「兄としては嬉しい気持ちと心配な気持ちで沢山だよ。」
「でも、俺は信じてる。アイツならやれるってな。」
「というわけで、第68話始まるぜ。」
〜星視点.
「はあ…はあ…」
私は壁に手を置きながら胸を抑えながら歩いていた。
さっきから心臓がバクンバクン言ってて苦しい……。
「星核の影響なのかな…」
星核による影響なのかどうかは知らないけど、異様に鼓動が走る。
翡翠やなのみたいに星核の影響を受けやすい体じゃないからこんなに苦しいのかもしれない。
「でも、この先に……」
私は自分の体に何が起こるのか、少し不安と期待を胸に抱きながら進んでいった。
「…ふうっ…」
体に赤い線が走ってきて、少し悪寒もする。
でも、これは星核の力が私の中に入ってきてるってことなのかな。
「この力……なんだか……」
私は自分の中に入ってくる力を少し感じながら、落ち着いて小走りで先に進む。
すると、少し広い場所に出た。
「一旦休憩しよう…」
近くのベンチに座って呼吸を整える。
でも、少し苦しくて過呼吸気味だった。
私は頬に触れながら、感触を確かめる。
少しピリピリしててちょっと痛い。
するとスマホからバイブ音がして、手に取るとなのから電話がかかってきた。
「もしもし?」
『星?今何処にいる?』
「広場にいるよ。ちょっと疲れちゃって…」
『今、遠くでディウェンゴを見たって連絡が入ったんだ!丁度星がいる地点の近くだから…気をつけてね!』
そうして通話は切れた。ディウェンゴもオンパロスに来ているようだった。
私は警戒しながら辺りを見回す。
静寂に包まれた空気が突然と変わり、暴風が吹き荒れた。
「うわっぷ!?」
暴風の勢いで後ろに転ぶ。
風で舞い上がった砂埃に思わず目を瞑る。
そして、風が止み目を開けると……そこにはディウェンゴがいた。
「よう、開拓者。」
「………」
ディウェンゴの姿は以前よりも禍々しく、黒いオーラをまとっていた。
ディウェンゴは私の方に近づくと、私を見つめて言った。
「おいおい単独行動かよ。」
「あなたこそ、ひとりで何してるの?」
「俺か?俺は今、新しい力を試してんだよ。この力で俺が最強になれる!」
ディウェンゴはニヤリと笑う。
「最強?何言ってるの?」
「今から死ぬお前には関係ない事だ!」
ディウェンゴはそう言うと、私の顔に向かって拳を振りかざしてきた。
私は咄嵯にディウェンゴの攻撃をかわす。
次に蹴り技を繰り出すも、間一髪で避けた。
「たあっ!」
隙を狙って炎の槍を出して突き刺そうとするが……私の槍は空振った。
ディウェンゴは私の攻撃をいともせず、そのまま突き飛ばす。
私は地面に倒れると、背中を打った衝撃で咳き込んだ。
「うっ……」
ディウェンゴはゆっくり歩み寄ってきて、倒れている私の首を掴んで持ち上げた。
「ぐぅ……!」
苦しい……息ができない……。
ディウェンゴはニヤリと笑う。
「ハハハ!ざまあねぇな!」
「……っ」
私は抵抗しようと試みるも、力が入らない……。
もうダメだと思った瞬間、横からエネルギーの槍が飛んできて咄嗟に避けたディウェンゴは、そのまま私を地面に投げ飛ばした。
私は再び咳き込む。
ディウェンゴは槍が飛んできた方向を見た。
「誰だ?」
横を見ると、御影が刀を持って立っていた。
御影は刀を構えて言った。
「星から離れろ!」
「御影…」
「大丈夫か?」
御影が私の方を振り返る。
「う、うん……」
私はゆっくりと立ち上がった。
ディウェンゴは私達に向かって言った。
「開拓者、てめぇもここで殺してやるよ!」
「御影、気をつけてね。アイツ強いよ。」
私は御影にそう伝えると、ディウェンゴに向かって走り出した。
私は羽ペンを取り出し、文字を描いてディウェンゴに攻撃する。
しかし、ディウェンゴは羽ペンを手で払い除けた。
「そんなんじゃ俺は倒せねえぞ!」
「なら、今度はこれだ!」
ゲートを開いて、そこから雷撃を繰り出す。
「ぐあっ!」
ディウェンゴは雷撃をくらってよろめいた。
私は続けて炎の槍を出して、ディウェンゴに向かって投げたが、それも避けられた。
そして、ディウェンゴは私の目の前に来て拳を振り上げるが……それを御影が刀で受け止めた。
「付き合ってもらおうか!」
「何ィ?」
ディウェンゴは御影の腕を掴んでそのまま上空に飛び上がった。御影は刀を振って、ディウェンゴに攻撃する。
しかし、ディウェンゴはそれをかわして更に空に昇っていった。
私は慌てて御影の方に向かって走る。
「御影!」
私は空に散乱した瓦礫を足場にして、御影の所に向かう。
「星、危ない!」
ディウェンゴは私に向かってエネルギー弾を撃ってきた。
私は慌てて避けたが、バランスを崩して瓦礫から足を滑らして落下する。
「きゃああああっ!!」
「星っ!」御影が叫ぶ。
「おおっと!」
ディウェンゴが御影を遠くに投げ飛ばしてしまった。
私は地面に叩きつけられ、そのまま気絶してしまった。
……………………
〜三人称視点.
