感想や誤字報告ありがとうございます。この展開は嫌いな人が多いかもしれないです。
「おお………これがガラル………」
ポケモンの世界ってのは地方によってその特色が強く現れてる。それは他の地方の人間から、ましてや転生者からすれば如実に映る。
文明の発展を感じる地方だな。誰もがスマホロトムを持っている。これを機に俺もスマホロトム買うかあ。前職がブラック気味だったからケータイから買い替えて無い。日本に居た頃はやって無かったけどSNSとかあるみたいだし。
最近は若者がケータイを持ってるのは良く見るが、普及率がまだ足りない。高校生なら全員持ってるレベルには達してるだろうが……令和より少し下みたいな感じ。けどこの地方は違うらしい。少しあの時代の日本に似ている。それにキラキラしてるね!俺も欲しいなあ。出来ればソシャゲやりたい。
本当に10年って月日は長い。俺の10代とは違う訳だ。よし、切り替えて心機一転だ。先ずはエンジンジム、だっけ?そこに行って登録が必要らしいな。ワタルの推薦状を出せば良いだろうし、早速行くか。
何故こんなのをワタルから貰えたのかと言えば、この前のカロスでのお土産をダシに推薦状を頼んだからだ。しかしそれに追加でバトルまで要求されたから面倒だった。結局前のバトルでは本気出して無かったみたいだし、今考えたらムカついてきたな。まあ頼み事ってのは頼む側が下だからやるしかないんだが。
「えっと……駅は…あそこか」
ジムチャレンジは明日から始まるとか何とか。今日中には登録が必要だろうし、さっさと行こう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「おおー!ここがエンジンシティ!」
いやあ壮観だな。少し工場的な感じのある赤レンガ街と言った町並みだな。そして外せないのが後方に見える時計塔のような場所。あれがスタジアムだろう。
ゲームで見たものを生で見るってのはやっぱ最高だ!いくつになっても感動がさせられる。
あ、何かキョロキョロし過ぎて浮いてるかも。これじゃ完全に田舎者だな。まあ間違っても無いのか。
街を見てみれば色んな店がある。確かゲームじゃ髪もセットしたり染めたりしてたよな。まあおっさんがはしゃぐと痛い目を見るだけだから却下。後で少し整えて貰えば良いさ。
これがボールガイか。見た目は完全にホラーだな。モンスターボールを顔にして体を生やすとか子供からしたら怖すぎだろ。
取り敢えずこいつは無視で中に入ろう。
………うわあ、若い人ばっか。この子達みんなユニフォーム着てるし、チャレンジャーの子だろ?この中に混ざって俺やるのかあ。ちょっとやりづらいなあ。たぶんジムの関係者だとか思われてるよ。こんな良い年した大人がさ。
いや、自分の人生の為だ。仕事の為なら切り替えろ。
「すいません」
「はい」
「あの……ジムチャレンジの登録ってここですよね?」
「え、ええ……」
ああ、やっぱりだ。こんな年齢から挑戦する奴居ないよなあ。明らかに不審者に思われてるよ。
「推薦状出せば良いですかね」
「チャ、チャレンジですか……!?」
「シッ!流石に恥ずかしいですから……!これお願いします……!」
うう……!今ので一気に視線が……!ごめんよお、こんな汚い大人が混ざって……!邪魔はしないから!
「これは………えっとワタルってもしかして……」
「ジョウトチャンピオンのワタルです……!こっちじゃあんまり有名じゃないのかもしれませんが……一応チャンピオンなんで……」
「いや有名ですよ!えっ、本物ですか!?」
「だからそんなに言わないで下さい……取り敢えずお願いします……!」
何でこんなにコソコソやってるんだ俺は。くっそ、俺がもう少し若かったらなあ。顔にシワとかは無いけど……まあ25越えてるしそりゃそうか。
「分かりました……はい、大丈夫です。それではユニフォームの番号を決めてもらいます」
うわあったなあそういうの。何か縁起悪い数字は嫌だけど、考えて無かったあ。
「………目立たない数字とかあります?」
「えぇ……」
ああ、職員さん困らせちゃったよ……どうしよう。あっそうだ。
「すいませんちょっと電話します」
「えっ、あっ、はい」
「もしもし?おう、ワタル?うん、うん、あーごめん今それどころじゃなくてよ、好きな数字何?良いから良いから」
秘技、虎の威を借る作戦!ワタルの好きな数字なんてもう完璧よ!勝ったな!
