シリーズ通して語られるだけの人   作:I'mあいむ

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主人公がプレイした作品について

緑、ソウルシルバー、プラチナ、ブラック、XY、ソードぐらいです。

旅をしたのでホウエンのことは知ってますがどんなシナリオだったかは知らないです。アローラ、ガラル、パルデアには旅をしていません。

異世界やら世界線がどうたらはあまり気にせず見ていただけると幸いです



プロローグ5

 

「んで、フラエッテは帰って来たんだし、なら全部めでたしだろ」

 

AZの横にはふわふわと不思議な色をしたフラエッテが漂っている。魔性というか、そういう印象を受けるフラエッテだ。

 

「その一言で纏められるのは気が引けるが、その通りだな。生き返った気分だ」

 

ふむ、言われてみれば確かに。以前あった時とは違い何か憑き物が取れたような顔をしている。

 

「そりゃ良かったな。まあ俺が何を言わずとも結果は変わらなかったし、そんなに恩を感じないでくれよ。感謝するなら少年少女に、だ」

 

「ああ、分かっている。だが、何故お前がそれを知っていたのか。それだけが分からない。あの時まだあれは赤子同然だった筈だ」

 

俺は以前のカロスでこいつに出会った。主人公が現れてお前を救ってくれるし、そんなに落ち込まなくても良いんじゃね?的なことを言って励ましたのだ。

しかしまあそれを言われると痛い。いや、こいつになら言っても良いのかもしれない。なんせ存在自体が有り得ない野郎だ。信憑性も上がるだろう。

 

「………もし、誰にも話さず墓場まで持っていくと言うのなら話す。これはあんただからだ。誓えるか?」

 

ただこれをウルトラホールやらなんやらと繋げられると一気に面倒になる。なんせそれは国際警察の管轄。更にリラ何かにも繋がるかもしれない。そこら辺のことはサンムーンをプレイしてないから良く分からない。考察動画とかで知ってるだけだ。

 

確かホウエン出身どうたらとか、ポケモンの世界には世界線がどうたらだとか言ってたが………まあ気にしても仕方ない。

 

「成る程。だがそこまで関わる奴もいない。話すことは無いと誓おう」

 

「良かった。あのな、この世界……このポケモンがいる世界があるだろ?」

 

「ああ」

 

「俺はこの世界を架空の物語とした世界に居たんだ」

 

「……それは、どういうことだ?」

 

「俺が元々居た、というか前世ではこのポケモンの世界が架空の物語として存在していた。主人公が居て、登場人物が居て、そんな物語を俺達人間は楽しんでいた」

 

懐かしい記憶だ。あんまり良い学生生活じゃなくて、親との関係も悪かった。そんな時に娯楽としてのゲームは心の拠り所だった。

 

「俺達が物語の存在か」

 

「ああ、ここはもしかしたら物語の中なのかもしれないが……まあそれはどうでも良い。ただあっちにはポケモンが存在しない」

 

「ポケモンが……いない」

 

「ポケモン自体が架空の存在で、あっちでも過去にはポケモンが居たとか、似た世界が違う未来を辿ったなんてのは有り得なかった。この世界とは何もかもが、恐らく世界の法則さえ違った」

 

憧れていた。この世界に来ることを。寄り添ってくれる存在がいることを。

 

「つまり、お前が知っていたのは」

 

「お前自体がその物語の登場人物で、主人公はあの少年だ」

 

「成る程な。壮大過ぎることだが……神がいるのだ。このようなことがあっても、可笑しくはないか」

 

「俺にはどうしてフラエッテが戻ってきたのかなんて、あんまり分からない。ただお前が3000年前の王で、あの兵器を開発して、またフラエッテと会うことが出来る。それだけは分かっていた」

 

愚かだと思った。けど、成長に連れて気付く。人間とは皆愚かだ。スケールが違うだけでやったことは、思ったことは何も変わらない。

 

「お前はそれを知っていてわたしに何も言わないのか?」

 

「………お前よりも業の深い世界なんだよあっちは。お前の兵器も可笑しいがこっちも十分に可笑しい。人間が愚かなんてのは何処も同じだ。仕方ないじゃないか。本当に、仕方ないとしか言えないんだよ」

 

過去の偉人に文句など無い。良くも悪くも今を生きてるんだ。過去のことに、関係の無いことに一々何か言うなんて傲慢だと思う。

 

「そうか、それは、そうだな」

 

「なあ、この後暇?」

 

「む?まあ、そうだな」

 

「飯食おうぜ。美味い物を食えばどうでも良くなるだろ」

 

「ああ、そうしよう」

 

「………確かに可愛いなあ。そのフラエッテ」

 

「!………ああ、そうだろう」

 

