絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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遅れちゃってサーセンでした
それと、タグに「ガンダム00」を追加しました


戦火無双 - 前編 -

《良い歌だ》

《感動的だな》

《だが無意味だ──今のままでは》

 

一堂に介する巨人達。しかしその実、ここに集ったのは後らの実体にあらず。

 

《……焼き鳥ぃ》

《焼き鳥言うな!!……勘違いしないで欲しいが、私とて少なからず心動かされている。しか感動に足る物だとて、力には敵わない。対抗して守る力が無ければ》

《その為のUFZでしょう?──と言えないのが、今の私達ですからね……》

 

ツッコミは透り抜け、対する振り払いも空

振る。そう、彼らの姿はホログラムに過ぎない。それぞれ遠く離れた場所に居るのである。

 

《そう悲観する状況ではありませんよ》

 

そこへ現れるもう一つのホログラムと……1人、今度は実体の青年。両者共に、巨人達とは比べ物にならない小さな影であった。

 

「心が善を保障し、力が正義を為す。この二つが相互に確証し合う事で、世界は初めて秩序を構築出来る……それを理解し、雌伏を堪える事を恥じる必要は無い」

《おっ。お前がバレットの言ってたゼロのダチってやーつ?》

《本物のマヴという物ですか。恥ずかしながら私、このUFZ(なかま)を得るまでは明確な友人というのが出自的に少なかったので、少し羨ましいんです》

「ああ。俺の名は、」

《不要ですよ。既に情報共有は済んでいます、自己紹介は時間の無駄です》

「……だが……」

 

名乗りを遮る少女のホログラムに、青年は渋い顔を浮かべる。これは彼が“対話”に重きを置くスタンスだからなのだが、ここで口を開いたのは機械仕掛けの巨人だった。

 

《近付くナナの予測時間。名は互いに知っていて、通信による会話も済ませており、この場で初なのは互いの動く姿を視認する事のみ。なれば効率的に物事を運ぶべきだ》

「っ……」

《──安心してくれ。我らは既に君を()()()()()

 

その言葉に青年の顔が上げられる。

 

「……何故だ?言ってはなんだが、俺はこの宇宙の外から来た部外者だ。ゼロと感応し合う理由を自分でも理解出来ていないし、もしバレットやナナが騙されていればお前達は窮地に立たされるんだぞ」

《お前を信じた者達を信じているからだ》

 

機神は断ずる。ゼロの友情は、バレットの信用は、判断材料として自らが何よりも重きを置く物であると。

 

《寧ろ今の発言こそ腹が立つ。我々のリーダー達を、友を舐めるなよ》

「!──ふ、ふっ」

《何がおかしい?》

「いや……すまない。お前の声を聞くと、俺も俺の仲間を思い出してしまって」

 

分たれた仏頂面の友を機械の巨人と重ねて笑いを漏らす青年。堅物なのは同じ、だがまさかそんな熱い情動を言葉にするとは……否、友も胸の内ではきっと。

そう思えば、青年の顔が引き締まる。これから待ち受ける戦いは、その友を救う為の物でもあるのだから。

 

「……ありがとう、ジャンボット。グレンファイヤーに、ミラーナイトも……お前達がゼロ越しに俺を信じてくれたように、俺もまたゼロを通してお前達を知り、信じる。共に戦ってくれ」

《お任せを!私とて旧交温めたエスメラルダ先々代王の命が懸かってますからね、友を想う貴方と条件を同じくします。どうか轡を並べさせて下さい》

《あーもう、堅っ苦しいのは良いだろ!戦争止める!ヤプール倒す!!理屈は簡単なんだから、後はエイエイオーで充分だろが!!》

《単純な……だがお前の単細胞さも今となっては頼りだ、その調子で頼むぞ》

 

それぞれの視線が今一点に交わり、同じ希望色の光を瞳に灯す。

士気は、ボルテージは最高潮。それを認めた少女は一つ咳払いしてから言の葉を紡ぎ始めた。

 

《団結を確認できたところで、状況の確認です。現在、ブラキオン宙域を取り巻く戦況は以下の通りとなっています》

 

●丁度1週間前の未明、ストラドがブラキオンへ宣戦布告。エスメラルダ標準時刻一三○○にて中間座標地点で両艦隊が激突しました。

 

●兵力はブラキオン艦隊が圧倒していましたが、ストラド艦隊がヤプールから供与された新兵器──いえ、思考を奪われた知性体“ELS”を武器として使用。これによりブラキオン艦隊はほぼ全滅し、残存し帰投に成功したのは一隻のみとなっています。

 

●それに対する追撃を止めるべく、ゼロとバレット(お父様)、次いでUSA艦隊が戦場へ介入。ストラド艦隊は撤退しますが、ここでヤプールからの干渉と思われる時空湾曲攻撃によりお父様達が行方不明となってしまいました。現在、USAの別動隊が捜索していますが救助の目処は立っていません。

 

●これを受け、ブラキオンはストラドの再進撃を牽制するべく“衛星落とし”の発動可能性に言及・示唆。その現実性を高める為、USA条約からの一部離脱を表明しました。

 

●ストラドは謎の沈黙。潜伏しているエメリグからエスメラルダへ送られた密報を傍受した*1所、どうやら政治系統に混乱が発生しているようですが詳細は不明です。ストラドの事ですから、いくら混乱していてもそれを度外視してELSをブラキオンへ差し向けていても何もおかしくなかったのですが……。