「おっけありがとうじゃあねー。よし、じゃあ149でお願いします」
「すいません今のって……?」
「ワタルです。せっかくなんであいつに決めて貰おうかと」
「あなた何者なんです?」
「………無職ですね。最近クビにされたばかりの……」
「ああ……お疲れ様です」
「それで、えっとチャレンジに必要な物とかってありますか?今日この地方に来たので常識が分からないんです」
「成る程……ではリーグカードを用意するのが良いと思います。ガラルのトレーナーはリーグカードというのを名刺のように交換するんです。ポケモンセンターで作れますので」
「リーグカード……分かりました。作っておきます」
「はい、明日からここで開会式が行われます。参加なさる皆様はホテルスボミーインに泊まられます。それと────」
「──本当にありがとうございました」
「ええ、それにしても何故ジムチャレンジを?」
「功績があると就職しやすいので」
「世知辛いですね……」
「そんな物ですよ。お兄さんお仕事頑張って下さい。それでは」
さてさてさて。ホテルスボミーインはあっちね。取り敢えずリーグカード作って、いやその前に髪を切ろう。床屋は……あそこね。床屋っていうより美容院だな。予約してないけどいけるか?
「いらっしゃいませー」
「カットお願いします」
「どうしますか?」
「あー、ジムチャレンジするんで恥ずかしくない感じにお願い出来ますか?」
「ジムチャレンジ……ですか。分かりました!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふー……」
色々やることがあって流石に疲れたな。さっさとチェックインを………。おいおい何だよあれ。何か黒っぽい服着たヤンキーいるんだけど。髪もピンクって、何だよそれ。
確かあれって、何たら団だっけ?何でカウンターの前でたむろしてんだよ。子供達迷惑してんじゃん。ちょっと話聞くか。
「すいません……これどういう状況なんです?」
「え?ああ、良く分からないんですけど何故か邪魔をしてるんです」
「へえ……すいませーん!」
「何ですあなた!」
「何やってんのお兄さん方?」
「エール団はジムチャレンジャー応援の為に都会に来たのです。そんなエール団の邪魔をするならポケモンバトルです!」
ああ、そうそうエール団。ったく何やってんだこいつらは。よってたかって馬鹿なのか?
「はあ……あんたら歳いくつ?」
「25です」「21」「23」「21よ」
「良い歳こいた大人が何やってんだよ………」
「何です?邪魔するならバトルだと言いました!」
「さっさとやろう。ここじゃマズイ。ほらあっちだ」
「良いでしょう」
何でこんな面倒なことなってるんだよ。こういうのは主人公かジムリーダーが何とかして欲しいもんだ。まあ主人公は無理か。まだあと何年後とかだろうしな。
「さて、ここら辺で良いか。ニャオニクス、よろしく」
「行くのですジグザグマ!」
ガラルジグザグマか。白黒でカッコいいよな。確か剣盾で初めてタチフサグマが出たんだよな。マッスグマの進化先が今更出るなんて驚いたわ。
「右に10まんボルト」
「なっ!?」
放たれた雷はジグザグマの進行方向に進んで焼き尽くす。まあジグザグマじゃ流石に一撃だな。差がありすぎる。
「面倒だから全員でかかってこい」
「嘘です……一撃……クソっ!」
「ええい、やるのです!」
そりゃ無理だろうよ。この強さじゃ話ならない。一応ニャオニクスは手加減してるし大丈夫だろう。さすが優しいニャオニクス。さすニャオやね。おっさんが言うとキモいか……
「ちょっと待ったー!」
「「「「え」」」」
「……ふふ」
何かハモっちゃった。うわ気まずい空気!エール団の人も顔しかめてるし、誰だよ全く………アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?
「一対三なんて卑怯だろ!俺達が味方するぜ!」
「うん!やろうホップ!」
あっ、名前確定……あっあっあっ……オワタァ/(^o^)\……
人はこれを詰みという。
口を挟んできたのは青髪の元気少年と綺麗なブラウン色の髪をした女の子。主人公ユウリとそのライバルホップである。
逃げて良いだろうか。本当に逃げたくなってきた。やりたくねえよ。やりたくねえよ!
