【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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最強形態、登場


episode.63:真なる究極体

 

〜翡翠視点.

 

「んー…やっぱりなんか異常があるって。」

御影が俺の手の赤い線を見てそう答えた。

「でも特に何も無いんだよ。調子悪いとか…病気とかじゃなくて…」

「ふーん。」

 

この前、無事に退院はできたが、定期的に体の何処かに赤い線が現れて光る事が多くなった。

トイレの時や食事の時…それからなのかと風呂に入ってる時とか…本当にやめてほしい。

 

「でも、なんかアニメっぽくてカッコいいじゃん。」

「そうか?ちょっと不気味でやだな。」

 

……正直、あまり縁起のいいものではない気がする。

そう思っていると、線はスッと消えた…

「あ……消えた。」

「いつもより遅かったな。」

「ああ。もしかしたら体が爆発するかもなw」

「んな事言うなよ!不安になるだろうが!」

焦る顔でビビる御影。俺はヘラヘラと笑った。

 

「…でも、三月の前ではそう言う事言うなよな。彼女不安にさせるんじゃないぞ。」

「分かってるよ。俺だってそういうとこは気にしてるからさ。」

御影はそう言ったが、三月を不安にさせたことは何度もあるし、今だって心配かけさせてるのは分かっている。だから出来る限りは彼女の前では言わないようにしているつもりだ。

「だったら、いいのだけれどな……」

「なんだよ。信用してないのか?」

「戦いの点は信用してるけど、こういう時はあんまりかな。」

「貶してる?」

「まさか。宇宙ステーションからの付き合いだろ?」

そう言って御影はキャンディを口に放り込み、もう一つを手渡してきた。

「なあ、これからどうなると思うよ。」

「何が?」

「デクターだよ。結局逃したじゃん。」

「さあな。また追々考えていくしか無いさ。」

「だから、何とかしてやろうぜ!」

いきなり立ち上がり、御影は叫んだ。気合いの入る御影を尻目に俺は顔を洗いたくて洗面所に向かった。

 

 

………………

 

「…………」

洗面所に向かうと、なのかが鏡を見て、髪を弄っていた。

「おはよう。」

「……うん、おはよう。」

鏡越しに挨拶をした俺になのかは素っ気なく挨拶をしたが……どこか何か言いたげだった。

「最近…怖い夢ばっか見るんだ。」

「夢?」

「……うん。ウチの体が別の感覚に乗っ取られる夢。」

「奇遇……俺もよく見る。」

そう言うとなのかは髪を弄るのをやめて、こちらに向いた。

「ねえ……本当に大丈夫なの?」

……疑い深い顔で俺をジッと見つめるなのか。だけど、俺は頭を掻いて誤魔化した。

「……ううん。最近赤い線がよく浮き出るように出るんだ。」

話していると、お互い赤い線が全身に浮き出てきた。

なのかは頬に浮かび上がった線に触れた。

「…なんだか普通の女の子じゃなくなってるみたい。」

「………」

「人工律者の運命って…そう言うものなのかな?ウチらは……何なのかな?」

「わかんね……」

確かに、なのかは普通の人間とは程遠い存在だ。でも、俺はそうは思わない。今まで一緒にいて思ったが、なのかは普通の人間だ。少し人より複雑な一面はあるかもしれないが……それでも普通の女の子である事には変わりないと思う。

「……大丈夫?」

「……うん、平気だよ。」

そう言って俺はなのかの頭を撫でると赤い線がみるみるうちに消えて行った。そして、なのかの線も消えていった。

「あ、消えたよ。」

「うん。」

「……ウチ、何があっても負けないよ。」

「いつかは翡翠の隣に立つぐらい強くなるからね!」

「冗談言うな。」

そう言ってなのかの頭にデコピンする。「いたっ!」

なのかは額を抑えてむすっとなった。そんななのかの頭を撫でた。

「……でも、本当に何かあったら頼るよ。」

「うん……ありがとうね……」

なのかは照れ臭そうにして洗面所から出て行った。

俺も顔を洗ってから部屋に戻ろうとしたが、突如として列車内が揺れて、俺はバランスを崩しそうになった。

「!?」

一瞬慌てるが、すぐに立ち上がって状況を確認する。

どうやら何処からか攻撃を受けたようだ。急いでラウンジに向かう。

……

「姫子さん!何があった!?すごい揺れだったぞ!?」

「翡翠!どうやら敵は正暦地球からこの列車まで攻撃してきているみたいね!」

姫子さんの話を聞く限り、敵の仕業で間違いないらしい。

「おいおい。ここから正暦地球までめちゃくちゃ距離があるぜ?そんなこと出来るのか?」

「翡翠。話は後だ。急いで正暦地球に向かうぞ。」

アクセルが肩を叩いてそう促した。

「了解だ。ホタル、先導を頼む!」

「任せて!!」

ホタルが先頭に立ち、炎を纏った剣を回転させて大気圏をそのまま無事に突入した。

 

〜三人称視点.