「……ん…んん…」
星が目を覚ますと、そこは何処かの雪原だった。
「何処だろう…ここ…」
星は体を起こす。
「……あ、御影に会わなきゃ……」
『いや、今は大丈夫だ。』
「…え?」
星が後ろを振り返る。
すると、そこには死んだ筈の星の兄である穹が立っていた。
「お、お兄ちゃん…?」
『久しぶりだな。星』
「え?なん……で……?」
『ああ、まあそうだな…俺が死んだ後、魂だけがお前の星核に宿ったんだ。それで、お前の星核と融合した……って言うべきかな?』
「う、嘘でしょ?」
『いいや、本当だよ。』
穹は優しく微笑む。
「そ、そうなんだ……」
『それより…今大変な事が起きてるんだってな。』
「うん…実は…」
星は穹に今までの事を話した。
すると、穹は何かを思いついたかのように言った。
『星、俺の力を使わないか。』
「?」
『今の俺は星核と同じだ。お前の星核と、俺の力が合わされば……きっとディウェンゴの奴と戦える。』
「で、でも…そんなことしたら…」
『…消えるだろうな。俺は…』
穹は星の目を見て言った。
「……」
『星、躊躇うな。俺はもう既に死んだ人間だ。お前が俺を消したくないなら……別の方法を考える。だが、このままじゃアイツには勝てない。だから……』
「…お兄ちゃん…」
『それに…今、星に必要なのは俺じゃなくて星穹列車……開拓者のみんなだ。」
「…うん…」
『過去のしがらみに縛られず…俺はお前に幸せになってくれって思ってる。』
「お兄ちゃん……」
『……って、ちょっと格好つけすぎたかな。』
穹はおちゃらけたように笑った。
星もつられて笑う。
そして、2人は手を繋ぎあった。
「ありがとう……お兄ちゃん」
『…うん。星、御影によろしく伝えといてくれよ…』
穹はそう言って光になって消えた。穹を握っていた星の右手には、黒く輝く銃剣が握られていた。
「行こう…お兄ちゃん…一緒に!」
星は左手に白く輝く銃剣を握りながら、姿が変化していく。
白銀の翼を広げ、蒼く光る髪の毛をかきあげて……新たな律者へと進化した。
「…よし…!」
高く飛び上がって、御影の元に向かって行った。
………………
「くっ…」
その頃、御影はディウェンゴに苦戦を強いられていた。
「おらあっ!」
「ぐっ……!」
御影はディウェンゴの攻撃をくらう。
「タフな奴だな。いつまで耐えられるか?」
「くっ、まだだ…」
御影はライフルを構えてディウェンゴに再び向かって狙いを定める。
「ちっ……!」
ディウェンゴは舌打ちをして、御影に向かって行く。
「ぐっ…筋肉痛が…」
御影は痛みに耐えながら、ディウェンゴの攻撃をかわしていく。
「オラァ!」
「ぐおおおっ!」
ディウェンゴの攻撃で吹き飛ばされる御影。
立ち上がろうとする御影だが、痛みで膝をついたまま起き上がれずにいる。
そんな所を攻撃しようとするディウェンゴ。
「トドメだ…!死ねぇ!」
しかし、何処からか弾丸がディウェンゴの腹に命中し、ディウェンゴは吹き飛ばされた。
「何!?」
「何処からの攻撃だ…?」
御影が辺りを見回し、後ろを見ると、星が銃を構えて立っていた。
「星!?その姿……!」
「御影ごめん!心配かけさせちゃって。」
御影はなんとか立ち上がって星の側に近寄った。
「その姿…お前も律者に…?」
「うん…お兄ちゃんが助けてくれたんだ。」
星は胸に触って、鼓動を感じ取った。
「御影、一緒に戦お。これからは貴方のそばで支えるから。」
