『どうせてめーらアレだろこいつらだろ!!?
敵の襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!
ヒーロー科!!一年!!!A組だろぉぉ!!?』
入場ゲートから出てきたA組のメンバーに会場を揺らすほどの歓声が浴びせられる。
「わあああ…人がすんごい……」
「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか…!
これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな」
飯田…お前なんでもポジティブに捉えられるのすげえよ。
『B組に続いて普通科C・D・E組…!!サポート科F・G・H組もきたぞー!そして経営科…』
一年が全員出揃った所で18禁ヒーローことミッドナイト先生が鞭を鳴らして会場を仕切り始めた。
『選手宣誓!!』パシンッ!
「…18禁なのに高校にいてもいいものか」「いい!」
『静かにしなさい!!選手代表!!1-A樹木龍樹!』
「お…そういや樹木が主席だったな!」「クソが!」
さて…この3日間で色々考えてたが…やはり事情は知れ渡っているか。
「アイツ…敵に重傷負わされたんだろ?」「左腕が…可哀想に…」「確か昏睡状態じゃなかったっけ…?」「せっかく主席になったのに左手失うとか辛すぎだろ…」
耳をすませば聞こえる聞こえる…普通科やら観客のヒーローからの哀れみの声………極めてムカつく!!
というわけで…煽るか!
『宣誓!私たちはスポーツマンシップに則り正々堂々と戦うことを誓います!………宣誓ついでに言います!
俺はこないだの敵の襲撃で左手を失って3日前まで昏睡状態だったので本調子じゃ無いですが頑張ります!…とか言うとでも思ったかボケ雑魚共が!』
「「「!?」」」
突然変なこと言い出した俺に混乱している皆を無視して『強化種子』を失った左腕にあてがう。
瞬時に俺の左腕を覆い尽くし、正常な左腕を形作った樹木に会場にどよめきが走る。
「義手…!」
『この通り…そもそも左手を失った事はハンデになってねえ!
ていうかヒーロー目指す奴がこの程度の逆境で折れるわきゃねーだろーが!ここの校訓プルスウルトラだぞウルトラ!
手加減したらぶっ殺す!全力でかかって来いや!宣誓終了!!』キィーン……
マイクに向かって大声で叫んだ後、会場が静まり返った。
ん?これ滑った?……とりあえずプルスウルトラしとくか。
『プルス!!ウルトラァ!!』
ワァァァァ!!!!
なんか盛り上がった。やったぜ。
昇天しそうな顔のミッドナイト先生とハイタッチしてA組の所に戻る。
「くう…男らしいぜ!俺は感動した!」「…お望み通り本気でブッ殺してやるよ」「樹木くん…!僕も本気で取りに行くよ!」「私も本気出すわ樹木ちゃん」「うおー!うおー!!」「樹木お前アツいじゃねーか!」「ウィ☆」「私も負けていられませんわ…!」「超克…!」
「うーん聖徳太子」
皆に同時に話されてなんて言ってるか一人も聞き取れなかった!
『くう〜……!!さーて盛り上がってきたところで!それじゃあ早速第一種目行きましょう!』
「雄英ってなんでも早速だね」
「早速ではないよね」
さて皆…忘れていないだろうか
『いわゆる予選よ!毎年ここで多くのものが
「障害物競走…!」
そもそもこの体育祭の趣旨はヒーローへのアピール……
『計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!
我が校は自由さが売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば何をしたって構わないわ!
さあさあ位置につきまくりなさい…』
技の選択肢が多い俺のような生徒は…インパクトのある技が出し得!って事で!
『スターーーーーーート!!』
『さーて実況していくぜ解説アーユーレディ!?イレイザー!!』
『無理矢理呼んだんだろが』
『さぁスタート地点で既に周りを凍らせて一抜けした轟!樹木は一人後ろで何やってんだぁ!?』
轟を追いかける皆を無視して一番後ろで『強化種子』を混ぜ混ぜする俺にプレゼントマイクからツッコミが入る。
まあ見てなって…ヨシ!
「栄養十分!周囲に人影無し!じゃあやるか!"巨神樹"!」
ズズズズズ……!!
俺を押し上げながら樹木が巨大化していき、人型になっていく姿にざわめきが起こる。
『巨大ロボ!!しかもかなり造形が凝ってるぞー!!てか樹木は…居たー!!』
これは俺が頭の上に乗って直接操作する"巨神樹"…『オロチ』が操るものと違って一体しか使えないがパワーは据え置きでスピードが大幅に上がる決戦兵器!