「うお……熱っち……」

「いつもの戦闘のよりマシだ。」

翡翠たちは無事に正暦地球に辿り着いた。

「おや、漸くきたのですね。」

後ろを振り向くと、デクターが不敵な笑みを浮かべていた。

「デクター……」

「その顔……『どうして攻撃できた』…と言う顔ですね。」

デクターは翡翠の顔を見上げて言った。

「フフフ……貴方たちが私に借りていたものを返してもらったのです。」

そう言うデクターの背中には、何やら岩石のレギオロイドらしき存在が立っていた。

「奴は…!?」

すると、岩石のレギオロイドは地面に着地すると、連鎖するようにクレーターが出現し、翡翠たちはギリギリで回避した。

「奴は…!?」

「彼は私が作り上げた人工律者の第一作…岩の律者…オルトウロス…!」

オルトウロスは咆哮し、岩石を出現させてきた。

「翡翠!」

ホタル達は咄嗟に剣で岩石を斬り裂くが、その隙にオルトロスは御影に接近した。

「っ!?」

「御影!」

アクセルは大剣で弾くが、オルトロウスは口を大きく開いた。

「くっ…」

オルトウロスはエネルギーを溜め込み、それを一気に吐き出した。

「避けろ!」

放たれたレーザー光線を避けるが、翡翠の元に迫ってきた。

「しまっ……」

「翡翠!危ない!」

なのかの剣がレーザー光線を防いだ。しかし、なのかの剣は折れ、オルトウロスは再びエネルギーを溜め込んだ。そして今度はホタルとアクセルに向けてエネルギー弾を放った。

「っ!?」「うおっ!!」

2人は何とか避けるが、その隙を狙ってデクターは2人に接近した。

「くっ……このっ!」

2人の攻撃もデクターには通じなかった。すると、オルトウロスが再びレーザー光線を放とうとしていた。

「まずい!」

デクターは2人を蹴り飛ばし、レーザー光線を放ったが、翡翠が前に立ち、剣で防いだ。しかし、その衝撃に耐えきれずに吹き飛ばされた。

「ぐあっ……!!」

「翡翠!」

デクターはオルトウロスに命令した。

「オルトウロス!翡翠を破壊しなさい!」

「御意!」

デクターは飛び上がり、その場から去った。

「くそっ……!」

翡翠は立ち上がろうとするが、フラフラでまともに立てなかった。

「翡翠!」

なのかが翡翠の前に近づいてきた。

「大丈夫!?」「どうかな…結構キツイぜ…」

なんとか立ち上がる翡翠。

しかし咳き込んで血を吐いてしまった。

「…」

 

「おやおや翡翠。どうやら人工律者の限界が来ているようですね。」

その様子を見て、デクターは笑った。

「どういう事…?」

なのかがデクターを怒るかのように睨んだ。

「人工律者は…星核の力を宿してはいますが…それは本物の律者の力を真似た贋作なのですよ。」

「証拠として…暴走が近づいている人工律者には赤い線が浮かび上がります。」

デクターは不敵に笑った。

(まさか…近頃赤い線が浮き彫りになってきてるのは…)

なのかは翡翠の左腕の袖をめくった。そこには赤い線が浮かび上がっていた。

「そんな……」

「だから言ったでしょう?『限界』だと。さあ、オルトウロス!やれ!」

「くっ…」

アクセルは形成逆転の為、プロミネンスキャノンを大剣に連結させる。

「このッ…!」

オルトウロスに直撃はしたが、まだ攻撃を止めることはできなかった。

「無駄です!撃て!」

デクターが命令し、オルトウロスからレーザー光線を放つ。

「何っ!?」

咄嗟にアクセルはプロミネンスキャノンを盾代わりにして防いだが、あまりの威力に煙幕が辺りを包んだ。

「くそ……」

なのかはアクセルの所に駆け寄った。

「アクセル!」

「翡翠は大丈夫か?」

「ちょっと厳しいかもな…」

翡翠の体には多数の赤い線が浮かび上がっており、今にも爆発寸前だった。

「そんな…」

なのかは絶望したかのようにへたり込んだ。

「いや…まだだな…」

翡翠はなんとか体を奮い立たせる。

翡翠は剣を握りしめて深呼吸する。すると、翡翠の中で何かが脈動し始めた。

「俺はただ…行きたい道を行くだけだ!」

翡翠の体から赤い線が現れ、全身に広がった。

 

