絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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ウルトラマン色どころかガンダム色も薄いってやる気あるん?(自己叱咤)


それでも -後編-

《という訳で、なんかめっちゃ運いいので全ツッパしてきますね》

「水原しそうで草なんだな」

《メチャクチャ失礼な事言われた気がするんですがそれは。上司(陛下)の資産に手を出すほど落ちぶれちゃいませんよ》

「今更だろ悪質宇宙人。とっとと賭博黙示録(ざわざわ)してこいよ」

 

「ただいま~」

「おかえり~。なんか良い顔してんな」

 

相変わらず誰かと連絡とりながら、でも家畜の世話に手を抜いてる様子は無さそうなガイカ。うんうん、上手くやってるようで何よりだよ。

 

「いやぁ、嬉しい事があってさ。なんと!この仔達の食肉処分が!延期になりました~!!」

「お~めでたいめでたい。そうら、お祝いにご主人様を舐めて来な!今だ行けっゴーゴーゴー!!!」

「ぅわ~っ!?」

 

馬やら牛やら羊やら、多くの仔達に寄って集られ揉まれる始末。ガイカ~、ちゃんと皆を戻すの手伝ってくれるんだよね~~!?

 

と、楽しい時間を過ごしていれば日が暮れるのも早い物で。延長された皆との時間を存分に満喫してから、ボクはガイカと共に家に戻ったのだった。

今日はめでたい日だからね。夕飯は贅沢に行くよっ!

 

「あ?戦争が始まって配給制になってっから、物もロクに買えん筈だろ?」

「溜め込んでたお宝を介抱するって事だよ。まずは~……ジャーン!にんじん!!」

「腐ってるが」

 

……。

 

「フッフッフー。今のは所詮ジャブ、まだまだこんな物じゃないぞよ」

「まぁ期待せずに聞いてはやるけど……」

「見縊っちゃって~。ジャジャン、今度はチーズだァ!」

「ネズミに齧られ過ぎて9割消えてんな」

 

…………。

 

「玉ねぎ!」

「傷み過ぎて真っ黒」

 

「燻製肉!」

「寄生虫だらけ」

 

「ジュエルにんじん!こればっかりは大丈夫でしょー!?」

「見た目は良いっつーか、それそもそも食用?」

「細かい事は良いの!」

「食うモンじゃないっつってんだよ!」

 

ぜ……全滅!?虎の子の食材達が全滅!3分経たずにぃ?!!

たかが時間経過と湿度*1に全部の食材が!バケモノか……。

 

「うぅ~。ガイカにボク自身の食材(もの)で御馳走してあげたかったのにぃ……」

「なぁ、ティオ」

 

なんだよぅ、笑うなら盛大に笑ってよ。ボクはどーせ備蓄の管理もマトモにできない半人前だってさぁ。

でもガイカだって悪いんだよ!下手に幸せな生活を僕にくれちゃった星でこんなに腑抜けちゃったんだから!責任取れ!責任取ってよ~!!

 

 

「もしかしなくても()()()()()のつもりだったろ?」

「そうだよ?」

「……」

 

ボクとうん、その通り。キミと一緒の食卓で食べる、最後の、とびきりの御馳走にするつもりだったさ。

 

「もう分かってるでしょ?この星にいたら(まず)いって」

 

ニュースは既に星全土へ伝わってるだろう。このストラドが犯した罪、招き入れた悪魔、引き起こされた大破壊。宇宙中の人々が、その発端であるボクたちに敵意を向けても何もおかしくない……ううん、とっくの昔にそうなってるんだろうね。

政府も混乱状態にあるのか、情報統制だって出来ちゃいないんだ。もし世界から槍玉にあげられなくとも、被害を受けたブラキオンはすぐにでも報復に来るっていうのに。

 

「まー不味いだろうな。で、お前にだって同じ事言えるよな」

「前言ったでしょ?ボクはここから離れられない理由がある。キミとは違う」

「俺だけ尻尾撒いて逃げ出せってか」

 

そうだよ?と二度言ってあげた。じゃないと分かってくれそうも無かったし。

 

「ボクね。ボク自身が思ってたよりも絶望とかしてないんだ」

「嘘こけガキンチョ。この前めっちゃ泣いてたろ」

「うん、だからこそ不思議なくらいなの。きっとガイカがあの日受け止めてくれたから……かなぁ?」

 

存外スッキリした気分で迎える破滅。何だろう、こんなに晴れやかな気分になれるのならもっと早くなりたかったなって、そう思えるぐらいだ。

その日まで厩舎の皆と居られる。こんなに嬉しい事は無い。

 

「だからありがと、ガイカ。ボクと一緒に居てくれて」

「……」

「僕に暖かい家をもう一度くれて、本当にありがとっ」

 

でも、それにキミを巻き込むワケにはいかないから。キミにはこんな地獄みたいな星じゃなくて、もっと良い世界を見て回って欲しいから。

だから、ここで終わりにしよう。

 