 

●ちなみに数日前、ストラドの秘匿地点から一件の歌が投稿されました。これは流行となって今も広がり続けており、周辺宙域に住む人々の厭戦気運を刺激している模様です。この後戻り出来なくなった状況で「だからなんだ」という話ではありますが。

 

●つまり、私達の勝利条件は

 ①戦争停止

 ②ELS救出

 ③“ダブルオー”の奪還(ヤプールの新兵器無力化)

 これらを満たす必要があるという訳です。

 

 

《……一気にか?》

《一気にです》

「可能なのか?」

《可能です。お父様はそう仰っていました》

「お前自身は信じられるのか」

 

青年の問いに少女は肩を竦める。この場で打ち明けるにはやや空気の読めない己の本音を、しかし隠していればそれこそ不破になりかねないかと開き直って。

 

《──どうでしょう?ただ言える事として、私単独なら切り捨てている確率でしたよ》

《手厳しいですね》

《私は貴方がたとは違いますから……ああ、決して悪い意味だけではありませんよ?公的正義を標榜する貴方がたと、お父様への愛という私的正義を秘める私では、そもそも行動原理が違うんです》

 

彼女が戦うのは、厳密には他者の為ではない。善や平和の為にUFZに所属している訳ではない。理由は他にある。

それは偏に、彼女が敬愛するバレットがウルトラマンゼロに魅入られ、それが彼の幸福に繋がっていると判断したからだ。

 

《お父様が光に立つなら、私は闇の腸を裂きましょう。お父様が闇を纏うなら、私は光の心を貶めましょう。ですから、お父様から信任を受けた貴方達に望むのは……“彼の顔に泥を塗るな”、それだけ》

《「…………」》

《だから、成功させて下さい。ううん、()()()()()──私から言う事なんて、これで充分です》

 

叱咤にもなるし、これで良いだろう。そんな判断の下に突き放すように告げられた言葉に、場を沈黙が包み。

 

「だが、それだけじゃない」

《は?》

 

青年が、看破した。

 

「まず謝っておく。読ませて貰った」

《なっ、思念波(脳量子波)は遮断した筈ですが!?》

「どうやらお前達の使う思念波と俺の使う脳量子波は、近似してこそいるが細部は異なるらしい。その差異から漏れ出た心を拾ったんだ」

《変態!!》

「お前は“知りたがっている”。違うか」

 

少女の罵倒を敢えて無視し、青年は続ける。読み取った少女の苦悩と葛藤を、その暴露を。

 

「バレットが守ろうとしている世界を。バレットが憧れた英雄を、その真価が何処にあるかを。彼に共感する為に、自分の殻を破ろうとしている」

《……!》

()()()()()()()()()。だからバレットが居ない今もUFZとして戦っている……それは彼からの命令が理由じゃない。お前が、お前の意思で、(ここ)に在ろうとしているからだ」

 

畳み掛けられる論破の波状攻撃に、少女の顔はどんどん赤く染まるばかり。例えホログラムだとしても、寧ろ感情を即座に表すプログラムを組まれた幻像だからこそ、彼女の嘘偽りない本音と図星が赤裸々に明かされていて。

 

「悪ぶるな。お前も彼らUFZの、そして俺達の仲間なんだ」

《っぁ……うゎあ〜〜〜〜〜ッ!勝手にどうとでも思ってて下さいよーッ!!》

 

とうとうノックダウンの様相を呈する。そっぽを向いて一時ログアウトした少女に、初めて見るその姿に巨人達は目に見えて当惑していた。

 

《す……凄いなオメー。あのナナをK.O.しやがった》

《滅多にお目にかかれる物じゃありませんよアレ。もっと見たいので、この件が終わったら正式にUFZに入隊してくれませんか?》

「……少し考えさせてくれ。俺は別に帰る場所があるから」

《それより、()()についてだ。グレン、ちゃんと合流場所に間に合うよう調節してくれただろうな?》

《勿の論!指定ポイントにしっかり射出したぜ、って船長達が言ってた。ナナから送られてきた教材(シミュレータ)も履修済みだぜ》

「そうか……彼らも戦場に……」

《案ずるな。覚悟を決めてきた者を拒絶するのは侮辱になるぞ》

「……分かった」

《ご安心を。彼らは強いですよ、私達や貴方が思うよりずっと》

 

《世間話はそこまでです》

 

そんな雰囲気を断ち切る声。先刻までの動揺が嘘だったかのような冷徹な声音で以て、少女が帰ってくる。

彼女が点灯させたスクリーンに映るのは、USAの臨時総会会場。そこに──彼らもよく知る姫君が、登壇する光景だった。

 

全員の神経が尖る。予測によれば、ここが“撤退不能地点(ポイントオブノーリターン)”故に。

 

《エメラナの演説。それが終わり次第作戦開始です、各員出撃準備を》

「……了解した。コックピットで待機する」

《ワープ準備に入っとくぜ。しゃあっ、腕が鳴らァ!》

《私は鏡面を整えておきますよ。不備があってはいけませんから》

《姫様の御言葉を穢す事など、何人にも許さん!!》

 

時が進む。戻らない一方通行の未来へ、その先に待つは希望か絶望か。

 

前者に傾けようとする英雄達。

後者へ陥らせんとする悪魔達。

 

その分岐路に今──エメラナ姫が、立った。

*1
機神『オイ!?』

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