「うぉぉぉ!!」

 

翡翠は遠吠えがあげ、赤い線が心臓部分に集まり、胸元に赤いマークが浮かび上がった。

「まさか……!?」

デクターは翡翠の姿を見て驚愕した。

「オルトウロス!岩石で潰せ!」

デクターの命令でオルトウロスが岩石を生み出し、それを翡翠に向けて放った。しかし、翡翠は手でそれを払い、巨大な竜巻をその場に生んだ。

「な、何っ!?」

デクターは驚愕した。

「くっ…!」

そして、竜巻の中から何かが飛び出してきた。

 

しかし、姿は変わっており、その姿は神に等しい存在感を放っていた。

「これが…新たな力…」

(前よりも落ち着く…)

手を握り、体の動きを確認する。

「勝負はここからだぜ!この力を見せてやる!」

そう言って翡翠は一瞬にしてオルトウロスの懐に入り込み、凄まじい速度で剣を振るった。

「っ!?」

あまりの速度にその場にいた全員がついてこれず、ただ立ち尽くすしかなかった。

「まだだ!」

回し蹴りで遠くに吹き飛ばし、背部の翼から雷撃の槍を出現させ、オルトロスに投げつけた。

オルトウロスの装甲は脆く剥がれ落ち、内部機構があらわになった。

「まだだ!」

両腰部に装備されたレールガンを展開し、オルトウロスに標準を合わせる。

そして、トリガーをためらいなく引き、莫大な量の弾丸を発射した。その衝撃により、周囲は激しく揺れた。オルトロスに接近する翡翠は、両手に二刀の剣を出現させ、オルトウロスを切り刻んだ。

「くっ……!」

デクターはユナイト形態に変化し、剣を持って翡翠に斬りかかった。しかし、その攻撃は通じず、翡翠の周りのナノ粒子がデクターの攻撃を弾き返した。

「デクター!受けてみやがれッ!」

翡翠は雷撃を纏った拳を握り、デクターの腹部を殴った。

「ぐあっ!」

デクターは吹き飛ばされ、地面を転がったがすぐに起き上がった。

「く……まさかここまでとは……!」

デクターはユナイト形態を解除して人間態に戻った。

「デクター様!」

「オルトウロス!切り札を使いなさい!ここで奴らを潰します!」

「御意!」

「開拓者…この恨みは覚えておきましょう…」

デクターはその場で粒子になってその場から消えた。

オルトウロスは自身の体を巨大化させて、高く飛び上がった。

 

「この一撃で終わりだッ!!」

その様子を見たなのか達が翡翠に近寄ってきた。

「どうする翡翠。」

「任せろ!」

 

翡翠は飛び上がって、背部の右背中部分から砲塔を展開させた。

「喰らえ!」

辺りが反転し、砲塔から極細のビームが発射され、オルトウロスの体に直撃した。

「ぐあァァッ!!」

そしてビームは隕石となったオルトウロスを貫通し、オルトウロスの体を貫き続けた。

 

「ぐわああああああああああ!!!」

 

隕石は地面に落下し、大きな爆発を起こした。

 

 

………………………………

 

〜なのか視点.

「翡翠…」

翡翠が翼を羽ばたかせ、こちらにやって来た。

「ふう…」しかし、体の負担が大きかったせいか、翡翠は落下しそうになった。

「おっと!」御影が何とかキャッチした。

翡翠の体からは赤い線が消えて、いつもの状態に戻った。

「ありがとな、御影」

「いいって事よ。それより翡翠。大丈夫なのか?」

「ああ……平気だ…むしろしっくりくる。」

翡翠は手を閉じたり開いたりして感覚を確かめていた。

「なのか、大丈夫か?どこかおかしい所とかは無いか?」

「うん……大丈夫……」

「……そうか。」

翡翠は、ウチの肩に手を置いて頭を撫でた。

その温もりで少し安心した。

 

「さ、帰ろうぜ。ちょっと疲れた…」

翡翠はその場に座り込んだ。

「そうだな、俺も疲れた……」

 

御影も座り込み、ホタルとゼーレが呆れてこっちを見ていた。

 

空を見上げると、曇りだった空に一筋の光がウチらを祝福するかのように、差していた。




新年最初のストーリー更新は最強形態登場です。
開拓は、まだ終わらない。

オンパロスの情報来ましたね。なのかに
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