シリーズ通して語られるだけの人   作:I'mあいむ

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間が空いてしまって誠に申し訳ありません。


奇遇な二人

 

「ニダンギル、せいなるつるぎ!」

 

「な、うそじゃろ!?」

 

どこからか起こる爆発と共に緑の巨体が縮まっていく。自分の計画の成功と、それがどれだけ無謀だったのかを理解した。一気に肩の力が抜けて疲れが押し寄せる。

 

「まさかダイマックス無しのニダンギル一体に負けるとはのう。あんた相当強いんじゃなあ」

 

「ありがとうございます。でもヤローさんに手加減して貰えて助かりました。あなたが本気を抑えてくれなかったら私じゃ突破出来なかった」

 

途中から本気で戦いたそうにしてたがそこはジムリーダー。しっかりセーブしてくれてありがたい限りだ。

 

「やはりそのニダンギル一体でやる気だったかあ……。僕の変化にまで気付くなんて、いやはやお見逸れしました」

 

「ありがとうございます。ヤローさんも流石です。もしジムチャレンジが終わった後に機会があったら、その時はお互い本気でやりましょう」

 

このジムチャレンジは無茶がすぎる。ニダンギル一体でほぼ全てのジムを突破は至難を極めると言って良い。しかし今回はそれをやらねばならない。トレーナーとしての実力はそこで光るからな。

 

「おいおい、ファイナルトーナメントを忘れちゃいかんなあ」

 

「それは……まあ無理でしょう。諦めたい訳じゃないですが、ヤローさんは見たでしょ。今年は天才と怪物の入り交じる魔境だ。歴史が動く可能性もある」

 

シナリオ通り進むなら公式戦無敗のチャンピオンが主人公に負けることで代替わりとなる。実際ユウリの世代は有望だ。将来のジムリーダーが二人。現チャンピオンの弟で未来のチャンピオンの幼馴染もいる。入り込む余地など無いし勝てるわけが無いんだよなあ(白目)

 

「チャンピオンの交代ですかあ。確かに有望な選手が何人もいますなあ。でもその顔、負ける気も無いんじゃ?」

 

「こちらも意地がありますから。セミファイナル、足掻いてみせます。ヤローさんもファイナル頑張って下さい」

 

「ええ」

 

まずは一つ目だ。人生を掛けた勝負、まだ負けるにはいかない。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「これがジムバッジかあ……いやあ、良いねえ」

 

やはりジムバッジってのは眺めてるだけで気分が良い。綺麗だし、高級感あるし。コレクションとして欲を満たしてくれるのだ。この地方のジムバッジはパズルみたいに組み合わせると、一つの円の中に納まるように出来ている。

 

「さて、そろそろ行くか」

 

今の俺の行動指針は3つある。まず一つ目、ジム突破。これは言わずもがな。やらなきゃ何も始まらない。

 

二つ目、やみのいしの確保。このやみのいしはニダンギルがギルガルドへと進化するのに必要なアイテムだ。しかしやみのいしは希少だ。ゲームの頃と同様にめざめいし、ひかりのいし、やみのいしはどうしても貴重。

今まで旅をしてお目にかかることはあったが手持ちはない。めざめいしは持ってるんだけどなあ。

 

方法としては恐らく格闘ジムらへんにあるんだが、まあ主人公に拾われてるだろうなあとは思う。けど無いと一気に詰むんだよな。後半のジムでニダンギル一体は自殺行為だ。ただでさえジムリーダー全抜きなんて馬鹿げたことをやってるんだ。ギルガルドじゃなきゃやってられない。

 

そして最後に、ダイマックスバンドの入手だ。実は最悪これは無くても良い。ダイマックスは強力だけど、やみのいしよりかは優先順位が低い。キングシールドとかチェンジフォルムの関係でどうしてもこうなってしまう。それに俺ダイマックス使う機会あんまり無いからな。今回だけの為に持つのも馬鹿らしいかもしれない。

 

「まあ取り敢えず特訓だな」

 

そう、先日のヒトツキを手持ちにしてからまだ日は浅い。なのに何故ニダンギルになっているのか。答えは簡単、強者相手に特訓をしてるからだ。

 

「ニダンギル、いける?よし、今日もやろうか」

 

相手は俺の手持ち達。取り敢えず一番手加減が得意なニャオニクスに相手をしてもらっている。それにしてもだ。何故俺のポケモンはこうも好戦的、というかバトルへの情熱があるんだろうか。バトルが嫌いな子もいたって良いのに、ニダンギルも好きなんだよねえ。

 

「そう、そこでつるぎのまい!うん、良い感じ!」

 

基本的にニダンギルにはギルガルドになった時の戦法を覚えさせている。特性ノーガードでどうしても今は欠点があるが、そこをどうにかするのもこちらの勤めだ。

 

「ジャイロボールを10まんボルトに当てて!オッケー、取り敢えず休憩しよう」

 

prrrrr!