こんなイベントゲームにあったか?あったんだろうなあ。もう覚えてないけど俺はそれをバリバリ潰したと。仕方ないとか以前の問題だろこれは。自分の記憶力が恨めしい。
「………じゃあ後はお願いします」
「ええ!?お前は戦わないのか!?」
「貴方達強そうだし私はいらないと思いまして……」
「いやさっきまでやってたじゃん!」
ちっ、駄目か。逃げれないと。面倒だなあ。
「分かりました。てきとうに一人相手します。おいはよ来い」
「舐めやがって……!行くのですクスネ!でんこうせっか!」
成る程先行技ね。ゲーム時代なら受けなきゃいけないだろうが、ここは現実だ。確かに対応はムズいが、出来ないなんてのは無い。アニポケでもそうだが、バトルってのはただ技を出す訳じゃあ無い。
「ニャオニクスあくのはどうを前に置いて!…………じゃあ後はよろしくお願いします」
発動したあくのはどうにでんこうせっかがぶつかる。狙わないあくのはどうであれば発動は間に合うのだ。
そのまま突っ込んでくるならそれに合わせれば良い。反応出来ねえなら事前に置いておけば良い。ここまでの実力差なら何処から来るか大体分かる。でんこうせっかの素早さで余計にダメージが入ったな。
「は、はや……」
「凄いなお前!」
「それは良かったです」
後は任せよう。さっさとここから去らねば。これ以上巻き込まれる訳にはいかない。思い出したのだ。これここからマリィが来るイベントだろう。面倒事はごめんだ!主人公にはかかわらないに限る。
「はあ……」
まさかこんなことになるなんて。あいつらが挑戦するの今年なのかよ。どうすんだよ……これじゃファイナルトーナメントは無理だぞ。良くてセミファイナルでリタイアかあ。まあそこまでやれば上等か。
「まあしゃあないよな。しゃあない、よなあ」
今回は運が無かったな。対応も今回は何とかなったけど、次は分からない。咄嗟に社会人モードになれて良かった。これで敵視されることはないだろう。本当に疲れた。
さっきまでウキウキだったんだけどなあ。一気にお通夜ムードだよ。取り敢えずホテルに行こう。今日はもう寝たい。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて、行くか」
寝癖を直し、髪を少し整える。いつも以上に晴れやかに。でも気負わず、軽い足取りで向かう。行動は精神にまで影響を及ぼす。意識的に笑顔を出すことで緊張を程よいところまで下げる。
「すいません」
「おはようございます。ユエヅキさんですね。間も無く開会式が始まります。ジムチャレンジの開始です!このユニフォームに着替えて来て下さい!」
「ありがとうございます」
このガラルではポケモンバトル、取り分けジムチャレンジは興行として扱われている。勿論他の地方でも四天王戦、チャンピオン戦ともなればそうだ。しかしこの地方はジムチャレンジをスポーツのように考えている。
その現れがこれら試合用ユニフォームやジムチャレンジ用のチャレンジバンド。ジムリーダーのオフシーズンなんかがあるのは良い例だ。そしてセミファイナルやファイナルと言ったトーナメント形式のバトルだ。
この地方には四天王がいない。チャンピオンロードも無い。ジムを8つ突破したら他の突破者達とトーナメントを行うのだ。これがセミファイナル。そしてそれらを突破できたチャレンジャーだけがファイナルトーナメント、ジムリーダー達との本気の戦いに参加できる。
このファイナルトーナメントを突破してやっとダンデ、チャンピオンへの挑戦権を得るわけだ。
まあ俺はセミファイナルで負けることになるのだろうが。まあやるからにはホップには勝ちたいな。まあ縛りもあるから無理かもしれないけど。
「ふう……」
今からやるのは顔合わせだ。これは興行だからな。このガラル中の人達に顔を見せる訳だ。ジムリーダーとチャレンジャーにどんな人がいるのかなーってやつだ。こういうのはSNSで拡散されるし結構重要なんだろう。俺みたいな顔の良くない人間はあんまり期待値が低いんだろうな。
つまり緊張したって仕方がない。最初から下なんだから失望とか無いのは楽で良い。
さて着替えてみたが……うーん……あんま似合わないかも?今度違うユニフォーム買うか。
「あ、お前昨日の!」
「あ、本当だ」
はいさっそく最悪。
「ああ、おはようございます」
「昨日は何でどっか行っちゃったんだよ!」
「何かあったの?」
お前らと関わりたくないからじゃい!とは言える訳もなく、ニコニコしながら言い訳を考えていく。
「少し用事を思い出しまして、気にしないで下さい」
「そうか、あ、マリィと会っといた方が」
「ああ!いえいえ!私初対面の人と話すと緊張しちゃうので大丈夫です!」
「え、でも私達も初対面だよ?」
「今の状態でいっぱいいっぱいなので!ええ!」
「そっか!じゃあマリィとはまた今度だな!」
ええ子達やあ。ごめんなあウソついて。ホップは明るくて正に陽キャ。誰にでも臆することは無いだろうな。
ユウリの方も明るい感じだがホップ程じゃないだろう。けど気の良い美少女だ。これは恐らくモテる。
さてここで問題発生。名前を言うか言わないか。出来るだけ言いたく無いけど……これから関わることあったら不便だし、偽名の方なら良いだろう。
「俺はホップ!お前は?」
あ、先に名乗ってくれるのね。
「ユエヅキ、と言います」
「私はユウリ、よろしくね!」
「こちらこそ。そうだ、二人の門出を祝ってこれを」
この二人を強くするのは嫌だが敵視されるのはもっと嫌だから恩を売っておく。愛想良くしておくのは正義だ。
「これは?」
「元気のかけらです。ひんしのポケモンに使うと回復してくれます」
「本当?ありがとう!」
年相応の目の前のことに目を輝かせた笑顔。まるで全てを見透かしているかのような悪魔の笑顔に見えてしまう。可愛いのは事実だが、この少女が死神であるのも理解している。
「いえいえ、ほら、そろそろ始まりそうですよ」
絶望と希望は紙一重だ。だが今回は負けても成果を出せば良い。なら恐怖は全部飲み込んでおくびにも出さないよう努める。
負けて、プライドがボロボロになって、廃人になるかもしれない。そんなリスクを抱えてでもやらねばならない。
分かっているからこそ、最初の一歩が地獄への片道切符のように見えて、つい諦めたような溜め息を吐いてしまった。
シナリオと合流させてしまいました。すいません!