献身ハ時ニ世界ヲ滅ボス 作:千切れた靴紐
アプリのアレコレには触れません、マジで自分はにわかプレイヤーなので。
突然ではあるが、ワタシは自己中心的な
具体的には、顔もよく知らない親族の葬儀に、ワタシが一番良いと信じた靴を履いて行くくらいには、自身の決断を是としている。無論それから親族の葬式には呼ばれなくなった訳だが、それが靴の所為なのかただ単に呼ぶ必要が無いと断じられたのかは定かではない。
そんな、いわゆる浮いてしまっている人間であるワタシなのだが、この独白にもある様に自覚はあるのだ。改める気はあまりないけれど。
だって、マナーも礼儀も、昔の人が相手をリスペクトする為に編み出したものが、後続の人たちが形式化していったものなのよ? 先人に習うと言うのなら、ワタシたちだって現代風のマナーや礼儀を作っていくべきではないのかしらね。
それがワタシにとっては
案の定、受け入れられはしなかったけれど。
その時最初にお婆ちゃんに嗜められちゃったのは、今思えば幸運だったのかしらね、その時の縁が今のワタシを形作っているのだし。
お婆ちゃん、親族ですらないのにワタシを育ててくれた恩のある人。
流石のワタシも、お婆ちゃんには従っていたわ。恩を仇で返し始めたら、ワタシはワタシを軽蔑しなくちゃならないもの。
優しくて、厳しくて、芯のあるお婆ちゃん。
そのお陰か、今のワタシは品行方正なお嬢様、それはまるで、モノガタリに出てくる様な
……?
あら失礼、なんの話だったかしら。
ああそうそう、ワタシのお婆ちゃんね。
過去の話はしたから、今の話かしら?
……彼女は今、ワタシの前で床に伏している。
「……か、れん……」
「なぁに、お婆ちゃん」
「そこに……いるの、かい」
「ええ、ワタシはここにいるわ」
「ごめん、ねぇ……きびしく、しちゃって……」
「ふふ、大丈夫よ? お婆ちゃんには感謝しかないし、あの時のワタシには考えられない程、色んなものを貰ったもの」
「なら、よかった……いまの、かれん、なら……かみさまに、みせて、も……あんしん、かしらねぇ……」
「……ええ、今のワタシは、神様すらも魅了しちゃうわ」
「……ねぇ、かれん」
「何かしら、お婆ちゃん」
「あのとき……あんなこと、いっておいて、なんだけど、ね……しぬまえに、みたいもの、が……あるん、だよ」
「ワタシにできる事なら、何でもやるわ」
何せお婆ちゃんの為だもの。これ以上優先する事はないわ。
「……おどって、くれないかい……」
「……踊る?」
「ああ……なんでも、いいんだ……かれんの、おどるすがたが、みたいねぇ……」
流石に、困惑せざるを得なかった。
何せワタシ、踊ることを知らないもの。お婆ちゃんから習った事もないわ。
どれだけ自身を是としていても、全く知らないものには無力なのよ。
「えー……っと……」
「……ふふ」
「どうすれば、良いのかしら?」
「かれん」
「?」
「その、かんかくを……わすれちゃ、いけないよ」
「え?」
「じんせい、ってのは……じしんがないと、おしつぶされる」
「……けどねぇ……とまどいがなかったら、ふみはずして、おちてしまう」
「かれんは、とってもつよい、じまんのむすめ……あのひ、あのばしょでであったとき……よりも、まえから、あなたはまっすぐ、いきてきたのよね」
「……」
「それは、とても、すばらしい、ことよ……」
「だから、わたしに、できることは……とまどいを、おしえてあげること」
「とまどうことは、いきていたら、ぜったいにある……から」
「……だから、おどりなさい、かれん」
「……え?」
「ほかのなにか、でもいい……とまどったときに、たよりにできる、なにかをつくりなさい」
「かれんは、つらさを、ひょうめんにはださないから……」
「……それだといつか、こわれてしまう……それは、いやなのよ」
「りゆうが、なくても、いい……わたしがりゆうでも、いい……とにかく、そのかんじょうを、おもいだしたとき……に、おどりな、さい……」
「……ごめんなさい、よく、わからないわ」
「ふふ、それでいいのよ……」
戸惑い、というのは、今感じている感情の事なのね。初体験かしら。
つまり今、踊らないといけないの? ほとんど知らないのだけど。