フラエッテにも何か伝わったらしい。どちらも良い笑顔で笑っているのはどうにも嬉しかった。主人公の行動は確かに正解だったのだ。きっとそうに違いない。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「ふーむ、悩むなあ」

 

「お客様、何かお求めでしょうか?」

 

今俺が訪れているのはそれなり、というか結構洒落た店。高級な菓子なんかを売っているお店だ。

こういう店には面倒だがしっかりとした服装で来なければならない。カロスってそういうの厳しいからな。柄じゃないのは理解してるが……まあ今回は必要なことなので仕方ない

 

「えーっと、お土産を選んでるんですけど……」

 

いっそのこと店員さんに言ってしまった方が早いだろう。結局プロに頼るのが一番の近道だよなあ。

 

「ジョウト地方のワタルって分かります?」

 

「えっと……チャンピオンのでしょうか?」

 

「ええ、そいつへのお土産が欲しくてですね。ちょっと頼み事があるので何かお礼になるような物は無いかな、と」

 

「……………しょ、少々お待ち下さい」

 

あら、行っちゃった。まあそりゃそうか。ワタルへのお土産とか一気にプレッシャーになるもんな。悪いことしたかも。ただ俺にも払える限度があるからあんまり重くは見て貰いたくない。

 

「申し訳ありませんお客様。今から私が対応させて戴きますがよろしいでしょうか?」

 

わー、お手本みたいに偉いっぽい人が出てきた。こんなの漫画でしか見たことねえよ。ワタル凄っ!これから何かあったらあいつの名前借りようかな。

 

「すいませんお願いします。えっと、好み的にはたぶんパサつかないような物が好きなんですよ。しっとりしたクッキーとかゼリーとかかな」

 

「それですと、此方になります。これは上にチョコが、中は──」

 

ほーん、何か全部旨そうだ。折角だし自分の分も欲しいな。無駄遣いはいけないが………やっぱご褒美ぐらいねえとやってられねえというか。そんなストレスが貯まるような生活はしてないが。

 

「じゃあこれとこれお願いします。あとケーキとかってあります?」

 

「はい、ケーキなどはこちらになります」

 

うわっ!何これ!?見たことねえよこんな美味そうなの!……例によって値段も凄いな。0が一つ多いよ。でも良いや!最近バトルで貰った金があるからな!最悪貯金崩せば何とかなるし、こういう高そうな所になんてもう来ないだろうからな!

 

「………じゃあこれと、これ。あとそっちのチョコのも下さい。ケーキは今食べるんで包まなくて大丈夫です」

 

「畏まりました、お会計──」

 

「現金で、これお願いします」

 

うひゃあー贅沢ー!AZと食事行ったばっかりだけど良いや!お菓子は別腹!お、来た来た!

 

店と併設された食事場は良い感じの高級感溢れるテラスだ。正直こういうの良く分からないから高級感だとか、良い感じとしか言えない。ただ綺麗というか、解放感、みたいなのは感じるよな。

 

「ああ、最高だ………」

 

1口放り込めば最高の甘さが広がる。この為に生きてきたと言っても過言ではないよなあ。ん?何だあれ?

 

「………げっ」

 

最高の気分だったのに今しがたそれを害された。原因は店の方に入ってきたある集団だ。

 

虫ジムのジムリーダービオラ。格闘ジムのジムリーダーコルニ。四天王の一人にしてXY主人公、カルム。そして現カロスチャンピオンのカルネ。

 

錚々たるメンツだ。正にこのような場に相応しいだろう。どんなハーレムだよとか、死ねよクソ陽キャだとか思ってはいけない。絶対に。

ただ間が悪いのは事実。ふざけんなクソ野郎ぐらいは思っても良いだろう。

 

取り敢えず早急にケーキを食べ終えて出ていこう。と言ってもあと二個は残っているから時間はかかる。まああっちは四人だ。選ぶのに結構時間が……かからない!

舐めてんのかこいつら!何で一発で選んでんだよ!悩めよ!普通悩むだろこういうのは!何だ!?金持ちか!?

 

………そりゃ金持ちか。うわこっち来たよ。帽子被っとこ。

 

「それで最近上手く行かなくて。………?」

 

「そういうこともあるわビオラ。それにしても残念ねセレナさん」

 

「まあ忙しいみたいですし、次回誘いましょう」

 

「そうだね!セレナも楽しみにしてるし!」

 

………よし、あっち行った。流石に横を通り過ぎてった時は緊張したが、きっと大丈夫。うん、こっちを見てた気がするけどきっと気のせいだ。早く食おう。

 

「ごめんちょっと待ってて」

 

「ビオラさん?」

 

「仕事関係で何かあったのかもね」

 

よし、そろそろ時間だ。少し余裕もあるが……まあ早めに行っておくに越したことはない。荷物検査もあるからな。そうそう、早めが重要なんだ

 

「………ねえ師匠」

 

……………

 

「ねえ」

 

「ウルガモス、空を飛ぶ!」

 

「やっぱり師匠じゃない!ちょっと!?」

 

さようならビオラ!お前に会うことは一生無いよ!

