投稿が遅くなって申し訳ない……。
約1000文字あります。
俺はノートを開く。毎日のめぐみんの症状が書かれたノートだ。起床時間、何を食べたか、前日の記憶があるかどうか。ダクネスの筆跡で事細かにめぐみんのことが書かれている。
俺はページを進める。
次のページも、更に次のページにも、めぐみんのことが書かれている。だが、途中からノートは白紙だった。もうめぐみんのことは書かれてない。
あの日から、めぐみんはもう目を覚まさなかった。
「…………」
元々、このノートはめぐみんの病気を治すためのものだった。だから、今はもう必要ないはずなのに、俺は捨てることができなかった。
ノートの中には、めぐみんのことが書かれている。ノートを開く度にめぐみんに会えた。このノートがなくなれば、俺は本当にめぐみんとお別れになるだろう。
「カズマ……?」
ダクネスが、ドアを半開きにして俺の様子を窺っていた。俺はすぐにノートを閉じて、泣き顔を見せないようにする。
「……はい、カズマだよ」
「もう夕食の時間だと伝えに来ただけだ。邪魔してすまない」
ダクネスは、ノートをチラリと見て、すぐにドアを閉めようとする。が、その手を途中で止めた。
「……カズマ。一つだけ聞いてもいいだろうか?」
ダクネスはゆっくりとドアを開ける。
「あの日……。めぐみんが眠りについた日、最後に何をしたのだ?」
ダクネスは、俺の様子を気にしながら尋ねた。俺はあの日の出来事を思い出す。めぐみんの笑顔や手の温もりが鮮明に蘇る。
「ただめぐみんとの
「約束……?」
「ああ」
ダクネスは、約束の内容を聞いてくる。今なら、めぐみんとの出来事を隠さずに言える。
「俺とめぐみんは結婚したんだ」
もう俺の言葉は嘘じゃなかった。
+
目が覚めた。
顔を洗い、口をゆすぎ、箱に入った指輪を眺める。
指輪。俺とめぐみんの婚約指輪だ。
俺が用意できたのは、
「…………」
あの日。もし、あの日で終わりでなければ、俺達は、結婚指輪を買いに行けたのだろうか。もう一日あれば、俺達の時間はもっと進んだのだろうか。
「カズマさーん。朝ごはんできたわよー」
呑気なアクアの声が二階に響く。めぐみんのことをどれだけ考えても、もうめぐみんとは話せないだろう。
「…………」
もう俺も前に進まなくてはならない。
「さよならめぐみん」
俺はめぐみんに小さな別れの言葉を残して、アクアの元へ向かう。もう俺が嘘をつくことはなかった。
【嘘つき・完】
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