『ヴィクッとさんじょ〜!世界中みーんなに幸せをお届けしちゃうっすでお馴染みのサンタクロース☆ストリーマー!ヴィクセンちゃんだぞ〜!今宵も鬼バズり間違いナッシングのゲームを紹介していくっすよ〜☆』
動画配信は継続が命。故にイナリは一日に何本もの動画を挙げ、登録者を増やす事を何よりもの生き甲斐にしている。彼女が挙げる動画は様々なジャンルが存在するが、その大半が『クソゲー』を主にしている為に、サンタクロース・ストリーマーの名とは裏腹に視聴者からはクソゲー・ストリーマーとして、親しまれている
『何時もはクソゲーっすけど……今回はぁ〜!な、な、なんと!その真逆!天と地の差がある鬼ヤバな最強登録者数を誇る鬼ヤバ通り越して、マジヤバ谷園な神ゲー!シャングリラ・フロンティアに挑戦するっすよ〜!』
『ヴィクちゃんが神ゲーとか草生えるwww』
『ヴィクちゃん×神ゲーは未知の領域』
『出端からデスペナ連続に一票』
『クソザコなヴィクちゃんには無理無理』
普段の彼女ならば、有り得ない行動に視聴者たちからは批判という名の愛が飛び交う
『およ?言ってくれるっすね〜?なんなら、鬼ヤバなヴィクちゃんの本気を見せちゃいましょう!サンタクロースの名は伊達じゃないっすよ☆』
『出たww困った時のサンタクロースww』
『ヴィクちゃんの本気を未だ見たことないんだがwww』
『ワロタww』
『最早咲き誇って花』
『なっ!みなさんはウチのファンなんじゃないんすかっ!?愛の鞭どころかイバラっすよ!酷い!マジぴえんっす!』
投げかけられるのは、いずれも優しさ皆無なコメント。これも彼女が愛される故か、はたまた馬鹿にされている故であるかは視聴者たちにしか分からない
『トニカク!ウチだって、神ゲーの一つや二つくらいは出来るってのを証明してやるっす!!芋洗って待ってろっす!!』
『芋じゃなくて顔なwww』
『煮っ転がしてどうするwww』
『安定のおバカwww』
『うるせぇっす!こうなったら!意地でも強くてニュービーを体現してやるっす!そんなこんなで!またみてサンタクロース☆』
締めの挨拶をぶっ込み、ヴィクセンからイナリに戻ると彼女はフルダイブ型ゲーム機を手に取り、件のゲームである『シャングリラ・フロンティア』を手に取る
「クソゲー以外をプレイするのは何時以来だろ……昔はパイセンとよくやったなぁ〜……あの頃から、鬼畜な外道だったわ〜…マジありえんてぃだよ……とりま!やってみますかねぇ!見てろよっ!リスナーたち!」
罵倒する視聴者基リスナーたちを見返す為に彼女は意識をゲームの世界に手放す。あるゲームならば、この時に「リンク・スタート」というかも知れないがこのフルダイブ型ゲーム機にその様な言葉は必要皆無である
「およ?新規キャラクターか〜何しようかなぁ〜?種族も選べるんだ!あるかな?あるかな?トナカイさ〜ん」
初期画面とも呼べるアバター制作画面、クソゲーには有り得ない要素に反応を示しながらも、目当ての種族を探していく。然し、トナカイ等という種族は存在しない、彼女曰く角が生えてれば、トナカイとの事だが間違っても、そんな理論は信じないでいただきたい
「あっ!獣人があるじゃ〜ん!其れにトナカイ的なマスクと角まで〜!つーか……見た目的に○マ娘じゃね?服はっと………おっ!和服だ!あとはコレがなんかサンタみたいだ!よーし!決めた!コレダ☆」
探せばあるものを体現した彼女の理想的な人種を選択し、次に容姿パターン、アクセサリー類、衣服を次から次へと選び、遂に完成したのは、トナカイを模した仮面に、和服とミニスカートを着用したなんだコイツと言われんばかりのお近付きにはなりたくない残念美少女のアバターだった
「わぁ〜!かわい〜!マジヤバ谷園なんだけど!ウチって、ファッションセンス最強じゃね?こんな最強ファッションなJCいないじゃん!さっすがはウチ!マジ天才!」
ファッションセンスとはなんぞ?と言われても明らかな壊滅的な思考。其れを彼女はバズると信じて疑わない、そのメンタルは正に鋼の如しだ
