絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ 作:スターク(元:はぎほぎ)
まさしく予告詐欺です。すみません
この感覚の正体は何だ。
宇宙発光現象を調べにきた時、何かが俺を惑星アヌーへ引き寄せた。それは突如現れたベムスターを追って地上に降りた時、その正体を表す。
1人の、青年。
ランやナオと同じ種族、同じ年頃の──けれど、違う。
(
このベムスターから感じられる“悪意”に揉まれながら、けれど決して揺るがない硬さと強さ。その性質はまるで、俺達ウルトラマンにも近しく思える。
こんなにもサイズに差があるのに、見劣りしない程に大きく重く。
ただ不幸に対し逃げ惑うのではなく、自らの弱さを認めた上で、他者の弱さを救う者であろうとする決意。その為に引き金を引く葛藤と覚悟を抱えた命。
穏やかさと冷徹さを併せ持った、静謐な光の意志だ。
そしてそれ以上に……何と呼べばいいのか。
目が合ったその瞬間、直感があったんだ。
彼とは、
(お前は何者なんだ……?)
…………疑問を抱えてる場合じゃねぇや。
『ウルトラマンゼロ!貴様、よりによって貴様がっ!!』
『思いっきり自我あんじゃねぇか、お前誰だ!?』
このベムスターを捌かねぇと始まんないよな、っと!
さっきから俺への、つーかウルトラマンという種族への憎悪を隠さない辺り、恐らくはこのアナザースペースではなくM78スペースからのご来客って所か?そもそもベムスターはアナザースペースには生息してねぇし、操られて連れてこられたと考えるべきだな!
(バレット。映像送ってるが見てるよな?)
《ああ、ナナを介してバッチリ。お前の見立てでまず間違いない……と言うかこのベムスター、もしかしなくとも
(だよな!!)
姿形が原種と異なり、瞳が真っ赤に染まってやがる。オマケに超獣因子の反応まであるとくりゃ、答えはただ一つ。
『聞くまでも無ぇか!なぁ、ヤプールッ!』
『ぐふぉ……!まだだぁ!!』
『まだやんのかよ?!』
真名看破*1と共に振り下ろした
オイどうなってんだコレ?なんならこの金属片、妙に
《
(問題無ぇな。振り払えばすぐ落ちて動かなくなる)
《了解した。となればチマチマ削るより一挙に蒸発させるべきだ。防御力は高くないようだし、ワイドゼロショットを掠らせて9割ぐらい消し飛ばしてくれ。残り1割は検体として確保で》
(了解!だが勢い余って全部消しちまっても文句言わないでくれよッ)
《そりゃ責めはしないが……》
的確な指示と無茶振りをしてくる相棒に辛口叩きながら、距離を取ってエネルギーチャージ。迎撃なんてさせねぇ、一発で決めてやるぜ!
覚悟しろ、ヤp≪待ってくれ!≫……!!
唐突に響く声。誰……いや分かる、さっきの。
≪“それ”を殺してはいけない!知性を持った仲間なんだ!≫
『けどコイツを放っておいたら……!』
《待てゼロ、ナナ!思念波通信に割り込んできたコイツは何者だ!?》
《……一人芝居、ではないですよね?波長がゼロとかなりの近似を見せてるんですけど》
≪俺はゼロじゃない。だが頼む、話を聞いてくれないか≫
……ああ、良いぜ。
無責任に止めた訳じゃない。何か策があるんだろ?お前はきっとそうだから。
≪感謝する。信号弾を撃った場所へ、その巨獣を誘導して足止めしてくれ≫
『任せろ!バレット、良いな?!』
《待て待て待て、状況がまだ把握し切れてn》
『何をペチャクチャとォ!!』
飛び掛かりをいなした瞬間、視界の隅に信号弾の瞬き。よーしそこだな、と背中を晒した改造ベムスタをー蹴りつけ、バランスを崩した所を肩を掴んで投げ倒す。
指定ポイントで立ち上がった奴の背後に更に回り込み、羽交い絞めだコラ!