「…星…分かった。頼りにしてるぜ。」
「うん!」
「くっ……二人になったからって勝てると思うなよ…!」
ディウェンゴはそう叫ぶと、エネルギー弾を撃ってきた。
しかし、星も御影もそれを避けて反撃に出る。
「やあっ!」
星は背部の翼のビーム砲を展開し、ディウェンゴに向けてビームを放つ。
「ちっ……!」
ディウェンゴは攻撃をかわすが、ビーム刃を展開して突撃してくる御影に反応できずに右腕を斬り付けられた。
「ぐおっ!」
星はすかさず至近距離に近づき、拳部を突き立ててビームを撃つ。
「がああっ!」
ディウェンゴは咄嗟に両手で星の腕を掴んで止めようとするが、星の後ろから飛んできた御影の刀によって右手を切り落とされてしまう。
「うぐっ……!」
ディウェンゴはそのまま地面に落下し、倒れた。
「くそっ!この俺がたかが人間如きにやられるなんて…」
「私たちを甘く見たね。御影と私の絆パワーの方が強かったってこと!」
ディウェンゴは星を睨みつける。
「……認めねえ、俺は負けねえ……!」
「往生際が悪いな…これでトドメを刺してあげる!」
星はサブアームに銃剣を持たせ、全武装を展開してディウェンゴに向ける。
御影はヤバそうと感じて急いでユニットに乗ってその場を避難した。
「全力全射!いっけぇ!!」
星は全ての武装をディウェンゴに向けて一斉発射した。
「ぐわあああああっ!」
ディウェンゴは断末魔を上げ、爆散する。
そして、その体はデータとなって消え去った。
……
その頃、翡翠とアクセルはグラスニーゴと激闘を繰り広げていた。
「はぁあっ!!」
翡翠がグラスニーゴの攻撃を避けて、剣で切り裂く。
その後ろからアクセルが追撃を放った。
「ぐおおおっ!」
グラスニーゴの鋼の体にヒビが入り、ヒビから熱気が漏れ出す。
「ビンゴ!やっぱり体がダメになると熱量を操れないみたいだな!」
アクセルは嬉しそうにガッツポーズを取った。
「俺の自慢のボディを…よくも!」
グラスニーゴが突進攻撃を仕掛ける。しかし、翡翠はその攻撃を見切って避けて見せた。
「甘い!」
レールガンを撃って突進を止める翡翠。
アクセルは異空間から超大型のヒートブレードをユニットで掴んで取り出す。
「行けるな……」と呟いて大剣を構えるアクセル。
翡翠はグラスニーゴの背後に周り、勢いをつけた回し蹴りを食らわせた。
「ぐはっ!」グラスニーゴは体勢を崩して倒れそうになる。
「今だ!アクセル!」
「おうっ!!」
アクセルはヒートブレードを構えながらグラスニーゴが来るのを待った。
「これで最後だ!」
アクセルはヒートブレードを投げ飛ばし、グラスニーゴの体を真っ二つに斬り裂いた。
「ぐぎゃあああああ!」
グラスニーゴは雄叫びをあげてデータとなって消え去った。
………………
そして、無事に戦闘が終わり、翡翠たちは無事に合流する事ができた。
「星、その姿って…」
なのかが星の姿が変わっているのを見て驚く。
「うん……お兄ちゃんが力を貸してくれたんだ……」
星はなのかに話した。
「さて…そろそろ列車に戻ろう。……どうやって戻る?」
「翡翠のスピードで出られないかな?」
七人は考え込むが、結局他の案も浮かばず、仕方なくなのか、ホタル、ゼーレの三人は飛べる律者達の上に乗り、そのままオンパロスを脱出した。
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