「……てを、まえにだして……」
「え? こうかしら」
「ちがうよ……もうすこし……そう、そのままあしを……」
「……ふふ、めずらしく、くせんしてるねぇ……」
「……難しいわ」
「……だいじょうぶ、きっとすぐにできるようになる……できるようにする、かしら」
「ええ、お婆ちゃんに見せないといけないもの、こなして見せるわ」
「たのもしいねぇ……だったら、それ……まで……」
「……お婆ちゃん?」
「……ああ、ごめん……なさい……おむかえの、じかんだ……」
「行っちゃうのね」
「あい、してるよ、かれん」
「……ワタシもよ、お婆ちゃん」
「……」
行ってしまった、生者では届かない場所にまで。
最後の最後に、よくわからないものを残して、行ってしまった。
「……看護師さん、呼ばないとかしら」
◆●◆
「……難しいのね、人生って」
屋上にて、ワタシは風に吹かれている。
特に理由はないわ、看護師さんたちが慌ただしくし始めて、
「……踊りの練習でもしようかしら」
手持ち無沙汰なのだし、今は無人、つまりワタシの空間だ。
何をしていても誰の迷惑にもならないでしょうね。
「……」
曲もなく、感情もなく。ただ教えられた動きを再現するだけ。
だと言うのに、どこか難しい。
いわゆる才能ってものかしら? 踊りは向いていないのかもしれない。
だとしても、できなかったで終わらせる訳にはいかないのだけれど。
「……綺麗ね」
「……あら?」
どうやら、踊っているうちに誰かが訪れていたようね。公共の場所なのだし、ワタシの責任ね。
とは言っても、あまり見せられる様なものではないのだけど。
「拙いもの、見せちゃったわね、ごめんなさい」
「……上手に見えたわ」
「ありがとう、でも下手よ」
「……」
「……さっき初めて知ったばかりだもの」
「……すぅ……」
「……え?」
車椅子に座り眠る彼女。おかしいわ、直前まで喋っていた筈なのだけれど。
そういう感じ、なのかしらね?
「……もし、どうあれ、起きてもらえると助かるのだけど」
「……ん、ぅ……」
元々眠たげではあったのだけれど、ここまで素早く眠るとは思ってなかったわね。不覚だわ。
一旦、肩を軽く揺らしてみたのだが。
「……ごめん、なさい……眠ってしまっていたわ」
「良かった、大事だったら、と思ってたから」
「心配させてごめんなさい、いつもの事だから大丈夫よ」
「そうなのね」
やはりよく眠る子、という事らしい。追求はしないでも良いだろう。
しかし何故こんな場所に? 車椅子なのだし、付き添いの誰かが連れて来た、というのが一番有力かしらね。
「……誰かを亡くしたの? お姉さんは」
「そう見えるの?」
「……踊り、綺麗だけど、泣いている様にも感じたから」
「……」
いつの間にか、悲しさが踊りに乗せられていたらしい。
……ワタシは、感情を表に出さないと言われたけれど。
お婆ちゃんが踊れと言っていたのはこういう事なのかしら?
「……そうね、さっきお婆ちゃんを亡くしたわ」
「そう」
「そうなの、なのにこんな所に居るのだから、親不孝者ね、ワタシ」
「……」
「ワタシは本当の家族じゃないから、お婆ちゃん以外には疎まれてるの、お婆ちゃんも最後に見るのが言い争い、だなんて嫌でしょう?」
「……知らない、私は貴女でも、ましてやそのお婆ちゃんでもないから」
「確かに、そうね」
「でも……」
「?」
「……踊ってる貴女は、ちゃんと悲しそうにしてた」
「 っ」
「今は、何でもない様に見えるけど……あの時の、貴女は悲しそうだった」
「……そう、そう見えたのね」
その言葉を聞いて、心がどこか軽くなった気がした。
……ワタシも、ちゃんと悲しめているのね。
「……ありがとう、お嬢さん」
「どういたしまして……?」
「ふふ、ワタシは
「……
「あら……おやすみなさい」
「……おやすみ……」
まあオリ主のモチーフは言うまでもなさそうなんで言いません。
作品内で言う機会があるでしょ多分。
書き始めた理由としては、忘れない為と、覚える為ですかねぇ。
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