劇場版リブロマンサー・ファイアスターター ~東の果ての儚き御巫~ 作:火ノ鷹
「大変だったんだな」
「ホントだよ!こんなことになるなんて思ってもみなかった!」
フゥリと『オオヒメ』を説得した後、
マジガールも当然戻ってきていたが、何やら用事がどうのというので帰ってきてからも忙しなく動いていた。ギーグと違って優秀な生徒なら学ぶ内容も多いということとG・ボーイは勝手に結論付けていた。
「ミコは見てみたかった」
「御巫だよ。可愛いし、神秘的だし、強いし、ファイアスターターの舞台になったのも分かるよね!」
「結局それか」
同じギーグ仲間に御巫の素晴らしさを説いていると、廊下の方が随分と騒がしくなってきていた。
クイーンビーが歩いてもここまでの騒ぎにはならない。何か有名人でも来たのかと首をかしげる。
「?何か騒がしいね」
「ん、お前知らないのか?今日の朝張り出されてたぞ。他所から留学生が来るんだってさ」
「どこから?」
「行くクラスにしか教えないだろ」
「そりゃそうか」
そこで会話は途切れ、再びギーグらしい会話が続く。ギーグなのだ、留学生が来たと言っても興味が湧くはずもない。
そして授業が始まる数分前になり……廊下の空気がさらに騒がしくなる。
「おい見たかあの子」
「ビューティホォーって自然に出てたわ」
「まだどこに来るか決まってないんだろ?」
「俺のクラスにこい!」
「いや俺んところだ!」
「俺らのところに決まってんだろ!」
男たちの会話は明らかに女子が入ってくる期待。G・ボーイも条件によっては混じることもあるが、何故か今はそんな気は起きなかった。
初めての感覚だった。ギーグという点……何かに卓越した能力がある者という自覚はある。その何かを特別好きでなければそう呼ばれないのだが……何故か心が躍る感覚があった。
まるで特別好きになれる何かが来ると直感で悟ったかのように。
「あれが極東の田舎者ってホント?」
「負けたわ」
「勝てるガールって誰よ?」
「ついさっきクイーン・ビーとタメ張ったって聞いたけど」
「噓でしょ!?」
「あーでも裏ありそうな雰囲気だよね」
「確かに」
女たちの会話は強大なライバルが入ってくることへの敵対感。スクールカーストが明確に変わることが会話だけでも分かる。
騒がしくなったクラスメイトだが、
けれど何か直感染みたものが走る。見逃してはいけないと、教室のドアを注視する。ドクンと心臓の音が鳴る。
理由なんて、簡単なことだった。
「おーい、留学生が来るぞ。カモン、ミコガール」
教室に入ってきた風のような緑の髪が、ふわりと舞った。