ウザカワ☆ストリーマーは配信がしたい。   作:田中滅

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前回は二番の街に殴り込み!って書いたけど、あれはなかったことにしてね☆


第二配信 出戻りしますけどなにか?

「それで………変態鳥頭のパイセンに聞きたいんすけど、最初の街のファスティアでしたっけ?どっちにあるんすか?可愛い後輩を案内する権限をあげちゃうっすよ」

 

森の中で兄貴分のサンラクと出会ったヴィクセン。彼女は何気に彼を馬鹿にしながら、最初の街の場所を尋ねる

 

「一人で行けよ。俺はヴォーパル・バニーから、ドロップした致命の包丁(ヴォーパル・チョッパー)の性能を検証しなきゃならないんだよ。あと、開口一番に変態呼ばわりするんじゃねぇよ。ツノを引っこ抜くぞ」

 

「パイセン……いくら、ウチが可愛いからって、セクハラは良くないっすよ☆」

 

「何処がセクハラなんだよっ!?今のやり取りの!頭イカれてんのかっ!アホコーハイ!!」

 

軽くウインクすると同時にセクハラは良くないと教えるヴィクセンに対し、サンラクは罵倒を交えた反論を返す。余談だが、彼女のウインクは現実の顔であるイナリ・ブリッツェンドナーとしての外面しか知らない者たちには好印象を与えるが、ヴィクセンとしての素を知る者たちにはウザさをアピールするだけの苛つきを覚える行動でしかない

 

「冗談はこのくらいにしておいて……パイセンはレベルいくつになったっすか?ウチは検証に付き合わされた結果、ログイン初日にレベル7になったっす」

 

「レベル12だな。うーん……かなりの距離を移動したよな、それにしても……。二つ目の街の方が近いな…。ヴィク、お前はどうする?俺はセカンディルに向かうけど」

 

「いやいや、最初の街に戻るのが正しいっすよ。鉛筆の姐御(・・・・・)も女子貫徹と言ってたっす」

 

「あの鬼畜女(・・・・・)を姐御と呼ぶのはお前くらいだぞ……というか、それを言うなら、初志貫徹な。バカのくせに無理に難しい言葉を使うな」

 

「パイセンひどっ!?なんすか!新手の後輩いじめっすか!いくら、ウチが可愛いからって、ひどいっす!ぴえんっす!引くくらいに泣いてやるっす!」

 

「勝手にしやがってください。じゃあな、なんかあればメッセージで……いや、しないでくれ。お前と関わると芋づる式に厄介事に巻き込まれる。じゃあな!」

 

「ばいびーっす」

 

セカンディルに向かうサンラクと別れ、ヴィクセンは最初の街に向かう為に彼とは反対方向に進む。プロローグは飛ばしても、最初の街でのイベントは飛ばさずにやり込むのは、彼女が数多のゲームで一番最初に行う下準備である。此処で注目するべきは、下準備とは何だ?という疑問だ

 

「パイセンはどーせ、後々に後悔するのが目に見えてるっすからねぇ…。取り敢えずは、下準備に情報集めをしとかないとっす。後で優越感に浸れるっすもんね〜」

 

けらけらと笑いながら、森の中を歩みゆくトナカイマスクの少女。目指すは最初の街、その道中で数多のモンスターが襲い来るも、初期装備のナイフを使い、素早い動作でのレベル上げを行っていく

 

「………あり?なんか今、通ったっすか?まぁ珍しいことじゃないかぁ〜」

 

すれ違い様に全身を鎧姿のプレイヤーが走り去るのを目撃するも、ゲーム内では特に気に留める要素もなかった故に目的地に足を進める

 

「てな訳で……迷い迷い迷った末に辿り着きましたぜ☆最初の街に!サンタクロース☆ストリーマー!ヴィクセンちゃんがヴィクッとさんじょ〜!」

 

ログインから二時間。ようやくの人里の入り口を前に決め台詞と言っても過言ではない言葉、此れは彼女が今から行う下準備に欠かせない合言葉のようなものだ

 

「やっと来たっ!!何やってたのよっ!バカヴィク!!待ちくたびれたしっ!!」

 

その合言葉を聞きつけた瞬間、反応を見せたプレイヤーが一人。入り口付近に立っていた金髪の女性が怒りを露わにした状態で、ヴィクセンの方に駆けてきた

 

「いやぁ〜めんごっす。ログイン初っ端から、森の中に放り出された挙句に半裸鳥頭に遭遇しちゃったりなんかして、連絡を忘れてたっす☆」

 

「出端から意味の分からない楽しみ方すんなしっ!!」

 

「いたいっす!なんで殴るんすかっ!?やめて!マジ!ごめんっす!キタちゃん(・・・・・)!!」

 

軽いノリで謝罪を述べる姿に苛立ったのだろう、彼女の頭上に拳骨が落ちる。その手は止まらずに何度も落ち、痛みに耐えかねたヴィクセンはプレイヤーの名を叫ぶ

 

「殴られるだけですんだことを感謝してほしいんだけど?むしろ」

 

「うぅ……リスナー兼親友じゃなかったら…ゆるさねぇっす…キタちゃんの鬼畜…てか、名前がキタコレって…ウケるんすけど〜」

 

ぎろりと睨み付ける金髪の女性プレイヤー。彼女の名はキタコレ、ヴィクセンのリアルフレンドでもある理解者の一人だ。痛む頭を抑えながらも、ヴィクセンは彼女の名がツボに入り、けらけらと笑い転げる

 

「しっかし…久し振りにクソゲー以外をプレイするって言うから、色々と教えてあげようと思ったけど……なんでシカマスクなのよ?アンタは…」

 

「いやいや、シカじゃないっす。全ての方向から見てもメチャカワなトナカイのヴィクセンちゃんっす……あり?なんか、このやり取りに見覚えが…デジャブ?」

 

本日二度目のやり取りに近視眼を覚えるヴィクセンはキタコレのため息混じりの問い掛けは耳にも届かない

 

「配信はどうするの?最初からやってくつもり?」

 

「其れはまだ先の話っすよ。先ずは世界自体を楽しみたいんだよね」

 

動画配信者としての活動を優先している彼女らしからぬ答えに、キタコレも予想していなかったらしく、目を丸くした

 

「ふぅん?珍しいわね、ヴィクが配信無しでのゲームをやりたがるなんて……サンラク先輩絡み?」

 

「半分はせーかいだけど、後の半分は不正解っす。ウチも久しぶりに遊びたいんだよ……純粋に!尚且つ!楽しく盛大にねっ!だからぁ〜キタちゃんも協力してくれるよね?」

 

気持ちの昂り故に、途中から口調が後輩キャラの出鱈目敬語から素に戻り始めるヴィクセン。当の本人はその事に気付かず、興奮に益々の昂りが掛かり始めていた

 

「勿論。ヴィクからの誘いを断るわけないじゃん?てか、素に戻ってる」

 

「やべっ!お願いっす☆キタちゃん!」

 

「はいはい……とりま、チュートリアルね。アンタのレベルってどんくらいよ?」

 

「11レベっす☆」

 

「最初の街を無視したクセにやりこんでるのに草だわ」




親友のキタコレのレクチャーもあり、チュートリアルを終えたヴィクセンは遂に二番目の街に殴り込み!其処で出会うのは!やっぱり、あの人!

NEXTヒント 鬼ウケる

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