ナンバーズ戦争に巻き込まれたのでOCGのガチデッキで対抗します! 作:黒霧春也
部屋の中に入るとそこには高級そうな家具が置かれており、奥には無駄に大きなテレビが置かれていた。
「まさか、隣の部屋を借りたのか?」
「いえ、一括で購入しました」
「どこから突っ込めばいいんだ?」
羽川さんの親は大企業の社長なのは前に聞いた記憶がある。
ただそれはそれとして、昨日今日でマンションが借りれるもんなのか?
「純斗さん、多分つっこんでも感覚が違って理解できないッスよ」
「そ、そうか。ならこの部屋に対しては突っ込まないでおくよ」
お嬢様の感覚はわからないが、それはさておき。
ちょうど一条も到着したので、俺達5人は羽川が借りた部屋のリビングに集まった。(一条はかなり驚いていたが)
ーー
早めに夜ご飯を食べた後、本来の目的であるデュエル指導を始める。
「まずは1対1の対戦で各々の能力の確認をしたいんだけど……」
「けど?」
「これってデュエル盤でいいのか?」
「もちろんです!」
リビングのテーブルの上に置かれているのは初代の原作序盤で出てきた卓上のデュエル盤。
その発展型みたいな装置が置かれているので、思わず戸惑ってしまった。
「これって最新型のデュエル盤じゃねーか!」
「使用人に頼んで用意してもらいました」
「流石だな!」
「お褒めにいただけるのはありがたいです!」
なんか一条と羽川さんの相性がいい気がする。
コイツら昨日のゲームで盛り上がっていたし、デコボココンビとしてはいいのでは?
「話がずれそうなので本題ッスけど、この場合はウチらが総当たりする感じッスか?」
「いや、家から中堅デッキを持ってきたしこれで対戦しようと思っているんだけど?」
「なるほどッス! って、純斗さんは別のデッキも使えるんスか?」
「もちろん使えるが?」
「マジかよ!」
一つのデッキにこだわるOCGプレイヤーは少ない。
というよりもライト層や初心者ならともかく、中級者以上は複数のデッキを持っているのが普通なんだけどな。
ただこの世界では普通ではないみたいで、彼女達が驚いていた。
「夕陽様と同じタイプなんですね」
「あの、複雑なデッキを回す腕があるなら出来そうッスね」
「流石だね」
「お、おう……。それよりも誰からデュエルするんだ?」
すごいむず痒いので話を逸らすように対戦を募ると、全員が手を上げた。
「まずはボクからだよね!」
「いやウチッス!」
「ここを準備したのは私なのですが……」
「オレだって最初にデュエルしたいぜ!」
このままだと話が進まないような。
その結果、ジャンケンをしてもらい1番は美里、2番は羽川さん、3番は一条、ラストは夕陽さんになるのだった。
ーー
最初にデュエルするのは美里さん。
デッキは広範囲系を破壊するカードが多めの魔法使い族デッキだったはず。
「では、よろしく頼むッス!」
「おう!」
「「デュエル!!」」
月原(純斗)LP4000VS蒼山(美里)LP4000
先攻は美里。
デュエル盤に設置されているタブレットには後攻の文字が出た。
なんかこの世界に来てから先攻が取れる回数が少ないような気がするんだけど?
「ウチのターン! ウチはマスマティシャンを召喚して効果で超電磁タートルを墓地に送るッス。そしてカードを1枚伏せてターンエンド!」
マスマティシャン
ATK1500、レベル3
相手のフィールドに現れたのは前に見た事があるヒゲが生えた魔術師。
ステータス自体はそこまでだが、レベル4以下のモンスターを墓地に送れる➕破壊されたらワンドローがあるのでそこそこ強いモンスター。
「初手は守り重視か」
「そりゃ純斗さんの戦い的にこっちの方がいいッスよ」
「なるほど、ならターンをもらうぞ」
「ッス!」
手札自体は悪くない。
俺はそう思いながらデッキからカードを引く。
「俺のターンドロー。まずは深海のディーヴァを召喚して効果でデッキから海皇の重装兵を特殊召喚する」
「海皇デッキッスか」
「そう! で、重装兵の効果で深海皇トライドンを特殊召喚」
深海のディーヴァ、チューナー
ATK200、レベル2
海皇の重装兵
DFF1600、レベル2
真海皇トライドン
ATK1600、レベル3
こちらのフィールドにはモンスターが3体揃った。
「一気にモンスターが揃ったぞ!」
「本来のデッキじゃないのにここまで回せるのですね」
「しかもトライドンの効果は強力だったはず」
確かにトライドンの効果は強いが、今は別のアクセス方法を使っていく。
「俺はレベル2の海皇の重装兵とレベル3の真海皇トライドンにレベル2の深海のディーヴァをチューニング! シンクロ召喚、レベル7! 現れろ、氷結界の龍グングニール!」
「そっちッスか!」
「手札的にはこっちの方がいいんだよ」
「なるほどッス……」
氷結界の龍グングニール
ATK2500、レベル7
今の手札はモンスターで固まっているので調整がしたい。
そう思いながら俺はグングニールの効果を容赦なく使っていく。
「そんなわけでグングニールの効果発動。手札の海皇の竜騎隊と海皇子ネプトアビスを墓地に送り、マスマティシャンと伏せカードを破壊する」
「やっぱりッスか!」
グングニルで破壊したカードはマスマティシャンと伏せカードのスキルサクセサー。
前者はともかく墓地効果が使えるスキルサクセサーが伏せられているのは、こちらの動きが読まれていた感じか?
