絶対UFZに入りたくないバルタンVS絶対加入させたいゼロ   作:スターク(元:はぎほぎ)

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酢飯はホーの涙で作りましょう


時既におすし(ツインテール)

《バレットが軍門に下った事で、ただでさえ本部基地を失ったUSAに対しベリアル軍は絶対的なアドバンテージを得た》

「バレット一人が付いただけでか?」

「その頃の彼は実質的にはUSAのエージェントだったのですが、同時に高名な科学者でもあったのです。彼はこの宇宙における技術体系の殆どを把握しています」

 

エメラナ達から聞くバレットの話は興味深いものだった。同時にベリアルがどうやってこの宇宙で一大勢力を築いたかも知れて一石二鳥って奴だし。

 

「ヤプール一派から奪い取った侵略基盤の上に、更に技術知識までが本人ごと味方から流出したって訳か。手の内を知り尽くされてちゃやりようが無ぇな」

「それでも残存する艦隊が結集し、果敢に抗戦を続けていましたが……つい先日、ベリアル軍により全艦蒸発したという報が入りました」

《そして何より、バレットが最悪の裏切り者と呼ばれる所以は他にある》

 

そう言ってジャンバードがモニターに映し出したのは二体の機兵の画像。一体がレギオノイド、もう一体がダークロプスゼロ……にそっくりな量産機、ダークロプスだったか?

 

《バレットが開発したこの二機によって、銀河各国は大ダメージを被る事となった。躊躇の無い民間施設および民間人への攻撃、連邦法を度外視した破壊行為、虐殺に次ぐ虐殺。奴らによって齎された殺戮で、犠牲者数はじきに億の単位へ突入するだろう》

「おく……!?」

《裏切り者の呼び名は、何もUSAだけに(まつ)わるではない。この銀河における人道に対する冒涜なのだ、奴がベリアル軍に貢献した事は…!》

「……彼の罪の有無はともかくとしても、もう誰もベリアルに敵わない。ただでさえ強いのに、バレットの開発力を味方にした事で完全に手が付けられなくなった………だからこそ貴方の力が必要なのです、ゼロ」

 

ベリアルと同様に、バレットを上回った俺が……か。なるほどな、話は見えたぜ。

だが俺もバレットを倒すのは一苦労なんだよな、そもそも時間切れを含めりゃ危うく負ける所だった。それを完全に従えてるって、ベリアルの野郎いつの間にそんな強く……いや違う、寧ろあの時*1のベリアルが弱かったんだ。宇宙牢獄から出たばかりで鈍ってた体が、こっちの世界で勘を取り戻したっていうんなら…こりゃ中々先行き不安だぞ?

 

「この宇宙の太陽はディファレーター光線を発してねぇっぽいしなぁ……」

「ディファレーター光線?」

 

エメラナの質問に頷きで返す。現状、これが一番面倒くさい問題だからな。

 

「俺達の種族は、恒星の光に含まれるディファレーター光線を体表から摂取して活動エネルギーに変えてんだよ。けど住んでる宇宙にはあるそれが、この宇宙だと無いっぽくて……一度の変身につき、マトモに戦闘できるのは()()()()3()()ってとこか」

《なっ…!?そんな状況で充分に活動できるのか?!》

「対策が無い訳じゃない、このブレスレットにはその光線が3回分注ぎ込まれてんだ。単純計算で3回変身、一回で使い切るなら気張れば9分間戦えるぜ」

「消費し切ったら?」

「……う~ん」

《使い切る前にベリアルとの決戦まで辿り着かねばならない、か……ゼロとベリアルの激突にさえ持っていければ希望も見えるが》

 

この場で俺の実力を疑う奴がいないのは本当にありがたいけど、まぁ萎えるのも無理は無ぇ。

兎にも角にも、さっきナオから言われたように、俺一人の無双じゃどうあがいたって解決し得ない状況だってのはよく分かった。それだけでも僥倖だろ?

 

「仲間が欲しいな」

「そうですね」

《私とゼロ以外の巨大戦力が不可欠です》

 

三人(二人+一機)の意見が一致。そうと決まれば、この旅のひとまずの目的は「バラージの盾の捜索」と「味方増やし」に決定って訳だ!方針が定まってひとまず安心だな!!

……で、具体的には何すりゃいいの?

 

「盾の手掛かりは今のところナオの持つ欠片しか無ぇし、バレットの論文はジャンバード曰くあまり収穫無かったらしいし……」

「仲間……ミラーナイトは今……」

《私は変形するならもうちょっとエメラル鉱石欲しい………》

 

エメラナとジャンバードの方も、心当たりこそあれど問題も併さっているようで、ここで議論が止まってしまった。さてどうしたもんか……。

 

「なーに言ってんだよ、兄貴」

 

そんな俺たちの空気を吹き飛ばしたのは、ナオの一声だった。

 

「散々話し合っただろ、宇宙に旅立ったらどうやって盾を探すか!」

「悪い、俺ゼロ」

「そうだった……じゃなくて!盾の在り処を聞くなら適任がいるんだよ!!大きな仲間もいるし」

「本当ですか、ナオ!!」

 

マジかよ、さっそく話がトントン拍子に進むじゃねぇか!で、それは誰なんだ?

