迫真トータス部!クラス転移の裏技 作:島田部長
2年後...
晴れて大学を卒業し、立教大学付属池袋高校の教師になった野獣、木村、三浦、遠野の4人は、南雲ハジメ達のクラスの授業を受け持っていた。特に野獣は2年目で担任になっており、同期の愛ちゃんこと畑山愛子と共にクラスを受け持っていた。
そんなこの世でもっとも憂鬱だとされている、月曜日の朝のことである。
下北沢から小田急線、地下鉄千代田線、副都心線を乗り継いで30分、田所達は眠気をこらえながら出勤していた。特に三浦は電車内はおろか、職員会議中も半分居眠りしていた。4人とも夜中に何者かによって侵入されているせいで半分不眠症になりかけているのもあるが。
「ボッチャマ…」
「先輩!職員会議中に居眠りはまずいですよ!起きてください!」
居眠りしてウトウトしている三浦を遠野は苦労しながら起こしていた。遠野も遠野でモンスターエナジーのみながら無理やり起きている状態である。
「ファッ!?やってはいけないことしてしまったゾ…」
あの三浦にもどうやら職員会議中の居眠りはいけないという規範を守れてないという罪の意識はあるみたいだ。
教頭の花岡も三浦の居眠りには気づいていたが、彼も故郷の軍畑駅からこの高校に通勤していたことがかつてあり、過去に職員会議中に居眠りしていたので黙認していた。あと単純にめんどくさいからでもあった。
こうして、
「それではお前ら、今日の職員会議を終わりにする!終わり!閉廷!以上!みんな解散!」
と、職員会議は終わった。基本的にめんどくさがりな花岡は職員会議をできるだけ短くしてるのだ。
職員会議から解放された野獣達4人は、それぞれ受け持つクラスへと移動していった。
野獣が担任をしているクラスに入ると、南雲ハジメがいつものように始業チャイムがなるギリギリに登校し、徹夜でふらつく体でなんとか踏ん張り教室の扉を開けた。
その瞬間、教室の生徒の大半から舌打ちやら睨みがハジメのもとに向けられた。彼女の友人を除けば友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、侮蔑の表情を向ける者もいる。
極力意識しないように自席へ向かうハジメ。
しかし、檜山大介、中野信治、斎藤良樹、近藤礼一が南雲ハジメに難癖をつけていた。
「よぉ、芋女!また、徹夜でゲームか?どうせBLゲームかエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」
「ってか、芋女の癖に地雷系女子とか、男に媚売っててキモすぎだろw」
「どうせオタサーの姫やってるんだろ、なあ、囲われて楽しいか?キモヲタ芋女ちゃん?」
「お前らほんと飽きずにやってるよね…。キモヲタしか言えないくらい頭が小さいのかな?」
いつものように気怠そうに檜山を馬鹿にする南雲に、檜山は怒り心頭だった。
「なんだと、お前?芋女が生意気に俺達に口答えするんじゃねぇよ」
「ほんとお前いっつも南雲のこと煽ってんな。BLを馬鹿にするとか頭に来ますよ!今度南雲のこと馬鹿にしたら許さねぇからな。内申下げるから覚えておけ。」
野獣の眼光に恐れおののいた檜山はすぐさま自分の席に戻った。野獣も檜山が席に戻ったことを確認して教卓に戻った。
もはや外道としか思えない檜山達の畜生発言だが、不幸なことにハジメはクラスでオタクで変わり者として見なされているので、ハジメに味方するのは友人と迫真空手道部4人組しかいなかった。それも野獣の頭痛の種のひとつであった。普段ハジメは前髪で目を隠している如何にも地味な女子の見た目をしているのに、休みの日や今日のような三浦の授業の日はショートカット系地雷系女子のヘアスタイルやメイクをしてくるので、ただでさえ浮いていた。それなのに、前髪のしたに隠れてる顔も平々凡々ではあるがそこそこ整っているため、顔目的で告白されることもあり、その告白を冷たく断るので女子から妬まれ男子からは逆恨みされている。その上、彼女の友達は白崎香織と香織の幼馴染みの八重樫雫、谷口鈴、中村恵里、オタク友達の清水幸利と遠藤浩介、遠野や木村が学生時代にバイトしていたレストランの一人娘の園部優花とその幼馴染みの宮崎奈々、菅原妙子しかおらず、それ以外からは嘲笑ならまだいい方で、敵愾心を抱く人もいた。