 

ん?これは……ああ、スマホロトムか。いや最近買い換えたばっかだからまだ馴れないな。というか着信なんて初めて来たか。まあワタルなんかにしか伝えてないしそりゃそうか。

 

ん?でもこの着信ワタルじゃな、い………

 

「え怖っ」

 

何それ。電話詐欺ってこんな早くから来るか?うわあ、出たくねえ。

 

「はい、もしもし」

 

「やあユエヅキ、久しぶりだね」

 

「………誰でしょうか?」

 

聞こえてきたのは男性の声。若く、ハキハキとした声だ。やっぱりワタルではないし、でも聞いたことはあるような気がする。

 

「何を言って、ああ、そういえば言ってなかったね。ほら、僕だよ、ゴダイだよ」

 

「ゴダイ?ゴダイ!?」

 

え?いや、ええ?どうなってんの?

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「本当に久しぶりっすね。というかなんで番号知ってるんすか」

 

ゴダイってのは結構懐かしい名前だ。前に会ったのはいつだったか、もう思い出せないぐらいには古い気がする。まあ何かあるだろうな。この人からの電話なんてそうとしか考えられない。

 

「それはまあ、そういうこともあるさ」

 

大方ワタルだろうな。繋がりは有ってもおかしくない。今度会ったら文句の一つでも言っとくか。

 

「何ですかそれ。というかどうして掛けてきたんです?用があるんでしょう?」

 

「まああると言えばあるね。君は少し困ってるんじゃないかい?きっと僕の出番だと思ったんだ」

 

「ああ成る程………………良く分かりましたね」

 

チラッ

 

「ああ、何となくって奴だ」

 

「そうすか…………で、何やってんすかチャンピオン」

 

電話しながら俺の横に移動してきた男は、淡い青色の髪にタキシードのような服を着ているイケメンだ。誰もが彼は何かが違うと思わせるような風貌。鉱石コレクターゴダイこと元ホウエンチャンピオンダイゴ。

 

本当に何でここに居る?いやマジで。

 

「いやあダイマックスに使う願い星を調べに来たんだけどね。まさか」

 

「違う!!責務!あんた自分の仕事は!?」

 

「…………」

 

「あんたチャンピオン辞めたからって仕事放り出して来たな?………まあ良いです。俺には関係無いんで」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。バレたらマネージャーが怖いんだ」

 

本当に何をしてるんだ?

 

「それで、こんなところまで何の用です」

 

「いや、今回は何もないよ。本当に奇遇だね」

 

「んなことあります?ここガラルですよ?」

 

「それを僕に聞かないでくれ。それに君だってこんなところで何を?」

 

どうやら本当に偶然らしいな。いやはや野良の元チャンピオンに会うとは運が良いのか悪いのか。いや良いんだろうな。もうシナリオも終わってるから別に関わっても害は無い。

 

「俺はジムチャレンジです」

 

「ジムチャレンジ!?その歳で!?」

 

「おい笑うな、何がおかしい」

 

「い、いや、ここ数年音沙汰が無かったのに君w今更ジムチャレンジってw」

 

「おい!ったくなんなんだあんたは!用があるならさっさと言えよ!」

 

「………やみのいし、欲しいんじゃないかい?」

 

「ちっ、やっぱそれか」

 

だと思ったわ。この人は鉱石関係に関して詳しいからな。やみのいしやひかりのいしは持ってるだろうとは思う。元チャンピオンってだけあって俺が何に悩んでるかを見抜いたんだろう。

 

でもって何かに巻き込んでくる。この人はいつもそうだ。やっぱ害しか無いのかもしれんね。

 

「舌打ちって……」

 

「そりゃそうだろ。こういう場合は大抵面倒事じゃないすか。何かあるんでしょ?」

 

「察しが良くて有り難いよ。実は少し調べてることがあってね」

 

「内容は?」

 

「巨人の文献についてだ」

 

「へぇ……」

 

巨人、巨人かあ。なる程ね。確かにあの地方にはレジ系統がいるしな。ただそこら辺に関しては不明な点も多いからなあ。世界中を探し回ることになるだろうし、それは明らかに時間がかかりすぎる。

 

「それで、君ならもしかしたらと思ったんだ。君、昔からそういうことに詳しかったからね。実際その反応を見るに何か知ってるんだろ?」

 

「面倒ですねえ……巨人については分からない部分も多いですし、そもそも何故調べてるんです?」

 

「ホウエンの方であるポケモン達が見つかってね。類似性が多く見られ全員が強力な力を持っているんだ。危険性の関係もあって少し、ね」

 

安全かあ。そういうことならやらなくもないが、でもそうなると説明が難しいよなあ。手が無くはないけどなあ、嫌だなあ。それなら別に……いや時間もないか。別にバトルをする訳じゃないしな。もうシナリオも終わってるし大丈夫、だと思いたい。背に腹は代えられねえわ。

 

「分かりました。信憑性は無いですが、少しだけ話しましょう。そうですね、チャンピオンハルカ……後はシンオウのチャンピオンを。申し訳ないが、俺の認識が間違っている可能性もある。それと……シンオウの英雄もですね」

 

「シンオウ?ハルカちゃんもかい?それにシンオウの英雄……」

 

