パル〇アに転生した一般人   作:フライングトースター

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ギリギリとなりましたが、今年最後の投稿させていただきます。


幕間~とある伝説ポケモンの受難

 

ディアルガは激怒した。必ず、かの邪智暴虐な異常事態を除かなければならぬと決意した。ディアルガには理知がわからぬ。ディアルガは創造神の分身にして従僕である。鼻歌を唄い、同胞(ギラティナ)を日々揶揄って暮らしてきた*1。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

今日未明ディアルガは時空の狭間を出発し、野を越え山を越え、シンオウ地方より遠く離れたこのパルデアの地にやって来た。ディアルガには仔も伴侶も無い。堅物な同胞(パルキア)と二人暮らしだ。

そうして日々気儘に暮らすディアルガだが、創造神の頼みと言われれば否応もなし。日々日課の同胞(ギラティナ)弄りを渋々諦め*2同胞(パルキア)に別れを告げこの地に来た。

 

メロス風構文終わり。

 

 

 

パルデアの大地に降り立ったディアルガは、ふむ・・・と時間の乱れを感じ取り、独り立ちつくした。予想外に、予定外に大きい乱れである。則ち異常事態。

とっとと終わらせて日課の同胞(ギラティナ)弄りに戻りたいところだが、これは中々骨が折れるかもしれぬ。すまぬ、同胞(ギラティナ)よ。暫く構えなくなるが許してくれ給え*3

 

この乱れは、どうやらこのパルデアの中心部より発せられているようだ。それも、深い深い、地の底で。やれやれ、とディアルガはかぶりを振った。シンオウ地方からここまで空を駆けてきてそれなりに疲労が溜まっていた。思えば、意地を張らずに同胞(パルキア)に送ってもらえばよかった。短慮であることもこのディアルガの欠点の一つであった。

 

ふと気づくと、足元で何やらカンカンと音がする。

思わず音の発生源を見やると、見慣れない紫色のポケモンが数匹、己の躰に纏わりついて一心不乱に自身の手に持った槌で叩いている。

ダメージなど欠片にも感じないのだが、流石に煩わしいので「がぁ」と一声威嚇してやれば一匹残らず逃げ去っていった。

 

(ふっ、雑魚ポケモンめ。伝説の風格に怯え、尻尾を巻いて逃げるがいい)

 

神と称される彼にとって、他者から恐れられ畏れられることは重要なことだ。舐めるな危険。

自身の“格”を下げることは延いては創造神たるアルセウスの“格”を下げることに繋がる。

故に、ポケモンだろうとニンゲンだろうと毅然とした態度を以て―――

などと、小難しい事(ディアルガにとっては)をもにゃもにゃ考えながら歩いていると、いつの間にか周りを十数体のポケモン達に囲まれていることに気付いた。

 

(ん?先程追い散らしたポケモン・・・より一回り大きいな。何だコヤツらは)

 

先程の奴らが助けを求めたのだろうか。明らかに同系統のポケモンだが体長は奴らの2倍ほど、表情も弱々しそうだったのが少々精悍な顔つきへと変化している。手に持っている槌も明らかに大きくなっており、強度も重量もありそうだ。

縄張りに入り込んだことに腹を立ててでもいるのか、警戒するような―――いや、値踏みするような(・・・・・・・・)眼でこちらを見ている?

そうしてしばしの間にらみ合っていると

 

 

 

 

 

 

奴ら(・・)が、来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

新たに来た奴ら(・・)はつい先ほどに現れた個体よりも更に大きく―――いや、違う。

体長は同じに見えるのに、持っている道具が違う!

デカいのだ。持ち主の体長を越えるほどの長さ、そして100キロを超えようかとも思わせる重厚な金属で造られたソレは只の(つち)に非ず。

戦鎚(せんつい)とでも言うべきソレを各々軽々と持ちながら、全部で7体の奴ら(・・)はじりじりと間合いを詰めてくる。

 

 

 

『素材ダ』『素材』『新シイ素材ダ』

『素材』

『素材』『素材』『素材』

 

『素材!』『素材』『素材!』『素材』『素材!』『素材』『素材!』

 

 

ひ、とディアルガは恐怖した。

あの戦鎚持ちのポケモン達は、己の躰を素材としか見ていない!

じり、と思わず後ずさるディアルガについに最初の一体が襲い掛かる!

 

 

ガァン!

 

 

大きな音を立てて、ディアルガの躰がよろめく。ダメージは、少ない。だが―――

 

 

ガァン!

 ガァン!

ガァン!

 ガァン!

 

本来彼ら―――失礼、彼女らの狩猟スタイルはその戦鎚で岩石を飛ばし、飛行するターゲット(アーマーガア等)を仕留めるというもの。だが、空も飛んでいない推定鋼ポケモンを相手にするとなるとどうなるだろうか?

7体の狩人(ハンター)は無慈悲に戦鎚を振り下ろしてくる。何度も、何度もだ。

何より、己の躰から鳴る音の凄まじい事!今にも己の躰の一部が剝ぎ取られそうな錯覚に襲われずにはいられない!

 

 

(ぐ・・・こ、の!調子に・・・乗るなァ!!)

 

この状況を打開すべく、ディアルガは己の持つ最強の技を解き放つ!

その名も《ときのほうこう》。

時の神ディアルガの放つ最高最強の“わざ”であり、周囲の時間を歪めるほどの凄まじいエネルギー波で相手を攻撃する、というものだ。

これを喰らったらそんじゃそこらのポケモンなどではひとたまりもないだろう―――

 

 

 

 

 

だが。

奴ら(・・)は何事もなかったかのようにそこに立っていた。

 

(ば・・・馬鹿な!ワタシの《ときのほうこう》*4を受けて、無事で居られるはずが*5・・・)

 

“わざ”の反動と精神的ショックで動けないディアルガに「それで終わりか?」とばかりににじり寄る悪鬼たち。

 

 

(や、やめろ!来るんじゃない・・・)

「ぐ・・・グギュグババ・・・グァアアアアア!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて。

「素材にならねぇのかよ、屑が(ぺっ)」とばかりに打ち捨てられたディアルガは、何とか自力でシンオウ地方に帰還したものの・・・

 

『ぱるであこわい』

 

と言い残し、時空の狭間に引き籠るという顛末を迎えるのであった。

*1
割と迷惑していることに気付いていない

*2
ギラティナは諸手を挙げて喜んでいた

*3
どうぞどうぞどうぞ。ごゆっくり

*4
ドラゴンわざ

*5
フェアリータイプって、怖いね





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