絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
さぁさ、ここから作者が暴走しますよ
光る宇宙
『『『おぉぉおおのれおのれおのれおのれおのれオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレェェェぇぇえええええええッッッ!!!!』』』
真空を怨嗟が響く。それを発するのは10体の超獣。
それらは各々の口から、手から、腹から火砲を展開。たった一つの目標へ向け、憎悪として放ち続けていた。
向けられたのは“光”。ウルトラマンに比べれば半分にも満たない体高のそれはしかし、超獣をも凌ぐ機動力で殺意を躱し続ける。
《ELSの98%は離脱に成功した、退き時だ!》
「だが奴らに捕らわれた者達がまだ……ッ」
《このままでは我々も捕まるぞ!?》
しかしそれも限界が近付いていた。
ミサイル群を避けきれず、特殊なバリアで防御。しかしその衝撃で加速が途切れた所を囲まれてしまったのである。
「量子テレポート……出来ない?!」
《空間ごと捕捉してきたというのか、不味いぞ!》
『金属異性体の捕獲を阻んでくれた損、貴様たちのその機体で贖わせてくれるゥゥゥッ!!!』
《「ぐっ────!!」》
押し寄せるマイナスの思念波、いやここでは
一頭の超獣が胃の腑から黒い輝きを放ち、周囲の超獣も連鎖するように同色の発光を放つ。やがて集合し、収縮し……完成したのはブラックホール。
呑み込む気だと、嫌でも理解させられた。
《出力が上がらない。抗えないか》
消耗した機体は引力を脱せず、ずるずると深淵へ引き寄せられていく。仲間を逃がす過程で切札を使い切った彼らに、もはや術は残されていない。
だからこそ、一人が叫んだ。
「あのブラックホールはワープゲートを兼ねていると思うか?」
《その可能性が高いだろう。本拠に俺達を連れて行き、そこで解析を試みてくるだろうな》
「なら、
《……正気か?》
紫がかった髪の青年は驚愕し、しかし同時に思い至る。敵は此方のワープを封じた、だが相手のそれに干渉する形なら……その行き先を乱し、逃れる事も可能かもしれないと。
《だが危険すぎる!シュバルツシルト半径に触れた瞬間から光速を超えた特異点の中だ、何が起きるか分からないぞ?!》
「だがやるしか無い!こんな奴らにクアンタを、太陽炉を渡す訳にはいかない!!」
《!》
「これは──対話の為の力だ!!!」
もう1人の青年が放つ渾身の叫び。それに押されてか、紫髪の青年は一瞬だけ沈黙し。
それを経て、強く頷いてみせる。
《タイミングはこちらで測る……しくじるなよ!》
「了解。ダブルオークアンタ……突貫する!!!」
すると一転、機体は推力を逆方向へ。襲い来るGをものともせず、どころか先程まで戦っていた重力を寧ろ味方として、ブラックホールへの突撃を仕掛けた。
翡翠の光を、その粒子を散らし、天使が暗黒へ挑む。闇に、触れる。
────
《……許せ、刹那ッ》
「ティエリア……!」
闇の奥底に、天使は散ったのだった。
「アヌーの自立を祝って!」
「「「かんぱ~い!!!!!!」」」
今日はお祭り。惑星アヌーの開拓が進んで町が完成し、僕らの母星政府から一つの自治都市として認定された記念の日だ。
その喜びを分かち合い、僕らは皆と祝杯を交わす。でも僕は子供だからジュース。
「良いなぁお酒、飲ませてよ兄貴!」
「ったく、今日だけだぞ?」
「ラン?ナオに何させようとしてるのかしら?」
「きょ、
ちぇっ。母さんの邪魔が入っちゃたらもうダメか、もうちょっとだったのに。
拗ねた気持ちのまま、叱られる兄貴を尻目に人混みを縫っていく。良いもん良いもん、こうなったら一人で楽しんでやるもんね!
おっちゃん!チキンちょーだい!!
「おお、ナオの坊主か!ランと母ちゃんはどうした?」
「置いてきたよ。僕の遊びにはついて来れそうも無いし」
「生意気だぜ。ま、ガキは元気で留守が良いか……ほぅれ持ってけ、もう一本はオマケだ!」
「わーい!!」
お祭りと言えば買い食いだ!その思いで頬張った肉は皮がカリカリ、中はふんわり、肉汁がジュワァ。
熱ッい!旨ッい!!最高ー!!!
「良い食いっぷりだぜ。そういやナオは昨日の夜、夜空は見たか?」
「はふっ、見た見た!当たり前じゃん」
「だよなぁ、
「だと良いね~」
喧噪を楽しみながら、和気藹々と世間話を楽しんでいた、その時だった。
《──速報です。本日未明、惑星ブラキオンで厳戒指示が発令されました。
「?」
「……チッ。めでたい日になんてニュース流しやがる」
おっちゃんの屋台の奥、置かれたラジオからボンヤリ聞こえてきた報道。すぐに電源を切っちゃったけど、なんだか妙に耳に残ってしまって。
というかストラドって、確かおっちゃんの。
「ああそうだ、生まれた星だよ。USA所属のブラキオンとは犬猿の仲だ」
「そっか。なんとか平和に分かり合えないのかな」
「無理だな。もう何十年対立してるか、その間にどれだけの血が流れたか分からん。今更後には引けないだろうよ」
「でも、それでもっと傷付いちゃったら本末転倒じゃん」
それが嫌だから
ヤプールがどっか行って、ベリアルも斃されて、折角平和になったのに。一度は皆で手を取り合えたのに!