これで全ての障害を踏み潰す!
『オオオオオオオ!!!!』
ズシンッ…ズシンッ…ズンズンズンズンズンズンズンズンッッ!!!
「「「なんじゃありゃァァ!!!?!?」」」
『後ろから猛追する巨大ロボに悲鳴が上がるゥ!!オイオイ人踏み潰したりしねーよなあ!?』
『踏み潰したら当然除籍だからな』
ゲートを跨いで走り出した"巨神樹"に前方の皆から悲鳴が上がる!安心して下さい相澤先生!対策済みです!
『モード『マングローブ』!』
『もうちょっとで他の生徒を踏み潰しそうな所で巨大ロボが変形!足が枝分かれして根っこみたいになったー!!キモーい!!』
「イヤァァァ!?!?先っぽに蛇の顔が付いてる!!」
キモかねーよ!!
そもそも俺の技は全て樹木の形や性質を弄っているだけ!"巨神樹"の脚を枝分かれさせて"子龍樹"にすれば『オロチ』が他の生徒を避けて進んでくれる!少しスピードは落ちるがな!
ロボ・インフェルノに到達!ここからはスピードアップだ!変形!
『モード『アラクネ』!』
『今度は下半身が蜘蛛の形になったぁぁぁぁ!!キモい!!』
だからキモくねえって!!
『ニンゲンヨシ…ギャッ!』『ニンゲンヲコロ…ピッ!?』
遅い遅い!『オロチ』が操る"巨神樹"だとスピードの関係で互角だが俺が操ればスピードパワー共に俺が大きく上回る格下!
それぞれワンパンで2体撃破して素通りだ!
『樹木がぶっ壊した2体で巨大ロボは全滅!どんどん素通りだ〜〜!!そうこう言ってるうちにザ・フォールを轟が突破ァ!』
げ!もうそこまで行ってんのか!
急げ急げ…ヨシ!ザ・フォール到着!
ここは普通の人間サイズなら綱渡りをするしかないが…今回の特製"巨神樹"の身長は約30m!
飛び石の要領で素通りだ!
『ホラホラ先頭集団!最後尾から樹木がどんどん追い上げてきて…ってかもう地雷原に到着ゥ!!……ってオイオイひでー妨害だなぁ!?』
地雷原に到着後、即入り口付近を遮るように根を張った"巨神樹"に後ろからブーイングが飛び交うが無視して"巨神樹"の頭を伸ばす。
『ギャーー!!根を張った巨大ロボの首がろくろ首みてーに伸びて進んでいくー!!キモい!!』
『何人かが伸びた首を利用してるな…まあ合理的な判断だ』
良い感じの距離で頭の上で『強化種子』を騎乗性能特化型の"竜王樹"に成長させ騎乗する。
ゴールに向かって滑空する前に…。
「一緒に来るか?」
「げ!バレてる!」「…気付いてたのね」
途中から俺の"巨神樹"にくっついてた峰田と蛙吹さんに話しかける。
「そりゃ気付くだろ、この樹木俺が操作してんだぞ」
「確かに!」「…いいの?私達がやってる事は寄生と言われても仕方のない事よ」
まあ峰田はともかく蛙吹さんがこういう事やるのはちょっと意外だけど…。
「良いんだよ!そもそもこの競技は…ってか時間ねーしさっさと乗れ!」
「…わかったわ」「うっひょー蛙吹のオッパ…」「峰田は俺の前な」「チクショー!!」
峰田を前に座らせると後ろに蛙吹さんが乗って…背中になんか柔らかいのがががが……!!
「あー!!行け『オロチ』!」
『アギャス!!』
三人を乗せた"竜王樹"が巨人樹の頭から飛び降り、滑空を始める。いやー地雷原の上で優雅に滑空するのって…とても良いですよね!
先頭の二人を追い抜く所で声をかけさせてもらった。
「よお二人とも!先に行かせてもらうぜ!」「あばよ!」「サイナラ」
「あ゛あ゛!?」「…っはあ!?」
『樹木!!クラスメイト二人と一緒に最後尾から一気にトップへ!!喜べマスメディア!!お前ら好みの展開だァ!!』
「すげえや!俺ら今トップだぜ!?」「峰田ちゃん、後ろからめちゃくちゃ追い上げて来てるわよ」
「ブッ殺す!」「後続に道使っちまうが…仕方ねえ!」
俺達に追い抜かれた事で二人が足の引っ張り合いを止めてこっちを追ってくる。
『元先頭の2人!足の引っ張り合いを止め樹木チームを追う!!共通の敵が現れれば人は争いを止める!!争いは無くならないがな!』
『何言ってんだお前』
もうすぐ"竜王樹"の足が地面に着きそうで次の技の準備をしていた時…。
ドォォォン!!
