注いだから。
「知っているだろうエメリグ。我々は──」
「無論じゃよ……
……
それがストラド人の特質。親の胎盤から、その半生の記憶を受け継げる。受け継いでしまう。
今彼らが怨嗟を燃やす理由は、偏にここにあった。彼らにとって“過去は過去にならない”のじゃ。
「我々は覚えている。ブラキオン人が我々に何をしたか」
「ステラル……」
「我々は忘れない。父祖が何をされたか、させられたかッ」
「落ち着け」
「どう踏み躙られ、如何に辱められ、何処まで
「それはお主ではない!!落ち着くのじゃステラル王!」
無礼を承知で叫べば、ステラルはハッとした様子で正気を取り戻してくれた。そうなのじゃ、言葉で言えば分かってくれるのじゃ。本来それだけ善良なのじゃ、ストラド人という種族は。
しかし……そんな彼らですら、ブラキオン人だけは。
「……失礼。取り乱した」
「こちらこそ申し訳ない……じゃが、止まる気は」
「ああ、無い」
絶対に赦さないし許せない。時を超えて煮詰められた憎しみは、外野からの声如きでは止められん。
ストラドは……ブラキオン亡き世界でしか、幸せにはなれんというのか?
「ブラキオンは……かつて支配した全国家群に対し賠償を行った。700年前にな」
「承知している。我々ストラドだけはそれを拒んだ事も」
「他の被害国家群もUSAに加盟しておる。ブラキオンとも国交を回復して」
「ああ。良い事なのだろうな」
「そしてブラキオン政府はかつての自国家の行いを反省し、その償いとして人権活動に邁進してきた。今ではその筆頭国家じゃ」
「そうか」
「それでも……ダメか?」
「ああ」
それこそがステラル王の、彼を指示した国民の答え。
「我らがブラキオンを赦しUSAに加盟するのは、全てのブラキオン人が土下座したまま死した時のみだ」
USAの理念に反するというのなら、援助は不要。この憤怒を抱いて餓死するか……勝利するのみ。
それが惑星国家ストラドの道。ベリアル軍に対しての反抗ですら、ブラキオンと轡を並べるぐらいなら滅んだ方がマシだと吐き捨てた彼らの選択じゃった。
……司令よ。これは難儀じゃぞ。
バレットよ。お主の力も借りたいが、それでは駄目なのじゃろう?
だからこそ、儂は……。
このストラドにおいて、畜産業はいわゆる“賎業”に当て嵌まる。
理由はもちろんブラキオン人。獣人である彼らに物以下の存在として扱われた屈辱が、動物とそれに関わる事に対する強い忌避感を植え付けてしまったんだ。ヤになっちゃうよね全く。
当然、そんな職に就いてるボクらに対する世間の目は冷たい。配給は少ないし、石を投げられる事だって少なくなかった。与えられた仕事をしてるだけなのに……いや、違う。仕事が原因じゃない。
ボクの居場所が無いのは、ボクの
なんて思いながら帰ったら、家の隣で不法建築をしてる不審者がいた。
白昼堂々の日曜大工って感じだった。
「ちょっとおにーさん、何やってくれてんの」
「テイオーか。なんとかして門矢か鳴滝を呼べないかと試行錯誤してt……えっ、テイオー!?」
「惜しいね、ボクはティオ・ノマハ……ってそうじゃなくて、なにヒト様の土地で許可なくご立派な物を立ててんのって聞いてんの!」
振り向いた拍子にひっくり返ったお兄さんを見下ろしながら、対峙した建物を見る。最初はいつもの落書きみたいな嫌がらせの一環かと思ったけど、予想以上にしっかりしてた。少なくとも僕が街に買い出しに出てた6時間程度で出来る代物じゃない、どうやったの?
「なんなら隣のボクんちの方が遥かにボロ小屋だし。どっからこんな上等な資材持ってきたのさ、正規で手に入れた物じゃないよね?」
「……あ、ぁ。ちょっとした伝手があってな。住むか?」
「良いの!?っじゃなくて!!」
羨むあまり乗せられそうになったけど、なんとか軌道修正。この人が何者なのかを早く明らかにしないと、どう見ても余所者だし。
「とりあえず、僕は名乗ったんだから次はキミの番だよ。誰?どこから来たの?来訪目的は何?」
「えぇと、俺はガイカ・マキジ。故郷は地球*1、来訪目的は……観光?」
「なんで疑問系?」
「俺の
ふーん、と相槌。正直胡散臭い事この上無かったけど、このガイカとかいう人自身から嘘を言ってる感じは無かったから、取り敢えず憲兵に突き出すのはやめておいてあげよう。
で。それじゃあこの建物は、“それなりの暮らし”をする為のキミの住居ってところかな?
「いや、これは写真館だ。住む為に建てた訳じゃなくて、これを目印に知り合いを呼べんかなぁと」
「わざわざ人を呼ぶ為だけにこんな凝った建築を?お兄さんもその人も物好きだね」
「違いない……けど、変わってるって意味じゃお前も大概だろ?」
そう言って彼が目を向けてきたのは、ボクの頭──の上の獣耳。それと腰から垂れた尻尾。あと僕の家の隣の牧場。そりゃ、気にもなるよねぇ。
「ストラドの奴等は俺とほぼ同じ見た目だったが、お前だけ種族違うよな。それがこの牧場経営に宛てられた理由か?」
「そんな所。ボクの婆ちゃんの爺ちゃんの爺ちゃんあたりがブラキオン人の偉い人でね」
「そいつが、奴隷のストラド人を見初めて番ったのか」
「うん。異種族間で子供を作れるよう
「……おぅふ」
こんな事をさっき会ったばかりの人に言うなんて。ボクも、ボクの家族が辿ってきた忌まわしい過去を誰かに打ち明けたかったんだろうか?
言われたお兄さんだって困るだろうに……と、思っていたら。
「大変だったな」
ポンと頭に乗せられる手。それだけでなくワシワシと遠慮なく掻きまでしてきて。
でも、その手がどこか、温かくて。
「お兄さん……暫くストラドにいるならさ、泊まってかない?馬とか牛とか飼ってるんだけど、一人じゃ面倒見切れなくてさ」
「任せろ。こう見えて畜産系にだけはある程度詳しかったりすんだ」
「昔取った杵柄ってヤツだね。頼りにしてるよ」
それに絆されて、もう家族のいない小屋に、彼を招き入れてしまったのだった。
彼が何者かなんて、考えもしないまま。
「……まさか、この出会いも見越してたって訳じゃないだろうなァ。スライさんよ」
「どしたの?話聞こうか?」
「変な事は言うモンじゃないぞテイオー」
「ティオ!だってばー!!」
ウルトラマンの大きな手は、厄災を防ぎ多くの命を救える
けれど、それではどうしても摘み取れない小さな地獄がある