「お前らが知らなくていい、薄汚れた憎悪の世界ってモンがあるのさ……なんてな!お前には関係ない事なんだ、無邪気に今を楽しんどけっ」
「……むぅ」
そうおっちゃんは強がってくれるけれど、ここまで聞いちゃった以上は簡単には引き下がれない。何か一つでも、おっちゃんの故郷に対してポジティブな事を言ってあげたい。その一念で思い浮かべたのは……やっぱり、僕達のヒーローの雄姿だった。
「大丈夫だって、おっちゃん!」
「おう?」
「だって──ゼロ達がいるもんっ!」
数々の銀河を股に掛ける銀色の英雄。ジャンボットだって、グレンファイヤーにミラーナイトだって、そしてバレットだっている。
平和は彼らが守ってくれる、僕はそう信じてるから!!
《えっ介入しないんですか?!》
『ああ。俺達はこの件に関しちゃノータッチだ』
完成間近となったUFZ本拠に、ナナの素っ頓狂な声が響き渡った。それは彼女にとって予想外の物だったが故に。
《このままだと2000%オーバーの確率で戦争が起きますけど》
『前から疑問に思っていたのだが、どういう計算をしたら100%を超えるんだ?』
《エスメラルダ製の雑魚CPUには及びもつかない事かも知れませんが、私は可能性を考察する時に脳神経内で幾つもの疑似並行世界を再現して全条件を精査するんですよ。今回は現実に近い20通りの疑似世界で戦争勃発が予知されました、なので2000%です》
『雑魚だとぅ?!』
『2000%の理屈は分かったけどよ、そうならないようにUSAの
《それも計算に含めての2000%です。このままだと悲劇は不可避ですよ、良いんですか》
先に口を開いたのは、前者。
『……それでも、俺達の力は
《
『大小こそが本題だろうが。それに俺達が上から押さえつけた所で、放した時に不満がぶり返しちまうだけだろ。どんだけ歯痒くても、俺達ゃ信じて待つしか無ぇんだよ』
《でも前にお父様と一緒に運営した荒廃地域は、今ではビル群立ち並ぶ大都会になってます。放置しても問題なしです、そうすれば良いでしょう?!》
『そのレベルで出来るならちょっと話変わって来たな』
『……ん?ああ、期待させて悪いが、その地域が本来資源豊富だったのを利用可能にしただけだ。少なくとも今回の案件ではそうもいかん』
『変わらなかったか……』
『…………』
妥協点が遠ざかり、両者の意見はいよいよ平行線。それでも人間自身の努力を信じたいゼロと、信じられないナナの間に火花さえ散り始める。
それを見かねたのは鏡の星の騎士だった。
『はい、両者そこまで。御二人とも視野狭窄を起こしてますよ』
『ミラーナイト……』
《そんな事ありません!この件において私はあらゆる情報を統合し──》
『
そう言って指さした先は、輪から外れて思考に耽る参謀*2の姿。それを目にしたナナは、顔を青白く染めて己に恥じ入る他無い。
『……そうだったな。バレット、お前の意見としちゃどうなんだ』
『────こっちこそ済まない。少し引っ掛かっている事があって』
『そりゃ何だ?』
『後で良い。まずはブラキオン-ストラド間の紛争介入についてだが、ゼロの意向を支持する。
『もち?』
『『《モチモチ???》』』
『専門組織に任せようという事だ。俺達の介入は後からでも充分間に合う。司令だって只者じゃないからな、それに前々王エメリグもうごいてるし』
そうして、促されるままに冷静にバレットは語る。ナナも、敬愛する彼が言うならばと恭順の意を見せた。
しかし、ならば“引っ掛かっている事”とは何なのか。その内容はすぐさま明かされる事となった。
『だが……気になるのは、先日から宇宙各地で散発的に確認されている
『お前が何か感じてるという事は、それなりの重要性と緊急性を秘めた事案だという事だ。詳しく話してくれ』
『感謝するよジャンボット。俺の予想だとこれは……
『誰かがこの世界に潜入した、っつー事?』
グレンファイヤーの問いに対するは首肯。その瞳に憂いを浮かべて、考察は続けられる。
『一つの閃光が確認されたユピテル宙域では、明らかに人工的なオブジェクトが発見されたという情報が入っている。当該物は闇オークションを経由して消息不明だが、これと同種の代物が他の閃光確認箇所にも送り込まれ、しかもその送付が誰かの意図的な物であるとしたら……その意図を明らかにしておきたいと考えてしまってな』
『ちなみに、闇市場に消えた人口オブジェクトとはどのような物体だったんですか?』
『
外部供給が無いままずっと輝いていた、と』
それを聞いた瞬間、ゼロの脳裏をよぎったのはたった一つの輝きだ。
『……
『またはそれに近似した超高効率
そんな物が宇宙中にバラ撒かれたとなれば。それはどれだけの繁栄と、それを巡った骨肉の争いを引き起こすだろう?