《ウルトラバックブリーカー!?》
《なんですかそれ》
『今だぜ、
お膳立ては済ませたんだ、お前の作戦ってヤツを見せてくれよ!──
──刹那と言ったのか?俺は。
「……ロックオン完了。
そして、約束をアイツは果たす。
独特な発射音を轟かせて飛来した薄桃色の閃光が、改造ベムスターの心臓目掛けて飛んでくる。良い狙いだ、これは外れねぇ!
《あっバカ!狙撃するなら
『「え??」』
『その手は食うかッ!!!』
と思ったのも束の間。バレットのツッコミとヤプールの唾棄はほぼ同時で。
突如光弾の軌道がねじ曲がって……腹に吸い込まれちまっただと!?
《バカヤロー!!ベムスター相手になんて下手くそな戦い方だ!!!》
『そうだったー!うっかり吸収能力忘れて、って覚えてるんなら事前に注意してくれよ!?』
《狙撃と知ってたら忠告してたに決まってるだろ!そもそもお前は一言も言われてない事をなんで把握出来てたんだよ!》
『……そういやなんでだ?』
『残念だったなぁ?!』
『うわっ』
喧嘩してる間に振りほどかれ、これで事態は振り出しに戻される。クッソ~、俺がベムスターを正面から押さえてりゃこんな事には。
悪ィ、刹那!同じ作戦は通じねぇだろうし、もうワイドゼロショットで……!
「大丈夫だ、ゼロ。
『あ?マジ?』
「吸い込まれたのは予想外だったが、寧ろ好都合だ。相手の体内に入り込めばそれでよかった」
『負け惜しみはそれぐらいにしておけッ。見ていろ、今すぐ腹の口でここら一帯を吸い込んでくれる!』
存外落ち着いた口調に毒気を抜かれた俺の姿を隙と見て、改造ベムスターは丹田に力を籠め始めた。不味いという直感と共に阻止を試みる。
けどそれより、事態は一手だけ早く動く事となった。
≪───聞こえるか≫
『……な、
改造ベムスターの腹の口が、捻じれる。
刹那の心が強く木霊したその瞬間から。
≪聞こえるなら、応えてくれ≫
捻じれが強く大きく、広がる。
それは止まらない。胸部も腰も曲がって捻じれて、そして……!?
≪応えろ───
『どッ……
『え、何?!』
《何だぁ!?!》
《惑星アヌーより強烈な思念波を感知!これが、まさか一人の
うわあああ!なんかグチャグチャに回転し始めやがった、どうなってんだコレ?!!揺れる触れる回る、ちょっとどころじゃないキモイ動きしてるんだが!!
オイ刹那!流石に以心伝心って訳にもいかねぇ、説明を……ッ。
「──……ッ!!!」
見遣った崖上。その狙撃ポイントに立っていた刹那は……顔中の穴から血を流しながら、ベムスターを睨んでいた。
無理している。それを押して、自分に出来るべき、やるべき事に尽力している。それを察するにはあまりにも容易い、凄絶な形相で。
俺と応答している場合じゃない。けど、俺に出来る事は……!
「ゼロー!怪獣を切り刻んでーっ!!」
「蒸発はダメだが、粉みじんにすりゃ行動不能になる!ってカマルが言ってたぞー!!!」
その時、刹那の後ろから出てきたラン達の声。そうか、ありがとよ!!
『任せとけぇッ!!!』
ゼロスラッガーを両手に構え、斬る。斬る、斬る、斬る、斬って斬って斬り刻め!!