「お次は職業かぁ〜無難に盗賊かな。技量と俊敏さに優れたウチ向きの職業だかんね☆出身……なんだこり?ふむふむ……上昇補正と下降補正を伴うプレイヤーの設定か……なるほど……よし!獣の子にしよっと!」
説明を見ても彼女の頭では処理しきれず、適当に響きが見た目と似通った出身を選び、最後に名前を入力する画面が現れる
「名前はもちろん………ヴィクセン!何時だって、ウチはコレ一択っすよ☆」
リスナーもいない状況での一人語り、側から見るとヤバさド級であるが、コレばかりは彼女の日常的な一部であるが故に最早、何を言っても無駄である
「とりま!スタート!!あっ、プロローグはスキップっす☆」
アバターメイクを終え、目に映る世界が変化を始める。ゆっくりと両目を開き、トナカイマスク越しに新しい世界を焼き付ける
「序盤から森のなかとか辛たん。何故に?あっ!アレだ!出身が原因っすか!白昼堂々と女子を森に放り出すとか何処の外道ですかね?このゲームを作り出したのはパイセンみたいな頭してるっすね」
見渡す限りの大自然を前に、けらけらと笑いながらも彼女は自らの兄貴分を交えた運営に対する罵倒を垂れ流す。配信中だったならば、リスナーたちから何時も通りにイバラの鞭を叩き込まれること間違いなしだ
「さてと…今からどうするっすかね。配信はまだ先だとして……無難にレベル上げ?いやいや、やるなら最初の町にカチコミ?うーむ……悩ましい……」
首を左右に捻り、これから先をどうするかを悩む。森の中央でトナカイマスクの少女が悩む姿は異質を飛び超え、シュールの一言に他ならない
「おっ!なんだ、プレイヤーいるじゃん。おーい!其処のシカマスクの人ー!この辺でウサギを見なかったか?ヴォーパル・バニーってモンスターなんだけ…………げぇっ!?な、なんでお前が!?」
思案中のヴィクセンを現実に引き戻したのは、男性の声。気安い奴だなと思っていれば、彼は彼女を見た途端に表情を変え、ありえないものを見たかのような反応を見せる
「はてな?どちらさま?半裸の鳥頭……あり?サンラク………もしや!パイセン!パイセンじゃないっすか!なんすか!ウチが好きにもほどがあるっすよ!こんなとこで出会うだなんてぇ〜!あっ、でも半裸で鳥頭な姿にはマジドン引きっす。近付かないでください」
頭上に見えたプレイヤーネームは彼女が「パイセン」と呼び慕う幼馴染が使用する統一ネーム、身内と理解した瞬間に警戒心は何処へ?と言わんばかりにサンラクの背を叩きまくり、再会を喜ぶが自分を遥かに凌ぐ奇妙奇天烈な見た目をした彼に引き気味の表情を見せる
「うっせぇわっ!!和服シカマスクに言われたくねぇ!!世界観ガン無視じゃねぇかっ!」
「いやいや、シカじゃないっす。全ての方向から見てもメチャカワなトナカイのヴィクセンちゃんじゃないっすか!鳥頭のせいで、頭だけじゃなくて、目も悪くなったっすか?かわいそうなパイセン………どんまいっす☆」
「慰めんなっ!!ケダモノ女!!動物園に売り飛ばしたろかっ!」
「なんすか?ツンデレっすか?男のツンデレは需要ないっすよ。ましてや、鳥頭なんかは論外っす」
「うるせぇよっ!!」
矢継ぎ早に放たれるマシンガントークに突っ込みを放つサンラク。彼からすれば生意気ではあるが可愛い後輩である事に変わりはないのだが、如何しても先にウザさが上回ってしまうのが彼女との付き合いで理解した悲しき嵯峨である
「まぁ、パイセン弄りはこのくらいにしといて………こっから、どうしたもんっすかね?なんか良いアイデアがあれば、採用してあげても良いっすよ?パイセン。ウチって、正に後輩の鏡っすね!感謝してくださいっすよ!」
「くたばりやがってください、後輩」
「酷っ!!今ので後輩はすごく傷つきました……有り金を寄越してくださいっす」
「傷ついてる子はそんな事を言いません」
パイセンと出会ったヴィクちゃん、チュートリアルガン無視で二番目の街に殴り込み!
NEXTヒント コーハイとパイセンの珍道中