エミヤの猫戯れ映像がキヴォトスを震撼させて数日の出来事、彼は荷物として届いた
学園の正門付近で待ち合わせと言われたのでレンガの塀を背に佇んでいるのだが、
「アレって」「猫の人……」「この前アダルトサイトであの動画の続き」「お風呂に」「あの音声左右で分けられてて」「性の便利屋」「使える」「写真撮っても怒られないかな」
如何せん顔が広まったこともありコソコソと遠目から見守るお嬢様方が多い。
中には最早悪口とも聞こえる発言もあり頭を抱えたくなる。
おまけにトリニティは普段活動する地域と比べて北方にある為、少し厚着をしてきたのだが今日の温度は二十六度、少しばかり暑さを感じ服を脱ごうかと考えていた。
そこへ、一人の少女が群の中から抜きん出てこちらに歩いて来た。
小柄な体躯に黒い羽根、頭部にも羽根が付いており何故か頬を紅潮させている。
黒い制服を見るに恐らくは正義実現委員会のメンバーだと窺い知れ、エミヤは「(ツルギの後輩であればまともな生徒だろう)」と塀から背を離し佇まいを整えた。
「あ、貴方ってこの前のお耳が気持ち良く……じゃなくて、猫ちゃんの動画の人よね」
「ん……あぁ、あの隠し撮り映像の被害者だ」
「ぐ……か、隠し撮りだからって、あんな優しい声で猫ちゃんを可愛がったら猫ちゃんのお耳が孕んじゃう!エッチなのは駄目!死刑!」
随分な言い様である。
しかしこの少女、耳が孕むという発言を至極真面目にしている所から見るに、性の知識に誤りがあるのではとエミヤは捉えた。
多感な時期に誤った知識を身に着けたままではいらぬ諍いを産みかねない、それは危険だ。
「いいか、声で耳は孕まない」
「嘘!だって皆耳が孕むってコメントしてたもん!無差別孕ませお代官!」
「なんだその無駄な語呂の良さは、仕方ない……あの孕むという発言は聞こえてくる音や効果音が心地よかったり、自分にとって好ましい物である際に使用されるネットミームの様な物だ。本当に耳から生まれ落ちる事があれば神話の類だ」
「じゃ、じゃあエッチじゃない?」
「あぁ、実際に子を宿すのは性行為で精子と卵子が結びついた時に起きる命を育む尊い物だ。決して音の波と鼓膜で子が出来る事は無い」
「……そうなんだ」
実に素直な良い子である。
逆に言えば騙されないか心配になってしまう位だ。
「それならごめん、なさい……」
俯いてしまった少女を慰めようと屈み、頭を撫でてやりながら「大丈夫だ、正義感に溢れていて素晴らしいと思うぞ」と褒めてやると、頭部の羽根で目元を隠して恥ずかし気に「あぅあぅ」言い始めてしまった。
自分の意思で動かせるのは凄いなと思いながら、
「すまないが、もし良ければその頭部の羽根に触れてみても良いだろうか?」
と、問い掛けてみると、少女は片羽根を上げて目元を表し、上目遣いで少し警戒しながらエミヤを見つめた。
「い、いや、駄目なら良いんだ。気になってしまってな」
少女としてもしっかりと事前に触れても良いか聞かれるのは気遣われている様で悪い気はしない、それに今話している限り目の前の男性は決して不埒な人では無い事が窺え、本当に興味本位でお願いしてきているのだろうと考えた。
故に、小さく頷いた。
頷いてしまった。
日頃、誰かに触れられることが無い頭羽根、お風呂の時に手入れをする位で自分で触れた際は特に何も感じないし意識していなかったが、
「それでは、失礼する」
優しいタッチでゆっくりと、フェザータッチで羽根に触れ、
「んひゃん!?」
瞬間、少女の体に電流走る。
その部分を意識した事は無かった。
故に、頭羽根を触れられる事で快楽を感じる事など、知る由も無かった。
だからこそ、
「ほう、柔らかくもあるがしっかりと骨もある……」
「にゃっ、や、だめ」
混乱の中で訪れる快感に抵抗する術など無く。
ただ漏れる声を抑えようと必死になる。
そして自然と確認する為にエミヤの顔は少女の顔に近付いており、彼女が『耳が孕む』と称賛した声が耳元で囁かれる。
「震えているのか?どうした?」
「だめだってばぁ……やめてぇ……」
必死に袖口を掴み力を籠める事で快楽を逃がそうとしているが、力を込めれば込める程に気持ち良さが全身に走り逆に快楽を噛み締める形となってしまう。
抵抗の言葉を必死に出すが、あまりにも小さい声で頭羽根に集中しているエミヤには聞こえない。
このままだと――。
少女の脳裏にあまりにも恥ずかしい想像が過ぎり、恥ずかしい筈なのに、何故かその想像までもが快楽の助けとなる。
「大丈夫、安心してくれ――優しくする」
「あっ……」
非常に優しい声音に、安心と油断が同時に襲い来る。
しかしエミヤは触るのを止めない、何せ興味本位から触れているだけで相手に快楽が与えられているなど考えても見ない事だ。
「だっ、駄目―――!」
既に限界が近い少女は最後の抵抗とばかりに声を張り、
「ちょっと、退いて、下さいッ……!よいしょ!」