加えて、ハジメは三浦に基本的にベッタリであり、2年前のあの時三浦にKBSトリオを撃退してもらったこともあって、思いを寄せている。なお三浦は池沼なので忘れてる模様。そのくせして、三浦も満更ではなさそうな顔をしているので、教師に媚を売りまくってると思われているのだ。そのため、友人以外からの評価は最底辺も同然である。もっとも、あの池沼三浦の性格上、意図的に依怙贔屓することはないが。
しかし、ハジメがクラスで嫌われている理由は以上にあげたものだけではなかった。
「ハジメちゃん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ。」
「ハジメ、おはよう。ほら、リボンずれてるわよ。ほんと世話のかかる娘なんだから…」
「ハジメン!今日もかわいい髪型してるね~。地雷系女子のハジメンかわいすぎるよ!」
「鈴ちゃん、突撃はよくないと思うよ…。ハジメちゃんもいつも大変だね」
ニコニコと微笑みながら四人の女子生徒がハジメのもとに歩み寄った。そのうちの三人が学園の三大女神である白崎香織と八重樫雫、中村恵里である。
そう、ハジメは学園の三大女神と「同盟」を組んでおり、彼女達に世話を焼いてもらっているのだ。その見返りとして、下北沢野獣邸の近くに住んでいるハジメは夜な夜な祖父母が大家をやっている下北沢野獣邸に潜り込んで、こっそり寝顔を撮影し、田所、木村、遠野に重い愛情を抱いている白崎香織、八重樫雫、中村恵里に写真を提供している。もちろん隠しカメラも仕掛けており、盗撮や盗聴もしており、24時間監視をしている。その上、両親から学んだプログラミング技術で位置情報アプリを開発し、独学で学んだハッキング技術を使って4人のスマホにも仕込んである。そのデータは4人で共有しているのだ。
「はい、香織ちゃん、雫ちゃん、恵里ちゃん。先生達の写真。あと動画は帰ったら編集して送るから。」
「ハジメちゃん、いつもありがとう。はう~、野獣先生の寝顔かわいい~。下半身が濡れちゃう~。」
「木村先生はいつみても格好いいな。私も木村先生に守られたい。」
「遠野先生の爬虫類顔いつみてもかわいいな~。いつかボクの体で癒してあげたいね。」
「なんだこれは…、たまげたなぁ…。」
クラスの皆が聞いたらイメージが崩壊するような、三大女神が言うとは思えない発言に野獣は裏でドン引きしていた。これも野獣含めた迫真空手道部4人の頭痛の種のひとつであった。
そして、野獣達4人の頭痛の種は他にもある。
「香織、また彼女の世話をやいているのか?全く、香織は優しいな。おい南雲、お前もそろそろ香織に面倒ばかりかけてないで、生活態度を見直したらどうなんだ?檜山だってお前の生活態度の悪さに苛ついてるのわからないのか?」
「そうだぞ。光輝の言うとおりだぞ。」
ハジメに説教という名のいいがかりをしてきたイケメンは天之河光輝。そして彼に便乗するのは坂上龍太郎。
「おい、南雲。なんだその髪型とメイクは。お前の髪型とメイクも神聖な学舎に相応しくないと思うが?」
「そうだそうだ!神聖な学舎を冒涜するような髪型やメイクをするお前にみんな迷惑してるんだよ!」
ハジメの髪型とメイクに難癖をつける天之河と檜山。特に檜山はさっきの腹いせとして攻撃を強めていたが、それによって彼が思いを寄せている白崎香織から白い目で見られていることは彼も知る由がない。
実際、クラスの中でカースト最上位である天之河光輝は不真面目なハジメのことを嫌悪しており、檜山達の難癖を注意しようとしたハジメの友人たちに対して、逆に説教するなどといった普通では考えられないムーブをかましていた。それでも許されてしまうのは光輝のカリスマ性と能力と「正義感」の強い性格ゆえであるが。これが野獣たち4人のもうひとつの悩みの種であった。
ハジメは大きなため息を吐きながら、
「はぁ、別に校則違反してないんだからそれでいいでしょ。ってか、お前らいつも僕に何の用?ほんと懲りないよね。」