UFZ一同の背筋に緊張が走る。たとえ考え過ぎだとしても、これは……。
《──データ整理完了。これまでに“
『ありがとう……だがゼロ、これは飽くまで根拠の無い俺の推測だ。ハッキリ言って杞憂である可能性が高い、スルーして貰って構わないぞ』
『バカ言うなよ。ここまで聞いといて大人しくしてられっか』
バレットの予防線を踏み倒し、ゼロが欠けるは号令だ。彼がリーダーとして放ったそれに、他のメンバーも覚悟を決めた瞳で応じたのだった。
『UFZ!全員で発光現象の捜査、および散逸物の捜索に入るぜ!!』
《という訳で、申し訳ないですけどストラドに介入してる暇はないですねぇ……》
「そんな~」
以前の縁で、バルタン星人バレットの持つAI(?)との通信回線を持っていた
……なぁんて、内心で茶化してはみるけれど。
(他人事だなんて……言ってられねぇよな)
戦争なんて愚かな凶暴性の発露。知りもしない、関係すらない星の話──ベリアル軍に襲われる前のオレならそう思っていただろう。
でも違う。あの日オレ達が闇に対して正義の怒りを燃やしたように、正義も怒りも誰の胸の中にだって存在していて……その限り、衝突は避けられない。
いつかエメラナ姫が宣言してたじゃないか。俺達は“蟻地獄にとらわれた同類”だって。
「出来る事は……無ぇのかなぁ」
「兄貴?兄貴もそう思うよな、ストラドとブラキオンの事!」
「はいはいうんうん」
「上の空~!!」
取り付く島を見出すやいなやすぐ調子に乗る弟を可愛がりながら、俺は思案を巡らせてみた。俺が俺の裡に抱える無力感について。
俺に取り憑いた巨人、彼に身体を明け渡したことは全く後悔してないし感謝している。なんたってナオを守って、俺を治して、宇宙だって救ってくれたんだから……なんならこの宇宙を今も守り続けてくれてるしな。
けどその間、俺自身は何も出来なかった。ベリアルの災厄に対して、彼の中で眠りこけてただけで、何一つ為せなかったんだ。
それが今も蟠りとなって燻っている。出しゃばりだとか、思い上がりだとか、この感情を言い表す単語なんか幾らでもあるんだろう……けど。
(何かやりたいし、しなきゃいけないんだ)
それでも、救われた者として。身体だけでも救った者として。
この世界に貢献したいし、困っている人たちを助けたかった。
────その時だった。
「ラン、お客様よー」
「俺に?すぐ行く」
「誰誰?兄ちゃんの
「開拓で忙しいのにそんな暇あるか」
「残念よねぇ、私はやく孫の顔を見たいのに」
「母さんまで……」
囃されながら向かう玄関。外の祭りの喧騒が近付き、ドアを開ければそれが押し寄せてくると思っていた。
現実は違う。
「……アンタは、」
「カマル・マジリフだ。突然失礼する」
青年だった。俺と同じぐらいの。見ない顔だったけど、それだけなら何も問題は無かっただろう。
けど雰囲気が、何にも流されない静けさを孕んでいて。
「ラン。君がこの地区における採掘班の現場リーダーだな」
「あ、あぁ」
「この物体に見覚えはあるか」
その
映っていたのは青いロボット。型式は俺の知ってるどの機械とも一致はしなくて、知らないと答えようとした……ところで、思い当たる節が一つ。
「いや……待ってくれ、昨日そういや採掘地の監視カメラに変な物が」
「そうか。
「想像って、まぁ思い出して絵か何か描くから待っててくれ」
落ち着いているのに急かすような事言ってくれちゃって。お陰で嫌でも想起しちまったじゃねぇか、あのよく分からん機械の落下物を。
全く、取り敢えず母さんから紙とペンを借r「いや、充分だ」へ?
「不躾な真似をした事を、ここに謝罪する。良い一日を」
急に踵を返して去っていくカマル。何が目的だったのか分からないまま、人混みの中へ消えようとするその背中に……俺の喉は開いていた。
「待ってくれ!鉱山は危険が危ねぇ」
「承知している。だが行かなければ」
「そうなんだろうな。だが管理者の許可と、同伴も無しってのは筋が通らねぇだろ?」
「……来てくれるのか?」
俺は何を言ってるんだろう。何が目的で、何を得られると思ってこんな事を言い出したんだろう?
それも分からないまま──けれど後悔と躊躇は無いまま、俺は頷いてみせた。
この青年が秘める魂の形に、
宙に散った希望の欠片。
迫る戦火の足音。
焦る少年達へ悪意が忍び寄るその時、彼らに“光”が舞い降りた。
次回。【邂逅】。
革新者、