please kill me 〜第零試験部隊〜   作:カゲさん

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今日の任務は午前中に行われ、簡単に昼食をとると暫く暇になってしまった為いつも通りリッカの整備室に訪れていた。

 

リッカはソファでだらける俺には一切目もくれず、手元にある神機をあれやこれやと触り続けている。かれこれ1時間はそんな状態だ。

 

神機は全体的に赤色で統一されており、ブレードソードにバックラー、そしてアサルトパーツが装着されている。そう、これは銃身パーツと刀身パーツが一つになった第二世代の神機。つまりは今日着任予定のアリサの神機というわけだ。

 

「………ふぅ、とりあえず確認したいことは全部わかったかな。ごめんね放っておいちゃって」

 

「勝手に来てるわけだから気にしないでくれ。それよりその神機、アリサの新型神機だよな」

 

ようやく満足いったらしいリッカは神機を慎重に俺の神機の隣にあるラックへ立てかけ、手袋やゴーグルを外して同じソファに腰を下ろした。

 

「そうだけど、ヤナギあの子と知り合いなの?」

 

「知り合いっていうか…リッカも知ってるだろ?6年前に俺が大怪我した時の」

 

「えーっと…確か女の子助ける為に戦って怪我したんだっけ。え、もしかしてその子なの!?」

 

「リンドウが言うにはな」

 

リッカもアラガミ殲滅作戦時の出来事は殆ど知っている。俺が全部話しただけなのだが、つまりはアリサのことも知っている。

 

「まだ俺は会ってないんだけど、リッカは?」

 

「直接は会ってないけど、神機の受け取りの時にチラッとだけ見たよ。神機と同じように赤い服着た可愛い子だったね」

 

「確か9歳だったはずだから…もう15歳か。見てわかるかなぁ」

 

「派手な格好してたし、すぐわかると思うよ?」

 

正式な着任は正午だと聞いている。もう第一部隊との顔合わせは済んでいるだろう。リンドウにも言われたし、やっぱり俺も会っておくべきなのだろうか。

 

「でもなぁ…会う理由もなぁ…」

 

いきなり会いに行って「6年前君を助けたゴッドイーターなんだけど、覚えてる?」なんて、恩着せがましくて物凄く嫌だ。

 

「あ、そうだ。この神機触っててわかったことがあるから、ヤナギの神機で試してもいい?」

 

こちらが悩んでいる時に、リッカは呑気にそんなことを言ってグローブを再びつけ始める。試すって、俺の神機は実験体なのかな。いいけどさ。

 

「元々そのつもりだっただろ」

 

「あ、バレた?」

 

立ち上がりながら悪戯っぽく笑う。わざわざ俺の神機を整備室に置いたままにしていたのはそれが理由だろう。新型神機の技術を参考にしようって魂胆が丸見えだ。

 

「シールド展開の速さをちょっと弄れそうでね。これ以上ギリギリにすると接続が緩んで装甲を保てなくなると思ってたんだけど、なんとかなりそうだよ」

 

それっきりリッカは神機弄りに夢中になってこっちのことを見向きもしなくなった。ゴーグルで目元は見えないが、その姿はどことなく楽しそうで邪魔をする気にもならない。

 

「あとで訓練場で試してみるかな」

 

折角改良してくれるならその使用感を早く教えてやろうと思い、適当な時間に訓練場の利用申請を出す。数分もしないうちに申請許可の連絡が端末に表示された。

 

それを確認すると、改めてソファに沈み込む。今朝は早起きだったせいか、任務疲れか、あるいは居心地のおかげか。自然の睡魔に誘われ瞼は重くなり、抵抗する理由もなかった俺は簡単に眠りについた。

 

 

 

 

整備室で目を覚ました時リッカは整備を既に終えていて、神機は訓練場の方へ移送されていた。俺の申請に関する通知が整備室主任の彼女へと届き、俺を起こす前に済ましてしまったらしい。利用時間ギリギリになって起こすなんてしなくてよかったのに。

 

ともあれ訓練場の職員に悪いので遅れないように訓練場へと向かう。見慣れた通路を誰とも会話することなく5分ほど歩くと、訓練場の入り口が見えてくる。事故防止用に取り付けられている電子板には『使用中』の文字。あれ?

 

「もう時間…だよな?」

 

一応時計を確認すると、予定時刻の1分前。確かに利用時間ギリギリまで使っちゃダメなんて規定はない。しかし大抵のゴッドイーターは10分から5分前までには退出するするのが殆どで、少なくとも俺は初めて経験した。

 

そして予定時刻に変わった瞬間、扉が開く。どうやら本当に時間を忘れていたわけではなく、ギリギリまで訓練していただけだったようだ。

 

「あ…」

 

訓練場から出てきたゴッドイーターを見た時、つい声が漏れる。

 

長い銀髪に青い瞳。6年経ったとはいえあの頃の面影はそのままに、といった感じだった。

ファッションは赤い帽子に黒のノースリーブ、チェック柄のミニスカートにサイハイブーツと、なるほど確かに派手な格好だ。いや、戦いやすいならいいけど、その乳はいいのか。サクヤと良い勝負だぞ。

 

「なんですか?」

 

変な意味でなく大きくなったなぁと感心していたが、ジロジロ見られて気に障ったのだろう。あからさまに嫌な顔して睨みつけられた。

 

「いや、今日着任の新人のゴッドイーターだよね?訓練に熱心だなぁって思ってね」

 

「時間は有効に使うべきです。当たり前じゃないですか」

 

何言ってんだコイツはみたいな反応をされた。うーん、第一印象は最悪ってやつかな。それは言い過ぎか。

 

「確かにね。俺は第零試験部隊隊長の久永ヤナギ。任務で顔合わせすることもあると思うから、その時はよろしく」

 

「第零………?私はアリサ・イリーニチナ・アミエーラです。旧型には別に期待などしていませんので、それなりの仕事をしていただければ結構です。それでは」

 

これでもかと言わんばかりに尖った事を言い放ってアリサは俺の横を通り抜けていった。うーん、これはなかなか大変そうだ。俺には関係ない事だけど。それはきっとリンドウの仕事だ。

 

「久永准尉。準備の方よろしいでしょうか」

 

キビキビと歩き去るアリサを目で追っていると、訓練場の方から職員が顔を出す。もう利用開始時刻は過ぎている為確認に来たのだろう。

 

「すみません、今行きます。ヴァジュラのダミー出しといてください」

 

感動の再会のはならなかったし少し様子は気になるが、俺が今何か出来るわけでもない。どころか何かしたら悪影響を及ぼしかねない。

 

とりあえず今は神機の使い心地を試す時だ。ちゃんとやろう。ダミーとはいえ、アレから攻撃喰らったら凄く痛いから。

 

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