と呆れながら言った。そして檜山に近づいて耳元で、
「どうせ僕のことを教育と称して犯そうとする魂胆なんでしょ。でも、その事を香織ちゃんに知られたらどう思われるかな~?まぁでも、多分君が香織ちゃんと結ばれることはないと思うよ。彼女には好きな人がいるからね。」
檜山は一瞬動揺したが、すぐに顔に怒りをにじませた。
「おい、調子乗ってんじゃねぇよこのクソアマ。迷惑かけまくってクラスの雰囲気を乱すお前には一発ビンタを与えないとな!!」
檜山はハジメの胸ぐらをつかみ、ハジメの顔に平手打ちしようとしたところ、野獣がそれを止めた。
「おいお前ら、女の子に暴力はいけないゾ。特に檜山、お前やってることチンピラと同類だと思うゾ。」
野獣は彼特有の鋭い眼光で、檜山たちをにらみつけた。檜山は一瞬恐れおののいたが、
「で、でもやじゅ…、鈴木先生、南雲は学び舎にふさわしくない髪型をしていたので、注意しただけですが…。」
と言い訳していた。しかし、
「ハァ~。おい、檜山。俺の名前は野獣でも鈴木でもいいけどさ、別に南雲の髪型は校則違反してるわけではないんだよなぁ…。むしろ問題なのはお前が南雲に言いがかりをつけてきて殴ろうとしたことだゾ。勿論、天之河も同類だゾ。だから、さっさと天之河も坂上も斎藤も近藤も中野も席に戻って、どうぞ。」
野獣はハジメの髪型を注意しないどころか、むしろそれに難癖をつけてきた天之河や檜山に説教した。しかし、ご都合主義勇者(笑)の天之河には野獣の説教は届かなかったようで、
「でも、檜山は南雲の不真面目な態度や髪型を注意したわけで。彼女の風紀を乱すような髪型を容認して、生徒が不真面目になったらどうするのですか?あなたの出世にも影響しますよ?鈴木先生?」
と真面目な顔で滅茶苦茶な理論を述べた。これには野獣は勿論、ハジメ、香織、雫、恵里はもちろん、谷口鈴、園部優花、清水幸利、遠藤浩介、宮崎奈々、菅原妙子もドン引きしていた。檜山たちや龍太郎は同調していたが。
「自分のフィルターでしか物事を見れない、ご都合主義満載な考え、本当に頭に来ますよ!南雲は成績そこそこいいんだよなぁ…。もう許さねぇからな。HRはじまるからこの辺にしといてやるけど、放課後絶対に生徒指導室来いよ!来なかったら分かってるよな?」
野獣は眼光を光らせ教卓に向かった。檜山らは恐れおののき、光輝は自分の論理をご都合主義と言われて困惑し、香織はうっとりとした表情で見つめていた。実際、ハジメは理系科目の成績は光輝を上回っており、他の科目も平均点を上回っているのだ。その理由は、三浦をストーカーしまくったことによる指導のおかげであるが、彼は池沼なのでストーカーされていることに気が付いていないらしい。遠野と木村は香織とハジメのストーカーに気づいているが。彼の頭の中は空手部の4人しかいないからね、仕方ないね。
そして、昼になった。野獣にとってはお待ちかねの時間であり、遠野、木村、三浦と集まって中庭のベンチでいつも食べているのだ。ちなみにお弁当は空手部時代の名残から木村と遠野が毎日作っており、その腕前は素人とは言えないレベルでレベルが高い。ちなみに、香織やハジメたち5人もいつも中庭で食べており、光輝が毎回初めに難癖付けて引き留めようとしてるが、香織がいつも「え?なんで光輝くんの許可がいるの?」と言い放っている。このときの光輝はまさに滑稽であり、空手部の4人や、ハジメ、恵里、鈴、雫、浩介、幸利、優花達も吹き出すくらいなのだ。
しかし、今日は野獣たちが昼食を食べる前に光輝らの足元が光って、立教大学付属高校の1つのクラスと5人の教師がいなくなってしまったのである。
「アッーーーーー!!」
「イキスギィ!!」
「アーイキソ」
「ポッチャマ…」
汚い声が校舎中に響いてそのまま彼らは消えた。
野獣サイドの生徒についてだけど、
南雲ハジメ、白崎香織、八重樫雫、谷口鈴、中村恵里、清水幸利、遠藤浩介、園部優花、宮崎奈々、菅原妙子の10人だゾ。
ちなみに幸利と恵里は空手部4人に救済されているゾ。
最後まで野獣と敵対する生徒についてはネタバレ防止のため書きませんよ~?