そんな俺たちの期待に満ちた視線に、ナオは胸を張って答える。

 

「探し方を知ってて、仲間になってくれるかも知れない奴ら!“炎の海賊”さ!」

 

 

 

《炎の海賊?神出鬼没で行方も知れないぞ、接触など出来るかどうか……》

「あっ、実は爺ちゃんが海賊と昔仲良かったらしくてさ。航行の度に絶対立ち寄る宙域を教えて貰ったんだって!」

「……前から疑問に思ってんだけど、ランとナオの一族って何者なんだよマジで」

 

 

 


 

 

 

鏡の星。キラキラ煌めく鏡の世界。

光が波となり、さざめきを催し、広がる地平線。

その深く深く、奥深くにて、騎士は己を閉ざしていた。ミラーナイトである。

 

惑星エスメラルダへのベリアル軍の侵攻時、未だ傷の残る身で彼は民を守った。避難者で溢れる王都を丸ごと鏡の障壁で包み、ベリアル軍がすぐにその命を奪えないよう庇ったのである。

しかし代償は大きく。

 

《背中の傷は痛みますか?》

 

誰もいない筈の空間。にもかかわらず聞こえてきた幼い声。ミラーナイトは僅かに、だが確かに反応を見せた。

 

《注入された因子が、心身を蝕みますか?》

 

微かに顔を上げるが、映り込んだ視界には誰もいない。しかも先ほどとは方向からして違う。

 

《深く刺されましたね。その分中枢神経の汚染も重篤。ですが精神力と、自分自身の封印でここまで進行を抑えていると》

『誰だい……?』

《とはいえ時間の問題。免疫さんはどこまで働いてくれるでしょうか?》

 

思わず問うたが答えは無かった。一方的にミラーナイトを、その容態を分析しているようだ。

クスクスと、無邪気で無慈悲な笑い声が響いた。

 

《頑張ってくださいね、ミラーナイト。しばらくここで見ていますので》

 

この姿は誰にも見られたくなかったミラーナイトだったが、朦朧とする意識で全てを諦めた。声の主は、彼が何を言おうと聞いてはくれなさそうだったが故に。

 

クスクス、クスクスと声が響く。鏡の国の奥深く、底の底で。

 

 

 


 

 

 

「来たー!」

「本当に来た…」

「すげぇ……」

 

炎の彗星、いや業火を防壁として纏った戦艦が星の海を渡って来た。ナオが指定した座標に駐留し特殊な信号を発していた俺達は、しっかりとそれを目視する。

 

《炎の海賊は今でこそベリアル軍と反目していますが、実態は宇宙海賊です。そもそも話し合いに応じるかどうか》

「なぁに、いざという時ゃ俺が……」

「限りあるゼロの力は迂闊に使えません。何より、如何なる相手であろうと対話を諦める理由にはならないのです」

「お、おう」

 

予想外に強く止められちゃ引っ込まざるを得ない。エメラナの言葉にタジタジになる俺、そしてその姿をナオはニヤニヤ笑ってやがった。ちょっとイラッと来たので軽く手刀しといた。

そうこうしてる内に停泊する海賊の船、って改めて見ると船首に赤い巨人が座ってやがるな。アレがナオの言ってた“大きな仲間”か?

さて、姫さんの対話はどこまで通じるやら……

 

『どこのどいつだ!焼き鳥にして食っちまうぞ!』

《「「「………」」」》

 

思ったより蛮族らしい。だがそれでも、エメラナは一歩前に出る。

 

「私は、エメラナ・ルルド・エスメラルダ!」

『えっ待って。もっかい言って?』

「惑星エスメラルダ第二王女、エメラナです!まず、呼び掛けに応じてくださった事、心より感謝申し上げます」

『お、応……オイ船長。思ったより礼儀正しいぞ。調子狂うな』

(ほだ)されるなグレン!……まぁ女子(おなご)の声などあまり聞かんからな。耳の保養じゃのぉ》

《兄者が一番メロメロぞ!?》

 

今度は一転して対処に困ってる様子を見せる宇宙海賊。第一印象よりも話が通じそうで、少しだけ安堵したのも束の間の事。

 

「我々は、バr」

『待て待て待てお嬢さん!あっちなみに俺の名前はグレンファイヤーね*2。ともかくこのままだと全員絆されそうだから予め言わせてもらうがな、宇宙海賊は認めた相手としか交渉しねぇのがセオリーなんだ!何か聞いて欲しけりゃ、実力っつーモンの一つでも示してもらわにゃならんのよ!良い!?』

 

早々に妥協出来ない一線を突きつけられ、エメラナは言葉に詰まっちまった。だがまぁ、条件さえ満たせば話し合いになるって分かっただけでも成果だろう。

ありがとなエメラナ。こっからは俺の出番だ。

 

「ゼロ……しかし暴力は、」

「何も会話だけが対話じゃないだろ?」

 

肉弾を介してこそ伝わる物もある。レオとの修行の日々で学んだ事の一つ、実践してみる良い機会だ。限られた変身回数の、その一回を費やしても悔いは無ぇ!