いつの間にか二人を見守るように集まっていた人混みを掻き分け、待ち合わせの相手であるヒフミが姿を見せた。
「エミヤさーん!お待たせしましたー!」
果たして、それが救いとなったのか惜しむべき展開だったのか、待ち人が来たエミヤは少女の頭羽根から手を放してヒフミへと向き直る。
「だ……あ……」
少女はいきなり遠ざかった快楽と安堵を感じる体温に思わずエミヤの服の裾を掴んでしまい、
「ん?ははっ、ありがとうな触らせてくれて、私はエミヤ、君の名前も聞いていいか?」
それを「お礼も無くどこか行く気?」という言葉無い批判と受け取り唐突な自己紹介。
「あ、えっと、私は下江コハル、そ、その」
裾を掴みこそしたが、何か言葉を用意した訳では無いコハルは二の句が思い付かず。それでも服の裾を放したら何処かに行ってしまうと感じ放せなかった。
此処で、勘違いが発動する。
人が腕を使う事で肩に肩凝りを覚える様に、少女、下江コハルも頭羽根を使う事で羽根凝りを日頃から抱えているのだとしたら……?
更に、今しがた触れた事でその羽根凝りが僅かでもほぐれ、もう一度お願いしたいと感じながらも初対面の相手だから躊躇しているのだとしたら……?
それならば、またしてあげた方が良いな。
「コハル、モモトークを交換して貰えるか?」
「え……?う、うん」
二人してスマホを取り出してフレンドの登録を完了。
スマホに表示されたエミヤの名前を確認し、なんだかとても嬉しくてスマホを胸に抱くコハルにエミヤは頭を撫でながら告げる。
「もしも先程のが気持ち良かったのなら、今度は落ち着いた場所でじっくりと心往くまで触れるから、その時は是非連絡してくれ」
コハル変換入ります。
『気持ち良かったか?今度はホテルで君が心往くまで堪能させてあげよう。欲しければ連絡をするんだ』
その言葉にキャパシティがオーバーしたコハルは頭のてっぺんから足のさきまで真っ赤になり、
「エッチなのは駄目!死刑!変態!タッチッチエクスタシー!快楽沼!」
その場を逃げ出した。
残されたヒフミとエミヤ、その周囲ではこれまでの出来事を見ていたトリニティ生達がヒソヒソと言葉を交わし合っている。
「一年生の子に」「確信犯」「羨ましい」「焦らしの王」「人を猫に変える能力」「触れた人に快楽を与えてる?」「ほらアレ二年生の」「あの子も……」「この後ペロロするんだ……ひっ!?」
が、一瞬で移動し笑顔のままに一人の生徒に「あはは、今何か言いましたか?」と肉薄するヒフミを見て蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った。
改めて二人で落ち着ける場所、間違ってもホテルでは無く近くのベンチに座りウェーブキャットさんのハンカチを受け取ったヒフミはお礼を言った後で今回の事をエミヤに尋ねた。
「それで……結局エミヤさんは何故あんなに目立っていたんですか?」
「……私にも分からん」
分からんかった。
尚、その後エミヤはコハルと顔を合わせるだけで、
「エミヤは駄目!存在がエッチ!死刑!」
「なんでさ……ってコハル!?」
逃走される様になるのだった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
遂にお気に入りが4000人にまで到達し感無量でございます。
最近毎日更新されるTOEI ANIMATIONのガッシュのアニメを一話ずつ見ながら懐かしさと今になって見てみると感じ方が違って涙がボロボロ出てくる作者です。
二週間前に衝動的にPS2を買い直しまして、バイオハザードのアウトブレイクを久しぶりにやってこれまた懐かしさで泣いたり、DSのどきどき魔女神判シリーズも久しぶりにやったら小学生の頃よりもストーリーにのめり込んで新しい面白さを発見していたりします。
でも鬼畜王ランスと戦国ランスは毎年プレイし直してはキャッキャしているので多分根っこは変わってないなぁと思いながらも、趣味の成長って別の趣味を見つけるんじゃなくて別の楽しみ方を見つける。
そういう物だよなぁと感じました。
支離滅裂な後書きでしたが、PSYRENがアニメ化するのを諦めていない事だけは記載しておきます。
それでは!
多分大筋合ってると思うんだけどミレニアムの第3章書いてもいい?
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いいよ
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だめだよ
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やってみろ
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エロ書け