『「うぅぅぉおおおおおおおおッ────!!!!」』
・
・
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事態は収束した。
カマルが不思議な力で足止めしている間に、ウルトラマンゼロがみじん切りにした怪獣。その肉片は辺りに散らばるかと思いきや、その場で蠢いて金属結晶となり、そして動かなくなった。
今はアヌーの自衛部隊が駆けつけ、大量の金属結晶を回収していっている。直接触れると不味いらしいので慎重に。
「……すまない。今は、眠っていてくれ」
その結晶達に向けて謝る、いつの間にか回復し終えていたカマルの姿は何処か印象的で。これがアイツの言ってた“仲間”なんだろうか。
「っていうかさ、凄かったねカマルの射撃!この“じーえぬビームガン”?の威力もさ!」
「仲間に腕の良い狙撃手がいてな。彼に肖らせてもらったんだ」
「で、そのビームガンも“仲間”なんだろ?これからどうすんだ」
「それについてだが……」
『俺と一緒に来てもらうぜ』
割り込む声は頭上から。回収作業を見守っていた、ウルトラマンゼロの物だ。
『バレット──俺の仲間なんだが──お前の話を聞きたいって煩くてな。俺自身もお前と色々話してみたいし、良いか?』
「構わない。俺がこの世界で何をすべきか、お前達と共に行けば分かる気がする」
二つ返事で了承するその姿に、俺が感じたのはある種の寂寥。この二人は、初めて会う筈なのに、まるで旧来のコンビのような連携を見せていたからこそ猶更。
こんな凄い奴が、この宇宙に居て、ゼロと相性抜群って。
だったら……最初から俺じゃなくて、カマルと融合した方が、ゼロには良かったんじゃないかって。そう思っちまうんだ。
「ラン」
そんな俺を見通すように、呼ぶ声。
「それは、
「何が……」
「ウルトラマンゼロがお前を選んだのは、お前の放った勇気が彼を眩ませたからだ。お前と出逢えなければゼロは戦えなかった、そうだろう?」
『へ?──ああ、違い無い。話の主旨は掴めねぇが、ランがいなけりゃどうにもならなかった。助けられたのは寧ろ俺の方だ』
「んな事言ったってよ……!」
「兄貴……」
本人たちから慰めの言葉を貰ったって、惨めになるだけだ。彼らが正しい存在であるからこそ余計にそう思える。
だからこそ、俺は……!
「……
「『!!』」
「空の上で待ってろ!お前らから手を差し伸べられるまでもねぇ。俺は俺達の手で、足で、力で……お前らのいる高みまでたどり着いてやる!!」
以前はバラージの盾を求めて夢見ていた
必ず追い付く。お前らという光に焦がれて、追っかけて、いつか必ず追い越してやる!!
「……なら。改めて、名乗らせてくれないか」
そんな俺の一方的な宣誓に、まず答えてくれたのは彼だった。
「俺はカマル・マジリフではない。ソラン・イブラヒムという名を授かったが、今はそれですらない」
「じゃあ……アンタの、名は?」
「刹那・F・セイエイ」
清栄より来る刹那、つまり永遠から切り取られた一瞬。それが本当のお前。
洒落た名前じゃないか。忘れられそうにねぇや。
「ここじゃ無い宇宙で、地球で、お前達が来るのを待っている。ありがとう」
「へっ……ああ、待ってろよ刹那!」
「ぼ、僕も!僕も忘れんなって!!」
ガッシリと交わした握手、その強さもしっかり覚えた。急いで尚も加わったその交わりも解かれ、青い掌が刹那を包み込む。GNビームガンとやらも一緒に、自衛部隊が集め終えた結晶体も抱えて。
ゼロ。ウルトラマンゼロ、彼を頼んだぜ!
『ああ。俺も待ってるぜ、ラン、ナオ!』
皆が見上げる中、その言葉を最後に彼らは飛び立った。夕焼けに染まる西の空、宵の明星が輝く中を一つの光が宇宙へ駆けていく。
それへ向けて、俺とナオは、ただひたすら精一杯に手を振り続けていた。届くように、届かせるように。
「で、いつ行動開始すんの?明日?」
んなワケ無ぇだろ。早速だ行動だ、行動!