「「「「「!?」」」」」
『後方で大爆発!!?何だあの威力!?偶然か故意かーーA組緑谷爆風で猛追ーー!!?っつーか抜いたあああああーーー!!!』
背後から吹っ飛んできた緑谷に追い抜かされた!
"記憶"の通りなら地面に装甲を叩きつけて爆風で妨害…なら!
「『オロチ』!」『アギャス!』
「樹木ちゃん?何して…」
ドォォォン!!
「なっ!?」「ぐっ!?」
"竜王樹"の翼の向きを一瞬変えて緑谷が起こした爆風に乗る!!
『緑谷間髪入れず後続妨害!!なんと地雷原即クリア!!ついでに樹木のドラゴンが爆風に押されて地雷原の最後まで滑空成功!
トップを緑谷と樹木が争う予想だにしない展開ィ!!熾烈なトップ争いに目が回りそうだァ!!
イレイザーヘッドおまえのクラスすげえな!!どういう教育してんだ!』
『俺は何もしてねえよ。勝手に火ィ付け合ってんだろう』
「全速力だ『オロチ』!」「俺らもやってやる!妨害じゃあ!!」「ごめんね緑谷ちゃん」「峰田くんのもぎもぎが厄介すぎる…!」「待てやゴラァ!?」「くそ…ぐちゃぐちゃだ…!」
峰田と蛙吹の攻撃を避けるのにスピードが落ちた緑谷を抜かした!このままゴールだ!!
全員があと少しでゴール…そんな所で緑谷の雰囲気が変わった。
「どうするどうする!?今OFAを使ったら次の競技まで治療が間に合わない!なら今ここで体を壊さない制御を身につけるしか無い!次を意識!次に繋げる!まだ全力を出す時じゃない!壊れないイメージ!…そうだ!樹木くんはUSJ全体に意識を向けながら戦ってた!樹木くんみたいに全体に意識を広げる!意識を広げる…!全身に少しずつ!均等に!!」
突然、緑谷の動きのスピードが上がり一気に皆を追い抜いて最初にゴールを切った。
『さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!?大番狂わせ!!今一番にスタジアムへ帰ってきたその男ーーーー…緑谷出久の存在を!!』
「速っ!?」「嘘だろ緑谷!?」「クソがッ!!」
俺達と爆豪と轟がほぼ同時にゴールしたことよりも…あの技は"記憶"にあったOFAフルカウル!?
手加減パンチをすっ飛ばして習得したのか!?本番に強いにも限りがあるだろ!?
『さあ続々とゴールインだ!順位等は後でまとめるからとりあえずお疲れ!!』
「ハァ…ハァ…今!成功させた!わっ!?」
「オイ緑谷!今の凄えな!?」「すげえな緑谷!!俺なんかほとんど寄生だぞ!」「最後のダッシュすごかったわ緑谷ちゃん」
「くやしい〜…なんかあったん?え!?デクくんトップ!?すごいや!!」
「くっ…得意競技なのに…!」
緑谷を皆でわちゃわちゃにしたり後からゴールした麗日さんの目が飛び出したり色々やった後…。
『ようやく終了ね。それじゃあ結果をご覧なさい!予選通過は上位42名!!!
残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されてるわ!!』
「俺二位!?」「クソが!!」「ヒィッ!?」
なんと峰田が2位、爆豪が3位、俺が4位で轟が5位、そして蛙吹さんが6位だった。爆豪は峰田と緑谷に抜かされた屈辱で目が凄いことになっている。
座ってた順番的にこうなるのは必然だったな。まあ峰田のセクハラを防げたしヨシ!
「おいまさか…位置的に樹木お前…羨ましいぞチクショウ!!」
「ありがとね樹木ちゃん…なんであっち向いてるの?」
「……なんでもない」
……背中の感覚は早めに忘れよう。
緑谷「身体中が痛い!!」(調整ミスって身体の限界をちょっと超えたので全身に激痛発生中)