「相手のカードが破壊できるのはいいが手札の消費は痛くないか?」
「普通ならそうなんですが……」
「純斗はカードの落とし方が上手いね」
一条は気づいてないみたいで頭を傾けている。
ただ夕陽さんと羽川さんはこちらのデッキテーマを知っているのか、理解しているような感じだ。
(デュエルレベルにも差があるな)
ここ数日の雰囲気やデュエルレベルを見ていると大体わかるのがありがたい。
なので個人のレベルに合わせて指導するのが良さそうだな。
「っと、デュエルに戻って、水属性の効果を発動する為に墓地へ送られた海皇の竜騎隊と海皇子ネプトアビスの効果発動」
「わかってはいたッスけど展開が上手い」
「ありがと」
チェーンの関係で先にネプトアビスの効果で墓地の真海皇トライドンを守備表示で蘇生させる。
(次に竜騎隊の効果だな)
チェーン1の竜騎隊の効果で海皇の狙撃兵を手札に加える。
これで今の手札は3枚なので次の展開を進めていく。
「強欲なウツボを発動。手札の水属性モンスター2枚をデッキに戻して3枚ドロー」
「かなり回っているッスね」
この3枚ドローの結果は悪くない。
そうと決まれば次の流れは自ずとわかってくる。
「さらに魔法カード、浮上を発動して墓地の海皇の重装兵を蘇生させる」
「! これでトライドンの効果が発動できるッスね」
「さっきから何を言っているんだよ」
カードの知識を持っている女子達がすごいのか、理解してない一条が足りてないのかはわからない。
ただ雰囲気的にどっちもありそうなので、ここは軽く説明を交えた方が良さそうだな。
「トライドンの効果は、自身と自分フィールドに存在する海竜族モンスター1体をリリースして手札・デッキから上級モンスターである海皇龍ポセイドラを特殊召喚出来るんだよ」
「ちょっ!? それって強くね?」
「強いッスけどぶっ壊れまではいかないッスよ」
ぶっ壊れかどうかは比べる相手によると思うが……。
ただ、俺が使っているホルスセンチュリオンのガチ回しに比べたら遥かにマシなのは感じるが。
「説明も終わったし、俺は真海皇トライドンの効果で自身と重装兵をリリースしてデッキから海皇龍ポセイドラを特殊召喚する」
「そう来るッスよね!」
「説明もしてたし当たり前だろ!」
海皇龍ポセイドラ
ATK2800、レベル7
コチラのフィールドに現れのは深海に住んでそうな青い鱗を持つ海竜。
テーブルデュエルのビジョンなのでデュエルディスク程ではないがカッコよく映っている。
「本来とは違うデッキなのにこんな簡単に上級モンスターを2体揃えましたね」
「でもまあ、美里の墓地には超電磁タートルがいるしこのターンは防げると思うよ」
「確か超電磁タートルはオレが使うタスケナイトと似た効果なんだよな」
「そうそう」
タスケナイトは手札ゼロの時に自身を墓地から蘇生してバトル終了。対する超電磁タートルは墓地から除外してバトルフェイズ終了なので細かくは違うが、効果は似ている。
(一条もアホではないのか)
デュエルを観戦している3人は椅子に座りお菓子を食べている。
そこはいいのだが、スナック菓子の破片をデュエル盤の上には落とすなよ。
「デュエルに戻ってバトル! 俺はグングニールでダイレクトアタック!」
「この瞬間、墓地にある超電磁タートルを除外してバトルフェイズを終了するッス!」
「やっぱりそう来るよな!」
今回は先手でやる事がわかっていたのは大きい。
なので俺は手札のカードを1枚、デュエル盤の上に置いてターンを終了させるのだった。
蒼山(美里)、LP4000、手札3枚。
フィールド(モンスターゾーン)
・なし
フィールド(魔法・罠ゾーン)
・なし
月原(純斗)LP4000、手札1枚
フィールド(モンスターゾーン)
・氷結界の龍グングニール
・海皇龍ポセイドラ
フィールド(魔法・罠ゾーン)
・伏せカードが1枚
ーー
ターン2が終わり、次は美里さんのターンなのだが一旦止める。
「次のターンに入るまでに君らの感想を聞きたいけど大丈夫か?」
「ッス!」「もちろん!」「うん!」「おう!」
「よし、まずは実際にデュエルしている美里さんから頼む」
「わかったッス!」
今回のデュエルはガチ対戦ではなく、あくまで指導なので止めるのは問題ないはずだ。