「怪獣。そんな存在が、この宇宙には闊歩しているのか。あの“ベムスター”のような」
『まぁな。アレは改造が施された姿だけど、原種の生物も似たようなモンだぜ』
UFZ拠点へ向かう道中、手の中の刹那にこの宇宙の状況を説明してやった。多分俺と同じく別宇宙からの来訪者、それも意図に反した転移者みたいだしな。
『で、そんな怪獣や、怪獣と同等の力を持った宇宙人が力の無い他者を侵略する事が多々ある。そんな奴らから皆の命を守るのがUFZ、つまり俺達って訳だ!!』
「……戦争するのか?侵略性宇宙人と」
『捉え方や場合に依っちゃそうなるな……けど一方的な力で弱者を踏み躙るなんて行いは、見過ごされて良い筈が無ぇ。だから俺達は、弱者が強者の手でそんな目に遭っている所に割って入るんだよ』
弱者と強者では対等な対話なんて成立しない。だから、同じ強者である俺達が間に入って、無理やりにでも平等にする。対等な対話を成立させる。
気に入らなかったか?と問えば、帰って来たのは首振り。横方向だ。
「崇高な理念だと思う。だが一つ聞きたい」
『何だ?』
「
……ナナにも、似たような事を聞かれたな。
よく聞かれるって事は、つまり、そこには確かな傲慢と矛盾が存在してるって事なんだろう。
『……何も、しねぇよ』
「その間に、人は死ぬ」
『それでも、出来ねぇ』
「手を拱いている間に、人は死ぬ」
『話し合ってくれるよう促す、それ以外の事は何も』
「話している間にも人は死ぬ」
「それでも!──……信じてぇんだよ」
矢継ぎ早に繰り出される現実に、俺が示せたのは駄々をこねる事ぐらいだ。分かっていても避けられない事実を認めないなんて、これじゃヒーロー失格かもな。
お前は、こんな俺を咎めるか?
「──いや。それで良い」
『……良いのか?』
「ああ。信じ続けてくれ」
刹那は今度は、首を縦に振って言った。
「抵抗できない弱者を圧倒的強者が犯せば、確かに侵略だ。戦いを生むどころか、抵抗を成立さえさせない悪しき行為だ。それを糺す行為は正義……だと思う。いつだって犠牲になるのは弱者だから」
『でも弱者同士の争いは違うと?』
「ああ。同じレベルの者たちが争えば一方的な物にはならない。そこには必ず応酬が発生し、事態は複雑となり、解決から遠ざかる。外からの力で何とかしようとするなら、それもまた悪しき暴力に他ならない……
そう言って見据える宇宙には、幾億・幾兆にもとどまらない星々が輝く。地上の人々は、それを“星座”として絡め合い、描く。覚えきれない程に。
覚えきれなく、許容し切れなくなった先の未来を知っているかのように、刹那は。
「だから、示さなければいけないんだ。この世界の
『……ああ。そうだな』
星同士は絡まり合ってなどいない。ただ各々に煌めき、互いを照らし合っているだけなのだと。
俺が言った“それでも”という言葉と、同じ想いをありったけ込めて、そう宣言したのだった。
誤解なく手を取り合える世界。それさえ実現すれば、本当は敵なんて居ない筈なのだから。
《お父様!!》
『どうした。ミラーナイト達がそれぞれ“破片”を発見した報なら把握しているが』
《ストラド政府において!宣戦布告の書状が送信準備に入りました!!》
『────マジか』
対話を経ないまま理解し合ったゼロと刹那。しかし彼らを、激動の現実が再び分かつ。
止められぬまま始まった殺意の奔流に、嘆きに、バレットが見出したものとは。
次回。【ファースト】。
踏み躙られた怒りが、牙を剥くならば。