 

「カルムくーん!カロスをよろしくねー!」

 

「え……誰?」

 

「あなた師匠って……えっ嘘!?」

 

「ちょっと待っ!」

 

「さらばカロス!」

 

これでカロス地方は閉廷。出来れば一生来たくないなあ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

舞台は変わってカントー地方。原点が生まれたこの地を踏むのは久々だ。奴は今頃シロガネやまだろうか?いやアローラで戦っているのかもしれない。

 

そんなことを考えつつ俺は最後のポケモンを迎えにいく。まだワタルにお土産を渡せていないのだ。急がねばならない。

 

「ウルガモス、あの島覚えてる?そ、あそこに居ると思うんだ」

 

このカントーという土地はポケモンを知る人間ならそれなりに感慨深いだろう。舞台のレジェンド達が戦った地だ。彼らは皆一様に後の世に影響を与えた。

 

レッドという人間を知る者は彼を英雄、もしくは悪夢と称す。たった一人で何百人からなる悪の組織を叩き潰し壊滅に追い込んだ。その強さはシリーズ最強の候補に真っ先に挙がる程。この世界においてもやはりその名は轟いている。

 

グリーンという男はカントーの初代チャンピオンにしてサカキのジムの後釜。レッドのライバルとして立ち塞がった伝説的な男だ。その身に宿した才は俺の時代なら最強と謳われたことだろう。ジムリーダーとしてその名前は広く知れ渡っている。

 

サカキ、それはロケット団という悪の組織としての伝説を作り上げた人間。組織が解散した後も残党が企む始末。果ては世界中の悪の組織のボスを纏め、レインボーロケット団なるものまで作り上げた。悪のカリスマを体現した存在だ。

 

ポケモンの物語が始まったのはこの地方だ。彼らが台頭したのを皮切りに世界で異変が起こり、それに相対する英雄が現れた。

 

運命と言われればそうなんだろう。それら全てに関わることが無かったのは俺としては有り難かった。本当に申し訳ない話だがそれら悪事は見過ごした。

 

だが一時期心配だった。このまま主人公が現れなければマズイことになる。安全を確かめるために俺はレッドを探し回った。その末にマサラタウンの前で出会うことになったのは良い思い出だ。あの時確信した。この世界には彼らが居ると。任せて大丈夫だと。

 

その後だった。気が抜けていたのかもしれない。俺はこの体になった。けど見つけた後で良かった。見つける前にこの体になっていたらレッド捜索なんてとても出来なかったんだから。

 

 

そうして着いたのはゲーム時代には描かれなかった秘境。ふたご島から離れたとこにある孤島。ここは影や海の綺麗さが相まって幻想的だ。

あの子はこの場所に居る。確信がある。最後のピースがここにあると。

 

ある笛を吹く。あの子はこの音が好きだった。元々歌が好きだったから、苦手な笛を練習した。爽やかな風が音を乗せる。きっと届いているだろう。

 

どれだけ経ったのか。音が聞こえる。笛に合わせた音が聞こえる。波に合わせた音が聞こえる。風に合わせた音が聞こえる。

 

水しぶきが風に乗って運ばれて、静寂が訪れた。

 

「久し振り、元気?」

 

この子はまだ歌声で応えてくれるらしい。

 

◆◆◆

 

「ふう……」

 

「お疲れ様ですワタルさん」

 

「ああ、お疲れ様。先に上がらせてもらうよ」

 

いつも通りの業務を終えて、今日はもう帰ろうなんて一息ついたところに電話がかかってきた。誰からだろうか?大方イブキなんかが掛けてきたのだろうと思い番号を見る。

 

一瞬思い出せない番号に疑問を持つが、それは単に見慣れない物であったからだ。その謎が解ければ少々驚きが湧く。

何とまあ珍しいこともあるものだ。十数年ぶりに見た着信画面に何かがあると確信した。つい数週間前の彼との戦いを思い出す。

 

 

 

「もしもし、どうしたんだいイツキ」

 

 

 

その日に投稿された動画がある一部の人々の間で話題となった。ジョウトチャンピオンと戦っている凄まじい強さを持ったトレーナー。しかしそれが最後まで映されることは無かった。

 

一夜限りのスペシャルマッチ、と題されたその勝負は後にワタル史上最高の戦いと言われる。しかし相手のトレーナーが誰だったのか、勝敗はどうなったのかは未だに判明していない。

 

 

 

「だからその名前で呼ぶなっつってんだろ。ワタル」

 

 

 

 




プロローグ終了です。次回から本編行きます。
感想誤字報告等ありがとうございました!プロローグ長くてすいませんでした!
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