「…………っハァ~~…………。ちょっと待ってろ」

 

その意を汲んでくれたのか、ガイカは長い長い溜息を吐いた後……懐から紙束を取り出して机へ。何をするのか問う間もなく速筆で書き込んだかと思えば、彼はすぐさまそれを突き出してきた。

その内容は……

 

「……歌?」

「交換条件だ。俺はお前の身勝手で牧場手伝いを解雇される(むしょくになる)んだからな」

 

彼は言う。これを受け入れない限り、ボクの願いなんか受け取ってやらないって。

 

「好きな歌を選べ。自分の今の想いに合う歌を、んでそれを全力で歌え。それ聞いたら満足して出てってやる」

「無理だよー!ボク歌とか全然知らないもん!!」

「無理も道理もあるか!やれ!!お前が未練に思ってる事とか全部喉から絞り出せ!!」

「ワケワカンナイヨー!!!」

 

無茶ぶりにも程がある願いを聞きながら、でも先に押し付けたのはボクの方だから無下にも出来ない。うぅーっ、お願いだからバカにとかしないでよぉ?

 

でも、未練かぁ。そりゃ、やりたくてもやれなかった事はあるけどさぁ……うぅん。

 

じゃあ、これかな。

 

「……へぇ?理由を聞いても良いか」

「“夢”だよ。追いかける暇とか無かったし」

 

何かに夢中になって走ってみたかった。それを誰かに応援されてみたかった。

それが叶わない人生だったけど……ううん、だったからこそ、想いを込めて歌える。気がする。

 

「了解した。さぁ……始めようかァ!」

「ぅゎどっから出したのさその楽器群!!というか今歌うの!?ここで?!?」

「ああ、勝負は今ここで決めろ!俺を満足させてみろ!」

「ぴぇーっ!!」

 

それからは滅茶苦茶な5分間だ。ガイカは多彩な楽器群をどうやってか同時に弾き始めるし、ボクは唐突に始まったそれに流されるまま歌うしか無い。

けどその中に、ボクの中で眠ってた、眠ったまま終わる筈だった万感を埋め込む。ボク以外の夢を追う誰かに届けと祈りながら。

 

唄う。

 

謡う。

 

詠う。

 

夢を追い、駆けるボクを夢想して、謳って────歌い、終わった。

 

「────やっぱり、最高だった」

 

ガイカは評する。楽器たちを放り出して、手放しでボクを。

 

「予想以上だった……っつー訳で、追加報酬だ。なんか望み言えよ」

「の、ぞみ?」

「可能な範囲で叶えてやるさ」

 

可能な範囲って、これまた曖昧な……けど、キミなら、なんだかどこまでも叶えるために邁進してくれそうな気がして。

だからつい……口から、零れる。

 

「皆が……この牧場の皆が、助かる道があるなら……助けてあげて」

「……」

「今まであの仔達を、出荷してきたのも、ボクだけど……生き延びれるなら、それが良いから、さ」

 

たった一曲。でもそれだけで、精神的疲労は限界に達してたらしく、ここでボクは力尽きる。

もつれた足が導く床。でもその直前、抱き留めてくれたのはやっぱり彼で。

 

「────任せろ、ティオ」

 

その言葉に満足して、眠りに就いた。翌朝、ベッドから起きたボクの視界に、彼はもういなかった。

さよなら。ガイカ。

 

 

 

この時、ボクはまだ知らなかった。

 

「で、何盗聴してんだガキ。殺すぞ」

「……血気に逸るな。言われんでもすぐに出、ァぐ!?」

 

家を出た直後のガイカが、小屋の裏手に隠れていたエメリグ上皇を捕まえていた事なんて。

 

「本来なら手足捥いでスライとの交渉材料にしてるとこだが……興が乗ってるからまずは質問してやる。どうだったよ、アイツの歌?」

「講聴者アンケートにしてはなんとも乱暴な……いや、素晴らしい物じゃったよ」

 

そんな凄い人が、ボクの来に感銘を受けてくれてた事なんて。

 

「殺伐とした宇宙を生きてきた心に沁み違るような、未来に思いを馳せる切ない歌じゃった……歌った彼女本人に、その来来が無い事を想うと尚更の」

「そういうこった。お前らの愚鈍さがアイツの明日を奪ってる事、もっと深刻に受け止めて貰いたいモンだね……ッ!」

「グクッ……言葉も、無いわ……いっ!!」

 

それ故の悲嘆に心を沈めてた事なんて。

 

後から知ったボクがビックリさせられたのは、ここからだ。

 

「──ところで。ここにはアイツ、ティオの歌を高音質で刻み込んだ音声データがあるんだが」

「ケホッ、ケホ!!……なにぃ?」

「お前、この歌に少なからず感動したんだろ?この戦争を止めなきゃって、改めて思えたんだろ?」

 