 

「行ってくる……!」

「兄貴、ううんゼロ!」

 

心配すんなって。とはいえこの宇宙に来て初めての変身だしな、気合い入れて行くかァ!

 

「デュワッ!!!』

 

左手のブレスレットから出現したウルトラゼロアイを両目に装着する。瞬間、蓄積された100万W(ワット)の輝きが俺の身体を包み込む!

エネルギーに満ち満ちた光の巨人へと姿を変える為の必要経費だ、持って行きやがれ……!

 

『こんなモンか……』

 

銀色の姿を取り戻した瞬間、俺はジャンバードを飛び出した。対峙する相手は炎の巨人、グレンファイヤーと言ったか?

 

『テメェ、ベリアルのダークロプスか!?』

『違う!』

 

あんな偽物ロボットと一緒にすんじゃねぇ!俺には親父からもらった唯一の名前があるんだからな。

耳かっぽじって聞きやがれ、ベリアルにもその名が届いて震わせる程に……!!

 

『俺はゼロ──ウルトラマンゼロだッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

───その後。

ゼロとグレンファイヤーの決闘はそれはもう盛りに盛り上がった。打・投・極、鍛えた肉体同士のぶつかり合いに皆、ベリアル軍の事など忘れて応援するほど。

僅か1分、されどそれだけで完全に満悦したグレンファイヤーは交渉を快諾。バラージの盾の在処を示し、更には案内役すら買って出てくれる事に。

共にベリアル軍と戦う事に際しても好感触。ただし、

 

『ゼロ。オメーには悪いがよ、バレットの相手は貰うぜ』

「そりゃ何でだ?」

『借りがあんだよ、目の前で獲物取られちまったかんなァ!』

 

と頭の炎を燃やしながら条件付けられたのはまぁ、些事か。

炎の海賊は何やら考えがあるらしく、暫し別行動を取るとの事で。

 

《小僧、お主がバラージの盾を蘇らせるのだな?》

「俺だけじゃないよ、皆の力でだよ!」

《ガッハッハ、言いよるわ!》

《だがかの伝説が真実となり得るのなら、希望もやりようもあろうて……!》

 

そうナオに言い残し、海賊船“アバンギャルド号”は再び星の海を渡っていった。それを見届けてから、ゼロ一行もまた己が航路へ向いた。

 

目指すは“バラージの盾”が眠る場所──鏡の星。

 

新たなる仲間───グレンファイヤーと共に。

 

『ィヨッシャァー!焼き鳥改めファイヤーマン号、発進だぜー!!』

《何が焼き鳥だ無礼者!というか私に跨るな、縮小化するなりの遠慮は無いのか!?》

「そもそも負けたのに自分の名前の一部を付けるのは流石に図々しいぜ?」

『はぁーっ?!勝ったの俺だしー!!もう一回()るか!!』

「応いいぜ、ベリアルを倒した後でな!」

「も~、三人共やめてってば~!」

「……ふふっ」

 

機械の鳥が闇を飛ぶ。束ねた光を、その翼に乗せて。

 

 

 

 

ちなみに、本来の歴史だと決闘の最中にダークゴーネ率いるベリアル軍が来襲。グレンファイヤーの特攻により各勢力は散り散りとなる筈である。

そうならなかったのは(ひとえ)に、バレットが惑星チェイニーでダークロプス派遣計画の概要をベラベラと垂れ流し、ゼロのサイドスペース来訪が早まった事に端を発していた。色んな歴史が早回しになったのだ。

結果、ベリアル軍が炎の海賊の居場所を特定するより早く、ゼロ達が彼らと接触し。

それを知ったダークゴーネが一軍を率い出張るも、時既に遅く。

 

「おっのっれ〜〜〜〜!!」

 

駆け付ける頃には、会談場所となったスペースニトロメタンの海はもぬけの殻となっていた。残念でした。

無駄足ゆえにフラストレーションが頂点に達したダークゴーネは、八つ当たりと自覚した上で叫ぶ。

 

「許さんぞバレットぉおぉぉおおお!!」

 

……それが回り回って超間接的に事実である事を、ツッコんでやれる者はいない。

*1
ウルトラ銀河伝説

*2
自己紹介(アイサツ)には自己紹介(アイサツ)で返すのが礼儀。古事記にもそう書いてある

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