その為、俺は彼女達から今のデュエル内容を見た感想をもらい始める。
「純斗さんのデュエルは最悪の事を想定した動きをしているッスよね」
「それはそうだな」
「やっぱり! それで伏せカードを破壊したり厄介なモンスターの効果を封じる動きが多いんスね」
(この短期間で俺の癖が読まれるなんてな)
その動きは実際にしているのは自覚はある。
ただこの短期間で美里さんに読まれるとは思ってなかったな。
「確かに私も感じましたが、何か狙いがあると読んでますね」
「もちろん罠はあると思うッス! ただ今回のデュエルは露骨にウチのカードを破壊しているのでリソースが減った中でどう動くかが純斗さんの見たいところと予想するッス」
「ハハッ、そこまで勘づかれていたのかよ」
少し早口で言われたが美里さんが言いたい事は理解できた。
しかもその推測がほぼ当たっているので、思わず口を開けて驚いてしまう。
「ウチはこんな感じッスね」
「ああ、次は夕陽さんにお願いしてもいいか?」
「やっとボクの出番だね」
板チョコをパリパリと食べている夕陽さんはコーラを飲みつつ言葉を発した。
「ボクも美里の内容に同意だけど、追加で言うなら純斗は次の展開へのリソースを確保しているよね」
「リソース?」
「端的に言えば今の盤面を返された時への対策かな」
夕陽さんもいいところをついて来たなー。
俺は彼女の意見に頷いていると、一条が目を点にしながら手を上げた。
「リソースってドユコト?」
「うーん、イチゴ頭に説明すると純斗はエースが破壊された後を考えているんだよ」
「エースを守るデュエルじゃなくて破壊されるのが前提になっているのか」
「そうだね。ただ純斗はエースを捨て駒にするんじゃなくて守りきれない場合を考えていると思うよ」
なんか俺への評論になっている気がするので、少し方向性を戻していく。
「なるほど……。なら今度は美里さんの動きで気になったところはあるか?」
「ボクは美里のデッキをある程度は知っている前提で話すけど、立ち上がり自体は悪くないよ」
「よかったッス!」
「でも、個人的に相手の展開を止めるカードが欲しいとは感じたね」
確かに前のタッグデュエルでも止める札があったらきつかったな。
その事を思い出していると、夕陽さんが冷静に言葉を助けた。
「今回の場合だとグングニールがシンクロ召喚された時に妨害出来れば良かったと思うよ」
「その場合だと奈落の落とし穴や神の宣告当たりッスか?」
「召喚反応系もいいけど、モンスター効果を無効にする禁じられた聖杯やブレイクスルー・スキルらへんもいいよ」
「対抗手段は色々あるんスね」
ナンバーズハンターをしている夕陽さんからすれば、モンスター効果を無効にするカードは使いやすいんだろうな。
そう思いながら俺達は互いにアドバイスをし合いながらデュエルを進めていくのだった。
大体の投稿時間は何時頃がいいかを知りたいのでアンケートをやらせていただきます。(あくまで目安です)プラス、締め切りは1月26日の18時です。
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1番、12時頃
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2番、15時頃
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3番、16時頃
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4番、17時頃
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5番、18時頃
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6番、19時頃
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7番、20時頃
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8番、21時以降