だったらさ、とガイカは言って。

取り出した記録媒体(ボクの歌)を握る指に、糸を寄せた眉間に、一層力を込めて。

 

「この歌を流行らせりゃ…・・・・ちょっとぐらい変わっても良いんじゃねェか?」

 

ボクを取り巻くこの世界。

それに対する怒りを、ここに解き放ったんだ。

 

 

 

「確かに良き曲じゃ。良き声じゃ。が、良きモノが必ずしも売れるとは限らんぞ?」

「この曲を好きになれんゴミに人権を認めるつもりは無い。流行らなかったら殺せる限りの全員を殺す」

「それお主が1番の争いの火種になっとらん?あーもうこれ儂のプロデュースパワーに全部懸かっとるパターンじゃん」

 


 

ほら 降り注ぐ冷たさも

いつかはきっと 変わってくよ

何度だって 光れる

夢と一緒なら

 


 

美しい歌声でした。

輝く夢。未来への希望。それを後押ししてくれる在在への想い。願い。

辿々しくも、一生懸命にその心を掲げる可憐さ。そのいじらしさに、応援せずには居られない祈りに、魅せられました。

 

……でも。

彼女のこの歌は、ストラドの在る宙域の何処かから投稿された物で。

 

つまり、かの地にも平和を願う命が確かに存在していて。

でもこのままでは、その命さえ、夢さえ、根絶やしにされる未来が待っている。襲いくる戦火、それによって彼女の総てが否定される事で......

 

──そう思えば。

 

「立たな、ければ」

 

立ち止まっている自分が、これ以上無く莫迦らしく思えたんです。

 

助けたい。

守りたい。

彼女だけではない。他にも同じように抱かれているであろうこの祈りを、夢を、救いたい!

 

「司令様。お爺様からのメールは受け取られましたか」

《ええ。貴女にも?》

「お陰様で」

 

衝動のままに繋げたホットラインは、この銀河連邦における中心人物。

彼の声音にもまた宿された光に…・・・・・私は強く告げたのでした。

 

「再び開かれる臨時総会へ参加します。彼らに、私の言葉を伝えさせて下さい!!」

 


 

まだ駆け抜ける 途中でも

信じられるよ この道を

 


 

「兄貴ー、例の動画見た?」

「ああ。ストラドの謎のアカウントから投稿された歌だろ?」

 

アヌーからゼロと刹那を追いかけ、渡航許可を貰いつつ飛び出した宇宙。その無重力に揺られながら、宇宙服越しにナオと言葉を交わした。

今銀河中で再生回数を伸ばしている例の動画について。

 

「草原の中で、1人の少女が動物と戯れながら歌うアニメーション*2。それと共にお出しされるポジティブに満ちた……っつーか、ポジティブでいようと頑張る歌って感じ?良いよなアレ、俺達も頑張らなきゃって気になれる」

「そうだよ。ゼロ達がいなくなったからってへこたれちゃ居られない……ってね!」

 

ああ。現在進行形で戦火に晒されようとしてる悲痛な環境でもあんな声を上げられる奴がいるんだ。それより生ぬるい環境で育った俺達が、半端な逆境に屈してたら申し訳ないなんてレベルじゃねぇぜ!

 

「ベリアルの時もそうだった。戦争でも災害でも、一番最初に犠牲になるのはああいう“平和な夢”だ」

「だから、止めようとしてる仲間を助ける。そうだろ兄貴?」

「おうともよ!」

 

瞬間、眺めていたスペースニトロメタンの海が沸騰。つっても温度が上がった訳じゃねぇ、潜航してた物体が急浮上して飛沫を上げたんだ。

来ると思ってたぜ……炎の海賊さんよ!!

 

《久方ぶりだなぁゼロ、ナオの小僧!──おっとすまん、ゼロではなくランとやらだったか》

「ランとやら、何とやらだ。はじめましてっつーとこか?」

「ガルのおっさーん!俺達も連れてってくれー!」

《おおおおおおおっさんちゃうわっ》

《兄者!反応が図星のそれぞ!?》

《というかワシら全員いい歳なのは認めんと……》

 

 


 

 

Believe to run エールが

聞こえてる

 

木漏れ日のように───

 

 


 

 

世界は回り続ける。ヒーローが居なくたって続くし、続かせてみせる。ナオや、歌の少女が夢を謳い続けられるこの世界を。

それこそが、この世界に生まれて大人となった(わたし)達の責務だから。

*1
「たかがどころか最強の敵まであるだろ」

*2
「作画:儂」

「演出:俺」




生き抜く為に。
平和の為に。
夢の為に。
懸命に奔る人々、しかし世界の歪みの前では無意味なのか。
……否。清栄より来たる彼は吼えた。

次回。【戦火無双】。

進む意志を嗤う家畜人へ、立ちはだかるは白い悪魔。
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