それだけやっても証拠不十分なんだ。仕方ないだろ。こっちだって主人公なんかと会いたくないっつうの。お前が元チャンピオンじゃなかったらテキトーに説明して終わってんだよクソが。

 

「あなたなら何とかなるでしょう。正直巨人関係は説明が困難だ。証拠も知識も圧倒的に足りないから全貌が見えないんです。もし説明と安全性に関することが必要なら、そうする必要があります」

 

「………分かった。スケジュールをどうにか確認してみるよ。場所はどうする?」

 

「俺はジムチャレンジでここを離れられませんから。ただわざわざガラルにお越し戴くというのも難しいでしょうし、そこは先方に確認をお願いします」

 

「ふむ、なら少し待っていてくれ」

 

そう言うとおもむろに携帯を取り出して離れるダイゴ。うわあ嫌な予感。昔からそうだがこの人突発的なんだよな。社長息子だからってのもあるかもしれないが、最初に会った時も抜け出して偽名を名乗ってたし。

 

当時はまだチャンピオンじゃなかったから、知ってるのを気付かれる訳にもいかなかったしな。コレクターのゴダイってなんなんだよ。

本当にあの時も偶然だった。まだ顔が幼くて一瞬分からなかったんだよな。チャンピオンになった時は慌ててワタルに連絡したなあ。あいつだったら俺が偽名だってばらしかねない。

 

まあ年代的に近いから仲はある程度良いんだが。

 

「ほら、これ」

 

「え、なんすか」

 

いきなり携帯渡されても困るんだけど。え、どういうこと?

 

「いやシロナが君と話したいって」

 

「は?」

 

え?何やってんのこいつ?どういうこと?…………もしかしてこれシロナと繋がってんの!?マッ!?こいつ電話してたのって会社の人間じゃねえの!?

 

「いやいやいや!ちょっと待て!本気か?本気かあんた?」

 

「事の発端は君だろう。僕は繋ぐのが役目だからね」

 

「いやそうは言っても、くそっ………はいもしもし」

 

「もしもし?あなたがユエヅキさん?」

 

聞こえてきたのは少し透き通った女性的な声。しかしそこには確かな自信や言葉では表せない何かが乗っていた。つまりただ者じゃない感が凄い。

 

「え、ええ。失礼ですがあなたは……」

 

「シンオウ地方のチャンピオンをしております。シロナです。ユエヅキさんのお噂はかねがね伺っています。巨人の文献についてとのことだったので、是非話が聞きたくて」

 

シロナ確定お疲れ様でした!それにしてもお噂はかねがねかあ。ん?そりゃどういう…………いやちょっと待ってくれ情報量が多すぎる!

 

「な、何故私のことを知ってるんです?」

 

「マキシやトウガン、それにダイゴやワタルから聞いて」

 

マキシさんあんた何やってんだ!!一旦ちょっとミュートで!

 

「スゥーー……Fuck!!!!!………成る程。今回は申し訳ありません。こちらの都合で色々」

 

「良いんです。それで、巨人について知ってるというのは本当ですか?」

 

「本当に少しだけです。私はあまり詳しく無いので細かな説明の出来る方々の協力が必要だと思いまして」

 

「分かりました。それでは近日中にはそちらに向かいます」

 

「き、近日中?あの、本当に大丈夫なんでしょうか?ご迷惑でしょうしもっとずらして戴いても……」

 

「いえ!是非お願いしたいんです!」

 

何でそんな乗り気なんだよこの人……。まあ確実に失礼だから有り難くはあるか。申し訳ないのには変わりないし、せめて接待の一つでもしないとな。

 

「………ありがとうございます。そ、それと少しお聞きしたいことがあるのですが、シンオウのヒカリさんをお呼びすることは可能でしょうか?」

 

「ヒカリちゃんをですか?」

 

「ええ、お手数おかけしてしまい申し訳ありません。少し今回のことに関係がありまして」

 

「分かりました。断られるかもしれませんが取り敢えず誘ってみます」

 

「ありがとうございます。それでは私からは以上ですので、ダイゴに代わり」

 

「待って下さい」

 

!?

 

「ど、どうしました?」

 

「そちらに行った時にバトルをしませんか?」

 

あっ(昇天)

 

「い、いや、それは……」

 

「あなたの強さは伺っております。どうかお願い出来ませんか?」

 

こっちが頼む手前断れねえよ……いやけど……やるしかないかあ………。

 

「…………もしやるのなら条件があります。それを飲んで戴けるのなら」

 

「その条件というのは?」

 

「ヒカリさんとハルカさんにバトルをしたことを気付かれないことです。このお二人に秘密にして貰えたらやれます」

 

これだけは譲れない。シナリオ後の最強主人公なんかと戦ってたまるか。絶対に逃げ切るぞ。

 

「本当ですか!?ええ、是非お願いします!」

 

「い、いえ、こちらの問題ですのでこれくらいなら。それでは変わりますね。ダイゴさん」

 

「もしもしシロ────」

 

 

 

 

「はぁ………」

 

どうしよう、大変なことになっちゃったなあ…………

 

 




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